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 最近ではアレルギー性鼻炎の花粉症が一般にもよく知られていますが、アレルギーは気管支や鼻・皮膚・消化管などに様々な症状を現わします。たとえばアトピーの原因のひとつとして重要視される食物によるアレルギーも、お子さんをお持ちの親御さんにとっては無視できないアレルギーの一種です。

 特に食物にアレルギー症状を示すお子さんは、学校の給食などにも配慮しなければいけません。4月には新学期も始まりますので、数あるアレルギーのうち、今回は食物アレルギーを特に取り上げることに致しました。

食物アレルギー
食物アレルギーについて知っていますか?
どうして食べ物でアレルギーを起こすの?
食物アレルギーで起こりやすい症状は?
食物アレルギーの検査法と治療法
食物アレルギーの人の食事法はどうすればよいの?
参考:パッケージをチェックしていますか?〜「食品表示」についてのアドバイス〜
まとめとして〜必ず治る病気と信じて、気長に対処してゆきましょう!〜


食物アレルギーについて知っていますか?

 食物アレルギーとは、食べた食物が原因となって、いわゆるアレルギー症状を起こす病気です。食物アレルギーは小児に多い病気ですが、学童期はもちろん成人にも認められています。その割合は、乳児が約10%、3歳児が4〜5%、学童期が2〜3%、成人が1〜2%であると言われています。
赤ちゃんの約10人に一人が罹る病気です

 ある調査によると、日本には一千万人前後の食物アレルギーの方々がいると推定されており、その中には当然大人の方も多くいらっしゃいます。また、アレルギーの有病率は昨今増加を続けており、今や国民の30%を越すに至った、とも言われています。当然ながら、社会的にも大きな問題ともなっています。要するに、このように多くの方々がアレルギー性の疾患で悩んでいるのです。その意味から言っても、アレルギー性の疾患は、現代において代表的な病気であると言っても決して過言ではないでしょう。

 その中でも食物アレルギーは、牛乳や卵・大豆・チョコレート・魚介類・ソバだけでなく、野菜や果物によっても症状が惹き起こされます。以前は乳幼児に多いとされていましたが、最近では成人でも決して少なくないことが分かってきました。しかもその症状には、ジンマ疹のように比較的軽いものから生命に危険のあるアナフィラキシー(※後述)のような重篤な症状を起こすものまで幅広くあります。この問題に関しては、食物アレルギーのお子さんの給食の問題が時々話題になっているので、ご存知の方も多いことでしょう。
 以上見てきたように、繰り返しになりますが、食物アレルギーは決して珍しくないアレルギー性の病気です。最近の研究によれば、乳児の大体10人に1人が食物アレルギーになっているとも言われています。また、学童や大人になってからも食物アレルギーを発症することもあるので、食物アレルギーは、今では子どもから大人までの問題として考える必要があります。

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どうして食べ物でアレルギーを起こすの?

 この項では食物アレルギーのメカニズムについて、参考までに簡単に説明しておきたいと思います。
食物アレルギーのメカニズム

 私たちの身体には、身体にとって異物であるもの(抗原またはアレルゲンと言います)が体内に入った時に、それに対抗する物質(抗体)を作って抗原(アレルゲン)を排除するシステムが存在します。このシステムの反応を一般に「免疫反応」と言います。そして、この免疫反応がなければ、人間は健康にに生きてゆくことすら出来ません。その意味で、免疫反応とは生命維持にとって非常に重要な働きを司っているのです。つまり、これらの免疫反応が抗原に対して適切に機能していれば、「生体防御」となるのですが、しかし、これが過剰ないしは異常に反応し、生体防御の範囲を「逸脱」した場合は、たとえばアレルギー症状となって様々な障害を起こしてしまうのです。
 なお食物アレルギーでは、アレルギーを起こす食物を特に「食物アレルゲン」と言います。そして、この食物アレルゲンは年齢によって違ってきます。たとえば幼児や小児によく見られる食物アレルゲンは卵や牛乳・小麦・大豆ですが、一方で成人によく見られる食物アレルゲンは小麦や魚類・甲殻類(カニやエビなど)・ソバ・果物などが挙げられます。
 ちなみに、幼児や小児の食物アレルギーは適切な対応などで自然に症状が治まっていくこと(自然寛解)もありますが、大人の食物アレルギーは治りにくく、生涯にわたって続くこともあります。また、口腔アレルギー症候群など特殊なアレルギーが現われることもあります。それだけに、医師による原因物質の特定と対応が大切になります。

ちょっと専門的に1
 クーブスとゲルの2人が、その症状や機構によってアレルギーをI〜IV型の4つの型に分類しましたが、狭義でアレルギーと言う場合は、多くはI 型のアレルギー反応を指します。このI 型アレルギーは即時型で、抗原が作用して15分〜12時間ぐらいの短時間で反応が起きてきます。実は食物アレルギーはこのI 型アレルギーに当たる反応で、初めのアレルゲンの侵入によって多量に作り出されたIgE抗体が再度のアレルゲン侵入時に反応し、その結果マスト細胞から化学伝達物質が放出されることで、アレルギー反応が発症するのです。このように食物アレルギーは、事前に産生されたアレルゲンに反応するIgE抗体がアレルゲンと抗原抗体反応を生じることで起こる病気です。
 また、食物アレルギーのお子様などで問題になるアトピー性皮膚炎は、I 型アレルギーの他にIV型アレルギーの側面もあると言われています。このIV型アレルギーは、血液中に存在する細胞の一種であるTリンパ球が起こすアレルギーです。即時型のI 型アレルギーに対してIV型アレルギーは遅延型で、抗原(アレルゲン)を体内に取り込んで半日から数日たって反応が起こります。IV型の代表的なものは接触性皮膚炎で、大人などに見られるいわゆる化粧品かぶれや漆かぶれ、最近では金属アレルギーやゴムアレルギーなどがこれに当たります。

食物アレルギーの原因は“タンパク質”

 上でも説明しましたが、アレルギー反応は、抗原(アレルゲン)と呼ばれるアレルギーの因になる物質を体内に摂取することで起こります。抗原が体の中に入ると抗体が出来、そこへ抗原となるものを再び摂取すると、抗原と抗体が結びついてアレルギー反応を起こすわけです。
 食物アレルギーの場合は、特に抗原となりやすい食物成分は食べ物に含まれているタンパク質です。たとえば卵アレルギーの人が卵を食べると、小腸から卵のタンパク質が吸収され、血管を通って全身に運ばれます。すると、卵のタンパク質を異物(抗原)だと勘違いして、それを退治しようと攻撃をしかけるわけで、それが様々な症状となって現われるのです。

