睡眠と健康〜どうして眠らないといけないの?〜 |
不眠や快眠のためのアドバイスを行なう前に、本項では、人間にとって睡眠が如何に大切なものか、知っておくべき睡眠のメカニズムについて簡単に解説しておきました。
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なぜ人は眠るのか?〜睡眠は体と心の休息〜 |
皆さんもご経験のことと思いますが、「あ〜良く眠れた」と思った時きにはすっきりと目覚めて爽快な朝を迎えられます。これは、睡眠中に体と心の疲れが完全に回復した証拠です。
まずは本節では、睡眠が人間にとって如何に大事な営みであるかについて解説してゆきます。
ヒトは脳のために眠る |
睡眠は身体の休息はもちろん、脳が休息するための大切な時間です。身体の疲れは横になって身体を休めるだけでもある程度回復できますが、意識や知能・記憶など知的活動を行なう大脳は、起きている限り休息することは不可能です。睡眠は脳を深く眠らせて精神的な疲労を回復する大切な営みなのです。
脳が活動している時、脳細胞は様々なホルモンを分泌しますが、働き過ぎるとホルモンの使いカスのような物質がたまってゆきます。このような物質は疲労物質と呼ばれ、その中には睡眠物質も含まれています(※これまでに20種類以上の睡眠物質が発見されています)。そして、それらは脳の働き過ぎにフィードバックをかけて休息させる役割があります。頭を使い過ぎて眠くなるのはこのためです。さらに人間が活動するためにはエネルギーが必要ですが、睡眠は無駄な動きを抑えて新陳代謝を減らし、エネルギーを節約する働きもあります。つまり、睡眠は人間が心身ともに健康な状態を保つために欠かせないものだということになります。
言ってみれば、睡眠は身体と脳の再生工場のようなもの。私たちは心と身体の健康を保つために眠る必要があるのです。
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「寝る子は育つ」は本当! |
心身ともに成長著しい子どもは大人以上に睡眠が必要です。深い睡眠の時間帯に成長ホルモンがたくさん分泌されること分かっていますが、成長ホルモンは細胞の新陳代謝を促して皮膚や筋肉・骨などを成長させたり、日中の活動で傷ついた筋肉や内臓などを効率よく修復する働きがあります。昔から「寝る子は育つ」と言いますが、このことを表わしていたのでしょう。さらに明け方近くには、副腎皮質ホルモンの血中濃度が高まりますが、このホルモンはストレスを和らげげてくれる働きと体内でエネルギーを作り出す働きがあります。
最近キレやすい子どもの増加が問題になっていますが、子どもの睡眠不足とキレやすさの間には、脳の神経のバランスを取るセロトニンという物質を介して深い関係があります。つまり、[夜更かし→朝寝坊→朝食抜き→日中の運動量の低下→セロトニン不足→攻撃性の増強→キレる]という図式です。子どもにとっても睡眠は、このように本当に大事なことなのです。
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人の体内時計と睡眠リズム |
私たちは夜になれば眠り、朝になれば目覚めるという一定のリズムを毎日繰り返しています。この一定のリズムのことを「サーカディアンリズム」と言い、この指令を出しているのは脳です。肉体的な疲れはもちろん、脳の疲労回復のために脳自身が「眠って休め」という指令を送っていると考えられています。
なぜ夜に眠るのでか。それは私たちの体内には「体内時計」が備わっているためですが、この時計は人間だけでなく全ての生物が持っているものです。かつて生物は海で発生し、潮の満ち引きのリズムに乗って生活していましたが、やがて陸上で生活するようになった生物は太陽の光を手掛かり活動するようになります。このような太古からの遺伝子が今もなお身体に組み込まれているため、太陽が昇る昼間に活動し、沈んだ夜には眠るというリズムを繰り返しているのです。
■参考: |
25時間の体内時計 |
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現在サーカディアンリズムは約25時間と言われています。25時間のままのリズムだと2週間程度で昼夜が逆転してしまう計算になりますが、朝の自然な光がそのズレを調整していることが分かっています。朝の光を15分浴びることでメラトニンなどの脳内の睡眠誘発物質が消滅し、体内時計がリセットされているのです。
ちなみに、地球の自転が24時間で1回転なのに対し、なぜヒトの体内時計は25時間であるのか、その決定的理由はまだ明らかになっていませんが、しかし季節の変化や日照量の変化に適応するためという説が一般的です。もしもヒトの体内時計がきっちり24時間だったとしたら、氷河期などの突発的な環境の変化など不測の事態に対応できなかったかも知れません。1時間のタムロスのお蔭で今日の人類の繁栄があると言ってよいかも知れません。 |
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睡眠のメカニズム〜レム睡眠とノンレム睡眠〜 |
私たちが起きたり寝たりというリズムを毎日繰り返しているように、睡眠にもリズムがあります。睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という質の違う2つの眠りがありますが、睡眠中はこの2つ眠りが1セットとなって、一晩に4〜5回、一定ののサイクルで繰り返されています。質のよい眠りのために必要な「深い眠り」が得られるのはこのセットの1〜2回目で、3セット目以降は眠りそのものが段々浅くなり、目覚めに向かいます。
レム睡眠〜身体の眠り〜 |
レム睡眠のREMとはRapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字を取ったもので、1953年にシカゴの大学院生によって発見されました。
レム睡眠は10〜20分程度の短い眠りです。このとき筋肉は弛緩し、揺すったぐらいでは起きないほどよく眠っているため「からだの眠り」と言われています。ちなみに、夢を見るのはレム睡眠の時と言われています。
