【1】日焼けとそのリスク |
日焼けが健康のイメージだった時代もあります。しかし、日焼けは肌にも様々なトラブルをもたらします。
本節では日焼けの種類や症状といったものを取り上げました。
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たかが日焼けと侮るな! |
 肌は紫外線を浴びると日焼けをし、肌が赤くなったり褐色になったりしますが、実はこの状態は医学的には日光皮膚炎と言い、いわゆる低温火傷をした状態なのです。春の紫外線はそこまで強くないので症状は出にくいですが、紫外線の強い夏場に多く見られる状態です。何れにせよ、日焼けはれっきとした火傷なので、直ぐに適切な処置を行なう必要があります。日焼けの状態は、皮膚の表面が赤くなってヒリヒリする程度の軽い火傷から、ひどくなると皮膚の深いところにまで炎症が起こって水ぶくれが出来、色素沈着するなど症状には様々ですが、どちらも肌にとっては危険な状態です。その状態にならないよう、日焼け止めによる紫外線対策を行ない、もしも日焼けをしてしまった場合はその後のケアがとても大切になります。
小麦色に焼けた肌は健康的で美しいもので、かつては女性も好んで日焼けしたものです。しかし、日焼けそのものは体に有害な場合も多く、特に太陽光線に含まれる紫外線は肌のしみやソバカス、皮膚癌など皮膚に関する様々なトラブルを発生させることがあります。特に一年のうちでも春から秋にかけた時期は、紫外線量が多くなる季節です。紫外線と日焼けについて正しい知識を持ち、お日様とも上手に付き合うようにしましょう。
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日焼けにはどんなリスクがあるのか? |
近年フロンガス(クロロフルオロカーボン:CFC)によるオゾン層の破壊による日焼けの発生とその深刻な問題が特に南半球において増大しており、オゾン層破壊と周期的なオゾンホールの発生が紫外線を危険なほどに高いレベルまで透過してしまっていることが懸念されています。
日焼けの危険性として指摘されるのが皮膚癌のリスク増加で、これは紫外線が直接DNAを損傷することによるものです。通常の場合、このような損傷は殆どが修復されますが、色素性乾皮症のように修復機能が欠損するケースでは、紫外線暴露による皮膚癌が極めて起こりやすいことが知られていまう。また、日焼けは稀に全身性エリテマトーデス発症のキッカケになるともされています。
かつては欧米諸国において日焼けは個人の太陽に対する防御機構を増進するものとし捉えられていました。現在では白人の間でくる病の発生は稀になっているものの、かつて北ヨーロッパのような高緯度地域では、乳幼児の間でビタミンD不足によるくる病が発生することがありました。一方、肌の色の濃いインド系やアフリカ系の人々がイギリスなどの高緯度地域に移住した場合ビタミンD欠乏症を発症することが多く、イギリスでは南アジアやアフリカ系の移民の子供達の間でくる病の多発が問題となっています。それに対して、近年日本の多くの学者や医師は、医学的にも紫外線には当たらない方がよいということが実証されているとして、日焼けに対してシミやソバカスを増やし、皮膚を老化させて、皮膚癌や白内障を発症・誘発し、皮膚の免疫力までも低下させる行為として治療以外の使用を否定しています。また、ファッションなどの目的で日焼けを行なう場合も、サンスクリーン剤の使用を推奨しています。幸い日本においては日照不足によるビタミンD欠乏症は稀で、日常生活における僅かな紫外線と食生活でビタミンDを十分生成することができています。なお、一般にヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週2回、5〜30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔や手足、背中への日光浴で十分な量のビタミンDが体内で生合成されるとされています。
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皮膚癌発生リスク |
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紫外線を受けることが皮膚を老化させたり皮膚癌や白内障を発症、誘発すると指摘されており、これは地球環境問題でオゾンホールやオゾン層の破壊が懸念される理由の一つでもあります。
紫外線のうちでも、全紫外線の約5%を占めるUVB(紫外線B波)は皮膚癌を引き起こすとされます。生物のDNAは吸収スペクトルが250nm近辺に存在しており、紫外線が照射されると、皮膚等の細胞中のDNAを構成する分子が励起されるのですが、このDNA分子の励起はDNA螺旋を構成する梯子を切り離し、隣接する塩基でチミン-チミンやシトシン-シトシン等の二量体を形成します。そして、これの二量体は通常生成することはなく、DNA配列の混乱や複製の中断、ギャップの生成、複製のミスを発生させ、これが癌などの突然変異を引き起こすのです。
