【1】心筋梗塞とは?〜その症状と前兆〜 |
死亡率も高い心筋梗塞。本節ではその心筋梗塞の症状を中心に取り上げ、併せてその前兆や後遺症等について取り上げ解説しました。
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3人に人1が亡くなる心筋梗塞とは? |
心筋梗塞とは、心臓に栄養や酸素を運ぶための冠状動脈が閉ざされて血液が心臓に流れなくなり、心臓の組織・細胞が壊死することを言い、冠状動脈で動脈硬化が進行することで起こる病気です。日本人の死亡率の第2位であり、高齢者ほどその発症リスクが高い心筋梗塞ですが、この死亡率が高い理由はその症状に前兆がなく、ある日突然激しい痛みに襲われて倒れてしまうことにあります。心筋梗塞とは、心臓に血液が送られず、短時間で心臓が壊死してしまう病気です。生活習慣病の1つとされ、狭心症と並び「虚血性心疾患」とも呼ばれています。発症する割合は加齢と共に上がってゆき、男性では45歳、女性は65歳を境にして、発症率は急上昇のカーブを描いて上がってゆきます。
心臓は筋肉から出来ている臓器です。中は血液が充満していて、その筋肉の収縮によって絶えず血液を送ることで全身に栄養を供給することがその役割です。心臓の筋肉に栄養を送っている血管は冠動脈と言い、3本の重要な血管からなっています。冠動脈は心臓の直ぐ外側を筋肉に這うように走っていて、心臓全ての領域の血流をカバーしています。その冠動脈でも他の動脈と同じように年齢と共に血管の壁に滓が溜まって、いわゆる動脈硬化が起こってきます。予備的な能力があるため、冠動脈の断面が半分ほど動脈硬化によって覆われたとしても、心臓の筋肉に対する血液の供給は保たれます。ところが血管の壁の滓が徐々に増えてゆき、血管の内側が狭くなってくると、胸が痛くなるという症状が出て来ますが、それを狭心症と言います。そして、ついに冠動脈が完全に詰まってしまうと、心臓の筋肉が壊死が始まり、心筋梗塞となります。狭心症と心筋梗塞は両方とも冠動脈の血流の不足によって起きるため、両方を合わせて虚血性心疾患と言います。身体の他の場所で考えると、手の指の付け根をぎゅっとにぎっていると、暫くすると色が青黒く変わってゆきますが、それを長時間続けると指の筋肉が壊死してしまいます。心臓の筋肉は手の指よりもずっと繊細なので、血流が数十分途絶えるだけで死に始めます。脳の細胞はさらに繊細で、数分心臓が止まっただけでも細胞が死んでしまい、脳に障害が残ることになるのです。なお、心筋梗塞の原因としては、冠動脈が徐々に狭くなっていって最後に詰まってしまうパターンは約30%程度のみです。後の70%は、軽度や中等度の動脈硬化でありながら脂肪に富む不安定な動脈硬化の場所が突然血管の内側に向けて破けて血管が詰まってしまうことが原因と言われています。また、殆ど狭くない冠動脈が突然痙攣を起こして詰まってしまうタイプの冠攣縮(かんれんしゅく)と言われる状態により心筋梗塞を起こす場合もあり、それは比較的若年者や中年者に多いと言われています。何れにせよ、日本人は元々塩分摂取量が多いために依然ひどい高血圧の患者さんが多く、高血圧の関与が大きい脳出血が多い国でしたが、食生活の欧米化に伴って、欧米ほどではないものの心筋梗塞の発症もかなり多くなっており、特に比較的若年や中年の患者が多くなってきているために、心筋梗塞が近年問題になっているのです。
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心筋梗塞の死亡率は非常に高い |
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発症してから6時間以内の死亡率が30%〜40%と最も高く、たとえ病院に運ばれたとしても。10%の確率で亡くなってしまいます。そのような心筋梗塞から回復できるかどうかは、発症から1時間以内に病院で適切な治療を受けられるかどうかにかかっていると言えます。 |
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確実に後遺症が残る |
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たとえ手術で一命を取り止めたとしても、殆どの場合で後遺症が残ると考えられます。心臓(心筋)は、一度壊死すると、繊維状の組織となり、元には戻りません。そのため、正常な働きをすることが出来ず、以後、不整脈や狭心症、低酸素脳症などの後遺症に悩まされることとなるのです。 |
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心筋梗塞の症状 |
胸部に感じる激痛が、心筋梗塞の症状として最も分かりやすいものでしょう。心臓を食い破られるとか、焼けた鉄の杭を差し込まれたようだなど、死を覚悟する程の痛みを感じます。或は冷や汗が止まらず、呼吸困難になり、そのまま気絶する人も珍しくありません。なお、痛みが持続する時間は約30分。その後痛みが引いたように感じますが、これは痛みを感じていた心臓の一部が壊死したためで、決して症状が改善されたわけではありません。
虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞の症状は、一般的に胸が締付けられるとか、鉄板を押し当てられるような痛みと表現されます。しかし、放散痛と言って背中や顎や左腕や胃のあたりが痛むのこともあります。中には歯が痛いという患者さんもいます。血管が細くなって心臓の筋肉に対して血液の供給が不足して起こる狭心症では、安静にすることや、ニトログリセリンの錠剤やスプレーを舌の下に入れることにより数分で痛みが消失しますが、それが消失せず、20分以上持続するようなら、血管が既に詰まっている心筋梗塞を起こしている疑いが強くなります。たとえば冠動脈を高速道路に当てはめて考えると、人間の心臓は予備的な能力があるため、高速道路の4車線のうち2車線が工事をしていても流れに大きな問題は起こりません。しかし、冠動脈の内側である内腔が75%以上、つまり4車線のうち3車線が動脈硬化で覆われると、歩いたりした時に胸が痛くなるという狭心症の症状が出始めます。さらに90%以上になると、安静にしていても症状が出始めます。高速道路が工事で通行止めになると車は完全に通れなくなるように、冠動脈も完全に詰まってしまうと、血液が先に流れなくなり、心臓の筋肉が死に初めて心筋梗塞を起こしてしまいます。
心筋梗塞は胸痛や放散痛の他にも症状を起こすこともあります。心不全と言って、心筋梗塞により心臓のポンプ作用が衰えるために肺の中に水が溜まって息苦しくなる症状や、心筋梗塞によって起こる不整脈で動悸が出現したりすることによって、胸の痛みよりは、それらの症状が主なこともあります。最悪の場合は心筋梗塞を起こして直ぐに心臓が停止してしまうことにより、倒れて病院に運ばれて来る患者さんもいます。また、高齢者では典型的な症状が出にくく、だるいとか気持ちが悪いなどの症状が心筋梗塞の症状であることもよくあり、たとえば認知症がある人などでは、何となく元気がないと言って家族が病院に連れて来たら心筋梗塞だったなどということもあります。また糖尿病の患者の場合、神経の障害のために典型的な痛みが生じない場合があり、高血圧の患者でもそういった場合があると言われています。また、心筋梗塞を起こした患者の約20〜30%の患者は全く痛みを感じず、その後に受けた健康診断や人間ドックで実は以前に心筋梗塞を起こしていたと判明するような患者もいます。その原因ははっきりとは解明されておりませんが、痛みに対する敏感さが人によってかなり異なることが原因ではないかと考えられています。
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参考:心筋梗塞と背部痛 |
心筋梗塞の症状に背部痛があることはご存知でしょうか? 心筋梗塞の初期症状に背部痛があります。背部痛の多くは膵炎や胃潰瘍など腹部の病気の症状ですが、少なからず心筋梗塞や狭心症の症状である場合もあるのです。高血圧の治療をしている人で普段とは違う背部痛を感じたら、それは心筋梗塞の前兆かも知れませんので、直ぐに病院へゆきましょう。確かに心筋梗塞は心臓の病気なので、背部痛と結び付けて考える人は少ないかも知れません。しかし、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気の症状に背部痛があることを知っていれば重篤な状態になることを避けることが可能になるかも知れません。
背部痛が心臓の病気の症状であるということを知っている人は少ないと思いますが、実は背部痛は心臓の病気の症状の一つであるのです。狭心症や心筋梗塞の場合に背部痛が起こりますが、普段から心臓に負担をかけている高血圧の人や肥満症の人は特に要注意です。心臓に対する負担が大きいと、狭心症や心筋梗塞などの病気を引き起こす場合があります。背部痛が起こったら、心臓の病気の症状かも知れないと疑い、直ちに病院へゆくことをオススメします。何れにせよ、高血圧の人がいつもと違って背部痛を感じた場合には、狭心症または心筋梗塞を思い浮かべましょう。普段持ち歩いている冠血管拡張用の舌下錠を内服して症状が軽快するようなら確実です。狭心症の痛みが10分以上続く痛みでは心筋梗塞も考えられますので、早急の受診が必要になります。大動脈の壁に穴が開いて動脈壁に血液が流入する解離性大動脈瘤などでも頑固な背部痛を訴えることがあるので注意が必要です。なお、背部痛の症状が見られる内臓疾患で、代表的なものは腹部臓器や腎臓に関連した病気であるため、心筋梗塞や狭心症など心臓に関する病気は見落とされがちだと言えるでしょう。けれども、心臓の病気の症状に背部痛があると知っておくことも大切です。狭心症も心筋梗塞も、症状が出たら直ちに処置する必要があるからです。どんな病気であれ、早期発見&早期治療が肝要です。日頃から狭心症を患い、心筋梗塞の心配がある方なら、背部痛のことをきちんと知っておくべきです。
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心筋梗塞の前兆 |
