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 そろそろ新茶が出回る季節です。そこで今回は日本茶を取り上げました。お茶の種類や歴史、その効用、そして、お茶の美味し淹れ方や出し方まで一通り解説しました。 


日本人としての緑茶
【1】日本茶の特徴
【2】お茶とその歴史
【3】お茶とその効用
【4】お茶の美味しい淹れ方と出し方

【1】日本茶の特徴

 本節では、まず初めに日本茶、特に緑茶の特徴について取り上げ解説します。
お茶の種類

 緑茶やウーロン茶、紅茶と違った種類のお茶も同じお茶の樹から取れます。途中の製造工程が違うので、違った形のお茶になるのです。緑茶は最初に水蒸気で蒸すことで発酵を止めるので、ビタミン類がたくさん含まれています。一方、ウーロン茶や紅茶はお茶葉を発酵させ、そのため香りや味に特徴があります。


■不発酵茶(緑茶)
煎茶
 一番ポピュラーなお茶です。高い煎茶ほど形が細く揃って見た目もきれいで、上級茶ほど旨味や香が増します。緑茶の代表で、普通お茶と言えば煎茶のことを言います。
茎茶
 煎茶の中に白い茎が混ざっているため、茎独特のサッパリした香りが特徴です。煎茶を製造する時に生ずる茎だけを集めたお茶で、茎茶独特の香りとスッキリした風味を味わえます。
芽茶
 お茶の新芽を集めています。粉茶より細かくなく、目の細かい急須で出すことが出来ます。お茶の葉の新芽の所だけを集めた見た目にコロコロした形状のお茶で、味が濃く、煎じが利きます。
ほうじ茶
 お茶の葉を強火で炒ったのがほうじ茶で、お茶の葉を強火で炒っているので、お茶の葉の色は茶色です。香ばしい香りに特徴があり、サッパリした味が食後のお茶として最適です。
玄米茶
 煎茶に炒り米をブレンドしたお茶で、特有の香ばしい味と香りが特徴です。食後の後のお茶に合います。お茶の葉に炒り米をブレンドしたお茶で、香ばしい香りに人気があります。
粉茶
 お茶の葉が細かくなっているため、粉茶用の急須や茶漉しで出す必要があります。お寿司やさんでお馴染みの、お茶の色がよく、あっさりしとした風味が特徴です。
抹茶
 石臼で挽いたお茶で、茶道で使われますが、最近ではお菓子作りなどに使われます。最近では20gのプルトップ缶詰になっており、缶詰の入っているので品質は最高です。
■半発酵茶
ウーロン茶
 半発酵茶で台湾、福建省などで製造されています。サッバリとした風味が好まれています。
■発酵茶
紅茶
 お茶の葉を完全に発酵させたもので、セイロンやインドで製造されます。

参考:深蒸し茶の特徴


深蒸し茶の歴史
深蒸し茶
 健康によいと言われる深蒸し茶ですが、実はこれは昭和40年代に菊川市のお茶農家が開発されたと言われています。当時、菊川市を含めた牧之原台地のお茶は、日照時間が長く茶葉が厚く堅くなりがちでした。そのため、品質的に渋いお茶を生産されていたため、あまり人気がありませんでした。そこで、渋いお茶を如何にしてまろやかなお茶にするか研究した結果、蒸し時間を長くすることで茶葉の繊維を柔らかくし、渋味を取り去った緑茶を作ることに成功しました。それが現在の深蒸し茶のルーツになっているのです。

深蒸し茶の製造方法
 普通の緑茶(普通煎茶)は、茶葉を摘み取った後で茶葉を蒸しますが、その時間は10秒〜60秒程度です。深蒸し茶は蒸し時間を約倍にして、60秒〜180秒蒸します。茶葉を長時間蒸すことで、お茶の葉の細胞が崩れ、お茶本来の成分がお湯に溶けやすくなります。そのため、普通煎茶ではお湯に抽出されないβカロテンやビタミンE、クロロフィルがお湯に溶けやすくなっているのです。

深蒸し茶の特徴
 深蒸し茶は、茶葉を長時間蒸すことで茶葉を柔らかくしているため、お茶の形が崩れやすく、粉状になりやすくなっています。そのため、見た目は悪くても、味はまろやかで甘みがあります。粉状になっているので、急須は目の細かい深蒸し用の急須を使うことをオススメします。 

お茶の製造方法


 皆さんの食卓に上がっているお茶は、お茶農家や衛生的なお茶工場で生産・製造が行なわれています。茶園ですくすく育ったお茶を摘み取って、直ぐにお茶工場に運び、まずは煎茶(荒茶:仕上げをしていないお茶)に加工します。皆さんのお手元に届ける一番茶(新茶)の製造は4月下旬から5月10日頃まで、次のような行程でお茶の新芽をお茶の葉にしています。なお、下記の製造工程は生葉から荒茶までの行程で、この製造工程はお茶の摘み取りと同時に行われるため、工場が稼働するのはお茶摘みと同じ期間になります。この荒茶を仕上げ加工して袋詰めされた後、製品として出荷されることなるのです。

お茶畑 緑茶の製法は日本と中国では主流となっている方法がやや異なり、風味も異なっています。日本では発酵を止めるため上記のように蒸すのに対し、中国では釜炒りを行うのが主流となっています。なお、日本国内でも佐賀県の嬉野茶(うれしのちゃ)や宮崎県・熊本県県境付近の青柳茶(あおやぎちゃ)の様に釜炒りの製法を取っているものもあります。また、未選別の中間加工品、茎・芽・硬葉等を含んだ茶葉(生葉)を蒸熱、揉み操作、乾燥等の加工処理を経て製造され仕上げ茶として再製する以前のいわゆる荒茶をそのまま販売する際に青柳と称する場合もあるので区別の必要なことがあります。
 緑茶のように茶葉収穫後に加熱処理を加え、茶葉自身に含まれる酵素による酸化発酵を極力抑えたものを一般に不発酵茶と言いますが、この場合の加熱処理を殺青(さっせい)と呼び、これを蒸製により行なった場合を特に蒸青(じょうせい)と呼びます。日本においては蒸製により殺青を行なうものが主流ですが、世界的に見るとこれはかなり特殊な部類に入り、現在では日本固有のものと言えるようになっています。ただし、緑茶の消費は日本と中国が主で、古来は中国においても殺青は盛んに行なわれていました。なお、この他に炒製(釜炒り)や煮製(番茶類)、焼製、晒青(日光に曝す)などによる方法があります。なお、緑茶同様に茶葉を処理した後、微生物の作用をもって発酵させた後発酵茶(黒茶)と呼ばれる一群の茶飲料が存在します。阿波番茶(あわばんちゃ)や碁石茶(ごいしちゃ)やプーアル茶がその例で、これらは特殊茶のなかの漬物茶に分類されます。また、ジャスミン茶は緑茶にジャスミンが開花する時に放出される香りを付けたもので、分類上は花茶や着香茶に入ります。


1)お茶の葉の摘み取り
 茶園で育ったお茶の新芽は自動の乗用茶摘み機できれいに刈り取られます。上級の煎茶は手で摘み取りますが、一般的なお茶は機械で能率よく摘み取りが行なわれます。手で摘み取っていた頃は茶摘みは重労働でしたが、乗用茶摘み機が普及してからは茶摘みの作業が楽になりました。

2)お茶の葉を茶工場に搬入する
 茶園で摘み取られたお茶の葉(生葉)はまずはお茶工場に集められます。お茶の葉摘み取られると直ぐに酸化酵素の働きで発酵が始まります。その発酵を止めるために、茶園から持ってきたお茶の葉は生葉コンテナ(下から冷風を吹き込んで温度を下げる装置)に入れられます。生葉コンテナに入れると、約半日程度は生葉を保存しておくことが出来ます。

3)生葉を蒸す
●水分量:約80%、行程時間:普通煎茶約20〜40秒 深蒸し煎茶約60〜90秒

 生葉コンテナに貯蔵されていたお茶の葉は、蒸し機で蒸すことで酸化酵素の働きを止めます。原理としては家庭にある蒸し器(セイロ蒸し)と同じで、高温の蒸気でお茶の葉を蒸します。ちなみに、このお茶の葉を蒸す時間が長いと深蒸し茶になります。通常のお茶は20〜40秒蒸しますが、深蒸し茶は60〜90秒蒸します。長時間蒸すことで、お茶の甘みを引き出すことが出来るのです。しかし、蒸す時間が長いため、お茶の葉の芯まで蒸されて、形が崩れやすく粉が多いお茶になってしまいます。