DNA分子の損傷は1日1細胞当たり最大50万回程度発生することが知られており、その原因には、正常な代謝活動に伴うもの(DNAポリメラーゼによるDNA複製ミス)と環境要因によるもの(紫外線など)とがあります。そして、DNA修復速度の細胞の加齢に伴う低下や環境要因のよるDNA分子の損傷増大によって、DNA損傷の発生にDNAの修復が追いつかなくなると、老化(細胞老化)や、アポトーシス或はプログラム細胞死と呼ばれる細胞の自殺、そして癌化の何れかの運命をたどることになるのです。 |
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日焼けによる依存症リスク |
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ある種の抗生物質や避妊薬及び精神安定剤は、服用者を紫外線に対して過敏にし、日焼けのリスクを増大させることもあると言います。また、太陽光にはリラックス効果や気分を高揚させる神経伝達物質エンドルフィンの分泌を促すため、人は日焼けをすることによって快楽を得ます。この快楽を味わいたいがために日焼け依存症に陥る人がいるのです。一説によると、これはヘロイン依存症に似ていて、皮膚癌になっても日焼け用ベッドを使い続ける人とか、或は家族や友人から金を盗んででも日焼けサロンに通う人などもいるということです。 |
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日焼けの症状 |
日焼けして肌が赤くなるだけのタイプと黒くなるタイプ |
しっかり日焼け止めを塗っていても日焼けしやすい人と日焼けしにくい人がいますが、日焼けしやすいからといってシミになりやすいという訳ではありません。これはメラニン色素の量や、紫外線によってメラニン色素を作り出すメラノサイトと呼ばれる細胞の活性の違いにあります。肌タイプは老化などに左右されることはなく、産まれた時に既に決まっていて、遺伝によるものが大きいと言えます。
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赤くなってから黒くなるタイプ |
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そもそも日焼けとは、細胞がダメージを受けないようにメラノサイトがメラニン色素を作り出し、皮膚の奥に紫外線が入らないように防いでくれるシステムです。日焼けをして赤くなってから黒くなる人はメラノサイトがしっかりと働いて細胞を守ってくれている証拠です。 |
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赤くなるだけのタイプ |
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注意しなくてはならないのが、赤くなってそのまま黒くならない肌タイプの人です。これは人種によっても異なり、白人の方はおおむねメラニン色素が少なく、黒くならずに炎症を起こします。それに対して日本人は、黒くなるタイプとあかくなるだけのタイプが遺伝によって半々です。このタイプは一見日焼けしにくいと思われがちですが、肌細胞にはダメージが蓄積され、老化が起こりやすいのが特徴です。白い肌は素敵に見えますが、肌タイプから言えば紫外線によるダメージを起こしやすいので、色黒の方よりも一層の日焼け対策が必要と言えます。 |
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日焼けの種類 |
日焼け現象には2種類あります。紫外線に当たった直後には発症せず、2〜6時間後に皮膚が赤くなり、痛みは6〜48時間の後に最もひどくなるサンバーン(sunburn)と、24〜72時間の間、色素沈着が進行するサンタン(suntan)です。日焼けが起こった3〜8日後に皮膚が剥離し始めます。
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サンバーン |
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サンバーンは紫外線UVBが表皮を透過し、真皮乳頭体まで達した結果、直接的DNA損傷が主因となって乳頭体内の毛細血管が炎症反応として充血を起こし、皮膚の色が赤くなった状態を指します。その際、紫外線量がメラニン色素の防御反応を超えていると、細胞組織が傷を受けて、炎症の情報伝達物質である多様な炎症メディエータやサイトカインが産生され、発熱や水泡、痛みが起きるます。医学的にはこれを日光皮膚炎と言います。 |
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サンタン |
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サンタンは紫外線UVAがメラノサイトに働きかけてメラニン色素の生成を促すものです。メラニン色素を多く含んだ表皮細胞が基底層から角質層に達するまで新陳代謝による時間のズレがあるため、紫外線を浴びてから暫く後で皮膚が浅黒く変色するのはこのためです。UVAは発赤や炎症を伴うことはありませんが、真皮の深部まで到達し、皮膚のシワやたるみの原因になります。 |