なお、タンパク質で全ての人がアレルギー反応を起こすわけではなく、アレルギー反応を起こしやすい人と起こしにくい人がいます。ちなみに、アレルギーになりやすい体質は遺伝すると言われています。 
注意:  食物アレルギーを引き起こす3大アレルゲンは卵・牛乳・大豆です。
 食べる量が多いとアレルギーを惹き起しやすく、また、その加工品でもアレルギーが起こるので注意が必要です。
ちょっと専門的に2
 タンパク質はアミノ酸がたくさん繋がったもので、数個ずつのアミノ酸に分解されて消化・吸収されます。普通はアミノ酸が2〜3個の状態まで分解して吸収されますが、消化力の未発達な乳幼児などでは十分に分解することが出来ません。アミノ酸が10個ぐらい繋がった形で吸収し、アレルギーを起こしやすくなるのです。
 食べ物のタンパク質に攻撃をしかけるのは、血液中にあるIgE抗体(免疫グロブリンE)というタンパク質です。たとえば卵アレルギーの人は卵のタンパク質に反応するIgE抗体を、いっぽう牛乳アレルギーの人は牛乳のタンパク質に反応するIgE抗体を持っています。卵アレルギーの人が牛乳を飲んでも平気なのは、その人のIgE抗体は卵だけにしか反応しないからです。IgE抗体は食べた食物のタンパク質を体が異物だと認めた(勘違いした)時に作られます。(※なお赤ちゃんでは、食べたことのない食べ物にアレルギーを起こすことがありますが、これは経母乳感作と言って、母乳中にお母さんが食べたものの一部が分泌され、赤ちゃんの体の中にIgE抗体が出来たためだと考えられています。)
◆予備知識1 これって牛乳アレルギー?
 牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり下痢になったりする人がいますが、これは乳糖不耐症と言い、牛乳アレルギーとは違います。そのような人は、牛乳に含まれている糖の一種である乳糖を分解する元々酵素が少なく、従って腸で乳糖を消化吸収できないためにお腹の症状が出てしまうのです。


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食物アレルギーで起こりやすい症状は?

 食物アレルギーで起こる症状は様々で、年齢や食物アレルゲンの摂取量によっても違ってきます。よく見られる症状はブツブツや痒みなどの皮膚症状です。それからお腹が痛くなるなどの消化器症状や、ゼイゼイするなどの呼吸器症状と続きます。これらの他にアナフィラキシー(※後述)という重篤な反応が起こることもあります。
乳幼児に多い症状

  • 喘鳴(※喘息様気管支炎のこともあります)
     喘鳴は感染によっても起こりますが、食物によっても生じます。

  • 口唇炎(アフター)・口周囲炎
     唇やその周囲が赤く腫れ、長く続くと白っぽくなって、ヒビ割れたり皮が剥けたりします。食物が直接皮膚に触れることで生じます。

  • オムツかぶれ
     便の中に不消化な食物が排泄されることにより生じます。
     例:ミルク・アレルギー

  • 湿疹

    1. 乳児期アトピー性皮膚炎
       初めは顔面に出現し、赤い湿疹が広がってゆきます。

    2. 幼・小児アトピー性皮膚炎
       頚部や肘・膝の内側に出現し、体では粟粒のような小さな湿疹が盛り上がるように出ます。痒みが強く、思わず掻いてしまうため出血することもあります。


◆予備知識2 食物アレルギーの行く末?
 乳幼児期は食物アレルギーが主体になりますが、成長発育するにつれて、アレルギーの症状は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎その他のアレルギー疾患に変化してゆきます。他のアレルギーの素因をつくらないためにも、早いうちからの食物アレルギーの予防と治療が是非とも必要となります。 
■まとめ: 食物アレルギーによる症状や病気
イ) 消化器:アフター(口内炎)、下痢、便秘、腹痛
ロ) 呼吸器:気管支喘息
ハ) 皮膚:アトピー性皮膚炎・ジンマ疹
ニ) 泌尿器:夜尿症
ホ) 神経:頭痛
ヘ) その他:クループ、嘔吐、自家中毒症、起立性蛋白尿

その他:果物で口にかゆみが出る?〜口腔アレルギー症候群〜


果物で口にかゆみが出る?〜口腔アレルギー症候群〜
 果物や野菜で口の中に症状が出る食物アレルギーを一般に「口腔アレルギー症候群」と言います。生の果物(特にキウイフルーツやメロン・桃・パイナップル・リンゴなど)や野菜(トマトやセロリなど)を食べると、口の中が腫れたりイガイガしたり、或は痒みが出たりすることがあります。稀にショック症状(※アナフィラキシー/後述)が現われることもあります。
 口腔アレルギー症候群は、たとえば花粉症の方が、その症状が出ている時に果物を食べて上記の症状を起こすケースがあります。この場合は、花粉のアレルゲンと果物のアレルゲンがお互いに関係し合って症状を起こしているものと考えられます。

危険!! アナフィラキシーの症状と対策

 先ほどから何度か出て来たアナフィラキシーとは、アレルギー症状の中で死にも至る重篤なものを言います。これは特定のアレルゲンに対するIgE抗体を有するものにだけ起こる症状で、ショック症状(ぐったりする・血圧低下・意識障害など)が全身で起こります。ちなみにアナフィラキシーを起こすアレルゲンとしては、アメリカではピーナッツが有名ですが、日本ではソバが有名です。皮膚症状や消化器症状・呼吸器症状などを伴う場合や、突然発症する場合もあります。呼吸困難が出ると命にも関わりますから、もしもアナフィラキシーが起こったら、必ず直ぐに救急車を呼んで下さい。

アナフィラキシーの経時的な症状の進行例:
  1. 急激な腹痛・嘔吐
  2. 顔面紅潮
  3. 呼吸速迫・喘息様発作
  4. 顔のむくみ・ジンマ疹
  5. 心停止
このような症状が起こった場合は、専門医によるいち早い処置が必要になります。
◆予備知識3 「食べ物+運動」で起こるアレルギー症状
 〜食物依存性運動誘発性アナフィラキシー〜
 非常に稀ですが、ある特定の食べ物と運動との組み合わせによってジンマ疹やショック症状などを惹き起すことがありますが、これを「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」と言います。通常、食物アレルゲンとなる食べ物を食べて2時間以内に激しい運動をした時などに起こります。よくあるのは、お昼に小麦や魚介類などの食物アレルゲンを食べ、昼食後にサッカーやバレーボール・バスケットボールなどの激しい運動をする、といったケースで、小学生や中学生・高校生、成人に見られます。
 これは運動する機会の多い学生に多い症状で、運動しなければ症状が出ないので、自覚がある人は食べてからの運動を控えるようにしてください。
アドバイス1
 アナフィラキシーを起こす可能性がある、或はかつてアナフィラキシーを起こしたことがある方は、緊急の対応方法を文書にして学校や職場などに渡しておくのもよいでしょう。また、幼稚園や保育園、学校の連絡帳や定期券・手帳など常に所持しているものに挟んで持ち歩くと、いざという時に役立ちますよ。

他のアレルギーとの関係は?