4)粗柔機
●水分量約:50% 、行程時間:約40分

 蒸し機から出た生葉は粗柔機に入れられます。粗柔機は生葉に熱風を当てながら攪拌します。蒸気で蒸されたばかりなので、水分が多い生葉の水分を少しずつ飛ばしてゆきます。

5)柔捻機
●水分量約50%、行程時間:約20分

 粗柔機である程度水分を蒸し機から出た生葉は、柔捻機と呼ばれるお茶の葉を揉む機械に入れられます。感じとしては粘土を手で捏ねるような感じで、お茶の葉によりを入れるようにして揉まれています。

6)中柔機
●水分量約:25%、行程時間:約40分

 柔捻機で揉まれた葉を中柔機に入れて、熱風を当てながらお茶の形を作ってゆます。ドラムが回転してお茶の葉を細長くしています。

7)精柔機
●水分量約;12%、行程時間:約40分

 中捻機である程度細長くなった生葉を水分といっしょに精柔機に入れます。これは、両手の手の平で粘土を細くするような感じで、お茶の葉を細くよってゆきます。下からはバーナーで熱していて、水分も飛ばしてゆきます。ここの精柔機の加減がお茶の形を作る上で重要になってきます。

8)乾燥機
●水分量:約5%、行程時間:約20分

 最終的な乾燥をするのが乾燥機で、コンペアーに乗せられたお茶に熱風を当ててお茶を乾燥させます。最終的に約5%程度まで乾燥させます。ここで充分乾燥をさせておかないと、お茶を保存しておく間に痛んでしまいます。充分に乾燥させたお茶は段ボールに詰められて真空包装され、冷蔵庫に入れて保存されます。


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【2】お茶とその歴史

 本節では、お茶の歴史を取り上げます。日本茶はいつ頃日本に伝来し日本茶として変化したのか、また、欧米にはいつ頃お茶が伝来し紅茶に変化したのか、歴史をたどって以下でなるべく詳しく解説します。
お茶の発祥〜紀元前にまで遡るお茶の起源〜

 中国の歴史の中でお茶が登場するのは、神農(しんのう、農業&漢方の祖)の逸話からとなっています。神農は野草とお茶の葉を食べていたと伝えられており、この伝説から、お茶の発見は紀元前2700年頃、神農時代と考えられています。事実、漢の時代(紀元前1世紀)の医学書『神農本草経』には《茶味苦、飲之使人益思、少臥、軽身、明目》の記述があり、既にこの頃からお茶はよく知られていたようです。また、四川の王褒(おうほう)が記した主人と奴隷との間で交される契約文『僮約(どうやく)』の中に《武陽で茶を買う》とありますが、これによると、当時既に飲茶の習慣があり、売買が行なわれていたこと分かります。この『僮約』が現段階では茶具に関する最初の文献とされており、この頃からお茶は主に上流階級に嗜好品として愛飲されるようになります。なお、唐の時代(760年頃)、陸羽(りくう)の記した『茶経』は《茶者、南方之嘉木也(茶は南方の嘉木なり)》で始まっていることから、初期のお茶は南方で始まったと考えるのが定説となっています。
中国でのお茶の歴史〜中国で始まり、発展したお茶の歴史〜


漢の時代におけるお茶
 漢の時代(紀元前1世紀)、お茶は単独ではなく、ミカンの皮やネギ、ショウガなどと混ぜてお吸い物(あつもの)として飲まれていたようです。三国時代になると、議論の潤滑油としてお茶を酒に見立てて飲む習慣(以茶代酒)が始まります。その後、客人をもてなすなど、次第に社交の場の飲みものとして用いられるようになりました。

唐の時代におけるお茶
 唐の時代(618〜907年)になると、お茶を飲む習慣は全国に広がります。この頃のお茶は、茶葉を粉々にして固形にし、乾燥させた緊圧茶(固形茶)が主流でした。茶葉は既に全国で栽培されるようになっていましたが、消費地への運搬には固形茶が便利だったのだと思われます。この頃は固形の緊圧茶を「餅茶(びんちゃ)」と呼んでいました。なお、世界で最も古いお茶の本と言われている『茶経』は唐の時代に陸羽によって記されたもので、3巻10章から成り、お茶の起源、歴史から製造具、茶道具、淹れ方、飲み方、産地、心得にまで記述が及んでいます。固形茶を焼いて削り出すという方法から、茶葉本来の風味を引き出す固形茶を挽いて粉末を煮出す方法が考案されました。

宋の時代におけるお茶
 宋の時代になると、お茶は貴族から役人や文人など富裕な市民のものへと変遷してゆき、お茶を飲みながら詩を吟じ、書を嗜み、絵を描き、哲学を論じたとされています。時に遊びとして「闘茶」と称してお茶の良し悪しを鑑定し、茶器の良否を競うこともありました。飲み方も、緊圧茶の茶葉をすった粉末を茶碗に入れてお湯とかき混ぜるという日本の抹茶のような飲み方が行なわれていました。この頃には日本の茶道と同じような竹製の茶筅が使われています。また餅茶の呼び方が変わって団茶と呼ばれるようになりました。

明の時代におけるお茶
 明の時代になると、お茶は大変動の時代を迎え、貴族と富裕市民に限られていた喫茶の習慣が一般市民へと普及していきました。この時代、団茶はお茶本来の美味しさを損なっており、また、製造に手間がかかるということで、初代皇帝・洪武帝(朱元璋=しゅげんしょう)は団茶禁止令を出しています。この後、散茶が本格的に生産されるようになり、茶葉の主流が急変しました。残った団茶を飲む方法として、ジャスミン花の香りなどを着香させた花茶が登場するのもこの時代です。この時期、浙江省の西湖龍井茶(ろんじんちゃ)や安徽(あんき)省の黄山毛峰(こうざんもうほう)などの緑茶が知られるようになりました。また、明代の末期には福建省の武夷茶が上流階級に珍重され、この稀少価値の高い優良茶を商人が大金をもって求めました。

清の時代におけるお茶
 清の時代になると、中国茶葉や茶具はほぼ完成し、茶文化は最盛期を迎えます。福建省では青茶(烏龍茶)が開発され、花茶と共に愛飲されるようになります。また、青茶ならではの素晴らしい香りを追求する過程で工夫茶(くんふうちゃ)の手法が開発されました。工夫茶とは、時間と手間をかけてゆっくりと丁寧に淹れるお茶を意味します。お茶の魅力を引き出す茶器を使って淹れ、まず聞香杯(もんこうはい)で香りを楽しみ、次に茶杯で味を楽しみます。中国茶が香りを大切にし、花茶が大いに普及しているのは、この頃からの習慣と言えるでしょう。

近代中国におけるお茶
 清が崩壊すると、中国は列国の侵略を受けますが、茶壷製作や茶葉の栽培はより発展しました。ただし、中華人民共和国の建国(1951年)後、中国茶は順調に発展を続けていましたが、毛沢東の文化大革命(1966〜1976年)により、お茶は贅沢の象徴として弾圧され、栽培は制限されました。代わって台湾や香港で茶芸とお茶の栽培がより発展し、現在では台湾茶は世界的に有名になりました。

日本でのお茶の歴史

 お茶の種子の伝来以来、独自の歴史を築いてきた日本のお茶文化も、貴族階級から武士階級へと広がり、江戸時代になると庶民にまでお茶を飲む習慣が普及しました。
日本独自の伝統を育むお茶


お茶の伝来、日本での始まり
 遣唐使が往来していた奈良・平安時代に、最澄や空海、永忠などの留学僧が唐よりお茶の種子を持ち帰ったのが我が国のお茶の始まりとされています。平安初期(815年)の『日本後記』には《嵯峨天皇に大僧都(だいそうず)永忠が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った》と記述されており、これが我が国における日本茶の喫茶に関する最初の記述とされています。ただし、この頃のお茶は非常に貴重で、僧侶や貴族階級などの限られた人々だけが口にすることができる貴重品でした。
 鎌倉初期(1191年)に栄西禅師が宋から帰国する際、日本にお茶を持ち帰り、お茶の効用からお茶の製法などについて著わした『喫茶養生記(きっさようじょうき)』(1214年)を書き上げます。これは我が国最初の本格的なお茶関連の書とされています。栄西は、深酒の癖のある将軍源実朝に本書を献上したと『吾妻鏡』に記してあります。