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レム睡眠の特徴: |
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- 眼球がきょろきょろ動く
- 身体の力が完全に抜けている
- 呼吸や脈拍が不規則
- 夢を見る
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ノンレム睡眠〜脳の眠り〜 |
ノンレム睡眠とは、床に就くと直ぐに現われる眠りで、「脳の眠り」とも言われまています。一般に深い眠りと解釈され、身体も脳も眠っている状態のことを言います。脳波はゆっくりとした波を描き、その変化によって眠りの深さは4段階に区分されます。[うとうとした眠り→浅い眠り→中くらいの眠り→深い眠り]と進んだ後、逆に眠りが浅くなっていき、その後短いレム睡眠が現われます。ノンレム睡眠は1時間〜1時間半ほどかかります。
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ノンレム睡眠の特徴: |
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- 入眠直後に現われる
- 夢は殆ど見ない
- 夢は殆ど見ない
- 眠りが深くなるに従って呼吸回数・脈拍が少なくなる
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あなたを襲う睡眠障害〜睡眠障害の種類と治療法〜 |
不眠症を始め様々な睡眠障害で悩む人が最近増えています。本項では様々な睡眠障害について詳しく解説し、合わせてその治療法についても簡単に紹介しました。
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日本人の5人に1人は不眠で悩んでいる |
24時間型の生活習慣による生活リズムの乱れやストレスに満ちた社会を反映して、昨今不眠に悩まされる人が増えているようです。
たとえば厚生労働省が行なった睡眠に関する調査によると、睡眠に関する問題で困った経験を持つ人は36.4%(女性39.3%、男性32.4%)、また現在睡眠に関する問題を抱えて困っている人は19.6%(女性20.3%、男性18.7%)と、現代人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えていることが分かっています。さらに、この中で悩みが1ヶ月以上持続している人は11.7%と、何と10人に1人が長期の不眠で悩んでいるという深刻な状況が浮かび上がっています。
また、20歳以上の3030名を対象にしたある調査においても、「睡眠で十分に休養が取れていない」という人が23.1%に達し、特に20〜40歳代の働き盛りの年代に多く見られました。その理由としては、多忙により睡眠時間が十分に取れないという社会生活上の理由が最も多く、次に多かったのが精神的ストレスでした。
家庭、学校、職場、ありとあらゆる場所でさまざまなストレスにさらされている現代人にとって、いまや「不眠」は生活習慣病の一つといえるかもしれません。
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あなたの睡眠レベルをチェックしよう! |
あなたは最近、よく眠れていますか? 先にも触れた通り、日本人の5人に1人は不眠で悩んでいると言います。ここで、あなたも自分の現状を知るために、世界共通の不眠症の判定基準である「アテネ睡眠尺度」であなたの快眠度をチェックしてみましょう。あなたは合計いくつ当てはまりましたか?
睡眠についての悩みがあるのだけれど、病院に行くほどではないと思っている。自分が不眠症かどうか、よく分からないでいる。そんなあなたは、下にある8つの設問に答えてください。次に示す項目で過去1ヶ月間に少なくとも週3回以上経験したものについて、あなた自身が感じた「睡眠のトラブル」の程度を選んで下さい。
A |
寝つきは?(※布団に入ってから眠るまで要する時間)
〜入眠障害のチェック〜 |
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□(0点) |
寝つきはよい |
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□(1点) |
少し時間がかかった |
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□(2点) |
かなり時間がかかった |
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□(3点) |
非常に時間がかかった、又は全く眠れなかった |
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B |
夜中に途中で目が覚めることは?〜中途覚醒のチェック〜 |
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□(0点) |
問題になるほどではなかった |
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□(1点) |
少し困ることがあった |
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□(2点) |
かなり困っている |
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□(3点) |
深刻、又は全く全く眠れなかった |
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C |
起きたい時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?