 「アレルギーマーチ(※注1)」という言葉があるように、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎などアレルギーの体質(※注2)を持つ人は、様々なアレルギーを年齢変化に伴って起こす可能性が高いと言えます。ただ誰もがそのようになるわけではないので、まずは定期的な検査をして、ご自分やお子さんの状態を知っておくことが大切です。そして、たとえばアトピー性皮膚炎などを発症した場合も、定期的に診て、きちんと治療をしてゆくことで症状の悪化を抑えることが可能です。
※注1: アレルギーマーチとは?
 アレルギー症状が乳児期より年齢を重ねると共に発症部位を変えて次々と現われてゆくことを専門的に「アレルギーマーチ」と言います。典型的には、乳児期には湿疹・下痢・嘔吐、幼児期には気管支喘息、学齢期から成人期にかけてはアレルギー性鼻炎、に変化してゆきます。これは、胃腸や鼻の粘膜や皮膚にアレルギー症状が生じているとアレルゲンが次々に進入しやすくなり、順次新たなアレルギー症状が現われてくることによるものです。これを防ぐには、専門医の先生に相談して速やかにアレルゲンを特定して適切な対応をし、炎症を沈めることが肝要となります。
※注2: アレルギー体質とは?
 一言で言って、アレルギー症状を起こしやすい体質のことで、血液中のIgEを作りやすい体質の人などがこれに当たります。遺伝するとも言われています。
アトピー性皮膚炎
 乳児期には、食物アレルギーは殆どアトピー性皮膚炎を合併しています。しかし、幼児期以降に食物アレルギーを発症する場合は必ずしもアトピー性皮膚炎は伴っていないと言われています。
気管支喘息
 食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を合併している患者さんの中から、約2人に1人が気管支喘息を発症すると言われています。


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食物アレルギーの検査法と治療法

 この項では、食物アレルギーの疑いのある患者さんに対して行なわれる診断・検査方法と、その治療法を参考までに取り上げました。
食物アレルギーと診断されるまで

 簡単に説明すると、食物アレルギーが疑われた場合、問診があって、続いて皮膚テストや血液検査などを行ない、最終的に食物除去・負荷試験をして見て、食物アレルギーかどうかを確定することになります。
★注意!  食物アレルギーの場合、人間が生きてゆく上でなくてはならない“食べ物”という身近なものがアレルゲンとなっていることもあり、患者さんや家族の方がご自分で判断されて、受診前から食べ物を避けているケースが多いようです。けれども、食物アレルゲンの特定と正しい食事療法を行なうためには、専門家による診断がとても大切になります。小さい頃は特に“摂らなければならない大切な栄養素”もたくさんあります。食べることができる食品をできるだけ増やすためにも、自己判断をせず、まずは一度きちんと専門の病院で検査をしてもらった方がよいでしょう。

生活環境を知る「問診」は何よりも大切な検査〜問診・血液検査・皮膚テスト〜

A: 問診
主な問診項目
症状のこと
食生活のこと(※乳児の場合は母乳か人工栄養か、それとも離乳食か?)
家族のこと(※両親や兄弟にアレルギーを起こした人がいるか、など)
環境のこと(※ペットと住んでいるか、排気ガスが多い幹線道路に住んでいるか、など)
アドバイス2
 もしもその場で答えられる自信がない方は、事前にその日に起こったことや気になることなどを紙などに“メモしておく”のもよいかも知れません。そうすると、初診の時や次回以降の診察の時にスムーズにお医者さまにお話しができると思いますよ。

B: 血液検査(IgECAPRAST法、ヒスタミン遊離反応など)
主な検査方法
患者さんの血液を採取して、そこからIgE抗体を見つける方法
よく行なわれているのがCAPRAST法で、その他にMAST法やFAST法などがあります。
採取した血液に食物アレルゲンを加えて、化学伝達物質のヒスタミンが出るかどうかを調べ、食物アレルギーの症状を起こす原因を確定するヒスタミン遊離反応テスト
C: 皮膚テスト(プリックテスト)
食物アレルギーの可能性が高い食べ物から抽出したエキスを皮膚に付けて、その反応を見る方法。

原因となる食べ物を確定する検査〜食物除去試験と食物負荷試験〜

 「食物負荷試験」は食物アレルギーが確定し、暫く食物除去をした後で、“どれくらいその食べ物にアレルギー反応を示さなくなったか”を調べるために行ないます。
A: 食物除去試験:
 問診で食物アレルゲンがある程度分かった時、その食べ物を1〜2週間ほど摂らないで、症状の変化を「食物日記」などに記録してもらい、経過を調べます。
B: 食物負荷試験:
 食物負荷試験は、食物アレルギーが確定し、暫く食物除去をした後で、“どれくらいその食べ物にアレルギー反応を示さなくなったか”を調べるために行なうものです。
 これは、“アレルゲンと考えられる食べ物を摂取して何らかの症状が現れるか”チェックするもので、小さいお子さんに行なう(1)「オープンチャレンジ」と、ある程度大きくなってから行なう(2)「ダブルブラインドプラセボコントロールチャレンジ」の2つがあります。

注意:これらは食物アレルギーの検査では非常に重要なテストのひとつですが、食物アレルゲンをわざと摂ること、すなわち負荷をかけることで、場合によっては非常に重篤な症状が起こる危険性もあるので、原則は外来または入院して実施することになります(※現在はこの試験は保険適応ではなく、どこでも行なっているわけではありません)。

毎日の食事管理が治療の鍵!

 食物アレルギーの治療は、毎日の生活の中で、たとえば牛乳や卵などのアレルゲン、または、それらのアレルゲンが含まれている食べ物を摂らないことが重要になります。それを「食物除去療法」と言います。しかし、一方で乳児期から幼児期は最も成長が盛んな時期で、必要なカロリーやタンパク・ビタミン・ミネラルなどの様々な栄養が欠乏しないように注意しなければなりません。そのために、アレルゲンに代替できる食品を使用したり別の食品で補ったりする必要が出てきます。

 牛乳を例に取れば、確かに牛乳といってもチーズやヨーグルトなどの乳製品を始め、お菓子(スポンジケーキなど)や料理にも牛乳は使われています。卵も同様です。親御さんは、お子さんのために、そうしたものを一つひとつ確認し、食事を考えてゆかなければならないことになります。確かにその作業はとても大変ですが、最近では専門病院で「食物アレルギー教室」が開かれたり専門家による栄養指導があったりして、日常の献立について相談が出来るようにもなっています。また、インターネットでも食物アレルギーのお子さんのためのメニューが多数紹介されていますので、是非とも利用して見ることをオススメします。
アドバイス3:食物アレルギーの予防は早い時期から
 厚生労働省から出された離乳食の基準では、食物アレルギー予防の観点からアレルギーの原因になりやすい食品を幾つか挙げて、一定の月齢まで与えないよう薦めています。とにかく、食物アレルギーの予防には早期の対策が大切です。ただ子どもの場合、間違った食事療法は成長に影響を与える懸念がありますので、十分に注意が必要であることは論を俟ちません。
注意!! 卵・牛乳アレルギーの人は薬にも気を付けて!
 卵アレルギーがある患者さんの場合、市販されている風邪薬に含まれている塩化リゾチームという成分によって症状が現われてしまうことがあります。また牛乳アレルギーを持つ患者さんは、抗生物質等に含まれているカゼインで症状が起こることもあります。市販薬を買う時も、或は病院で薬を処方してもらう時も、事前に食物アレルギーがあることをお医者さんや薬剤師さんに伝えて、アレルゲンとなる成分が含まれない薬をもらうように心懸けましょう! 