心筋梗塞は、胸痛などの前兆が全くなしに起こる人は約3分の1で、梗塞前狭心症と言って、数日前、或は数時間前から胸痛を繰り返したのちに冠動脈が完全に詰まって心筋梗塞を起こす人が約3分の2はいると言われています。その前兆は、いわゆる不安定狭心症と言って、ここ最近新たに起こってきた胸痛などの症状、或はたとえば駅の階段を昇る時のみに胸痛が起こっていたのが、もっと軽い動作でも胸痛が起こってきたり、安静にしている状態でも胸痛が起こってきたりするようになった状態です。冠動脈が細くなっているのみで詰まってはいない狭心症では、安静にすることや、ニトログリセリンの錠剤を舌の下に入れたり、ニトログリセリンのスプレーを舌の下に噴いたりすることにより数分で痛みが消失し、長くても30分を超えることはありません。それ以上継続するような場合は、冠動脈が完全に詰まっている心筋梗塞を起こしている可能性が強くなります。胸痛発作が1日に何度も起きたり持続時間が長くなったりするような場合、これは心筋梗塞を起こす前兆であり、速やかに病院を受診する必要があります。また、その前兆として、たとえば背中や顎や左腕や胃の辺りが痛むこともありますので、1日に何度もそのような症状が繰り返し起こるようなら、何れにしても早めの病院への受診が重要です。なお、その一方で、前兆があった後に心筋梗塞を起こした人の方が、前兆なしに心筋梗塞を起こした人よりも、その後の心臓の機能の回復が早く、合併症も少ないことが知られております。それは、胸痛発作が何度もあると、心臓の筋肉が血液の足りない状態に慣れてきたり、或は側副血行路といって他の冠動脈から詰まりかけている冠動脈に脇道が伸びてきたりすることが理由だろうと考えられています。
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胸の苦しみは心筋梗塞の前兆 |
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心筋梗塞で倒れる前に、息が詰まるとか心臓を木の板で押し潰されるような痛みや息苦しさ、もしくは左の肩から腕にかけて痺れを感じることもあります。これらは狭心症によって引き起こされる症状の1例で、心筋梗塞の前兆とも言えます。 |
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狭心症は見逃されやすい |
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心筋梗塞になる前に、血管が完全に詰まっていない狭心症になっていることが少なくありません。しかし、狭心症の症状は、激しい痛みもなく、数十秒から長くても数分で沈静化します。そのため、胸の痛みを軽く捉え、病院にゆかないまま病状が悪化してしまい、心筋梗塞を起こしてから病気に気がつく人が殆どです。逆に考えれば、心筋梗塞に関する知識を少しでも持っていれば、狭心症の症状があった時点で発症を防ぐことも難しくはないということになります。 |
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狭心症は心筋梗塞注意報 |
生命に関わる心筋梗塞にまで進行するのを防ぐのは、狭心症の段階で早期に発見し、治療と生活習慣の改善を行なうことです。心筋梗塞が発症する前に狭心症の検査や治療をそっかり行なっておけば、進行を食い止めたり有効な治療を行なうことができるからです。そして、狭心症になると、下記で触れるような自覚症状が起こります。冠動脈の動脈硬化が原因となっている狭心症は、労作性狭心症とも言われ、急いで歩く、階段を上る、重い荷物を運ぶ、運動するなど何らかの労作に伴って、主に胸に痛みが出るのが特徴です(なお、胸の痛みと言っても、チクチクする、ズキズキするなどの痛みは、神経痛や筋肉痛、肺の病気、食道炎、胃炎など別の病気の可能性があります)。狭心症の痛みは、安静にしていると数分から10数分で治まることが多く、初期の頃は受診せずにやり過ごしてしまいがちです。しかし、症状が月に何度も出る頃には病状が進行している場合が多いので、気になる症状があった場合は直ぐに受診するようにしましょう。30分以上痛みが治まらないような場合は急性心筋梗塞の可能性があります。なお、高齢であったり糖尿病であれば、痛みを感じる神経の働きが悪くなるため、狭心症の症状を自覚できない場合もあるので注意が必要です。
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参考:狭心症の自覚症状 |
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- どんな症状?
胸の中央が締付けられたり圧迫されるような痛み。喉や下顎、肩、背中が痛むことも
- どんな時に?
坂道や階段を登るとか家事をするなど軽く息があがる程度の運動をした時。早朝や深夜などに起きるのは異型狭心症
- どのくらい続く?