お茶の栽培
 元々日本の山間部の奥地に自生していた「山茶(さんちゃ)」を飲んでいたという説もあるようですが、お茶の栽培は栄西が中国より持ち帰った種子を佐賀県脊振山(せぶりさん)に植えたのが始まりだとされています。 その後、京都の明恵上人が栄西より種子を譲り受け、京都・栂尾(とがのお)に蒔き、宇治茶の基礎を作ると共に全国に広めてゆきました。当時のお茶は、蒸した茶葉を揉まずに乾燥させたもの(碾茶=てんちゃ)で、社交の道具として武士階級にも普及しました。なお、南北朝時代の虎関師錬著『異制庭訓往来(いせいていきんおうらい)』には当時の名茶産地が記されています。京都各地及び大和、伊賀、伊勢、駿河、武蔵では、寺院、寺領の茶園を中心に茶栽培が行なわれるようになりました。さらに、お茶栽培の北限と言われる茨城の奥久慈のお茶も14世紀に始まったとされています。

茶道の完成
 栄西の『喫茶養生記』は我が国の喫茶文化普及に多大な影響を及ぼしました。そして、鎌倉時代の末期には南宋の闘茶が武士階級に浸透して茶寄合いなどが盛んになり、茶歌舞伎などの抹茶法(茶の湯)が急速に広まりました。そして、15世紀後半から16世紀後半には、村田珠光(むらたしゅこう)や武野紹鴎(たけのじょうおう)、千利休らによって新しいお茶の礼式が創られ、侘茶として大成、武士階級に流行し、現在の茶道として完成されてゆきます。

お茶の製法と流通の改革
 各地に様々なお茶の製法がありますが、蒸製のてん茶をつくっていた京都では宇治田原郷の永谷宗円が1738年に宇治の煎茶の優品を作り、伸煎茶の祖と言われています。また、山本嘉兵衛が1835年に玉露の製法を発明し、宇治製法の優れた技術が日本各地に広まりました。また、近世になると流通機構がより発達し、茶町と呼ばれる流通の拠点で、茶株仲間(江戸の消費地問屋)や茶仲間(地方都市の産地問屋、荷主)と呼ばれる人々が許可制でお茶の取引を行うようになりました。

お茶の輸出
 オランダの東インド会社が1610年に長崎の平戸からヨーロッパへ向けて日本茶(嬉野などの釜炒り茶)を輸出したのが我が国で最初のお茶の輸出です。 江戸幕府は1858年にアメリカと日米修好通商条約を結び、次いでオランダ及びロシア、イギリス、フランスとも同様の条約を結びます。1859年に長崎と横浜、函館の開港を機に生糸と並ぶ重要な輸出品として、お茶181トンが輸出されました。また、同年には長崎の大浦慶という女性貿易商によってお茶6トンがイギリスに輸出されています。さらに、1868年の明治維新後も、お茶の輸出量は政府の援助によりアメリカを中心に増加し、それに伴い、人気のあった宇治製法を活かした蒸し茶製法が全国に広まってゆきました。

近代のお茶産業の成立
 江戸末期までは、お茶は山間部などで生産されていましたが、明治初期の士族授産事業などを契機に牧之原台地などの平坦な土地に集団茶園が形成されるようになります。しかし、茶園開拓をした士族たちは次第に離散してゆき、代わりに農民が茶園を継承し始めます。これは、お茶の輸出価格の下落や茶園造成に莫大な費用がかかったことが原因だったとされています。なお、集団茶園の形成は、単に茶園の形成だけにとどまらず、流通の発展や茶商、仲買人、茶問屋などの育成、各種機械の発明など茶業を中心とした関連産業の成立に影響を与えます。高林謙三による茶葉揉葉機の発明をはじめ、機械化が急速に進んでゆくのもこの時期で、省力化と共に品質の安定化に寄与します。さらに近年では、センサーとコンピューター制御により未熟錬者でもお茶が作れる時代になっています。現在では手揉みは文化保存及び観光用が主となっているのが実情です。

参考:日本におけるお茶の飲料化

 1950年代後半〜60年代にかけて、コーラなどの炭酸飲料や缶コーヒーをはじめとする缶飲料の発売、その後70年代はファーストフード及びコンビニエンスストア、自動販売機の誕生及び普及によって、食の多様化及び洋風化と共に、飲料の多様化及び洋風化も急激に進んでゆきました。このような中で、急須で淹れるという手間のかかる緑茶は若い世代を中心に日本人の生活から次第に遠ざかってゆき、1975年頃から緑茶市場そのものが急激に勢いを失ってゆきました。この頃からお茶メーカー各社は緑茶の飲料化を目指して様々な研究開発を始めます。
 その一方で、油っこい食事に最適で、しかも何杯でも飲めるお茶として中国茶の烏龍茶が注目され始めますが、1980年頃にその烏龍茶を日本人向けにアレンジした製品が開発され、烏龍茶の一大ブームが起こり、缶入り烏龍茶の販売が始まったのです。ここに日本におけるお茶(無糖茶)の飲料化の歴史が幕を開けました。その後お茶メーカーは、約10年後に緑茶の飲料化も成功し、缶入り煎茶が発売されました。これによって、それまで家庭で急須で淹れて飲むというインドア飲料だった緑茶が、いつでも・どこでも・飲みたい時に飲めるという簡便性や携帯性を備えたアウトドア飲料として世に送り出され、こうして、その後の日本の食文化に缶入りのお茶が大きな影響を与えたのです。


缶からペットボトルへ
お茶のペットボトル 1990年に大容量の、1996年に500mlサイズの小容量のペットボトル入り緑茶飲料が登場すると、緑茶飲料の主要容器は缶からペットボトルに移行してゆきます。これは、キャップが出来るというペットボトルの利便性により飲用シーンが広がったためです。こうしてペットボトル入り緑茶飲料が普及することで、特に夏季の緑茶飲料の消費量が拡大し、冬季の緑茶飲料の消費量拡大に目が向けられることになりました。当時、温かい緑茶飲料の主流は缶でしたが、熱くなりすぎて飲みづらいという声が聞かれていました。そこで、通常のペットボトルとは異なる温めることができるペットボトルが開発され、2000年、そのまま温めることができるペットボトル入り緑茶飲料が発売されます。
 1980年代に誕生した緑茶飲料は今では日本人の生活に定着し、現在国民1人当たりにすると年間で約17L飲まれるまでに浸透しました。お茶は、その時代の文化や生活に合ったスタイルを取り入れながら、日本の文化のひとつとして今も受け継がれているのです。

欧米におけるお茶の歴史〜貿易がもたらした欧米諸国でのお茶の歴史〜

 16世紀半ば過ぎ、ポルトガル人は植民地マカオと日本との往来の中で日本の茶の湯文化に接しました。そして彼らは、日本人がお茶のための建物や器に莫大な金を払うこと、また、お茶のための作法など幅広い文化を持っていることに驚嘆しました。このことが欧米各国にお茶が伝播するキッカケとなったのです。