アトピーのその他の治療〜食物アレルギーで薬を使うことも〜

 食物アレルギーでは、補助的に抗アレルギー薬などの飲み薬を用いた薬物療法が行なわれることがあります。また、アトピー性皮膚炎を合併している食物アレルギーの場合、スキンケア剤や軟膏などを使って皮膚の治療することもあります。
  • 抗アレルギー剤(抗ヒスタミン効果も併せ持つものが多い)
     アレルゲンが判明すれば、除去食物療法だけでなく抗アレルギー剤も内服します。
     例:ザジテンやロメット、インタール内服用、リザベンを年齢や症状に応じて使用することが多いようです。(※これらの薬の一部はアレルギー性鼻炎でも使われるお薬です。眠気を催しやすいのが欠点です。)

  • 漢方薬(※詳しくは専門家にご相談下さい)

  • 外用剤(塗り薬)

    1. ステロイドホルモン剤
       なるべく使用しないことが望ましいとされていますが、大変効果のあるお薬です。素人判断はせず、お医者さんの指示に従って用いて下さい。ちなみに、ステロイドホルモン剤にも強いものから弱いものまで種々と種類があります。症状や部位により使い分けが必要なので、必ず医師に相談して下さい。
      ※ステロイドホルモン剤を危険視しすぎて、治るべきものも治らず、却って症状を悪化させてしまう例もありますので、風評に流され過ぎないように注意して下さいね。 

    2. 非ステロイド系消炎剤
       ステロイドホルモン剤と違って特に副作用がないので、赤ちゃんでも安心して使用出来ます。

    3. 抗ヒスタミン剤
       痒みの強い時に使用します。

    4. 抗生物質外用剤
       引っ掻きすぎて感染を伴った時に使用します。


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食物アレルギーの人の食事法はどうすればよいの?

 食物アレルギーで一番大変なのは毎日の食事です。
 この項目では、リスク回避の観点から、事故を起こさない調理や食事のポイントをまとめてみました。
重要!! 調理や食事のポイント

 食物アレルギーで一番大変なのは毎日の食事です。この項目では、リスク回避の観点から、事故を起こさない調理や食事のポイントをまとめてみました。
原因になる食品をカット!――正しい食物除去で症状が落ち着くことがあります
 食物アレルギーの食事療法では、原因になる食品を取り除いた除去食を摂ります。ただし、完全な除去食でたとえアレルギーの症状がよくなっても、それが身体的・精神的な負担が余りに大きい場合は、やはり継続は難しいでしょう。主治医の先生ともよく話し合って、必要最低限の除去食にすることがポイントです。

■ポイント1  除去食には幾つかのパターンがあります

 除去食の行ない方には幾つかの種類があり、アレルギーの症状や年齢・社会的条件などを考慮して決められます。
除去食の種類
□1 加工食品も含めてアレルゲンを完全に除去:
 タンパク質を酵素処理したりアレルゲンを除去した低アレルゲン食品を摂る。
□2 アレルゲンとなる食品そのものだけを除去:
 加熱した食品や加工食品を摂る。
□3 回転食:
 アレルゲンとなる同じ食品は続けて摂らず、一定の間隔をおいて食べる(回転食)

■ポイント2 除去食だからこそ、栄養のバランスを!

 アレルゲンとなる食品は、卵や牛乳・大豆など栄養的にも優れたものが多いので、何もかも制限すると、今度は貧血や栄養失調になる危険性があります。従って、食物の制限は必要最小限にし、お子さんの身体の発育や成長に害のないように注意する必要があります。そのためにも、上手に代わりになる食品を摂ることが重要です。

※「代わりになる食品」にのより詳しいアドバイスに関しては、次項の「食物アレルギーのお子様をお持ちの方々が調理や食事をする時のポイント」をご参照下さい)。
■ポイント3 除去食の継続は3か月ごとに検討を!

 除去食の継続は大体3か月毎にぐらいで検討し直したいものです。
 なお、たとえ原因となる食品を食べてアレルギーが起きなくなっても、暫くはその食品を食べるのを控えめにしておく方が無難です。
ちょっと専門的に3
 一般に食物アレルギーは乳幼児期に多く見られ、成長と共に少なくなってゆきます。ある調査によると、生後6か月の乳幼児の時点で卵や牛乳のアレルギーを発症したお子さんは、3歳になると過半数が、6歳になると8割近くが無症状になっている、とのことです。

 子どもの頃に発症する食物アレルギーは、お子さんの消化機能が弱いことと、乳幼児の発達過程の腸管の壁が未消化の物でも通しやすいことが原因で、特定の食品がアレルゲンになるにアレルギー症状が起こります。それが、成長に伴って次第に腸管が発達して消化能力も高くなってゆくので、食べたものをしっかりと消化出来るような年齢になれば、食物アレルギーの症状が次第に緩和されてゆき、場合によっては自然に治るケースも多い、ということです(※もっとも、必ずしもアレルギー体質そのものが完治するわけではないので、その後も注意は必要なことは否めません)。
 ところがその一方で、幼児や学童、また大人になってから食物アレルギーを発症した場合は中々治りにくいと言われています。たとえば花粉症と同じで、ある日突然に食物アレルギーになる可能性もあるので、このワンポイントアドバイスも参考にして、この機会にアレルギーに対してしっかりとした知識を身に付けておいて下さいね。

 なお、食べ物別で見ると、卵や牛乳・小麦・大豆などのアレルギーは比較的自然寛解しやすく、いっぽう魚類や甲殻類・ソバ・ピーナッツなどのアレルギーは治りにくいと考えられています。

■ポイント4 半年から1年ごとにアレルゲンの検査を!