通常4〜5分、長くても15分程度。30分以上続く痛みは心筋梗塞が疑われる
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参考:不整脈と言われたら? |
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不整脈には大きく分けて、(1)脈拍が異常に遅い(1分間の脈拍が50回未満)、(2)脈拍が異常に速い(1分間の脈拍が100回以上)、(3)脈拍が飛んだりリズムが不規則といった3つのタイプがあります。不整脈には心臓の病気が原因で起こるものの他に、加齢や体質的なものが原因で起こる場合もあります。ホルター心電図(24時間心電図)検査などで詳しく調べて治療が必要かどうか分かる場合もあります。動悸や脈拍の乱れが見られた時は迷わず医師に相談しましょう。 |
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心筋梗塞の後遺症 |
心筋梗塞を一度起こすと、その死亡率は約30%と言われています。約30%と言われているというのは、病院にたどり着く前に心臓が止まってしまういわゆる突然死を起こし、原因が特定できない人の中に、かなりの割合で心筋梗塞の人が含まれているからです。CCUといわれる冠動脈集中治療室のある病院では、心筋梗塞の死亡率は約5〜10%ですが、ここ数年これ以上は改善できていません。その一方、胸の痛みなどの症状が起こってから直ぐに病院に行き、冠動脈の詰まった場所をカテーテル治療で開通させることに成功した患者は、最近では1週間以内に退院が可能で、その後の生活にも殆ど影響がありません。そうかと思えば、上記のように死亡する人も多く、また、生命が助かっても心臓の細胞が死んでしまう壊死の範囲が広い患者は、たとえ退院できても、その後に様々な合併症が起こる可能性があります。その合併症の代表的なものは心不全と不整脈です。心不全とは、心筋梗塞により心臓の細胞の一部が死んでしまい、心臓のポンプ作用が衰えるために全身の臓器に充分な量の血液を送れなくなってしまうことを言います。代表的な症状は息切れで、今まで問題なく昇れていた階段を昇るのに、息切れのために途中で休まなくてはならないといったことが起こります。状態がひどいと、食事をするだけで疲れてしまい、食欲もなくなってしまいます。夜間に急に呼吸困難になり肺の中に水が溜まってしまう急性心不全を起こし、入退院を繰り返す人もいます。一方の不整脈も、心筋梗塞後の患者の重大な合併症であり、心室細動と言って心臓が止まったと同じ状態となる不整脈を起こして亡くなる人もいます。最近病院内を始め色々な場所においてある自動体外式除細動器(AED)はこの心室細動を直す機械です。心室細動を起こす可能性が高い患者には、予め植え込み型除細動器という特殊なタイプのペースメーカーが植え込まれます。
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参考:歯周病と心筋梗塞 |
心筋梗塞とは何らかの異変によって心臓に血液を送る血管がつまりその筋肉が壊死し、最悪の場合命を失う恐ろしい病気です。主な原因は動脈硬化で、長年の喫煙や高カロリーの食事などによる生活習慣によって動脈硬化を起こします。ところで、最近の研究によると、心筋梗塞になった人の死因となった血管の中から歯周病菌が発見さたということです。
歯周病とは、歯と歯茎の間にある溝すなわち歯周ポケットで歯周病菌が繁殖、歯茎に炎症が起きる病気で、日本人の約7割が患っている国民病の一つですが、何と重度の歯周病を患っていると心筋梗塞になるリスクが高まるというのです。そこには歯周病菌の驚くべき働きが関係しているのです。それというのは、歯磨き不足などがキッカケとなり、歯周ポケットに歯周病菌が溜まり始めます。そして、その毒素で歯茎が破壊され、歯周ポケットが徐々に深くなり、出血を伴うようになります。さらにこの状態を放置すると、口臭が発生するなどの症状となって現われます。ここまで進行すると、歯周病菌の一部はリンパ管を経て血管の中に侵入してしまうのです。もちろん血管に入った歯周病菌の大部分は白血球によって退治されますが、ところが、一部の歯周病菌は白血球から逃れられる性質を持っているのです。その性質とは、歯周病菌が血小板に入り込むというものです。しかも歯周病菌が血管の中に入り込むと、血小板は異常を起こして互いに集まり、固まりやすくなる。すなわち、歯周病菌が入ることで血小板は簡単に血栓を作ってしまうのです。歯周病を長年放置すると、この歯周病菌が入り込んだ血小板が体内で増加して全身の血管をめぐり、最後に流れ着いた場所が心臓だったということになります。そして、長年の生活習慣から動脈硬化が起こっていた場所に血栓となって次々と付着し、血管を完全に塞いで心筋梗塞を引き起こしてしまうのだと考えられています。さらに、歯周病は2o以内であれば健康な状態です。これが3oになると、歯周ポケットの中で菌が増殖し炎症を起こしている状態、つまり初期の歯周病になっていると診断されます。さらに深さが5oを超えると、中程度の歯周病と診断されます。そしてこの段階になると、増えた菌がリンパ管から血液に流れ込み、血栓を作り始める危険性があるのです。
多くの人々は毎日歯を磨いています。そして、年齢を重ねると歯周病や口臭を予防するために気をつけて磨いているはずなのに、何故歯周病になってしまうのでしょうか? 歯を磨くと、歯茎から血が出ませんか? 口臭がひどいと指摘されたことはありませんか? 歯周病は口の中だけの病気と思い込んでいませんか? 歯周病菌は、歯周ポケットが浅いうちは歯磨きで掻き出せますが、歯周ポケットが深くなると、歯ブラシが届かなくなってしまうのです。つまり、歯周病が悪化したら専門医の治療なしでは治らないのです。だからこそ、口臭や歯茎の出血に気づいたら、迷わず歯科医院を受診し治療を受けることが大切です。