〜早朝覚醒のチェック〜 |
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□(0点) |
そんなことはなかった |
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□(1点) |
少し早かった |
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□(2点) |
かなり早かった |
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□(3点) |
とても早かった、又は全く眠れなかった |
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D |
Q4:総睡眠時間は? |
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□(0点) |
十分である |
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□(1点) |
少し足りない |
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□(2点) |
かなり足りない |
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□(3点) |
全く足りない、又は全く眠れなかった |
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E |
Q5:全体的な睡眠の質は?(※睡眠時間の長さに関わらない)
〜熟眠障害のチェック〜 |
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□(0点) |
満足している |
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□(1点) |
少し不満 |
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□(2点) |
かなり不満 |
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□(3点) |
非常に不満、又は全く眠れなかった |
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F |
Q6:日中の気分は? |
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□(0点) |
いつも通り |
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□(1点) |
少し滅入った |
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□(2点) |
かなり滅入った |
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□(3点) |
非常に滅入った |
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G |
Q7:日中の活動(身体的及び精神的)は? |
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□(0点) |
いつも通り |
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□(1点) |
少し低下 |
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□(2点) |
かなり低下 |
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□(3点) |
非常に低下 |
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H |
Q8:日中の眠気は? |
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□(0点) |
全くない |
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□(1点) |
少しある |
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□(2点) |
かなりある |
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□(3点) |
激しい |
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■ |
【結果】〜チェックした項目の合計点は?〜 |
□ |
4点未満 |
睡眠障害の心配は不要です。 |
□ |
4〜5点 |
不眠症の疑いが少しあります。できれば医師に相談しましょう。 |
□ |
6点以上 |
不眠症の疑いがあります。専門医に相談することをオススメします。 |
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※ |
「アテネ不眠尺度(AIS)」とは、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、客観的に不眠度を測定することができます。 |
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睡眠障害とは?〜その種類と特徴〜 |
「睡眠障害」とは、人間の睡眠と覚醒に関連する様々な病気の全ててを指す用語で、いわゆる不眠症もこの中に含まれます。
上でも触れた通り、睡眠は毎日の健康な生活に欠くことのできない重要な働きをしています。しかし最近は、現代社会のストレスの増加によって、いくら努力しても「眠れない」人、すなわち不眠症の人達が増えています。またその一方で、仕事や娯楽などのために夜になっても「眠らない」人たちも増えています。これには、近代文明の発達と共に夜間に目覚めて作業を続けなければならない職業が増えてきたという背景があります。電車や航空機などの交通機関、新聞やテレビなど報道機関、医師や看護婦などの医療機関、警察・消防その他保安機関などで働く人達は、本来なら眠っているはずの時間帯に目覚めて活動しなければなりません。このような夜間勤務者の場合には、昼間に睡眠をとろうとしても生体リズムに逆らうことになり、また光や騒音など外部の環境に影響され、どうしても眠りが不充分になります。さらに現代社会のもうひとつの大問題は高齢化社会です。高齢者に不眠が多いことは周知の通りで、それは高齢者の不眠が家族や介護の人達の不眠にもつながるものです。