 半年から1年ごとにアレルゲンの検査をするのが望ましいでしょう。医師は、その結果如何で、食物を制限するか、或は除去で継続するか、を決めてゆきます。
卵・牛乳・大豆アレルギーの食事療法

 卵・牛乳・大豆といった代表的なアレルゲに対処するための食事療法について、各項目に分けて取り上げました。
A.鶏卵アレルギーの場合

 まずは鶏卵・鶏肉を食事から除去します(※もっとも鶏肉は食べられる場合もあります)。なお、うずら卵や魚卵は除去する必要があるかどうか別に調べます。

 マヨネーズや揚げ物のころもには卵が使われていますし、プリンやアイスクリーム・カステラなどのお菓子類にも卵が使われることがあるので、特に注意が必要です。
 また、スープの素が鶏肉から作られていたり、インスタントラーメン・ウインナー・ハム・蒲鉾・はんぺん・伊達巻き・竹輪などにも、ツナギとして卵が使われているので、これまた注意が必要です。
卵の代わりになる食品の例
魚介類
豚肉
牛肉
大豆製品(※注意)
卵を使っていないお菓子類(※手作りのお菓子や市販の特殊食品)
注意:ここに挙げた食品のうち、その食品にアレルギーのある方は注意をして下さい。

B.牛乳アレルギーの場合

 まずは乳製品(ヨーグルト・乳飲料・バター・チーズ)と牛肉を除去します(※もっとも牛肉は食べられる場合もあります)。なお、マーガリンにも乳製品が混入しているので、パーム油で出来たアレルギー用マーガリンを使います。
 また、インスタントのカレー・ルウには牛乳やバターが、空揚げ粉には脱脂粉乳が使われているので、これも注意が必要です。自家製のルウを作って下さい。

 なお、お子様の大好きなお菓子類には牛乳やバターが使われていることが多いので、お菓子は手作りがオススメです。パンにもバターや脱脂粉乳が使われていますが、パン焼き器なら簡単に自家製パンを作れるのでオススメですよ。
牛乳の代わりになる食品の例〜カルシウムを補うもの〜
ひじき
シラス干し
ワカメ
小松菜
わかさぎ
大豆製品(※注意)
アミ
牛乳を使っていないお菓子類
※手作りのお菓子や市販の特殊食品 例:寒天寄せ・白玉・葛餅・ソーダクラッカーなど
注意:ここに挙げた食品のうち、その食品にアレルギーのある方は注意をして下さい。

C.大豆アレルギーの場合

 まずは大豆製品を除去します。
 たとえば醤油の代わりには、小麦粉から作った醤油や魚醤油・ひえ醤油・あわ醤油があります。また、味噌の代わりには大麦から作った味噌を使うと便利です。

 次に注意したいのが油です。殆どの油には製造過程で微量の大豆油が含まれます。米油やコーン油・菜種油・パーム油などを用い、それだけを製造しているメーカーのものを使いましょう。
醤油の代わりになる食品の例
小麦粉醤油
魚醤油
ひえ醤油
あわ醤油
醤油を使っていないお菓子類(※手作りのお菓子や市販の特殊食品)
注意:ここに挙げた食品のうち、その食品にアレルギーのある方は注意をして下さい。
油の代わりになる食品の例
米油
コーン油
なたね油
パーム油
卵油(※注意)
上記に挙げたような自然な油を使ったお菓子類(※手作りのお菓子や市販の特殊食品)
注意:ここに挙げた食品のうち、その食品にアレルギーのある方は注意をして下さい。
味噌の代わりになる食品の例
大麦みそ
味噌を使っていないお菓子類(※手作りのお菓子や市販の特殊食品)
注意:ここに挙げた食品のうち、その食品にアレルギーのある方は注意をして下さい。

参考:卵・牛乳・大豆のアレルギーに、手作りおやつ

 上でもにも触れましたが、お菓子類には卵や牛乳・大豆が使われていることが多いものです。アレルギーだからと食べるのを我慢するのではなく、手作りでおいしいおやつを楽しみたいものです。
まとめ:臨機応変に知恵を絞ってアレルギーを乗り越えよう!

 何事も無理は禁物。生きてゆく上で食事は何よりも大事です。何事も杓子定規に考えると長続きしないものです。何はともあれ、臨機応変に知恵を絞ってアレルギーを乗り越えましょう!  
乳幼児の食事の基本方針

 食物アレルギーを患っている乳幼児期のお子さんの食事療法について、参考までに簡単にまとめておきました。
A.乳児期

母乳を最低1才までは続けて与えましょう。(※この場合、母親が除去食を行ないます。) 
母乳が出ない場合は、アレルギー用のミルク等で補いましょう。
例:明治乳業/エピトレス、エレメンタールフォーミュラー
   森永乳業/ニューMA−1 など

明治乳業 森永乳業 ビーンスターク・スノー
明治乳業のアレルギー用ミルク 森永乳業のアレルギー用ミルク ビーンスターク・ペプディエットのアレルギー用ミルク
明治エレメンタルフォーミュラ
(無乳糖食品)
ニューMA−1 ビーンスターク 
ペプディエット
除去対象
牛乳・乳糖・ガラクトース
除去対象
牛乳・乳糖・ガラクトース
除去対象
牛乳
詳細情報はこちら 詳細情報はこちら 詳細情報はこちら

B.離乳期〜幼児期

 食物抗原(アレルゲン)は完全に除去し、普通の場合より1〜2カ月遅らせて、生後6カ月頃より離乳食を進めましょう。
 離乳開始は野菜と穀類を中心によく加熱して、[流動食→半流動食→半固形食]と、除々に硬さを増してゆきましょう。
 タンパク質食品としては、アレルギーを起こしにくい白身の魚から始め、多種織り交ぜて与えましょう。
 牛乳や卵は、満1才を過ぎてから、様子を見ながら与えましょう。(※もちろんアレルゲンの場合は除去する必要があるのは論を俟ちませんしましょう。) 
 間食は新鮮な果物や芋・トウモロコシなどの自然の食品を与えましょう。
 加工食品や調味食品(※食品添加物の含まれた食品)を控え、なるべく食事・おやつ共に手作りにしましょう。
 調味料は塩と砂糖とし、ダシは素材から出るうまみや、昆布ダシとしましょう。
 先にも触れたようにやりすぎは考えものですが、原因となる食物を完全に除去すると症状も当然よくなります。耐性が出来るまでは、症状や体質によって個人差がありますが、根気よく食事療法を続けましょう。

日本ハム
日本ハム開発のアレルギー除去食品類
アピライトポーク・
アピライトハンバーグ
アピライトミートボール
除去対象
卵・牛乳
詳細情報はこちら

C.食物アレルギーが治った後の注意

□注意1:  アレルギー感作の弱いものから徐々に緩めてゆきます。
□注意2:  生ものよりも加熱したものの方がアレルゲンになりにくい傾向にあります。
 例:固茹で卵<半熟卵<生卵
□注意3:  耐性が出来ても、原因だった食物は初期離乳食と同じつもりで1サジから始めましょう。
 例:牛乳/週に1〜2回
    卵 /加熱して週に1〜2回
 ※このようにして、制限を順次解除してゆきます。
□注意4:  これらは必ずお医者さんに相談しながら、先生の指示に従って行なって下さい。くれぐれも素人判断はしないように! 