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【2】心筋梗塞の原因とその治療法 |
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心筋梗塞の原因 |
心筋梗塞は心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈に血栓が詰まる病気で、その原因の殆どが動脈硬化です。動脈硬化は、血管の内側にコレステロールが付いて血管の弾力がなくなり、硬くもろくなっている状態で、厄介なことに痛みなどはないため、気づかないことが多いのです。昔は心筋梗塞で死亡する日本人はそれほど多くなかったのですが、最近は食事の欧米化の影響などから欧米人と変わらないぐらい増えているのが実情です。高齢で肥満や高血圧があるほどリスクは心筋梗塞の高いのですが、喫煙者では若くても動脈硬化が進んでいる場合があるので、特に注意が必要です。 |
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心筋梗塞は早朝が危険 |
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朝の6時〜8時と夜の20時〜22時に心筋梗塞になりやすいというデータがあるそうです。また、温かい部屋から寒い外に出た時、お風呂やトイレなど気温の寒暖差が激しい場所では心臓に負担がかかり、発症しやすいとも言われています。 |
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心筋梗塞を引き起こす危険因子 |
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- 加齢
動脈硬化は血管の老化現象。40代に近づいたら注意が必要です。
- 肥満
内蔵型肥満(メタボ)は特に注意が必要です。インスリンの働きが悪くなり、代謝のバランスが崩れて動脈硬化の進行が早まります。
- 高血圧
血圧が高いと血管の壁に大きな圧力がかかります。そのため、血管壁に負担がかかり、傷つきやすくなることで動脈硬化の進行が早まります。
- 脂質異常症
心筋梗塞を発症した患者の約50%は脂質異常症主を患っています。動脈を流れる血液に悪玉コレステロールは多いと、動脈壁に粥状の塊ができて内腔が狭くなる状態(粥状硬化)になりやすくなります。普段の食生活に注意しましょう。
- 高血糖
心筋梗塞を発症した患者の約40%が糖尿病を患っています。本来はエネルギーとして消費されるはずの血中のブドウ糖が血中に溢れた結果、血管内の壁を傷つけるために動脈硬化を引き起こします。
- ストレス
ストレスにより心身が緊張したり興奮すると、交感神経が働き、心拍数や血圧を上昇させ結果動脈硬化を進行させてしまいます。
- 偏った食生活
暴飲暴食が肥満の原因になることは当然のことです。高血圧の改善は減塩が基本です。脂質を摂るなら、肉や乳製品よりも魚を食べることです。魚には悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やし、動脈硬化の進行を防いでくれます。
- 喫煙
喫煙者は吸わない人に比べて心筋梗塞や狭心症などの虚血性疾患で亡くなる人が男性で2.5倍、女性では3・3倍気にもなります。
- 運動不足
運動不足は肥満の原因であり、さらに肥満になると高血圧症引き起こす原因になります。ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、ストレス解消だけでなく、肥満や糖尿病、高血圧の予防にもつながります。
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ストレスは心筋梗塞の原因!? |
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ストレスは気づかないうちに身体に様々な影響を及ぼします。心筋梗塞もストレスが大きな危険因子となるとされています。心筋梗塞は心臓を取り巻く冠動脈の血流障害が長く続いて心筋の細胞が壊死した状態です。一方、狭心症は冠動脈の血流障害により一過性の胸痛を訴えるもので、この二つを虚血性心疾患と呼んでいます。そして、冠動脈の血流障害は、体内の活性酸素により酸化したLDLコレステロールが血管壁に入り込み粥状腫(アテローマ)を作ることで血管腔を狭めて起こりますが、その粥状腫が破れると血小板が集まって凝固し、血管腔を塞げば心筋梗塞になります。なお、これと同様の血液凝固が脳の血管で起きたものが脳梗塞です。このように、心筋梗塞の危険因子には高コレステロール値や血圧上昇、喫煙、血糖値の上昇、運動不足、ストレスなどが上げられます。ある調査では、ある市役所の職員で心筋梗塞になった人と健康な人を比較すると、心筋梗塞患者ははるかに長時間勤務をしていたことが分かったそうです。また別の調査では、心臓発作が起こる前の数ヶ月間に精神的衝撃を与える生活上の変化が高比率で現われていることが分かったそうです。 |
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心筋梗塞にて行われる治療 |
心筋梗塞の治療には、症状が出ている場合は、原因となる冠動脈の閉塞を取り除くという目的で行われるものと、一方、症状が現われていないものの、動脈硬化などにより冠動脈の狭窄部位を治療することで将来的に症状が現われないようにするという予防という意味合いもあります。そして、心筋梗塞の治療法としては、薬物療法、カテーテル療法、手術療法があります。発症からの時間や症状の度合い、患者の体力などにより選択されます。
薬物療法 |