そればかりではありません。睡眠には「眠らない」「眠れない」という不眠の問題とともに、その一方で、いくら眠っても眠り足りない、昼間にもウトウト眠ってしまうというような睡眠の過剰、すなわち「過眠」と呼ばれる問題もあります。これは、前に述べた夜に充分に眠れないために昼間に睡眠を持ち越すことが原因ですが、それ以外にも過眠症と呼ばれる病気があります。このような昼間の過眠の問題は、頭がすっきりしない、疲労が蓄積して充分活動できないなど本人の生活上の問題であるばかりでなく、居眠りや不注意による交通事故や作業ミスにつながるものです。
さらにこれらの他に、睡眠中に起こる寝ぼけや心臓発作、突然死などの睡眠時随伴症の問題もあります。お年寄りの寝ぼけは転倒を招きやすく、骨折や頭部外傷による二次的な問題を多く引き起こします。不整脈や心筋梗塞などが睡眠中に起こりやすいことも知られており、睡眠中の異常現象を早期に見つければ重篤な障害を予防できる可能性が指摘されています。
このような多種多様な睡眠に関連した病気を一括して「睡眠障害」と呼びます。しかし、これらの睡眠障害をひとつの科だけで扱うのは困難なため、精神科・神経内科・内科などの専門家が共同して睡眠障害や睡眠中に起こる身体症状などの臨床と研究を行ない、診断や治療法開発を進めていますが、こうした医学分野を特に「睡眠医学」と呼びます。ちなみに、1990年につくられた国際診断分類睡眠障害の診断分類では77種もの病気が挙げられていますが、下の表でも詳しく紹介するように、睡眠障害は大きく分けて、(1)不眠症を示す群、(2)過眠症を示す群、(3)生体リズムの異常による群、(4)睡眠中に起こる好ましくない症状(睡眠時随伴症)を示す群の4つに分けて考えられています。
■睡眠障害の種類と特徴 |
□1 |
不眠症: |
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睡眠の開始と維持が障害された状態を言います。いわゆる「不眠症」の代表的な症状には、(1)入眠障害、(2)中途覚醒、(3)早朝覚醒、(4)熟眠障害が挙げられます。その他、病気の治療薬による副作用として生じる不眠や身体疾患による不眠、精神疾患による不眠、痴呆を含む脳器質性疾患による不眠などがあります。 |
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□2 |
過眠症: |
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昼間に強い眠気があり、一度眠ると自然に覚醒(目を覚めること)できにくい状態を言います。特にナルコレプシーという病気に代表される睡眠障害で、症状としては、危険な作業中や食事中でも耐え難い眠気に襲われ、眠り込んでしまいます。 |
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□3 |
睡眠リズムの異常(概日リズム睡眠障害): |
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睡眠と覚醒には約25時間の周期で変化するリズムがありますが、このリズムに変化が起きてしまい、夜に眠れなくなってしまう状態を言います。これは体内の活動と休息のリズムが昼夜のリズムや社会の活動リズムと一致しないために起こる睡眠障害で、一般的には「時差ぼけ」と呼ばれる症状に代表されますが、その他、交代勤務制によるものや遅寝遅起きを繰り返した結果、昼夜が逆転してしまう「睡眠相後退症候群」などもあります。 |
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□4 |
睡眠中の行動による不眠: |
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夜驚や悪夢、イビキなど睡眠中の行動によって睡眠が障害される状態を言います。特に代表的なものが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。これは途切れがちに続く大きなイビキが特徴で、10秒以上の呼吸停止が一晩に数十回以上起こり、睡眠が中断されます。高血圧や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを合併するケースもあります。 |
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□5 |
その他の不眠: |
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その他、足の関節や膝の間などにムズムズした感覚があるために入眠が妨げられる「むずむず足症候群」や、一般的に「寝ぼけ」と呼ばれる睡眠時遊行症(夢遊病)などの症状も睡眠障害のひとつと考えられています。 |
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不眠症とは?〜その種類と特徴〜 |
不眠症とは、その人の健康を維持するために必要な睡眠時間が量的或は質的に不足し、そのため社会生活にも支障を来したり、自覚的にも悩んでいる状態であるということができます。
ただここで注意すべきことは、睡眠時間がたとえ4〜5時間程度でも、本人が満足し、昼間に正常に活動できるならば不眠症とは言わず、これは単なる「短時間睡眠者」ということになります。また、心配事や悩みがあって眠れない、または「枕が変わると眠れない」というように旅先や引越し先などで眠れなくなったという経験は誰でもあるでしょうが、このような一時的な環境の変化や心理的ストレスなど特別な出来事があった時に数日間眠れないものを「一過性不眠」と言い、やや長く続くストレスで1〜3週間に渡って不眠が持続するものを「短期不眠」と言います。これらは一時的な発熱などの身体的要因や時差ぼけなどの生理的要因によっても起こるもので、原因が分かればそれを解決することで不眠は改善されるので、専門的な治療の必要がないことも多いものです。
その一方で1ヶ月以上の本格的な不眠を「長期不眠」と言い、内科疾患(喘息や心不全など)や精神科疾患(うつ病や不安障害など)が背後に隠れている場合もあり、病院で診察を受け、適切な治療を受けることが必要となります。また、内科疾患や精神科疾患に伴う不眠の他、最も多いのは精神的緊張や不安によって引き起こされる不眠で、これは「精神生理学的不眠」とも呼ばれています。
なお、精神生理学的不眠は、(1)「慢性の精神的緊張・不安」と(2)「条件づけ(条件反射)」という2つの要因によって起こると考えられています。
まず「不眠の原因となる精神的緊張や不安」とは、はっきりした不安として自覚的に感じるというよりは身体的な生理的現象として現われる症状で、落ち着きがなくなるとか、筋肉が緊張して頭痛や肩こりが出たり過度の覚醒として現われます。多くの人はこのような不眠の原因に気づかず、自分の体質のせいだと考えていることが多いようですが、学校や仕事のない週末にはよく眠れる場合も多いことから精神的緊張が不眠の原因であることが分かります。