列記!! 食物アレルギーのご家族をお持ちの方々が調理や食事をする時のポイント16項!

 調理や食事に関する大事なポイントを参考までに以下に列記しました。

 確かに16項目はちょっと多く感じるかも知れませんが、大事なご家族のためです。
 出来ることからで構わないので、無理をせず、少しずつでもチャレンジしてゆきましょう! 
■ポイント1 アレルギーの原因になる食品を正しく知りましょう!

 食物アレルギーは、花粉症などの目に見えないものが原因となる場合とは異なり、原因となる食品を食べなければ発症しません。そのためには、“ご自分やお子さんが「何のアレルギー」なのか”を知ることがまず必要になります。
 上でも説明したように、経験や思い込みではなく、専門医の先生に相談して検査をしていただき、アレルゲンを自覚することが安全な食生活をおくる第一歩です。
■ポイント2 オススメ!!「食事記録」を付けましょう!

 次に、専門医の先生に相談してご自分やお子さんが食物アレルギーを持っていることが分かったら、今度は親御さんがお子さんの「食事記録」を付けましょう。
■アドバイス1 「食事記録」は大変有効です。この「食事記録」は、アレルゲンがまだ確定していない、或は食物アレルギーであるかどうかもまだ分らない時期にも、「これかも知れない」と気づくキッカケになったり、原因が分かってからでも食生活全体の把握や改善に役立ちますので、「食事記録」は特にオススメです。
食事記録の目的
□1 食物アレルギーを万一発症した時の原因の特定
□2 同じものを繰り返し食べないようにすること
□3 食生活の偏りや癖に気づくキッカケになること
□4 代替食物の多食をチェックすること
■アドバイス2  同じものを繰り返し食べると、以前は食べられたものでも新たなアレルゲンになってしまうことがあります。食生活の偏りを把握し、食べられるものの範囲を狭めないためにも食事の記録は大切です。
食事記録のつけ方
□1 食べたものはメニュー名だけでなく、素材や調味料・油など全て記入する
□2 おやつや飲み物・薬など口に入るものは全て記入する
□3 (関連がありそうな)簡単な出来事も記録する(旅行・運動会・帰省・海水浴など)
□4 その日の症状についても記録する(痒み・湿疹・下痢など)
あああ
■アドバイス3  食物に対して敏感にアレルギー反応を起こす方の中には、着色料や飲み薬の剤形保持剤に使われる澱粉やカプセルに使用されるゼラチンなどに反応する方もいますので、飲んだ薬などを記録することは大切です。 「食事記録」はその意味でもとても重要です。

■ポイント3 表示を必ず確認しましょう!

 下の「参考:パッケージをチェックしていますか?」で詳しく触れますが、
 平成14年4月1日より加工食品の特定原材料の表示義務化と推奨表示が始まり、アレルギー情報の開示が進みました。まずは、「一括表示」(※下記項目を参照)の原材料表示を確認して食料品を購入しましょう。さらに詳細な情報が必要な方は、メーカーのお客様相談室などに問い合わせるとよいでしょう。
■ポイント4 食経験のないものを食べる時は医師に相談しましょう!

 食べた経験のない食品を食べる時には、前項で説明した「表示確認」を必ず行ないましょう。
 食物アレルギーを起こしやすい方は、まずは医師に相談してから食べられることをオススメします。また、一度にたくさん食べることも控えた方がよいでしょう。
■ポイント5 同じ食材は1週間程度あけて利用しましょう!

 食べられる食品でも、毎日繰り返し大量に摂取すると、その食品に対しての抗体が出来てアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。たとえ子供の好物きでも、同じ食物ばかり食べさせないようにすることが必要です。そのため、同じ食材は上でオススメした「食事記録」を見ながら1週間程度間隔をおいて食べるようにしましょう(これを回転食と言います)。

※なお面倒ですが、この場合はメニューではなく原料のレベルで把握しておく必要があります。
  例:豆腐・味噌・きな粉・豆乳などは全て大豆なので、違うものであっても間隔を開ける、など。
■ポイント6 食材はなるべく加熱処理しましょう! するとアレルギーを起しにくくなります

 食材は加熱処理すると、アレルギーを起しにくくなります。

 食物アレルギーを起こす原因となるタンパク質は加熱すると変性し、アレルギーを起こしにくくなることが知られています。加熱調理することで食物アレルギーのリスクを軽減することが出来るのです。たとえばフルーツなども初めて食べる時は、シロップで煮るなどの工夫をする方がリスクを減らせますよ。
■ポイント7 油は出来るだけ控えること!

 食用油の過剰摂取はアレルギーの症状を悪化させると言われています。
 たとえば炒め物などもテフロン加工のフライパンを利用すると、油の使用量を減らすことが出来ます。また、油揚げや厚揚げは湯引きすると、余分な油を取ることが出来ます。試みてみましょう。
■ポイント8 調理器具や食器はよく洗いましょう!

 食物アレルギーは、アレルゲンを微量に摂取しただけで発症することもあると言われています。包丁やまな板・鍋などの調理器具や食器は努めてよく洗うように心懸けましょう。
◆注意:  最近始まった表示の義務化では、食品中に10ppm以上の特定原材料(卵・牛乳・小麦・ソバ・落花生)が含まれていた場合は表示しなければなりません。これは発症の危険を考えた値となっており、10ppmとは100,000分の1、つまり100kgに1gの特定原材料が入っていた場合でも表示しなければならないことになります。食物アレルギーはそれほど微量でも発症する可能性があるので、注意が必要です。

■ポイント9 鍋や煮物などで、食べられない食品をいっしょに調理しないこと!

 鍋や煮物などをする時、いくら区別できるとはいえ、アレルゲンとなる食材をいっしょに調理すると、誤って摂取してしまう危険性があります。たとえばおでんに卵を入れるような時は、食物アレルギーの方のものを先に取りおいた後で卵を入れるようにしましょう。
■ポイント10 「仮性アレルゲン」を避けましょう!

 ヒスタミンなどの化学伝達物質を多く含む食品(トマトやホウレン草・山芋・筍など)は食物アレルギーに似た症状を引き起こすことがあります。体調の悪い日や小さなお子さんは出来るだけ控えるようにしましょう。
◆注意:  最近始まった表示の義務化では、食品中に10ppm以上の特定原材料(卵・牛乳・小麦・ソバ・落花生)が含まれていた場合は表示しなければなりません。これは発症の危険を考えた値となっており、10ppmとは100,000分の1、つまり100kgに1gの特定原材料が入っていた場合でも表示しなければならないことになります。食物アレルギーはそれほど微量でも発症する可能性があるので、注意が必要です。

■ポイント11 帰省やお呼ばれの時は注意しましょう!