 西欧に初めてお茶を伝えたのはオランダの東インド会社ですが(1610年)、それは紅茶ではなく緑茶(平戸で買った日本茶、マカオでポルトガル人から買った中国茶)でした。当時オランダは中国やインドネシアとの東洋貿易に関して独占的な立場にあり、同じく東インド会社を経営していたイギリスは、已むを得ずインド貿易に重点を置いていました(インドで新種の茶樹・アッサム種が発見されたのは19世紀のことで、当時のインドにお茶はなかったのです)。イギリスは1669年にオランダ本国からのお茶の輸入を禁止する法律を制定し、宣戦布告します。そして、英蘭戦争(1672〜1674年)に勝利を収めたイギリスは中国貿易で優位に立ちますが、実際に中国から直接輸入したお茶がイギリスに流通したのは15年後の1689年のことです。この年を境にイギリス東インド会社が基地を置く福建省厦門(あもい)のお茶が集められ、それがイギリス国内に流通するようになり、1720年、イギリスはついにお茶の輸入独占権を得ました。そして、厦門に集められるお茶は全て紅茶に似た半発酵茶である武夷茶でした。武夷茶は茶葉の色が黒かったことからblack teaと呼ばれ、やがて西欧におけるお茶の主流になってゆきます。さらに好みに応じて発酵度を上げた製品作りや、製法を綿密にした工夫紅茶が開発され、それが現在の紅茶の元になります。さらに1823年、イギリスの冒険家ブルースがインドのアッサム地方で自生の茶樹(アッサム種)を発見し、後にそれが中国種とは別種の茶樹であることが確認されます。また、緑茶と紅茶の違いは製法の違いであり、原料は同じ茶樹であることが1845年に英国人のフォーチュンによって発見されました。これらの発見により中国種と新しいアッサム種との交配が進み、インド各地やスリランカ、バングラデシュでお茶の栽培が盛んになるのです。なお、イギリス人が紅茶を好んだのは、脂肪やタンパク質の消化を促進する発酵茶の作用を体験的に知っていたためと言われています。イギリスは大規模農法と合理的な加工法を採用し、低コストで紅茶を量産しました。このため、世界市場を100年もの間独占していた中国紅茶はその地位を落としてゆきます。しかし、東洋的な香味の中国紅茶は、シノワズリー(CHINOISERIE : 中国趣味)として上流階級を中心にヨーロッパで珍重され、好む人も少なくありませんでした。
 1870年代には、オランダもインドネシアにおいて本格的なプランテーションを開発し、自国の消費と貿易の商材としたため、インドネシアがインド・スリランカ・ケニアと共に世界有数の紅茶生産国となりました。そして、紅茶の生産は第二次世界大戦後アフリカ諸国(ケニア・マラウイ・南ア共和国など)に広がってゆくのです。なお、ロシアには、16世紀後半頃からモンゴル経由で喫茶の習慣が伝わったとされ、1689年のネルチンスク条約で対中国交易開始以降、団茶が貴族階級で飲まれるようになります。その後の1847年にロシアで茶栽培が開始され、1930年代にはグルジアで本格化、1985年には年産15トン(緑茶が4割)を誇りますが、チェルノブイリ原発事故以降すっかり廃れてしまいました。しかし、1993年には2万トンとなり、世界の紅茶相場に大きな影響を及ぼしています。


参考:ボストンティーパーティー事件
 アメリカ大陸は元々オランダ植民地だったため、上流階級ではお茶を飲む習慣がありました。その後イギリスの植民地になってからもその習慣は続きました。それが、18世紀後半、イギリスが財政窮乏の末にアメリカ植民地に対する関税及び直接税を強化したため、植民地住民はイギリス製品をボイコットします。イギリスはその報復としてお茶への課税を始めましたが、その結果、植民地でのお茶の消費量は激減し、本国では在庫過多になってしまいました。そうすると、今度は在庫のお茶を無課税でアメリカ植民地に押し付けるために、お茶の在庫を積み込んだ4隻の船がボストン港へ向かいました。1773年12月16日、この出鱈目な税政策に怒った住民の一団が、船のお茶を全て海中投棄するというボストンティーパーティー事件が起こります。その後もイギリスの弾圧と植民地の反発がエスカレートし、これが1775年の独立戦争へと発展するのです。

参考:お茶の伝播と呼び名の違い

 現在、茶(チャ)を意味する世界各国の言葉は、中国広東語系の「チャ」と、福建語の「テー」の2つの系譜に分けるのが一般的ですが、この違いは、陸路を通じて伝播したか、海路を通じて伝播したかの違いであるとされます。


◆伝播ルートによって異なるお茶の呼び名
陸路伝播型
 広東語系のチャは陸路を経て、北方へは北京及び日本、そしてモンゴルへ、西方へはチベットやベンガル、インド、そして中近東からトルコへ伝播したとされます。また、ロシアへはモンゴルを経由して伝わったと言われています。ちなみにポルトガルでは、当時広東(マカオ))を統治していた影響から“cha(チャ)”と呼ばれています。
海路伝播型
 欧米へのお茶の商業的伝播は、17世紀後半に福建からインドネシアの港を経由してオランダへ渡るルートが最初で、そこから西欧及び北欧諸国に広がったため、ヨーロッパの多くの国では「テ」「ティー」「テー」といった福建語が由来となってお茶の呼称となったと言われています。


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【3】日本茶とその効用

 本節では、日本茶の効用について取り上げ解説します。加えて日本茶を利用したダイエット法についても取り上げます。
お茶の効用
癌の予防に緑茶が効く

 このところ癌の抑制に緑茶が一番有効であるといった研究発表が立て続けに出されています。緑茶に含まれているポリフェノールとカテキンが細胞の癌化を予防し、或は緑茶に多く含まれるビタミン類が発癌物質の作用を抑制するというものてす。たとえば緑茶のポリフェノール・カテキン類が発癌物質の働きを場合によっては7〜8割抑えることが確認されましたし、また、発癌物質と日本の緑茶をいっしょに飲ませたマウスは、発癌物質だけのグループに比べ、癌の発生率が50%以下になると言われています。ちなみに、緑茶はウーロン茶や紅茶と違ってお茶の葉を醗酵させずに作られるため、健康によい生葉の成分をそのまま残すことができます。たとえばウーロン茶などは酵素を使って中程度に醗酵させたものですし、紅茶は葉が赤い色になるまで醗酵させたものです。そのため、お茶の葉に含まれているビタミンCなどの健康によい成分が減少してしまい、余り含まれていないのです。


癌&脳卒中や心筋梗塞などの病気になる原因
  • 細胞や遺伝子を損傷するストレス環境

     現代に生きる私たちは、常に外部からの刺激(例:自動車の排気ガスや汚染された大気、オゾン層の破壊による有害な紫外線、喫煙や飲酒などによる体へのダメージ、不規則な食生活による栄養価の偏り、パソコンやテレビ、携帯電話、電子レンジなどから放射される電磁波など)に晒されています。こうした外部からの刺激によって、我々の細胞はもちろん遺伝子までも損傷してしまうのです。というのも、これらの外部からの刺激によって我々の身体に極めて有害な活性酸素が大量に体内で発生してしまうからです。

  • 病気の80%以上は活性酸素が原因

     活性酸素が体内で発生すると、細胞膜など体内の脂肪酸と結合して細胞を酸化させ、有害物質の過酸化脂質を作ります。この物質が老化をはじめ動脈硬化などの元凶となり、脳卒中や心筋梗塞の危険を高めてしまいます。さらに細胞膜が破壊されると、細胞の核にあるDNAに活性酸素が襲いかかります。活性酸素によってDNAが損傷すると、DNAは誤った遺伝子つまり突然変異の遺伝子を作り出してしまいます。これが細胞の癌化を促してしまうのです。これを防ぐには、活性酸素の発生を防ぐ抗酸化力を持つ栄養素を体内に摂取する必要があります。ここでビタミンEの10倍の抗酸化効果を持つ緑茶の効用が発揮されるのです。

食中毒の予防にはお茶が一番

 寿司と緑茶。この絶妙の取り合わせが実は食中毒予防にもなるのです。食中毒の王様と言われ、例年食中毒の40%を占める腸炎ビブリオ菌はお茶に出会うと死んでしまうのです。腸炎ビブリオ菌だけでなく、毒素型ぶどう球菌やコレラ菌までも殺菌する力があることも分かっています。食中毒予防に食事時のお茶は値千金なのです。


O-157と緑茶カテキンの殺菌作用
 近年、日本中で猛威を振るっている大腸菌O-157に緑茶のカテキンが一番特効であるという画期的な発表が為されました。緑茶のカテキンには抗生物質と同じように体内で有害な菌を退治する殺菌作用があります。ある実験では、1万個のO-157の菌が入った液に0.9ccの緑茶を入れたものが5時間で殺菌されてゼロになったという結果も出ているのです。

歯を強くして虫歯予防

 歯磨き粉で「フッ素入り」というのをよく見かけますが、お茶にもこのフッ素が含まれています。フッ素は歯を強くし、虫歯にならないための抵抗力を付ける働きがあります。また、お茶に含まれるタンニンの殺菌作用で虫歯になりにくいのです。お茶を毎日コップ1杯飲むだけで日本の学童の虫歯は半減するだろうと言われています。
口臭を防ぐ

 口臭は歯や歯茎に付いた食べ物の滓が原因で発生します。食後にお茶を飲めば口の中の滓を洗い流してくれると同時に、お茶の殺菌作用で滓に付く細菌の繁殖を阻止してくれます。また、お茶の清々しい香りが口の中に広がり、口臭や食べ物の臭いを消して爽やかにしてくれるのです。
元気な赤ちゃんを産むために