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熱傷 |
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日焼けは熱傷深度I度またはII度の熱傷で、障害部位において痛痒感や浮腫、赤変、皮膚剥離、発疹、強い灼熱感と言った症状を引き起こし、その他全身症状として吐き気及び発熱と言った症状を呈します。一般に熱傷面積が広いため、熱傷深度の割には症状が重篤なものとなり、極端な場合には、身体は衰弱し、入院を必要とする場合もあります。 |
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上手な日焼け対策と予防 |
上手に日焼けするためには、太陽光下では最初にサンスクリーン剤(日焼け止め)をムラなく肌に塗付し、サンバーン(炎症)を起こすUVBをカットしながら段階的に焼いてゆきます。海水浴などへ行った初日か、太陽光の下で長時間に渡って焼くことはとても危険です。個人差はありますが、要は太陽光線に対しての抵抗力(慣光性)を超えて日焼けする必要があるのです。
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直ぐできる日焼けの予防と対策 |
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- 午前10時〜午後2時までの太陽光線が最も強い時間帯の外出を極力避ける
- 日中の外出の際はなるべく帽子や日傘、サングラスを使うようにする。衣服は濃い色の長袖がベスト
- 日光浴の時間は1日当たり合計で3時間を超えないよう注意する
- 日焼け止めクリームを塗る。分量・有効時間を守り、時間毎に塗り変える。戸外のレジャーなどの際は日焼け止め効果を表わすSPF表示の高いものを選ぶ
- 日焼け直後は肌が乾燥した状態なので化粧水や乳液などで保湿を行なう
- 赤みを感じる時は冷やしタオルなどで火照りを抑え、消炎ローションを塗る
- 以上の作業を数日間繰り返し、日数を経て、ある程度肌の色が褐色に変化したら、漸くサンオイルに切り替えます。つまり、サンバーン(炎症)を防ぎ、皮膚を急激な炎症から守ることで初めて肌をムラなく黒く焼くことが可能になるのです。
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日焼けサロンを利用する場合の注意点 |
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ファッションとして意図的に肌に紫外線を浴びせて黒くすることを商売とする日焼けサロンもあります。紫外線は大きくA波・B波・C波に分かれますが、この中のA波とB波が大きく日焼けに作用します。B波比率が高い紫外線ランプを極力使わないことがムラなく綺麗に焼くコツで、必要以上のB波は黒くなるのとは無関係で不必要です。ちなみに、国際癌研究機関が2009年に行った発表でUVAにもUVBと同じように発癌性があることが確認されました。このことからも、サンスクリーン剤(日焼け止め)の使用を許可しない日焼けサロンの場合(殆どの店舗で効果半減等の理由で持ち込み不可)、個人差はあるものの、皮膚癌や白内障の発生リスクを覚悟の上で利用すべきです。紫外線、特にUVA(長波長紫外線)の場合、目を閉じていても、瞼を通過し、水晶体に悪影響があると考えられているため、海外の日焼けサロンでは保護グラスを着用することが常識となっています。 |
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日焼けをしてしまった後のアフターケア |
日焼け後に皮膚が浮き、めくれてくることがよくありますが、無理に剥がさないようにして下さい。自然に皮膚が剥がれてきたら、薬品やクリームなどで皮膚の手入れを行ないます。日焼けの後のケアを継続することで、沈着しているメラニン色素は新陳代謝により垢となって剥がれ落ち、日焼けによるシミやソバカスは徐々に薄くなり、やがて消えることになります。
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強い日差しに日焼けをしてしまったらアフターケアが肝心 |