 よく事故が起こるのは、帰省やお呼ばれの時で、知らずに食事を出された場合です。
 事故を防ぐためにも、相手の方に親御さんの方から事情をよく説明して理解を深めておくことが肝要です。また、ハンディキャップは誰にでもあるものなので、遠慮したり恥ずかしがったりする必要はない、という事情を親御さんからお子さにもよくよく説明して充分に納得させておくことも大事です。
■ポイント12 外食の時は特に注意をしましょう!

 これは当然ですが、外食での寿司や焼き魚・炉端焼き・蕎麦・お刺身・ジュース・蜜豆・葛餅等アレルゲンとなる食事は避けるようにして下さい。
■ポイント13 複合調味料や香辛料は注意して利用しましょう

 表示制度が発足以来、以前より大幅に改善されたのも事実ですが、たとえばコショウに増量のソバが使用されていたり、ウスターソースを原料としたソースにカゼインが混入していたりすることもありました。また、魚醤などは海老(オキアミなど)を分別することが難しいので、やはり注意が必要です。
 そのため、香辛料や調味料は使い慣れたものを使用する方が無難です。内容に不安がある場合は、とにかくメーカーに問い合わせて確認して下さいね。
■ポイント14 家族全員が出来るだけ同じものを食べるようにしましょう!

 食物アレルギーのお子さんだけが他の家族と違う食事というのは、何か寂しいものをお子さんに感じさせる可能性も否めません。出来る範囲で構わないので、お子さんに疎外感を味合わせないためにも、ご家族全員が同じ食材で食事をするよう心懸けることも大切な心懸けです。
■ポイント15 何事も子供の努力を誉め、励ますようにしましょう!

 子どもだって食物アレルギーで苦労しているのです。親御さんもそのことを気遣って上げて、どんな些細なことでもよいからお子さんの努力を誉めて上げましょう。そして、色々と励まして上げましょう。ただし、これは間違いやすところですが、絶対に安易な同情はしないことが肝要です
■ポイント16 終わりに――肩の力を抜いて、出来ることからやってゆきましょう!

 以上、15項目にもわたって列記した個条書きを読んで、「これは大変だ! とてもじゃないが、やってれれないよ」と思われた方もいらっしゃると思います。もっともな感情だとは思いますがが、まずは出来ることから周囲の助けも借りながら地道にやってゆきましょう。

 また、わざわざ別のメニューにしなくても、途中まで共通の調理を行ない、お子さんの分を取りおいた後で卵を加えるなど、工夫次第で調理も色々と合理化できます。肩の力を抜いて、上手に食物アレルギーと付き合ってたいものですね! 
参考:食物アレルギーの予防法!〜家庭で、外出先で、やっておくこと〜

この項の最後として、ここでは保育園・幼稚園・小学校での親御さんの為すべき対策について解説しておきましょう。
 たとえばお子さんのお弁当ならば親御さんがが気遣うことも可能ですが、給食となるとそうもゆきませんよね。そこで、給食がある幼稚園や小学校などの場合は、まずは担任の先生や栄養士の方と相談して、自分のお子さんに合った食事を考えていただくことが重要になります。また、ソバ・アレルギーに見られるようなアナフィラキシー・ショック等が起こった場合の対策もきちんと立てておかなければなりません。それから、入園前・入学前にかかりつけのお医者さんとも相談して、“どの食品に対して食物アレルギーを起こすのか”、“本当に除去する必要があるのかどうか”をもう一度確認して、見直すべきところがあれば見直してゆくことが肝要です。

 子どもはとてもデリケートなので、他のお子さんと違う食事をするとか、一人だけお弁当を持参するといったことでも、場合によってはイジメ等の対象になりやすいといったことがあります。そこで、まず先生方はもちろんクラスメイトやそのご家族など周囲の方のご理解を得て、問題が起こらないような環境を作ってゆくことがとても大切なことになりますです。たとえば先般NHKのTV番組で、学校の給食と殆ど同じお弁当を除去食で作ってお子さんに持参させているお母さんのことが紹介していたことがあります。もちろんそこまでするのは大変なことですが、このような選択もあり得るということで、ここで参考までにご紹介しておきます。

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参考:パッケージをチェックしていますか?〜「食品表示」についてのアドバイス〜

 食品パッケージには添加物や使用している食材についての様々な情報が記入されています。
 この「食品表示」は、アレルギー疾患をお持ちの方には大変重要な情報ですので、この項を参考にして、食物アレルギーのご家族の調理などに充分に対処して下さい。
<義務品目>と<推奨品目>について〜食品表示は必ず確認を!

 近年、乳幼児から成人まで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増えており、ニュースなどでもよく知られているように、中には死に至るほど重篤な症状を起こす方もいます。そのため、食品中のアレルゲンに関する正確な情報の提供が必要となってきました。
 たとえばソバ・アレルギーなどに見られるような重篤なアレルギー症状が起きるのを避けるため、さらに、使われている食品などの表示を見ることで、“食べても大丈夫な加工食品を選びたい”といった消費者のニーズに応える形で、加工食品による食物アレルギーによるトラブルを防止するために、厚生労働省によって食品衛生法の改正が行なわれ、平成14年4月より加工食品のアレルギー表示制度がスタートしました。新食品衛生法では、卵や乳製品など5品目について加工・販売業者に食品表示を義務づけています。

 現在表示されているアレルギー物質には、「必ず表示されるもの5品目」「表示が勧められているもの20品目」があります。特に必ず表示される5品目には患者の数の多い卵と牛乳・小麦、さらに重篤な症状に至ることが多いソバと落花生(ピーナッツ)が指定されています。
必ず表示される品目 <義務品目>(5品目)
食物アレルギーの頻度が高いもの:卵・乳・小麦
食物アレルギーの症状が重篤のもの:そば・落花生(ピーナッツ)
これらの食品に関しては、少しでも入っていれば必ず表示をしなければなりません。
表示が勧められている品目<推奨品目>(20品目)
アワビ・イカ・イクラ・海老・蟹・鮭・鯖・オレンジ・バナナ・キウイフルーツ・桃・リンゴ・クルミ・牛肉・鶏肉・豚肉・ゼラチン・大豆・松茸・山芋