 出産を待つお母さんにとって、赤ちゃんの健康は最大の関心事です。近年欧米で注目されている無機質、特に亜鉛・銅が低体重児出産とどのように関係しているかを調べた調査によると、緑茶を飲む人と全く飲まない人の間に大きな開きのあることが分かりました。亜鉛は妊婦に必要な微量元素と言われていますが、緑茶を飲まない人は亜鉛不足となることが推定されました。丈夫な赤ちゃんを産むために、お母さんも積極的に緑茶を飲みましょう。
動脈硬化や脳卒中予防&血圧降下にも

 お茶の中には、血圧上昇物質の生成阻害作用があるということが各研究機関で相次いで発表されていますが、また、お茶を飲むことによって善玉コレストロール(HDL)が体内に増え、動脈硬化を予防するということも最近発表されました。
お茶が血糖値を下げる

 最近お茶をたくさん飲めば糖尿病が抑えられるということが分かりました。また、茶ポリフェノ-ルが血糖値をかなりの値に下げるということも分かってきました。その他の実験からも、蛋白尿もプラスからマイナスとなるなど興味深い結果も報告されています。
美容と健康に緑茶

 緑茶に含まれるビタミンCは熱に強く、80度でも壊れない上に保存にも優れた特性があります。弾力性のある瑞々しい素肌作りにビタミンCは欠かせません。また、ビタミンCは肌に弾力性を与え水分の減少を防ぎ、肌の色を黒くするメラニン色素の生成を抑制する効果もあります。緑茶にはそのビタミンCが緑茶3杯でリンゴ1個に匹敵するほどたくさん含まれているのです。
ダイエットの強い味方

 世を挙げてのダイエットブームですが、しかし、何が何でも痩せればよいというのは本当のダイエットではありません。痩身茶によるトラブルなども報告されていますが、そんなものを飲まなくても緑茶で充分。砂糖を入れずに美味しく飲める緑茶は、ノンカロリーだから何杯飲んでも太る心配もありません。また、油っぽいものを食べた後に飲めば、タンニンが脂肪を分解する酵素の働きを高めてくれます。食事前の一杯が空腹感を和らげ、ダイエット中の方が陥りがちなビタミンやミネラル不足も補えるので、普段にも増して緑茶を積極的に活用しましょう。
頭のよい子に育てる

 お茶のカフェインは、大脳などの中枢神経に興奮作用をもたらして知的作業能力や運動能力を高めます。また、強心作用及び利尿作用によって精神を安定させる働きがあり、判断力や記憶力の増強に役立つことが証明されています。また、ビタミンCの摂取量と知能指数の高さにも深い関係があると言われることから、是非とも育ち盛りのお子さんには緑茶を飲ませたいものです。
老化防止にお茶が一役、ビタミンEを上回る効果

 我々の体内に出来るフリーラジカルや過酸化脂質の生成を抑え、老化を防ぐとして、今話題のビタミンEの効果を上回る(実験では約20倍)効果が緑茶にあることが発表されました。また、緑茶には強い突然変異抑制作用及び抗酸化作用のあることが証明しています。
胃腸の働きを助ける

 緑茶は様々な効用がある漢方薬として古来我が国に伝来してきたのですが、その中で特に胃腸薬としても用いられていました。お茶に含まれているタンニンが胃の働きを活発にし、腸の蠕動運動を盛んにするので、お茶は便秘気味の方には強い味方になるのです。
アトピー&花粉症に緑茶が効く

 アレルギーや皮膚病を治すには、まずその原因を取り除くことから始めなければなりません。アレルギー反応には色々な種類があります。主なものにはI型とIV型があり、アレルギーを抑える薬に抗ヒスタミン剤という薬がありますが、緑茶はこのヒスタミンが出ることを阻止する効果でアレルギーを抑えるのです。
お茶の成分

 お茶には多くの成分が含まれており、様々な健康効果をもたらします。お茶の健康効果は単一の成分によるものだけではなく、相乗的な作用で効能が高められています。


■お茶の味を決める3つの成分
 煎茶の味は適度な渋味、苦味と旨味、甘味があって調和が取れ、後味に清涼感のあるものが美味しいとされています。これらの味を決める成分としてはカテキン類とアミノ酸類、カフェインが代表的なもので、特にカテキンとアミノ酸とのバランスにより味が大きく左右されます。
カテキン類
 ポリフェノールの仲間であり、エピカテキンやエピガロカテキンは渋味は弱いものの苦味があり、そのガレートタイプのものは苦渋味が強いものの不快感がなく、口中を爽やかにすると言われています。玉露や抹茶はカテキンが少ないため苦渋味が弱く、ほうじ茶は高温処理でカテキンが酸化変性を受けて減少し、苦渋味が弱くなります。
アミノ酸類
 旨味や甘味を決める成分でもあり、緑茶には約20種類含まれています。中でもテアニンは煎茶に含まれるアミノ酸の約60%を占め、味の決定に重要視されています。また、その他のアミノ酸類も甘味や旨味に関与するものが多く、それらの量的バランスにより複合された味が作り出されています。
カフェイン
 独特の苦味を持ち、熱水によく溶ける性質を持つため、高温の湯で入れたお茶は苦味が強くなります。

緑茶の健康パワーはカテキンにあった!


■カテキンの薬効
 日本人にとってお茶を飲む習慣は欠かせないものですが、その普段何気なく飲んでいる緑茶には実に様々な栄養が含まれています。その代表がカテキンです。一般的にはタンニンとも総称され、あの緑茶独特の渋みのもとになっているものです。カテキンはお茶にしか含まれていない成分であるのと同時に、お茶に含まれている成分の中では一番含有率が高く、緑茶の8〜15%程度を占めています。このカテキンこそが緑茶の薬効の大黒柱なのです。
動脈硬化や心臓病を防ぐ
 血中脂質(コレステロール、中性脂肪などの血液中の脂質)が異常に増え過ぎた状態を高脂血症と言い、その結果、血管の内側にコレステロールが溜まったり、或は血栓になって血液の流れが悪くなったりして動脈硬化や心臓病が起こるのです。カテキンにはこれらの血中脂質を正常化し、血栓が出来るのを防ぐ効果があるとされています。
抗癌剤としての働き
 癌発生のメカニズムには2つの段階があるとされています。ひとつはイニシエーションと言い、正常な細胞の遺伝子が発癌物質などによって傷つき、突然変異を起こして癌になりやすい状態になることです。そして、もうひとつはプロモーションと言い、イニシエーション状態が修復されないまま癌細胞に成長することです。お茶のカテキンにはこのイニシエーションとプロモーションの両方の作用を阻止する力があるとされているのです。実際マウスを使った動物実験でも緑茶を食べたマウスの方が癌発生率が低いという結果が得られているそうです。
高血圧や糖尿病を防ぐ
 生活習慣病のひとつである高血圧。お茶には動脈硬化の引き金とも言われる高血圧や糖尿病を防ぐ効果もあるのです。高血圧は食塩の過剰摂取などが理由に挙げられますが、お茶には血圧降下作用があることが知られており、減塩プラス緑茶で血圧を下げられるというわけです。また、糖尿病は様々な理由からインシュリンの分泌が低下し、そのため血糖値が異常に高くなり、尿中へ排出してしまう病気ですが、このカテキンには血糖値の上昇を抑える作用があるとされています。
殺菌作用がある
 食後に緑茶を飲むのはとてもよい習慣です。なせなら緑茶には殺菌作用があるからです。虫歯は歯の表面に付着した食べ物の残り滓が口内の細菌によって分解されて酸になり、その酸が歯の表面を覆うエナメル質を侵食することによって起こりますが、カテキンの殺菌作用によって口内の細菌を殺し、フッ素がエナメル質と結び付いて酸の侵食を防ぐという殺菌予防効果と酸化防止効果があるのです。また、虫歯菌に対する殺菌だけでなく、インフルエンザや肝炎などのウイルス性の感染症を防ぐ抗ウイルス性効果もあります。さらにカテキンには口臭防止効果もあるので、お茶でうがいをするのはちょっとお行儀が悪そうですが、効果のあることだと言えます。
ダイエット&美肌効果がある
 いつまでも若々しい肌でいたいのに、年齢と共にシミやシワが目立つようになってきます。老化は誰にでも訪れるもので、避けることのできない現象ではありますが、その訪れ方には個人差があります。老化は細胞の酸化であり、その酸化を進める犯人は活性酸素と呼ばれるもので、歳を取るとこの活性酸素を押さえ込む力が弱くなるのです。しかしながら、緑茶に含まれるカテキンやビタミンA、C、Eには抗酸化作用があり、特にエピガロカテキンガレートという種類のカテキンには、老化防止ビタミンと言われるビタミンEの20倍、ビタミンCの10倍の抗酸化力があるのです。また、ウーロン茶がダイエットに効き目があると言われていますが、その仕組みと同様、緑茶には肥満や糖尿病のもととなる糖分や脂質の代謝を促し、カロリー消化を助け、余計なコレステロールを分解するなど無理なく総合的に肥満を抑制する効果があるのです。
二日酔いを解消する
 お茶は酔いざめの薬とも言われますが、その効能はお茶に含まれるカテキンとカフェインです。カフェインには、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解すると共に、利尿効果によって体内の新陳代謝を早め、アルコールを体外に出す働きがあるのです。また、血中にビタミンCが充分にあると肝臓のアセトアルデヒド分解能力が高まるため、お酒を飲む前に緑茶を飲んでおくと二日酔い防止にもなるのです。