また、一方の「不眠の原因となる条件づけ」とは、「今晩は眠らなくては」と努力すればするほど眠れなくなるといったことがあるように、毎晩「眠れるかどうかを心配すること」が不眠の要因になります。すなわち、眠ろうと意識的に努力することで神経が興奮して中枢神経系に覚醒状態が起こり、却って逆に眠れなくなるという悪循環を繰り返し、ますます眠れなくなるのです。しかし、このような人もいったん起きてテレビを見たり読書をしていると自然に眠くなることがあるものです。 このような精神生理性不眠の人の中には、実際以上に不眠に対してこだわりが強く、不眠を強く意識して悩み訴える場合もあるわけですが、このような場合は、不眠の訴え(自覚的不眠)は強いのに、実際の不眠(客観的不眠)は比較的軽いということがあります。もっとも他人から見れば「眠っている」と思われる人も、本人が「不眠症だ」と思っているなら、間違ってもそれはよい眠りとは言えません。何れにせよこの点について、不眠を訴えている人に対して「心配のしすぎ」とか「気持の持ち方」などと軽く片づけてしまうことは何の解決にもなりません。家族も医師も患者の訴えをよく聞いた上で、本人と協力して睡眠状態を明らかにしてゆく適切な治療へ導くことが大切です。
さて、下の表でも詳しく紹介するように、不眠症の症状としては、(1)中々寝つけないという「入眠障害」、(2)或は夜中に何度も目覚めてしまう「中途覚醒」、(3)朝早く目覚めて、まだ睡眠が足りないにも拘わらず眠れないというような「早朝覚醒」、(4)眠りが浅くて熟眠できない「熟眠障害」などが挙げられます。また、上でも述べたように、“このような症状がどのくらい続いているか”によって不眠の持続期間をチェックします。
■不眠症の種類と特徴 |
□1 |
入眠障害〜布団に入っても中々寝付けないタイプ〜 |
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眠ろうとしても中々眠れないという、いわゆる「寝つきが悪い」ケース。眠ろう思って布団にに入ってから実際に眠りにつくまで一般的にに30分以上を要し、それを本人が苦痛と感じていれば入眠障害の疑いがあるとされます。心配事や精神的ストレス、睡眠にこだわりを持っている人などで起こりやすくなると考えられています。何れにせよ、横になってから実際に寝つくまでの時間には個人差がありますが、寝付くまでに30分以上かかる日が何日も続くとなると、「眠らなくては」という意識が強くなり、一層眠れなくなってしまうことが多いようです。ちなみに日本睡眠学会で発表された「睡眠実態調査2002」では、「床に入ってから眠りにつくまでの時間」を30〜60分と答えた人が全体の約3割を占めていたとされます。また、日本では成人の8.1%がこうした寝つきの悪さを経験していることが示されていますが、年齢による差は特にないようです。 |
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□2 |
中途覚醒〜夜中に何度も目が覚めてしまい、再び寝つくのが難しいタイプ〜 |
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夜中に何度も目が覚めてしまう症状で、飲酒や夜間の頻尿、むずむず脚症候群など睡眠を妨げる身体的な原因がある場合に起こりやすくなります。睡眠障害のタイプの中でも特に多いタイプで、日本では成人の15%が中途覚醒の不眠を経験しているとされています。特に高齢者に多く見られ、60歳以上になると20%以上の方が中途覚醒を訴えています。なお、最近では慢性的な運動不足の若い世代にも見られることが多くなりました。 |
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□3 |
早朝覚醒〜朝早く目覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプ〜 |
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朝早いうちから目が覚めてしまう、起きようと思っている時刻よりもずっと早くに目が覚めてしまい、それ以降眠れなくなってしまう症状。日本では成人の7.9%が早朝覚醒の不眠を経験しています。一般に特に高齢者でよく見られる症状ですが、これはうつ病の初期にもみられる症状なので、うつ病患者が増加している現代では最近は若い世代にも見られます(※この場合はうつ病の初期症状と考えられる場合もありますので、注意が必要です)。 |
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□4 |
熟眠障害〜睡眠時間の割りには、朝起きた時にぐっすり眠った感じがしないタイプ〜 |
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一定の睡眠時間は確保できているものの熟睡できたという満足感が得られず、心身の疲労も回復できない症状で、一般的に「眠りが浅い」と感じる状態を言います。これは、寝ついたにも拘わらず途中で何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」が原因となっている場合があります。ただし、尿意や夢を始めとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。また、「睡眠時無呼吸症候群」や「むずむず足症候群」などの病気が原因であることも考えられます。そのため、中途覚醒の自覚のあるなしに関わらず、「ぐっすり眠った」「熟睡した」という感覚が得られない場合は熟眠障害を疑ってみる必要があります。
※ちなみに健康な人の場合、よく眠ったという熟睡感は深いノンレム睡眠の量と相関するとされています。ですから、睡眠時間は確保できていてもノンレム睡眠の量が少ない、つまり脳が深く眠っている時間が少ない場合には、「ウトウトしただけで一晩中殆ど寝ていない」という感覚を覚えるのです。 |
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□5 |
その他 |
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その他、女性特有の不眠もあります。女性の睡眠は女性ホルモンに左右され、生理前には黄体ホルモンの作用により日中の眠気が強くなることがあります。妊娠中にも眠気が強くなるのも同じ理由です。反対に加齢と共にホルモンバランスが乱れ、卵巣の機能の低下に伴って女性ホルモンの分泌が減少すると眠りが浅くなってしまうこともあります。さらに更年期を迎えると、中途覚醒などの睡眠障害を訴える人が増えてきます。家事や育児でのストレスに加えて働く女性も増え、仕事上でのストレスを抱えることも多くなりました。女性ホルモンと共に、こうした精神的な問題も睡眠障害には関係しています。 |
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不眠症の原因〜焦らず理由を突き止めよう!〜 |
5人に1人が睡眠不足を訴える現代。眠れない日々が続くと、「このままどうにかなってしまうのでは?」という恐怖感に陥ることもあるでしょう。しかし、ひと言で「眠れない」と言っても原因は様々です。「眠れない」ことそのものに集中し、闇雲に恐れるのではなく、その原因をまず考えてみましょう。そして、もしも必要ならば専門医を訪ねましょう。特に急増している「うつ病型」の場合は注意が必要です。
あなたは本当にぐっすり眠っているでしょうか?