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日焼けをしてしまったら、とにかく直ぐに肌を冷やすことがとても大切です。冷やすことで火傷の炎症が進むのを抑えることができるからです。冷たい水で湿らせたタオルを当てるなり氷で冷やすなりし、或は全身に日焼けをした時は水風呂に浸かるのもよいでしょう。その際、身体の冷やし過ぎには注意が必要です。併せて体内からも水を飲むなどして、たくさん水分を補給するようにします。また、日焼けによる水ぶくれは、潰れて雑菌が入ると悪化して跡が残りやすくなります。炎症が強い時や発熱が続くなどの症状が出ている時は直ぐに皮膚科を受診しましょう。日焼けは非ステロイド性消炎鎮痛薬や副腎皮質ステロイド薬を使って治療します。さらに、日焼けした肌は数日して落ち着くと皮が剥けて新しい肌を再生しますが、皮を無理に剥かないようにします。無理やり皮を剥ぐと未完成な肌が顔を出し、少しの刺激でも痛みが出て治りも遅くなります。また、そのまま炎症を起こし、シミとして残り続ける場合もあります。何れにせよ、完全に元の状態に戻るには数週間かかるので、炎症が治まった後もデリケートな状態だと頭に置いて化粧水や乳液などで水分と油分を補うことが必要です。 |
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日焼けしてしまった時の応急手当 |
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- 冷たい水で湿らせたタオルを当てたり氷で冷やす。全身に日焼けをした場合は水風呂に浸かるのも可
- 水泡が出来たら清潔なガーゼで保護し、皮膚科で治療をしてもらう
- 頭が痛くなったり熱が出たりしたら日の当たらない涼しい場所で休養を
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日焼け後のタブー |
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- ひどい日焼けの後に化粧品を塗ると症状が悪化しかねないため、当分は口紅などのポイントメークに徹する
- 衣服の着脱を乱暴に脱ぎ着すると皮膚がこすれてしまうため、暫くはそっと行なう
- 熱いお風呂は皮膚に刺激を与えるため、暫くはぬる目のお湯にそっと浸かるようにする
- 日焼け後はなるべく日光を避ける。当分は日陰でゆっくりと体を休ませるようにする
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【2】紫外線とはどんなものなのか? |
日焼けの原因になるのは、太陽光線の家で紫外線と呼ばれるものです。
本節では、その紫外線とは一体どんなものなのか。紫外線が身体にもたらす影響について解説しました。
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紫外線とは何か? |
紫外線とは? |
紫外線とは、可視光の短波長端(波長約400nm)からX線の長波長端(定義は明確でないものの波長10nm程度)に至る範囲の波長を持つ電磁波の総称です。光のスペクトルで言うと、紫色の外側に相当するのでこの名前で呼ばれています。ちなみに英語のultraviolet(UVと略されることもあります)も、元は「紫を超えた」という語(ラテン語のultraは英語のbeyondに相当)から来ています。日本では紫外線と呼ぶのが一般的ですが、violetをスミレ色とも訳すことから、文学作品などでは菫外線(きんがいせん)などと呼ばれることもあります。菫外線の表記は紫外線より少ないものの、1960年代以前は学術用語としての用例があるものの、1960年代以後の用例は極めて希となっています。
赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対し、紫外線は化学的な作用が著しく、このことから紫外線は化学線とも呼ばれます。紫外線の有用な作用として、殺菌消毒やビタミンDの合成、生体に対しての血行や新陳代謝の促進、或は皮膚抵抗力の昂進などがあります。なお、紫外線の発見は、1801年にドイツのリッターが、太陽光のスペクトルの可視部分より短波長側に塩化銀を黒化させる作用を持つ部分があることを見出したのが最初とされています。
紫外線の波長による分類法として、その区分はまちまちですが、波長が300nmより長い領域を近紫外線(near UV)、波長が200〜10nmの遠紫外線もしくは真空紫外線(far
UV (FUV) もしくはvacuum UV(VUV))、また、波長が121?10 nmの極紫外線もしくは極端紫外線(extreme UV,EUV
or XUV)にそれぞれ分けられます。また、人間の健康や環境への影響の観点から近紫外線を更にUVA(400〜315nm)、UVB(315〜280nm)、UVC
(280 nm未満) に分けることもあります。フォトリソグラフィやレーザー技術において、遠紫外線(deep UV(DUV))は前記のFUVと異なり波長が300
nm以下の紫外線を示します。なお、太陽光の中にはUVA、UVB、UVCの波長の紫外線が含まれていますが、そのうちUVA、UVBはオゾン層を通過して地表に到達します。それに対してUVCは物質による吸収が著しく、通常は大気を通過することができません。そのため、地表に到達する紫外線の99%がUVAです(UVCはオゾン層の反応で生成されるものもあります)。