注意1:気をつけまよう! アレルゲンの食材が含まれていても表示されない場合があります

■注意!  必ず表示される5品目(義務品目)が含まれているにも拘わらず、パッケージに表示されない場合があるので注意が必要です。
まず表示されるものとは、
  • 予め箱や袋で包装されている加工食品
  • 缶や瓶詰めの加工食品 です。
一方、“表示されないので気をつけなければならないもの”は、
  • 店頭で計り売りされる総菜やパンなど、その場で包装されるもの
  • 注文して作るお弁当
  • 容器包装の面積が30平方メートル以下の小さなもの
表示される加工食品
予め箱や袋で包装されている加工食や、缶や瓶詰めの加工食品
表示されない加工食品
店頭で計り売りされるお総菜
パンなどその場で包装されるものや、注文して作るお弁当
容器包装の面積が30平方メートル以下の小さなもの
5品目(義務品目)は、タンパク質が微量でも含まれている場合は表示されます。
ただし、数mg以下/加工食品1kgの場合は表示されないので、注意が必要です。
ワンポイント:可能性表示の禁止
 今までとは逆に表記が禁じられている場合としては、確実な証拠がないのにも拘らず、「卵が入っているかも知れません」とか「卵が入っている場合があります」といったのような「可能性表示」は禁止されています。これは、このような実際に含まれていないかも知れないのに“含まれているかどうか分からない”ような表記を許すと、アレルギー患者の方が食べることが出来るものをいたずらに狭めることになる可能性があるからです。

注意2:アレルギー物質の表記名には幅があります

 繰り返しになりますが、アレルギー表示の対象には必ず表示される「義務品目」(5品目)と表示が勧められている「推奨品目」(20品目)とがあることを上で説明しました。しかし、たとえば義務品目である「卵」についても、製品の表記欄の書き方には別の書き方も認められています。これが「代替表記」と呼ばれるもので、たとえば義務品目の「卵」であれば、「たまご、鶏卵、あひる卵、うずら卵、タマゴ、玉子、エッグ」が認められています。つまりこれらの表記があるものは、卵アレルギーの方は食べないよう注意する必要があるということになります。

 さらに、当然アレルギー物質が含まれているであろうと類推できる特定の加工食品が表記されている場合、たとえば「卵」の場合であれば、「マヨネーズ、かに玉、親子丼、オムレツ、目玉焼、厚焼玉子、オムライス」等は改めて「卵」と記す必要はないことになっていますので、これも注意が必要です。また、醤油は「大豆」を使用していることが分かるので、大豆を省略して「醤油(小麦を含む)」或は「醤油(大豆・小麦を含む)」と書いてもよいことになっているので、これまた注意が必要になります。
参考:アレルギー表示の対象外食品例
 参考までに、“アレルギー物質と類似している食品成分で、法的にアレルギー表示の義務のないもの”について、ここで説明しておきましょう。

 たとえば、一例として義務品目の卵の場合で述べると、卵でも「魚卵や爬虫類卵・昆虫卵」等はアレルギー表示の対象外食品例となっています。また、推奨品目の例として「海老」の場合、「伊勢エビ、うちわエビ、ザリガニ(ロブスター)、シャコ類、アミ類」もアレルギー表示の対象外食品例となっています。

※なお、上記のような「アレルギー表示の対象外の食品成分」に関して心配を感じる消費者は、面倒でも、製造・販売者に問い合わせをして安全を確かめてから購入するようにして下さい。

参考:知って安心豆知識

 食物アレルギーに関する「義務品目」(5品目)と「推奨品目」(20品目)意外にも知っておくと便利な「表示用語」に関して、参考までに取り上げてここで解説しておきました。
★知って安心豆知識1:食品の表示欄に表示される用語の解説

 参考までに、食品の表示欄に表示されるもののうち耳慣れないものを以下で説明します。
タンパク加水分解物:
 肉や魚・大豆・小麦・トウモロコシなどのタンパク質をペプチドからアミノ酸まで分解したもので、うまみ調味料として使用されます。酸分解法と酵素分解法があります。

でんぷん:
 多糖類の一種で、水に溶いて加熱すると糊状になります。ジャガイモや葛・トウモロコシ・小麦・サツマイモ・米・サゴヤシ・キャッサバなどを原料に作られています。

ゼラチン:
 タンパク質の一種で、水溶性のコラーゲン。水に溶いて加熱したあと冷やすと固まります。主に牛や豚・鶏などから作られ、ゼリーなどのお菓子の他、ハム・ソーセージなどの結着剤としても使用されます。

カゼイン:
 牛乳に含まれる主なタンパク質で、熱には凝固しにくい反面、酸で固まる性質があります。カゼインナトリウムは結着性に優れているので、アイスクリームやソーセージ類・お菓子・パンなどに使われています。

増粘多糖類:
 草木や海草などから抽出した多糖類で、増粘剤や安定剤として使われます。粘性があるので、お菓子やドレッシング・練り製品・アイスクリームなどに使用されています。グアーガムヤカラギーナン、キサンタンガム、ペクチンなどがよく使われます。

レシチン:
 代表的なリン脂質で、卵黄や大豆から取ったレシチンが乳化剤として使われます。

乳化剤:
 混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状またはクリーム状にする添加物で、卵黄や大豆・牛脂から作られます。牛乳から作るものではありません。


★知って安心豆知識2:食品業界で使用される用語の解説

 参考までに、食品業界で使用される耳慣れない用語等を以下でご説明します。
副材:
 添加剤や調味料などを使いやすくしたり安定化させるために、溶かしたり固めたりするもので、油脂加工品やでんぷん加工品などがよく使われます。

キャリーオーバー:
 材料として加工品を用いた場合、それに含まれている添加物のことで、最終製品ではそれ自体の働きは失っています。
 ※これはアレルギー表示の対象となります。例:クッキーに使用したマーガリンに含まれる乳化剤。

加工助剤:
 加工食品を製造する過程で使われる添加物のことで、最終製品にはほとんど残らず、残ったとしてもそれ自体の働きは失っています。
 ※これもアレルギー表示の対象となります。例:油を抽出する時に使う溶剤。

コンタミネーション:
 食品を製造する時に機械や器具からアレルゲン(アレルギーを起こす原因となる物質)が意図せずに混入することを言います。

由来:
 食品や原材料が何からできているかを表す言葉です。

レシチン:
 代表的なリン脂質で、卵黄や大豆から取ったレシチンが乳化剤として使われます。

乳化剤:
 混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状またはクリーム状にする添加物で、卵黄や大豆・牛脂から作られます。牛乳から作るものではありません。


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まとめとして〜必ず治る病気と信じて、気長に対処してゆきましょう!〜

 以上、食物アレルギーに関して大変詳しく解説してまいりましたが、
 食物アレルギーは上手に対応してゆけば必ずしも怖いものではありません。原因を正しく診断して必要最小限の食物除去を常に心懸け、生活の質をよく保ち、適切に対応すれば、食物アレルギーは克服することが出来る病気なのです。
 特に赤ちゃんの時期に発症した食物アレルギーは適切な対応で改善してゆくことが多いので、常に“この食べものの除去は今も必要なのか、解除できるのか”といったことを見直してゆくようにしましょう。また、かかりつけのお医者さんだけでなく、定期的に専門医のアドバイスも受けるように心懸けて下さい。

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