■不眠症の原因 |
□1 |
神経症型: |
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不眠症の中で最も多いのがこれ。これは一種の不眠ノイローゼで、本当の意味での不眠ではありせん。寝つきが悪いため、お茶を飲んだり本を読んだり、しばしばトイレに行ったり、昼間には昼寝をしたりしている人も多いが、一度眠るとたっぷり眠っていることが多くあります。これは就寝と起床の時間をきちんと決めるだけでも改善が望めます。 |
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□2 |
うつ病型: |
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これが本物の不眠症です。寝つきは比較的よいが、2〜3時間すると夜中に目が覚めて苦しい思いをする。憂鬱やイライラ、ぼんやりする、食欲不振、胃腸不良、急にやせる、手足の冷えや熱、自殺願望などのうつ病の症状が見られる場合は、早めに専門医に相談しましょう。とにかく原因のうつ病を改善することが先決です。 |
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□3 |
睡眠・覚醒リズム障害によるもの: |
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何らかの理由によって、1日24時間で身体を整える体内時計が故障したことによる睡眠異常です。昼間猛烈に眠くなったりする場合はこの障害である可能性が高いといってよいでしょう。
⇒詳しくは「参考:最近増えている睡眠=覚醒リズム障害」を参照 |
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□4 |
睡眠時無呼吸によるもの: |
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睡眠中に呼吸が抑制され、眠りが浅くなっていることから起こる不眠症です。肥満や顎の異常、扁桃腺肥大、睡眠薬・アルコールなどが原因として考えられます。
⇒詳しくは「参考:危ないイビキ〜心配な睡眠時無呼吸〜」を参照 |
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□5 |
循環器疾患によるもの: |
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高血圧やアレルギー・心臓疾患・泌尿器疾患・胃腸障害・肝疾患など内臓に慢性的な生活習慣病を抱えている場合、その異常を伝える信号が絶えず脳に送られ続け、脳は緊張し睡眠は浅くなることがあります。生活習慣病は、ひどくなるまで本人は中々気づかないものです。できれば健康診断などを受けてみるのもよいでしょう。 |
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□6 |
脳の病気によるもの: |
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脳動脈硬化症や脳卒中後遺症、認知症も不眠を併発することが多くあります。問題は意識障害なので、その治療を進めることになります。 |
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□7 |
睡眠環境によるもの: |
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寝ている間の騒音や光、身体によくない寝具などにより無意識に熟睡を妨げられていることは多くあります。一度再点検をしてみましょう。 |
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参考:高齢者に多く見られるむずむず脚症候群 |
布団に入って眠りかけた頃に下肢のあたりに虫が這うような不快感や痒みなどで眠りが妨げられる病気を「むずむず脚症候群」と言います。下肢を動かせば症状はいったん収まりますが、寝ようとするとまた異常感が出てきます。高齢者の代表的な睡眠障害とされますが、慢性腎不全や鉄欠乏性貧血などの病気がある場合に起こりやすいとされています。高齢者の代表的な睡眠障害に「むずむず脚症候群」があります。むずむず脚症候群は、治療を行なえば完全に、或は睡眠に困らない程度に治る病気ですから、治療をした方が勝ちです。特に下の表に挙げてある病気があって、日中の強い眠気や夜間の中途覚醒時に下肢のピクツキを感じる場合は特に専門医に診てもらうことをオススメします。
下記に病気の特徴をまとめましたので、「もしや」と思われる方は早めに専門医に診てもらって治療を受けましょう。
■むずむず脚症候群の特徴 |
■症状: |
- 下肢を中心(深部に多い)とした感覚の異常:痒い、痛い、むずむずする、だるい、など
- 寝ている姿勢又は座っている姿勢で起こる
- 布団に入って眠る前もしくは寝入りばなに起こりやすい
- じっとしていられず、常に動かしたいという強い欲求を感じる
- 動かすことで症状が楽になる
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■部位: |
- 太腿やふくらはぎが多い
- 腹部や腕、顔に起こるケースもある
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■持続時間: |
- 個人差があり、30分の人もいれば3〜4時間持続する人もいる
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むずむず脚症候群を起こしやすい病気と症状: |
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- 慢性腎不全(透析中)
- 鉄欠乏性貧血
- ビタミンB欠乏症
- 胃切除後
- 妊娠中
- パーキンソン病 など
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参考:最近増えている睡眠=覚醒リズム障害 |
夜寝つかれず朝起きられないため、しばしば学校や職場に遅刻したり、生活リズムの狂いが原因で欠勤したりする。そして、時間的制約が少ない職種への転職或は退職を余儀なくされる。自分の意志ではどうすることもできないのに、周囲からは「怠け者」「無気力者」などのレッテルを張られてしまうなど、生体時計の故障による問題が最近増加してきています。このように生体時計の障害によって引き起こされる睡眠障害は「睡眠=覚醒リズム障害」または「概日リズム睡眠障害」といって、最近注目されるようになってきた現代病です。治療としては時間療法や睡眠薬の他、生物時計に直接働きかける光療法、ビタミンB12やメラトニンの投与が試みられています。