紫外線の波長範囲は、光子エネルギーに直すとほぼ3eV〜100eVとなりますが、このエネルギーは、分子を解離させ化学反応を誘起したり、原子や分子を電離したり、一部の内殻電子を励起したりするのに十分な値です。このように紫外線は物質との相互作用が強く、色々な形でそのエネルギーを失いやすい傾向があります。また、物質の屈折率は入射した光の波長に依存しますが、そのため、やや波長が短い紫外線に対しては透明な物質は殆どなくなり、また、光学窓やレンズなどといった光学部品の素材としてよく用いられるガラスは、紫外線の波長域では吸光係数が著しく増大し、透過率が急激に減少するため、ガラスを使った光学部品で紫外線光を取り扱う事は困難です。そのため、特殊な材料を使用した専用の光学部品が使用されることになります。
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紫外線の波長ごとの特徴 |
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近紫外線 (波長380〜200nm) |
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- UVA(波長 315?380nm):
太陽光線由来のもののうち、5.6%が大気を通過し、冬季及び朝夕でも余り減衰しません。皮膚の真皮層に作用し、蛋白質を変性させ、皮膚の弾性を失わせ、老化を促進し、また、細胞の物質交代の進行に関係して細胞の機能を活性化させます。また、UVBによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させる働きがあります。
- UVB(波長280〜315nm):
太陽光線の由来のもののうち、0.5%が大気を通過します。表皮層に作用しますが、色素細胞がメラニンを生成して防御反応をします。これがいわゆる日焼けです。この際ビタミンDを生成します。
- UVC(波長200〜280nm):
オゾン層で守られている地表には通常は到達しません。強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強いため、地球温暖化やハロン系物質によってオゾン層が破壊されることで、これが地表に到達してあらゆる生物相に著しい影響が出ることが懸念されています。
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遠紫外線、真空紫外線 (VUV、Vacuum UV:波長10〜200nm) |
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酸素分子や窒素分子によって吸収されるため、通常は地表には到達しません。真空中でないと進行しないため、真空紫外線 (vacuum ultraviolet)と呼ばれています。 |
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極端紫外線(波長10〜121nm) |
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極紫外線とも呼ばれます。極端紫外線は物質の電子状態の遷移によって放出されます。X線との境界は曖昧です。30nm 近辺の波長は、価電子帯の電子が伝導帯に遷移する際に放出されるのに対し、それより短い波長のものは、内側の核電子のエネルギー状態の変化により放出されます。この長波長側の端はHe+によるEUV/XUV放射が30.4nmです。波長の短いものはサイクロトロン放射によっても放出されます。なお、この領域の紫外線はX線として分類されることもある。 |
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紫外線の健康への影響 |
人間が太陽の紫外線に長時間曝されると、皮膚や目、免疫系へ急性もしくは慢性の疾患を引き起こす危険性があります。大気を透過しないUVCは、従来殆ど注意が払われて来ませんでしたが、これも高エネルギーであるためUVAやUVBよりも遙かに危険で、たとえばUVCを使用する浸漬型紫外線減菌装置などは装置の外で紫外線光源のスイッチを入れれば被曝の危険性があります。
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紫外線とその功罪 |
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紫外線は有害? |
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太陽光線は、目に見える光(可視光線)の他に、赤外線や紫外線という目に見えない光を含んでいます。このうち紫外線は、地表に届く光の中で最も波長が短い光線で、(1)オゾンなどの大気層で吸収され、地表に到達しないUV−C、(2)一部が地表に到達し、皮膚や目に有害なUV−B、(3)長時間浴びると健康への影響が心配されるUV−Aの三種類があります。
紫外線には体内のビタミンDをつくる働きがあるため、日光浴が体によいとされていた時代も過去にはありましたが、最近では1日15分間日光に当たれば必要なビタミンDは生成できるとされています。さらに、近年は大気中に排出されたフロンにより上空の成層圏にあるオゾン層が破壊されつつあるため、有害な紫外線が地上に到達し、皮膚癌の発生など健康への様々な影響が懸念されています。 |