心筋梗塞の初期段階や狭心症の治療として用いられることが多いのが薬物療法です。冠動脈の血管を広げる、血管に詰まっている血栓を溶かす、心臓への負担を減らすなどの目的とする薬が使用され、治療と共に予防法としても利用されます。
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硝酸薬 |
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ニトログリセリンやニトロペンなどがあり、血管を拡張させる効果があり、冠動脈自体を広げる直接的な効果と、全身の血管を広げることで心臓への負担を減らすという効果も期待できます。狭心症の発作を抑えるのに利用されることが多く、舌下錠(舌の下にて溶かして吸収させる薬)やスプレータイプのものもあります。 |
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βブロッカー(ベータ遮断薬) |
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交感神経のβ受容体の働きを遮断することで心臓の動きを減らすことができ、必要とする酸素量が減ることから心筋梗塞の重篤な状態を防ぐことができます。 |
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カルシウムブロッカー(カルシウム拮抗薬) |
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カルシウムには筋肉を収縮させるという作用があるので、血管の筋肉にカルシウムが流入することで血管が収縮してしまいます。しかし、カルシウムブロッカーを使用することでカルシウムの流入を防ぐことができ、血管収縮を防ぎ結果的に血管を拡張することができます。特に血管の攣縮(痙攣して縮小してしまう)を抑えるのに効果的です。 |
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抗血小板剤(アスピリン、パナルジン) |
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血液が本来持っている血栓を溶かす力(線溶)の働きを助ける作用のある薬であり、治療というよりは予防に多く用いられます。 |
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血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA:アルテプラーゼ、チソキナーゼ) |
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直接的に血栓を溶かす作用のある薬です。 |
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カテーテル療法 |
冠動脈の狭窄や閉塞部分に対してカテーテルを使用して障害を取り除き、血流を回復させるのがカテーテル療法であり、冠動脈形成術とも呼ばれます。日本の心筋梗塞の治療としては最も行なわれている療法であり、以前は治療部位での再発が懸念されましたが、技術の進歩により再発率も低下し、負担も少なく効果的な治療法とされております。カテーテルは局部麻酔をした脚の付け根や腕の動脈から挿入され、レントゲンを使用し、造影剤により血管の狭窄、閉塞部位を確認しながら治療が行なわれます。血栓を直接カテーテルにて吸引する手法と共に血管の狭窄部位を広げる手法が同時に行なわれます。
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バルーン治療 |
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カテーテルの先にバルーン(風船)をつけ、狭窄の起きている箇所でバルーンを膨らますことで、狭窄の起きた血管を拡張させる手法です。バルーンを数10秒広げておくことで血管の拡張が期待できますが、時間経過により再発する可能性も考えられます。 |
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ステント治療 |
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ステントと言われる金属製の網状になっている筒を血管の狭窄部位にて広げることで血管を拡張させるという方法です。ステントはそのまま狭窄が起きた部位に留めておいておくことで再発を防ぐことができます。近年狭窄などによる再発(再狭窄)を防ぐ効果が高い薬剤溶出ステントが日本でも使用することができるようになりました。ステントに血管の収縮を抑制する薬剤がコーティングされており、狭窄の起きた血管に直接薬剤が時間をかけて染み込むことで再狭窄を防ぐことが期待できます。 |
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手術療法 |
外科手術を行い冠動脈の狭窄・閉塞から心筋の壊死を防ぐ手法で、冠動脈バイパス手術と呼ばれます。冠動脈は心臓を這うように張り巡らされておりますが、大元となる太い血管は3本とされています。3本のうち2本以上閉塞が起きている箇所が広範囲に渡る場合、またはカテーテル療法を行なっても再発の可能性が高い場合などにバイパス手術が行なわれることが多くあります。しかし、近年ではカテーテル療法の技術向上に伴い、再発率も低下していることから、手術療法ではなくカテーテル療法にて充分に回復が見込める症例が増えています。
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冠動脈バイパス手術 |