現代人を襲う睡眠=覚醒リズムの異常〜昼間異常に眠くなるアナタは要注意!〜 |
睡眠=覚醒リズム障害とは、何らかの理由によって生体時計が故障し、外界の昼夜24時間のリズムに合わなくなった状態と考えられています。
人間のカラダの中には、1日25時間の単位で、起床・活動・睡眠のリズムを作りだす体内時計が備わっています。自然に近い生活をしていれば、その時計の働きで、夜は眠くなり、朝は自然と目が覚めるものですが、何らかの理由で体内時計が狂い出すと、朝起きれないとか昼にとても眠くなるなどで、24時間単位で動く通常の社会生活は送れなくなってしまいます。そして、そうなると退職や転職を余儀なくされることにもなります。不眠を訴える人の多くが、こうした睡眠・覚醒リズム障害に陥っています。なお睡眠=覚醒リズム障害は、発症前から夜型の生活をしてきた人が圧倒的にかかりやすいと言われています。塾や遊びで深夜まで起きている現代の子どもたちが大人になる頃には更に多くの日本人がこの病気で苦しんでいるかも知れません。このタイプの睡眠障害を抱える人のこの数は今後さらに増加していくものと考えられます。
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様々なタイプの症状〜アナタはどのタイプ?〜 |
それでは、睡眠=覚醒リズム障害とは具体的には一体どんな病気なのでしょうか? 睡眠=覚醒リズム障害には様々なタイプがありますが、比較的発症頻度が高いのが次の3つです。
□1 |
宵っぱりの朝寝坊型:眠相後退症候群 |
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これは、睡眠時間帯が通常から大きくズレてしまい、朝方に寝入り、放っておかれると昼近くまで寝ている。すなわち睡眠時間帯が遅い時間に後退したまま固定化した状態です。分かりやすく言えば、夜勤や受験勉強などがキッカケで深夜まで起きている生活が習慣化し、いったん習慣化した入眠時間が固定化して直すことが難しくなっている状態です。本人は怠けたり無気力なわけではないのですが、朝どうしても起きられず、通常の社会生活が困難になる通常の社会生活が困難になるケースが多く見られます。 |
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洞窟生活型:非24時間睡眠=覚醒症候群 |
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これは毎日少しずつ睡眠時間帯が遅くなってゆくタイプの睡眠障害で、身体に元々備わった25時間周期のリズムを24時間に合わせることができない状態です。
光の届かない洞窟で生活すると、人間は25時間を1日として生活しだすという実験を聞いたことのある人もいるでしょう。それは人間に元々備わっている周期は25時間単位だからで、それを体内時計が調整することで1日24時間に合わせているのです。しかしその調整が不可能になると、本来の25時間周期が優位になり、毎日少しずつ睡眠時間が遅くなってゆくのです。このリズム障害は、フリーの仕事の人や退職後の高齢者、脳に障害のある人に起こりやすいと言われています。 |
□3 |
パジャマが普段着着型:不規則睡眠=覚醒リズム |
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これは、睡眠時間が定まらず、規則性がなく、いつ眠くなるか全く分からない状態です。洞窟生活型と同じく、社会的活動から引退した成人や高齢者、脳に障害がある人によく見られると言われています。 |
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どんな人がこの病気に? |
発症年齢は17歳〜18歳を中心に25歳くらいまでとかなり幅があります。社会生活に困って受診する年齢はもう少し高く、20歳〜23歳が中心です。発症者の半数を学生が占めますが、その他、主婦や、プログラマーやコピーライターなど比較的自由にスケジュールが組める職種や夜勤者が多くいます。
発症の誘因ありと回答した人が約半数おり、対人関係の問題や進学・就職などの環境変化が引き金にあるようです。なお、この中には「夜間のアルルバイトを始めてから」「ファミコンに熱中して夜更かしをするようになって」など夜間の活動性が高まって戻らなくなったままの人がかなりいます。発症以前から「朝型」だったと回答した人は7.6%であるのに対し、「夜型」と答えた人は67%、「どちらとも言えない」人は24%で、「夜型」の人が生体リズムを崩しやすいことが分かります。
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参考:危ないイビキ〜心配な睡眠時無呼吸〜 |
寝ている時、喉の回りや舌の筋肉がゆるんでたるみ、奥の方に舌根などが落ち込んでノドを狭めるため、空気が通る度にノドの壁が振動してイビキが起こります。特に上を向いている時や口を開けて舌根が落ち込みやすくなっていると、イビキをかきやすくなります。
イビキをかいている人は寝ている時に空気の通り道が狭くなっているので、もちろんよいことではありませんが、規則正しく呼吸を続けているのならば「うるさい」という以外に特に健康上の問題はありません。
ただ心配しなくてはならないのは、睡眠時無呼吸という障害で、7時間以上の睡眠中に一時的に20〜40秒も続く呼吸停止が30回以上起きることがあります。大きなイビキの後、突然無呼吸となり、その後、空気が抜けるような「ヒュー」という音や「グググッ、ガー」と突然また大きなイビキをかく場合は要注意です。無呼吸時の酸欠状態は高血圧や心臓病を引き起こし、最悪の場合は脳卒中や突然死という事態もありますので、深刻な場合は専門医に相談しましょう。ちなみに、最も考えられる原因は肥満で、太っていればそれだけノドの回りに余分な肉がついて舌が垂れ下がりやすいからです。他に顎やノドの形の異常、扁桃腺の肥大、睡眠薬やアルコールなどによる筋肉の緊張の低下が原因として考えられます。
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不眠症の検査と診断 |
さて、今まで睡眠障害の種類と特徴について上で詳しく述べてきましたが、以下2節にわたって不眠症の検査や治療について簡単に述べてゆきます。
不眠症の診断は問診が重要となるので、まずは家族などに自分の睡眠時の様子などを聞き、受診の準備をしておいて下さい。また、就寝・起床時間を記した睡眠日誌をつけておくことも診断の役に立ちます。なお、不眠症外来のある病院や専門医のいる病院の他にも、内科・神経内科・精神科でも不眠症の診断及び治療は行なわれていますので、症状のある方はなるべく早く受診してみて下さい。
それでは、不眠症の検査では一体どのようなこと行なうのでしょうか?