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地球環境と紫外線の増加 |
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1970年代以降、極圏上空のオゾン層の減少により、特に南極上空においてオゾンホールが発生するようになりました。そのため、南半球南部、特にオーストラリアやニュージーランドなどにおいて紫外線量が急増しました。オゾンホールは1985年頃に発見され、1990年代半ばまでは急速に広がったものの、それ以降はフロンガスの国際的な使用規制などによってオゾン層の破壊のスピードが弱まり、規模の拡大はほぼ止まっています。しかし、一度拡大したオゾンホールの規模は縮小することはなく、2010年代に入っても大規模なまま推移しており、紫外線量も上記地域において増加したままです。また、日本などの中緯度地帯においても、つくば市や札幌市付近のデータでは、1990年代以降紫外線は緩やかにではあるが増加傾向を示していると言います。ちなみに、オゾン層の厚さが1%減ると、地上の紫外線量は約1.5%増加するとされます。なお、1997〜2001年に観測したオゾン量の平均値は、1980年に比べ北半球で3%、南半球で6%低下しています。 |
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紫外線の長所 |
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紫外線とその利点 |
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紫外線による利点は、皮膚におけるビタミンDの生成です。ビタミンD欠乏は骨軟化症(くる病)を生じさせ、骨の痛みや体重増加時には骨折などの症状を生じさせます。その他にも皮膚の疾患(たとえば乾癬と白斑)の治療において紫外線の利用が可能で、これには311nmの波長による紫外線が効果的とされています。また、精神病の治療に精神賦活薬(PUVA療法)と共にUVA、UVB紫外線が利用される場合もあります。ちなみに、UVB照射時間が短いことがビタミンDの欠乏を起こし、アメリカ合衆国で何万もの死者が生じていると主張している人もいます。その証拠に、米国では日照の少ない緯度の高い地域での大腸癌や乳癌、卵巣癌、多発性硬化症の相対的な多発が指摘されています。 |
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紫外線の作用とその利用 |
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物質に紫外線を照射すると、紫外線を吸収した物質は高い励起状態に遷移するか、解離または電離を起こし、物質によっては吸収したエネルギーをその物質特有の蛍光として放出しますが、この蛍光を利用した身近なものが蛍光灯であり、また、この性質は宝石の鑑定や黴の検出などにも利用されています。紫外線は光化学作用も強く、印刷物などの色素の分解による退色や酸素からのオゾンの生成、殺菌作用、生体におけるビタミンDの生成、皮膚の黒化などはこの作用によるものです。物理や化学の研究面では、原子、分子、結晶の分光学的研究のための光源として用いられ、特に分子の場合は可視域に殆ど吸収を示さないため、紫外線は分子の電子励起状態の研究に不可欠なものとなっている。紫外線による蛍光の研究からは、高い励起状態の緩和など動的性質が調べられ、紫外線励起による解離や電離状態から化学反応や放電を誘起することにも用いられています。
紫外線の長所は、先ず第一に皮膚におけるビタミンDの生成が挙げられます。専門家によっては、UVB照射時間が短いことがビタミンDの欠乏を起こし、アメリカ合衆国で何万もの死者が生じていると主張している人もいます。その証拠に、米国では日照の少ない緯度の高い地域での大腸癌や乳癌、卵巣癌、多発性硬化症の相対的な多発が指摘されています。また、ビタミンDの欠乏はくる病を生じさせ、骨の痛みや体重増加時には骨折などの症状を生じさせます。その他にも、乾癬と白斑などといった皮膚の疾患の治療において紫外線の利用が可能です。これには311nmの波長による紫外線が効果的であるとされます。また、精神病の治療に、精神賦活薬(PUVA療法)と共にUVA・UVB紫外線が利用される場合もあります。 |
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晴れと曇りでUVの強さは違う〜どんな天気の日でも紫外線対策は必要〜 |
UVAが雲を突き抜ける〜紫外線対策を怠るとシミや皺が増える〜 |
地上に降り注ぐ紫外線にはUVAとUVBがあり、このうちUVAは雲を突き抜けます。また、UVBは肌が赤く火ぶくれ(サンバーン)を引き起こしますが、曇りの日はUVBがカットされるため、このような現象は少ないです。しかし、UVAは雲を突き抜けますし、更にUVBは窓ガラスも突き抜けるのです。