参考:緑茶ダイエット


緑茶ダイエットの目的
 緑茶ダイエット法には、身体の代謝を活性化させるという目的があります。1日のカロリー摂取量のうち、1日のエネルギー消費量を超えたエネルギーは脂肪に変換され、エネルギーが必要な時のために体内に貯蔵されます。身体の代謝を活性化させると1日のエネルギー消費量が増えるため、脂肪に変換されるエネルギーが減り、太りにくい身体になるのです。

緑茶ダイエットで痩せる仕組み
 緑茶ダイエット法で痩せる仕組みには次のような理由があります。まず第一に緑茶にはカテキンが含まれるということです。すなわち、緑茶にはカテキンが含まれるため、肝臓や筋肉での脂質代謝(分解・燃焼)を活性化させる効果があると言われているのです。次に緑茶に含まれるカフェインが体内活動を活性化させ、脂肪を分解する効果です。すなわち、カフェインが脂肪を分解した後(カフェイン摂取から約40分後)に有酸素運動を行なうと、分解された脂肪を燃焼し、再び脂肪に変換され貯蔵するのを防ぐ効果があると言われているのです。

緑茶ダイエットの注意点
 カテキンは肝臓での脂質代謝を活性化させるため、個人の体調や体質によっては過剰に摂取しすぎると肝臓への負担が大きくなりすぎる場合があると言われています。


■緑茶ダイエットの方法
置き換え緑茶ダイエット法
  • 普段の生活でジュースやお茶、水を飲む代わりに緑茶を飲みむ
  • 緑茶のカテキンを摂ることで脂質代謝が活性化される
運動前緑茶ダイエット法
  • 有酸素運動の40〜50分前に緑茶を飲んで体内活動を活性化させ、脂肪を分解させておく
  • 有酸素運動を行なう
  • 事前に緑茶を飲んで脂肪を分解させている分、有酸素運動で効率よく脂肪を燃焼することが出来る
  • 有酸素運動で効率よく脂肪を燃焼することが出来る
その他緑茶ダイエット法
  • 小腹がすいた時やおやつ時にジュースなどの清涼飲料水の代わりに緑茶を飲む
  • 緑茶にはカロリーが殆どないので、いつもより少ないカロリーで満腹感を得ることが出来る
  • 間食のカロリー摂取量を抑えることが出来、カテキンを取ることで脂質代謝も活性化される


■参考:ダイエットにも効果が期待出来る健康茶
 お茶はノンカロリー飲料でダイエットに効果があると言われています。しかしながら、その中でも最近ではダイエットに効果があるとされている成分が入った健康茶が特に人気があります。
ヘルシア緑茶
 緑茶ドリンクでダイエット効果を謳っているのが花王のヘルシア緑茶です。人工的に茶カテキンを抽出して、それを大量に緑茶に入れることで、よりダイエット効果を上げています。茶カテキンがダイエット効果があるということは、普通のお茶を飲んでもダイエット効果が期待できるということです。ちなみに、ヘルシア緑茶の茶カテキンの量は350mlあたり540mgになっており、この量は普通の急須で淹れたお茶の約2倍になっています。従って、ヘルシア緑茶と同じ効果を出すには倍の量を飲めばよいことになります。お茶好きの方なら1日に700ml(湯飲みに約4杯)のお茶は飲んでいると思います。
杜仲茶
 緑茶以外にもダイエット効果があるとされているお茶があります。それが杜仲茶です。杜仲茶には、ダイエットに効果があるとされているグッタペルカ及びゲニポシド酸が含まれています。そのため、緑茶より効果的にダイエット効果を期待することが出来ます。杜仲茶は杜仲という木の葉を使ったお茶で、この葉にグッタペルカ及びゲニポシド酸などの成分が含まれています。緑茶と違って少し苦みや渋味がありますが、それがダイエット効果を高めているのようです。
百草茶
 地方などに旅行した時などに見ることがあると思いますが、百草水などと銘打った健康茶があります。これらのお茶にはダイエットに効果があるとされるガルシニアやギムネマなどの自然成分が入っているものが多く、また、その他にも100種類の自然素材が入っていて、身体に優しいお茶に仕上がっています。このように、百草水にはダイエット効果があるとされている自然素材が入っているので、普通の緑茶を飲むよりもダイエット効果が期待できます。百草水は麦茶感覚で飲むことが出来るので、美味しいお茶でダイエット効果も期待できてお勧めのお茶です。作り方も簡単で、ティーパックを定められた量のお水なりお湯にに1個入れるだけです。夏場は冷たくして、冬はホットでおいしく飲むことが出来ます。


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【4】日本茶の美味しい淹れ方と出し方

 本節では、日本茶の美味しい淹れ方について取り上げ解説します。また、併せて会社などでも来客時におけるお茶の出したかについても取り上げます。
お茶の淹れ方の基本


お茶の温度と渋みの関係
 お茶は苦いと思われがちですが、それに加えて甘みや旨味との絶妙なハーモニーこそがお茶本来の持ち味です。そして、お湯の温度によってそれぞれ引き出される味わいが違ってきます。お茶の渋みのもとになるのはタンニンですが、この成分はお湯の温度が100度に近いほどよく溶け出します。急須に注ぐお湯の温度が熱湯に近いほど渋みの勝る味わいになるのです。一方、旨味や甘みを引き出したい時は、いったん沸騰させてから温度を少し落ち着かせます。煎茶なら約80度、玉露なら約60度が適温です。なお、ここで大切なのは、水道水に含まれるカルキ分を飛ばすために、必ず一度沸騰させてから適温にするということです。苦味の効いた味、旨味のある味・・・お湯の温度によってあなたのお好みの味を引き出せるのがお茶の魅力のひとつです。

お茶の適温づくりは経験と勘で
 美味しいお茶を淹れるには、注ぐお湯の温度と蓋をして待つ時間がポイントですが、それぞれの茶葉の特徴を引き出す適温は必ずしも正確さを求めるものではありません。飲む人によって感じ方も違うのですから、自分が美味しいと感じた時の感触を頼りにお茶を楽しみましょう。

つい急須をゆすっていませんか?
 お湯を注いだ後に急須をゆすっていませんか? 実は急須をゆすることによって、旨味よりも余分な苦みが多く溶け出してしまうため、急須をゆすることは余りオススメできないのです。急須の中では、そのお茶にあった適温のお湯によってヨリがゆっくりとほどけ、旨味成分が少しずつ溶け出します。お茶特有の旨味は時間と共に自然に出てくるので、急須をゆする必要は全くありません。

何煎まで楽しめる?
 まず1回目のお湯を急須に入れ、茶碗に注いだお茶が一煎目。この一煎目で、急須の中でヨリが開き、旨味が溶け出します。 そのため、二煎目はお湯を注いだら時間を余り置かずに茶碗に移し、しっかりと絞り切ります。最後の一滴に美味しさが凝縮されているので、一煎目、二煎目に関わらず絞り切ることが大切です。三煎目くらいまでお茶を美味しく淹れることができます。こうして一煎目、二煎目、三煎目と段々お湯の温度を上げ、湯量を増やし、蒸らす時間を短くしてゆきますと、香りや甘味、渋み、深みなど微妙な味の変化が最後まで楽しめます。これを踏まえた上で、茶葉の量やお湯の温度、急須で蒸らす時間をお好みで変えてみましょう。色々な味を楽しむことができます。