睡眠そのものを調べるためにはポリグラフ検査を行ないます。この検査では、色々な装置をつけて一晩眠り、睡眠時の脳波や心電図、眼球運動、顎や下肢などの筋電図に加え、必要に応じて呼吸運動や換気の様子、イビキも記録します。この検査を行なえば、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの診断も正確に行なうことができます。なお、睡眠のパターンだけでなく生体リズムを把握するために細い柔らかなチューブ状の直腸体温計を肛門に入れて、体温の変化を見ることもあります。
なお、睡眠日誌をつけるに当たって留意すべき項目を参考までに以下に掲げました。
■睡眠状態チェックポイント |
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どんなふうに眠れないか? |
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- 寝つきが悪い
- 眠りが浅い
- よく目が覚める
- 朝早く目が覚める
- 金縛りを起こす
- 寝ようとすると、ふくらはぎや足先がむずむずする など
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寝ている時の様子 |
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- イビキをかく
- 歯ぎしりをしている
- 寝言を言う
- 寝相が悪い など
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起きている時の様子 |
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- だるくてやる気がしない
- つい居眠りしてしまう
- 不眠のことを考えてしまう
- 昼夜逆転した生活をしている
- コーヒーやお茶などをよく飲む など
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不眠症の治療法 |
不眠症の治療には、(1)「睡眠薬を使わない治療」と、(2)「睡眠薬を使う治療(薬物治療)」の2つがあります。
※なお、不眠症の治療に当たっては必ず専門医(不眠症外来担当医など)にご相談下さい。
睡眠薬を使わない治療 |
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生活指導: |
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睡眠環境を整える、食事や嗜好品についての習慣を改める、適度な運動をする、肥満を治すなど、まず生活改善を行ないます。 |
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リラックス療法: |
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よい眠りを得るためには心身のリラックスが欠かせません。そこで就寝前に自立訓練法を行なったり、リラックスした時の脳波が出るようにコントロールしたりします。 |
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精神療法: |
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精神疾患とまでゆかなくても、様々なストレスや悩みが原因で不眠になっている場合、簡単な精神療法を取り入れると効果的です。 |
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高照度光療法: |
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主に睡眠時間帯が社会生活にとって望ましい時間帯とズレてしまっている場合に用いられる治療法です。2500〜3000ルクスの高照度光を照射することにより睡眠や体温といった生体リズムを人為的にズラすことで効果を得る方法です。 |
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睡眠薬を使う治療(薬物治療) |
不眠が続く場合、睡眠薬を服用することは効果的な治療と言えますが、睡眠薬に関しては「癖になる」「怖い」といったイメージを持たれている方も多いと思います。
不眠症の治療で現在使われている睡眠薬の殆どはベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬で、感情の変化やストレスによる脳神経の興奮を抑えることで眠りを誘う(自然な眠りが起こる仕組みに近い)作用を持っている薬です。薬の量を増やさなければ薬が効かなくなることを「耐性ができる」と言いますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は医師の指示を守って服用していれば耐性ができることはまずなく、長い期間服用していても中毒症状が起こることも殆どありません。
なお、このベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、薬の効く時間が短いものから長いものまで4つのタイプに分けられ、症状に合わせて最も適したタイプの睡眠薬が処方されます。
※なお、最近では全国の薬局・薬店で購入できる睡眠改善薬も登場しています。これは病院で処方される睡眠薬とは異なり、抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンを配合し、催眠作用を発揮させるのが特徴です。
■睡眠薬の種類と特徴 |
■超短時間型: |
睡眠導入剤とも言われます。作用が直ぐに現われ、その分薬が効いている時間も短いので、翌朝にまで薬の作用が残りません。寝つきの悪い入眠障害に用いられます。 |
■短時間型: |
薬の作用が現われるまでの時間が比較的短く作用時間も短めで、入眠障害や熟眠障害に用いられます。 |
■中間型: |
作用が現れるまでにかかる時間は超短時間型や短時間型よりはやや長く、持続時間が比較的長いのが特徴です。早朝覚醒などに用いられます。 |
■長時間型: |
薬の分解に時間がかかるため起きた後も薬の作用が続きます。うつ病などに伴い不眠が現れる場合に用いられることがあります。 |
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最近では全国の薬局・薬店で購入できる睡眠改善薬も登場しています。これは病院で処方される睡眠薬とは異なり、抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンを配合し、催眠作用を発揮させるのが特徴です。 |
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■睡眠薬服用に当たっての注意点 |
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薬の量や飲む時刻について医師の指示を守ること |
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服用後はすぐ寝床に入ってリラックス |
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夜中に起きる予定のある時は使用しない |
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アルコールを飲んだら睡眠薬は使用しない |
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運転や危険な作業をするときは使わない |
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お年寄りの服用は慎重に |
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副作用が考えられる時にはそのつど医師と相談する |
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■睡眠薬の副作用 |
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持ち越し効果:睡眠薬の効果が翌朝になっても残り、日中の眠気やふらつき、記憶・注意力が低下することがあります。作用時間の短い睡眠薬ではこの作用は現われにくくなっています。 |
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記憶障害:服用から寝つくまでや睡眠中に起こされた時の出来事などを覚えていないことがあります。特ににお酒と一緒に服用したときに現われます。 |
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反跳性不眠:一定期間服用した後に突然中断すると、服用する以前よりさらに眠れなくなることがあります。睡眠薬の種類によってはこの作用が少ないものがあります。 |
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筋弛緩作用:筋肉が緩んでふらつきや転倒の原因となります。睡眠薬の種類によってはこの作用が少ないものがあります。 |
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