曇りや雨の日に降り注ぐ紫外線は、そこまで強い有害性を持っているわけではありません。しかし、何の紫外線対策もしないでいると、シミや皺、たるみなどが増えてくるのも事実です。最も美容に悪影響とされているのが紫外線A(UVA)」と呼ばれるものです。厄介なのがこの紫外線は雨でも曇りでも降り注いでいるということです。何れにしても、紫外線はどんな天候であっても、確実に届いているので注意が必要です。そのため、どんな時でも対応できるように日焼け止めは持ち歩いた方がよいでしょう。また、日差しが強い日は必ず日傘などを用意して、紫外線から身を守るようにしましょう。
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薄曇りの日には要注意 |
薄曇りの日で日差しがある時には注意が必要です。意外に思われるかも知れませんが、快晴時の紫外線量を100とすると、薄曇りの日で日差しがある時には紫外線が100%を超えることがあるそうです。もちろん晴れの時でも雲が少しあると100%越えのケースがあります。つまり、快晴を上回ることがあるということです。これは雲からの散乱光が加わるからです。従って、直接光だけでなく、散乱光や反射光にも注意が必要であるということになります。
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晴れと曇りの日の紫外線量の違い |
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- 快晴:100%
- 晴れ:90%
- 薄曇り:85%
- 曇り:60%
- 雨:30%
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肌の老化に太陽光はどう関わっているのか |
太陽光は目に見える光と目に見えない光で構成されています。目に見える光を虹の7色の波長の長い順で表わすと、赤、橙、黄、緑、緑青、藍、紫となり、この可視光は地表に届く太陽光の約52%を占めています。赤の光より波長の長いものを赤外線、紫より波長の短いものを紫外線と呼び、このどちらもどちらも目には見えません。
紫外線は、波長の違いによってUVA、UVB、UVCの3種類に分けられます。波長の短いUVCはオゾン層で遮断されるため地表には届きませんが、人工のUVCは殺菌灯として活用されています。厳密にはUVCより更に波長が短い真空紫外域なるものが存在しますが、これも地表には届かず、我々には影響を与えることはないとされています。また、UVBは地表に届く太陽エネルギーの約0.2%程度とごく僅かですが、日焼けを起こしてシミや皺、くすみなどの原因となる他、DNAの損傷を起こしたり、皮膚癌へのリスクを増大させたりします。また、体内でのビタミンD合成に関わるのもUVBです。UVAは地表に届く太陽光の約5.8%を占めており、UVBと異なって窓ガラスを透過するため、室内や車の中にいても日焼けを起こすことがあります。
日焼けと一口に言っても、サンバーンとサンタンでは状態が異なります。一般にサンバーンとは肌が赤くなってヒリヒリする日焼けのことで、メラニン色素を生成するため、シミやくすみが出来やすくなります。UVBはUVAより日焼けを起こす力が500倍以上もあると言われており、サンバーンの殆どはUVBによってもたらされます。また、細胞内のDNAを傷つけるのもUVBの仕業です。若い頃なら肌の自己修復力や細胞の自然死などによってシミにならずにすむことが多いのですが、DNAの傷は蓄えられ続けてゆき、自己修復力が追いつかなくなってしまうと皮膚癌になるリスクが生じるのです。それに対して、UVAはサンバーンを起こす力は余り強くなく、主に皮膚が黒くなる日焼け、サンタンを起こします。以前はサンバーンを余り起こさないため、善玉紫外線などと呼ばれていたこともあります。しかし、UVAだから安心ということはありません。皮膚が黒くなるということはメラニンが生成されているということですし、コラーゲン線維も傷つけています。また、同時に活性酸素も作られており、DNAを傷つけている危険性があります。何れにせよ、シミや皺の原因になることには変わりはないのです。なお、女性の多くが気にする毛穴が目立つ状態も、紫外線の影響によって起こっている場合があります。メラニンが蓄積して毛穴周辺が黒ずんで見えてしまうのは紫外線の刺激によるものだと考えられています。ちなみに、肌老化の原因の80%が紫外線のせいとする専門家も少なくありません。日光浴をするということは紫外線を浴びるということ。それによる影響を避けることはできないのです。