参考:お茶のいれ方の“いれる”は“淹れる”と書きます
 日本茶インストラクター協会では、お茶をいれる、つまり「日本茶を抽出してその抽出液を作る」ことについては、漢字で書く時は「淹れる」という書き方を推奨しているそうです。ネット上ではお茶を“入れる”と表記されることが多いのですが、しかし、お茶を“いれる”といった場合、「入れる」「煎れる」などが考えられますが、「入れる」は本来物の出し入れに使う文字であり、「急須にお茶を入れる」などの時には使うことは可能であるものの、お茶の抽出行為には適さないこと、また、「煎れる」は煎じることで、沸騰状態の湯で煮出すことを意味し、煎茶のように急須で抽出することには適していません。

美味しいお茶の淹れ方


煎茶の美味しい淹れ方
 煎茶の魅力は、お湯の温度で味わいが変化することです。通常、煎茶に適した湯温は70度ですが、80度〜90度の高温のお湯で淹れると渋めに、50度〜60度の低温のお湯で淹れると甘めになります。

  1. お湯が沸騰したら、急須と湯飲みに注いで茶器を温める
    • ヤカンやポットのお湯は暫く置いて温度を下げます。

  2. 茶器が温まったら、そのお湯はいったん捨てる

  3. 急須に茶葉を入れる
    • 茶葉の量は茶匙(ティースプーン)1杯で一人分です。

  4. お好みの温度まで冷めたお湯を注ぐ
    • ポイント:湯飲みを温めたお湯を使うと、よい塩梅に湯温が落ち着いています。湯飲みに入れておく時間を調節して温度を決めます。 90度ぐらいの高温で淹れたい時はヤカンの中で少し冷ましたお湯を使います。

  5. 急須に蓋をして1分ほど蒸らす
    • 急須はゆすらずに、茶葉のヨリがほどけるのをゆったり待ちます。小ぶりの急須なら蓋にぬくもりが伝わった頃がちょうど淹れ頃です。

  6. 湯飲みに注ぐ
    • 大人数の場合は、少量ずつ順々に注いで、濃さが同じになるようにします。急須にお湯が残っていると茶葉が変化してしまうので、最後の一滴まで注ぎます。そうすると、二煎目もおいしく淹れられます(※二煎目は茶葉が既に開いているので蒸らし時間を短めにします)。


深蒸し茶の美味しい淹れ方
 深蒸し茶は煎茶と同じ淹れ方が基本ですが、湯温や蒸らし時間、茶葉の量に少し違いがあります。また、深蒸し茶は茶葉が細かいため、お茶を漉す部分の目が粗と茶葉が急須の外に出てしまいますので、深蒸し茶用の急須を使用するとよいでしょう。

  1. お湯を湯呑みに注ぎ、適温約70度まで冷ます

  2. その間に大匙約2杯(8〜10g)の茶葉を急須に入れる

  3. 湯飲みのお茶を急須に注ぎ、蓋をして、一煎目は茶葉が開くまで20〜30秒置く(※二煎目は時間を置かずに注ぐ)

  4. お茶の旨みが凝縮した最後の一滴まで注ぎます


ほうじ茶&番茶の美味しい淹れ方
 ほうじ茶も玄米茶も炒った原料を使っていますので、熱いお茶で入れると、より香ばしさが引き出されます。熱湯で淹れるのが適しています。

  1. お湯が沸騰したら、急須と湯飲みに注いで茶器を温める
    • その際、ヤカンやポットのお湯は冷めすぎないように注意します。

  2. 茶器が温まったら、そのお湯はいったん捨てる

  3. 急須に茶葉を入れる
    • ポイント:一人分は茶匙(ティースプーン)山盛り2杯、あと一人につき山盛り1杯ずつ増やします。二人分なら山盛り3杯、三人分なら山盛り4杯といった具合で、煎茶より多めが目安。

  4. 沸騰直後のお湯を一気に注ぐ

  5. 急須に蓋をして30秒から1分ほど蒸らす
    • 急須はゆすらずに、茶葉のヨリがほどけるのをゆったり待ちます。

  6. 湯飲みに注ぐ
    • 大人数の場合は少量ずつ順番に注いで、濃さが同じになるようにします。
    • 急須にお湯が残っていると茶葉が変化してしまうので、最後の一滴まで注ぎます。そうすると二煎目も美味しく淹れられます。なお、二煎目は茶葉が既に開いているので、蒸らし時間を短めにします。


芽茶・粉茶の美味しい淹れ方
 芽茶と粉茶は、茶葉が細かいため蒸らし時間が要らないのが特徴です。

  1. お湯が沸騰したら、湯呑み(※出来れば大きめの湯のみがオススメ)に注いで温める

  2. ヤカンやポットのお湯を適温(70度から80度くらい)まで冷ます
  3. 湯飲みのお湯を捨てる

  4. 茶漉しに茶葉を入れる
    • 一人分は茶匙(ティースプーン)1杯です。
    • ポイント:茶漉しは竹製のものがオススメ。粉茶は茶葉が細かいので、目が粗い茶漉しを使うと、湯飲みに茶葉がたくさん入ってしまうことがあります。

  5. 一気にお湯を注ぐ
    • ゆっくり注ぐと茶葉が蒸れてしまい、必要以上に渋くなってしまいます。


椿茶の美味しい淹れ方
 棒茶は茎の部分を使ったお茶です。煎茶の棒茶なら煎茶の、玉露の棒茶なら玉露の入れ方でお召し上がり下さい。棒茶の魅力は何と言っても、茎の部分ならではの青々とした清々しい味わいです。その分、何煎もすると味が薄くなってきますので、茶葉は小まめに変えるようにします。

参考:美味しいお茶を飲むためには水も大事

 美味しいお茶を飲むためには、当然ながら美味しい水が欠かせません。最近では、手軽にたくさんの種類のミネラルウォーターが手に入るようになりました。そこで、水道水ではなく、お茶を美味しく入れるためのミネラルウォーターを探すのもよいでしょう。それでも、節約その他の理由でわざわざミネラルウォーターを買う気にならないという人は、当然ながら水道水でお茶を淹れることになります。そこで、水道水でお茶を淹れる場合は、その水は必ず沸騰させましょう。そして沸騰したら、さらに3分〜5分そのまま沸騰させて充分カルキを抜いた水を使うとよいでしょう。高性能な浄水器を使っているか、或は一晩汲み置きした水ならさらに一層お茶に適した水になります。一方、天然水やミネラルウォーターを使用する場合は必ず軟水のものを使って下さい。輸入品のミネラルウォーターは硬水(ミネラル分が多い水)のものが多く、日本茶には適しません。


参考:ミネラルウォーター
 水の味わいを大きく左右しているのは水の硬度です。硬度とは、水に含まれているミネラル含有量によって定められている数値で、ミネラルの成分とは、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムのことを言います。そのミネラル分が多い水を硬水と言い、少ない水を軟水と呼びます。一般的に硬度が100未満水を軟水、200以上の水を硬水と呼んでいます。一般的な日本の水の硬度は20〜80の軟水です。先にも少し触れたように、ミネラル分が多いとお茶の味が死んでしまうため、お茶を美味しく飲むためには一般的には軟水がよいと言われており、硬度にして50〜200の硬度の水が適しているとされています。
ミネラル成分
  • ミネラル:味への影響
  • マグネシウム:多量に含まれた水は苦みや渋みが強くなる。少量の場合はその逆。
  • カリウム:多量に含まれると、塩味を感じる。少量だと甘みを感じる。
  • ナトリウム:多量に含まれると、塩辛く感じる。少量だと甘みを感じる。
  • カルシウム:多量に含まれた水は甘みが増す反面、硬さとクセのある味になる。

参考:お茶の上手な保存方法

 未開封のものは冷蔵庫に保管しましょう。一方、開封ずみのものは、お茶は匂いを吸収しやすいので、冷蔵庫で保管すると食品の匂いが移ってしまいます。
 封を切ったお茶を上手に保管するカギは茶缶(茶筒)です。しかし、お茶は空気に触れるとだんだん鮮度が薄れていきますので、缶の中でも少しずつ味わいが損なわれてゆきます。そこで、保存する時は缶に直接茶葉を入れるのではなく、アルミ袋のまま缶に入れます。その際アルミ袋の口をくるくる回してねじって、輪ゴムなどで固く閉じるようにするか、中蓋をします。そして、缶は湿気の少ない冷暗所に置くようにします。なお、一度封を切ったお茶は1〜2ヶ月で飲み切るようにしましょう。
来客時の正しいお茶の出し方
基本的な来客対応の流れ