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心筋梗塞は冠動脈が閉塞することで閉塞箇所から先に血液が流れ無くなり、その先の血管から酸素供給を受けている心筋が壊死してしまうことで心臓が障害を受けます。バイパス手術とは、その名の通り閉塞箇所をバイパス(迂回させる)させて先の血管に血液の供給を続けられるようにする手術です。バイパスに使われる血管は患者の胸や脚、腕などの健康な血管を採取であり、採取した血管を冠動脈にある閉塞箇所の前後を繋ぎ迂回させるという手術になります。 |
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カテーテル療法から冠動脈バイパス手術へ |
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カテーテル療法にて狭窄部位の回復を図っても思ったように改善されない場合に冠動脈バイパス手術が行なわれる場合があります。閉塞箇所が多い場合には多岐バイパス(複数箇所で行われるバイパス)も行なわれることがあります。 |
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手術の部類としてはスタンダード |
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外科手術ですのでカテーテル療法とは違い、全身麻酔を行い胸部を開き、直接心臓へと処置を施します。症状が落ち着いている状態においては、患者の体力及びカテーテル療法の検討などを行ない、手術を行なうかどうか患者と充分に検討した後に手術が行なわれることになります。ただし、心筋梗塞の症状が現れている段階では、1分1秒を争う状態なので、即手術を行なうこともあります。なお、心臓に関する手術としては歴史も長く、一般的に行なわれており、成功率も高く、再発率は低いとされていますが、しかしながら、発症から時間が経っている場合で心筋の壊死が広範囲に渡る場合には、バイパスを行なっても壊死は回復しないので、予防・発作時の対応が重要になってくるのです。 |
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急性心筋梗塞治療の最前線 |
治療のゴールデンタイムは6時間 |
急性心筋梗塞とは、心臓に栄養と酸素を補給している冠動脈が急に詰まり、血流がその先に流れないことから心臓の一部の筋肉が死んでしまう(壊死)病気で、急死することもあります。症状としては30分以上続く胸痛が挙げられますが、同じ胸痛でも狭心症の場合は5〜15分くらいで、胸痛の持続時間が急性心筋梗塞の重要な目安になります。
心臓の筋肉には再生能力がないため、急性心筋梗塞の第一の治療は、詰まった冠動脈を再び開通させて(再灌流療法)壊死を最小限にとどめることにあります。再開通は早ければ早いほどよく、急性心筋梗塞の治療のゴールデンタイム(心臓のダメージを少なくすることができる時間)は6時間と言われています。それを過ぎても12時間以内であれば再開通することで効果があります。ちなみに、WHOの調査では、急性心筋梗塞による死亡例は80%が24時間以内で、その3分の2は病院到着前です。ちなみに、専門施設のある病院到着後の死亡率は5〜10%です。急性心筋梗塞の疑いがある時は一刻も早く医療機関に受診する必要があるので、緊急の場合は救急車を呼びましょう。
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最新の治療法:血栓溶解薬+風船療法+ステント |
治療法には、詰まった血栓を血栓溶解薬(tPAなど)で溶かす方法と、血管内に細い管(カテーテル)を入れて詰まった部位を風船(バルーン)でふくらませる風船療法(PTCAなどと呼ばれる)があります。血栓溶解薬の静脈注射による再開通率は50〜70%程度ですが、再閉塞しやすいことが知られています。この治療法は簡便ですが、出血性疾患、たとえば胃潰瘍などがあると、止血していた血栓まで溶かすため、使用には充分配慮する必要があります。風船療法の再開通成功率は約95%と高いのですが、心臓カテーテル室を持った施設でなければ行なうことができません。
次に、いま行なわれている最新の治療法を紹介します。急性心筋梗塞で循環器専門医のいる病院に搬送されてきた患者は、到着すると直ちに血栓溶解薬を静脈注射して心臓カテーテル室に送られ、溶けているかどうかを確認するため血管造影を行ないます。閉塞部位が見つかると、そこを風船療法で再開通した後、その部位にステントというステンレススチールの金網の筒のような補強具を留置します。風船療法だけでは再狭窄することが多いため、今日広く行なわれるようになった方法です。ステントは風船療法の際60〜70%で使用されています。さらに再閉塞を防ぐために抗血小板薬を約一カ月服用します。こうした治療が行なわれるようになって再狭窄率は低下し、治療成績は向上しています。
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再狭窄予防研究の最前線 |
ステントを使用しても、なお20〜30%の再狭窄があると言われています。そこで研究の最前線では様々な試みが行なわれています。ステントに薬剤を付着させたり血管内から放射線を照射して再狭窄を防ぐ研究、或はステントを生体に吸収される物質で作り、体内にステントを残さない研究も行なわれています。
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心筋梗塞のリハビリテーション |
心筋梗塞や狭心症の再発予防及び早期回復のためには、症状によっては生活に適度な有酸素運動を取り入れることも有効です。