太陽が高い位置にある6月下旬の夏至の頃に太陽光は最も強くなります。そのため、オゾン層の影響が少ないUVAは夏至の頃に最も強くなりますが、梅雨のあるエリアでは最大値が5月となります。これに対してUVBはオゾン層によって吸収され弱められるため、オゾン層による吸収が少ない7〜8月に多く降り注ぎます。ちなみに、このデータはあくまで紫外線量合計の平均値です。つまり6月でも晴れた日なら紫外線は多く降り注いでいるということを意味しています。それなら冬なら大丈夫かというと、そう言い切れないところもあります。一番注意しなければならないのがスキー場のゲレンデや一面の雪景色です。というのも、波の少ない水面が紫外線の20〜40%程度を反射するのに対して、雪面の場合は紫外線の80%以上を反射するからです。晴れた日の雪面は通常の2倍近い紫外線が上から下から注いでいると考える必要があるのです。
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参考;紫外線アレルギー |
紫外線アレルギーとは? |
近年様々なアレルギーに罹る人が増えていますが、その一つに紫外線アレルギーがあります。紫外線アレルギーは、ある日突然発症することもあるそうです。小さい頃は、どんなに日焼けしても大丈夫だったのに、最近は子供とちょっと公園に行ったりして少し日に当たるだけで赤くなったり痒くなったりといった症状が出るようになったりしたら、それは紫外線アレルギーかもしれません。
紫外線アレルギーとは、簡単に言えば、日光や日光の紫外線が原因で起こるアレルギー反応のことを言います。日光を浴びた時の体の反応が敏感になり、普通の人が浴びても問題ないほどの紫外線で皮膚に異常が起こることを紫外線アレルギーと言います。 少し日の光に当たっただけで皮膚が赤くなったり、湿疹が出来たり、痒くなったりする人は、紫外線アレルギーを一度疑ってみた方がよいも知れません。
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紫外線アレルギーの症状 |
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皮膚の症状 |
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- 皮膚が赤くなる
- 湿疹(じんましん、水ぶくれなど)
- 皮膚の腫れ
- 皮膚のかぶれ
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紫外線アレルギーが急増している理由 |
それでは、なぜ紫外線アレルギーが起こるのでしょうか? その原因は大きく二つに分けられます。
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内因性による原因 |
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紫外線アレルギーは、生まれてからずっと浴び続けている紫外線に対する抗体量を超えることで発症します。この抗体量は人によって当然違いがあり、受け入れられる器の大きさが違います。その器を上回る量になると発症するのです。これは、代謝障害や遺伝子異常など生体内の異常が関係すると言われています。 |
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外因性による原因 |
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服用した薬や日焼け止めの成分などが原因となってアレルギーを起こすことがあります。たとえば薬を飲んだ後や日焼け止めを塗った後に、ほんの少しの量の紫外線を浴びただけでも発症することがあります。飲んだ薬や塗った日焼け止めが紫外線を吸収して、光に対して敏感になってしまったことで起こります。 |
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紫外線アレルギーによる腕や首をの湿疹を治療する効果的な方法 |
自分は紫外線アレルギーかも知れないと疑われる場合には、まずは検査を受けてみることをオススメします。大学病院や皮膚専門医で光線過敏症テストという検査が受けられます。光を浴びたことで首や腕が赤くなったり湿疹が出来てしまって肌に異常を感じて病院を訪れる人の殆どが紫外線アレルギーと診断されることが多いようです。病院では、腕や首に起こった肌の炎症を抑えるために非ステロイド剤の塗り薬が処方されたり、重症の場合はステロイド剤の塗り薬が使われることもありますが、どちらも長期的には使えないので、抗アレルギーの内服薬が処方されることも増えています。
紫外線アレルギーを発症してしまった場合、個人的な対応法としては、まずは出来るだけ腕や首、顔などを光に曝さないように長袖を着用したり、手袋や帽子、日傘やサングラスなど使うことが肝要です。そして、日差しのきつい時には出来るだけ外出を控えるか、或は時間を短くすることがオススメです。また、紫外線は家の中でも窓から入って来てしまうので、UVカットのカーテンを使ったり、フィルムを窓に貼ったりするのも有効です。なお、光から肌を守ったり炎症が起きてしまった皮膚に薬を塗る以外にも、食べ物から改善する方向へ近づけていくことが出来ます。
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