 お客様がいらしたら、まずはご挨拶。「いらっしゃいませ。いつもお世話になっております」という言葉が基本ですが、相手の名前の知っている場合は「○○様、いらっしゃいませ。いつもお世話になっております」と言うのがよいでしょう。挨拶は必ず立って相手に向かってするものであり、座りながら頭を下げたり、首だけを向けて言うものでもありません。女性なら、両手を前に組んで軽くお辞儀をしつつ、男性なら、両手を横に揃えてお辞儀をしながらがよいでしょう。

 予めアポイントを取っていたお客様であれば、「○○様ですね、お待ちしておりました」とするのもよいです。誰かに取り次ぐ場合には、「只今担当の者が参りますので、少々お待ち下さい」などと言ってから、担当者に連絡を入れたり呼んだりします。そのとき大きな声で「○○さーん、お客様ですよー」などと叫んだりせず、内線を使うか、直接担当者の側まで行って声をかけましょう。お客様に見苦しいところを見られないよう注意します。また、担当者が来るのをお待ちいただく場合や先に案内をする場合は、「応接室へご案内いたします。こちらへどうぞ」「会議室へご案内します」などと声をかけてから、お客様を先導します。同じフロア内を移動するだけならばこれでもよいですが、応接室や会議室が違う階にある場合などは、「○階にある応接室までご案内いたします」など行き先を詳しくお知らせしましょう。特に初めて来たお客様などは勝手が分からず不安に思っていますから丁寧に対応します。なお、お客様を案内している最中に同僚や先輩に話しかけられることなどがあるかも知れませんが、そのような時も、「ちょっと待ってー、いま対応中だから」などと普段と同じような受け答えをせず、「お客様をご案内中です。後ほどそちらへ伺います」など、同僚に対してでも、いつもより丁寧な言葉遣いで答えて下さい。案内をしている間、お客様はあなたのことを見ています。それは「○○会社の社員」として見られているということです。常に見られても恥ずかしくない態度を取るようにしましょう。
 次にエレベーターに乗る場合、エレベーターに誰も乗っていなかったら、まずは自分が先に入り、「開く」のボタンを押しながらお客様を乗せますが、もしも既に誰かが乗っていた場合には、外からドアが閉まらないようにしながら、お客様を先に中へ入れ、その後自分が入ってボタン操作などを行ないます。降りていただく場合は、お客様を先に下ろしてから、自分が降りるようにします。エレベーターでは、入って左奥が最上位の場所となります。余裕があればそちらへ立っていただきましょう。そして、最後に応接室や会議室へ入る場合には、中に誰もいないことを知っていても必ずノックをし、「失礼します」と声をかけます。これは万が一、誰かが使用していた場合に失礼のないようにするためです。中から声がなかったら、ドアを開き、お客様をとにかく出入り口から一番遠いところにお座りいただきます。
美味しいお茶の淹れ方と出し方

 お茶の淹れ方の基本は、まずお茶を淹れる前に急須と湯のみにお湯だけを注いで暖めることで、その間にお盆やお茶の葉、湯飲みの下に置くお茶うけ、実際にお茶を入れるためのお湯などを用意します(※お湯は熱湯ではなく、少し冷ましたものを注ぐので)。また、茶碗類が埃にまみれていないか、汚れていないかはきちんとチェックして下さい。

 湯呑み1杯分のお茶はティースプーン1杯が目安で、入れる数によって茶葉の量を変えます。茶葉を急須に入れたら、予め少し冷ましておいたお湯を入れ、そのまま40〜50秒くらい放置して味を抽出します。お茶を湯呑みに注ぐ時は、味にむらが出ないよう急須の中のお湯が回るように少し動かします。その後、湯飲みへと注いでゆきますが、一つ一つの湯飲みがいっぱいになるまで注ぐのではなく、交互に少しずつ注いでゆきます。お茶は最初に注がれるものが比較的薄味になり、最後に出るものほど濃くなります。濃さを調節するために、薄いものと濃いものが均等に入るよう考えて注ぎます。
 お茶を出すのは、名刺交換や紹介などが一通り終わった後、本格的な打ち合わせに入る直前がベストです。ただし、担当者の到着が遅くなりそうな時には、先にお客様にだけお茶をお出しします。担当者が到着したら、今度は担当者の分も含め、改めて温かいお茶をお出しするとよいでしょう。また、お盆にお茶を載せる時は、お茶や湯呑みだけではなく、おしぼりも一緒にお盆に載せ、テーブルに出します。おしぼりはお客様が手や汗を拭くだけでなく、万が一お茶をこぼしてしまった時に相手がさっと拭けるように用意しておきます。お絞りの他に布巾を用意しておくのもよいですが、テーブルの上にはこれから書類が広げられますから、余り場所を取らない方がよい場合もあります。臨機応変に対応しましょう。なお、応接室に入る時はノックをし、「失礼します」と声をかけてから入り、退室する時にも「失礼します」或は「失礼しました」と、きちんと顔も身体も相手の方を向けて言うようにします。そして、お茶は一番奥側に座っている人から順に出します。置くに座っている人ほど上位だと考えてよいです。声をかける、笑顔を忘れない、退室のときには軽い会釈をすれば、印象の良い対応になるでしょう。
どうする!?こんな時


応接室が片付いていない!
 前に使った人がきれいにしておくべきなのですが、会議室を開けたら前の会議で使ったままということが時々あります。こんな場合は直ぐに他の応接室を探して下さい。空いていない場合は、お客様に「申し訳ありません、少々お待ち下さい」と断わり、先に部屋に入ってささっと片付けてしまいましょう。

手土産をいただいたら?
 お土産をいただいた場合は、「ご丁寧にありがとうございます」と両手で丁寧に受け取り、お礼を言います。そして、担当者からもお礼が言えるように、出来れば担当者がお客様に会う前にその旨を報告しておきましょう。もっともビジネスの場では、お土産をいただいても、基本的にはお客様と一緒にいただくことはまずありません。しかし、気心の知れた方であれば、「お持たせで恐縮ですが」と添えて、お絞りを用意して一緒に出しても構いません。その際お絞りを右手に、お茶を中央、お菓子を左手の位置に置くようにします。

お茶をこぼしてしまったら?
 お客様の前でお茶をひっくり返してしまったら、まずはお客様に丁寧に謝った上で、お客様の衣服や持ち物、書類などが汚れていないか確認します。そして、直ぐに新しいお茶を入れ直しましょう。

会議が長引いている場合は?
 会議や打ち合わせなどの時間が予定より長引いている時は、古いお茶を下げて新しい飲み物を出しましょう。1杯目に日本茶を出したとしたら、2杯目はコーヒーなど違う飲み物に変える方がよいでしょう。季節によっては、冷たい飲み物を出すなど臨機応変に対応しましょう。そして、当然ながら新しい飲み物をお出しする時には前の飲み物を下げます。

人数が増えている!
 お客様が複数の場合は、当然ながらその人数を確認しておきます。一番最初に接客した人とお茶出しをする人が違う場合は、最初に接客した人がお茶出しをする人にお客様の人数を正確に伝えるようにします。しかし、後からさらにお客様が来た場合など、お茶を出した時点で最初の人数よりも増えていた時も、焦ることなく、自社の出席者に出す予定のお茶をお客様に出します。そして、後で足りないお茶を持ってゆけばよいのです。

参考:日本茶についての参考図書と参考サイト


◆参考図書
角山栄『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』中公新書
角山栄・著
『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』
中公新書、中央公論新社・1980年12月、735円
『日本茶のすべてがわかる本――日本茶検定公式テキスト』
日本茶検定委員会・監修、
日本茶インストラクター協会・企画&編集
『日本茶のすべてがわかる本――日本茶検定公式テキスト』
日本茶インストラクター協会・2008年11月刊、2,300円
本書は日本茶のすべてをやさしく解説した最新テキストです。日本人なら知っておきたい、お茶の種類やおいしい淹れ方・飲み方から、チャの栽培、製茶、流通・消費、品質審査、健康効果、歴史・文化まで、日本茶に関する基本情報を網羅しています。日本茶に関心を持ちはじめた初心者から、茶業関係者や日本茶インストラクター・アドバイザーなどの上級者まで、国際的な評価が高まる日本茶のすばらしさを再認識させてくれます。日本茶検定(茶検)の公式テキストにもなっています。

■参考サイト:
緑茶のレシピ 1539品 - [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが146万品
http://cookpad.com/search/%E7%B7%91%E8%8C%B6
入間市博物館ALIT
http://www.alit.city.iruma.saitama.jp/index.html


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