心筋梗塞を一度でも起こしたということは、心臓のポンプの力が衰えてしまったということです。その重症度によって程度は様々ですが、これを譬えれば、これまで4基のエンジンで飛んでいたジェット機が3基のエンジンになったり、ひどい場合には1基のエンジンで飛ばなければならなかったりするような状態だと言ったらよいでしょう。1基のエンジンで飛ぶためには当然ながらスピードを落とさなければならず、また、重量も減らさなければなりません。人間で言えば歩く速度を落としたり、運動量を落とすことにより無理のない生活をしなければなりません。そうでないと、飛行機なら墜落、人間で言えば心不全や不整脈を起こして死に繋がってしまうからです。そんなことにならないようにする一つの重要な手段が心筋梗塞後のリハビリテーションです。心筋梗塞後のリハビリテーションは、(1)入院した時から退院までの急性期リハビリテーション、(2)退院後に社会復帰をするまでの回復期リハビリテーション、それ以降は、(3)再発予防のためにほぼ一生続く維持期リハビリテーションにそれぞれ分けられます。通常は、入院当日はベッドの上に安静になり、心筋梗塞の程度により歩行開始や入浴開始の時期が決まり、これもリハビリテーションの一環となります。短い人で1週間、平均約2週間で退院となりますが、数カ月もの入院期間となる患者もいます。退院後は保険診療で心臓リハビリテーションが認めらており、週に1〜3回ほど病院に通い、自転車を漕ぐリハビリテーションなどをするプログラムを持っている病院もあります。徐々に運動量を増やしてゆき、心臓機能の改善や危険因子の軽減に効果を発揮します。また、退院時に行なう運動負荷試験で運動量の設定を行ない、リハビリテーションを個人で行なう方法もありますが、何れにせよ、適切な運動の継続は予後の改善に有効であることが知られています。もちろん入院前より足腰が悪かったりするために歩行をすることができない患者もいますが、そういう人に対しては、心不全や不整脈を起こさずに入院前の生活状態まで回復させることがリハビリテーションということになります。
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心臓リハビリテーション |
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心筋梗塞や狭心症の発症時や治療直後は、絶対安静のためにベッドの上で過ごす日々が続きます。その生活に身体が慣れてしまった後、発症前ないし手術前の環境に急激に戻ろうとすると、思うように社会生活が営めないばかりか、身体や心臓に非常に大きい負担がかかってしまい、心筋梗塞及び狭心症が再発してしまう可能性もあります。これを防ぎ、安全かつスムーズに日常生活へ復帰するために、病院の循環器内科やリハビリテーション科などで行なわれているのが心臓リハビリテーションです。心臓リハビリテーションは、心筋梗塞や狭心症を発症した人やその他の心臓手術をした人を対象に行なわれるリハビリテーションの1つです。心臓リハビリテーションは、短期的には手術や発症によって衰えた身体機能を回復し社会生活を取り戻すことを目的とし、長期的には生涯に渡って心筋梗塞及び狭心症の再発及び発症を防ぎ、身体の健康を保つなど生活の質が向上することを目的としています。心筋梗塞及び狭心症発症後のリハビリには多少のリスクもありますが、再発を防げるなどメリットの方が大きく、医師などによる万全のケアの下でリハビリが行われています。 |
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有酸素運動で将来の心筋梗塞及び狭心症を防ぐ |
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心臓リハビリテーションは、歩行やエアロバイク、水泳など有酸素運動を中心に行なわれます。心臓に強い負担をかける無酸素運動に比べて、有酸素運動は身体に優しく、また、長時間継続して行なうことができます。リハビリテーションの際には、酸素消費量などの計測データや医師による問診などを参考に個々の人に合った運動量が設定されます。従って、焦らずに持続させることが大切となります。これらの運動は生涯に渡って行なうことで、心筋梗塞及び狭心症のみならず、様々な生活習慣病の予防にも?がります。 |
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心筋梗塞患者に対する予後とその管理 |
軽症心筋梗塞後の患者には特に特別な留意点はなく、運動、温度変化などによる急激な血圧の上昇などに留意したり、疲れすぎや脱水の予防をしたりするなどの一般的な注意をすれば問題はありません。しかし、中等症から重症の心筋梗塞後の患者に対しては、少しの運動やリハビリテーションなどでも心不全や致命的な不整脈を引き起こす可能性があるため、主治医と相談の上、運動及びリハビリテーションの程度を決定する必要があります。重症な心筋梗塞後の患者の場合、入浴のみで心不全や不整脈を起こす場合もあるので、入浴に関しては、40度以上の熱いお湯は避けて、湯船に浸かるのは心臓の高さまでとし、長時間の入浴は避けた方がよいとされています。また、重症な患者の場合、水分摂取の管理も非常に重要です。水分の摂り過ぎは心不全を引き起こしますが、夏などには脱水の予防のためにもある程度の水分摂取が必要となるため、医師と相談の上、必要水分摂取量を決めておく必要があり、体重の増減のチェックも必要となります。また、心筋梗塞後の患者の場合、二次予防と言って再発予防のためにほぼ全員が薬を飲む必要があります。急性心筋梗塞で入院し、カテーテル治療を受けて間もない患者は、血液をさらさらにする薬を絶対にかかせない時期があります。他にも心臓に関する多くの薬は非常に重要なものなので、忘れずに決まった時間にきちんと服薬をすること、また、服用できないような状態が生じた場合には、勝手に服用を中止しないで医師に相談することが肝要です。
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