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今月のワンポイントアドバイス


 平和で安全な社会だった日本も、今や犯罪社会へと移行しつつあります。日頃のニュース報道でも明らかなように、誘拐やイタズラなど子どもが犠牲になる事件が後を絶ちません。そこで今月は、子どもを巡るインターネット環境についても触れながら、子どもをめぐる危険と子どもの安全を守るために必要なことを考えてみました。 危険な大人

子供の安全
脅やかされる子どもの安全!
ネット環境と子どもの安全
子どもの安全を守るために


脅やかされる子どもの安全! 

 子どもを取り巻く環境は年々悪化しています。ある調査では、小学生1万人のうち約40%が恐喝・痴漢など何らかの件に遭遇しているというショッキングな結果が出ていると言います。
 本節では、皆さんの注意を喚起するためにも、子どもにとって危険な場所や手口などを取り上げました。
子どもの周囲はこんなに危険!〜子どもの被害の特徴と「声かけ事案」〜

 近年、子どもたちが被害者になる犯罪が大変増えています。たとえ事件に至らなくても、以下で解説する「声かけ事案」や不審者の出没など、地域の皆さんや小さなお子さんをおもちのご家庭などでは、当然ながら子どもの安全について不安を抱いておられることでしょう。
 そこで本節では、参考までに実際の声かけ事案の事例を中心に紹介して、注意を喚起したいと思います。
小学生の被害の特徴


■小学生の被害の特徴
□多発時間:
 午後2時から6時までの間(※下校時〜夕食時)犯罪の多発時間
□親に話さない:  親に被害があったことを言うと怒られるのではないかと恐れ、中々言わない。
子どもの様子をよく見て、普段と異なる時はやさしく声をかけて上げて下さい。

声かけ事案の種類と内容

 地域住民や学校などから警察に届出のあった子ども(18才以下)に対する「声かけ」「つきまとい」などを一般に「声かけ事案」と警察では呼んでいます。なお、声かけ事案の9割以上が登・下校中(※そのうち約8割が下校途中)に発生していると言われます。


■声かけ事案の種類と内容
種別 概要
声かけ 不審者が声をかけて誘ったり、話しかけてくるなどの行為
つきまとい 背後からつけてきたり、追いかけてくるなどの行為
猥褻行為 性器の露出や痴漢などの行為
写真撮影 カメラやカメラ付き携帯電話などで写真を撮る行為
連れ去り 腕を引っ張るなどして連れ去ろうとする行為
脅迫・暴行 脅す・いきなり殴りつける・物を投げつけるなどの行為

参考:声かけの実例

 参考までに、以下に声かけに使われる言葉の一例を列記しました。


■子どもへの“声かけ”の言葉例
□ 1: ちょっと来て
□ 2: お金欲しくないか
□ 3: お小遣いをあげるから見ていてくれる?
□ 4: 公園に行って小遣いあげるから
□ 5: 飴をあげるからおいで
□ 6: お菓子を上げるからこっちにおいで
□ 7: 少しでいいから話をしよう
□ 8: あっちへ行こうか?
□ 9: トイレに行きたくない? トイレに行かない?
□10: 崖にピンク色のきれいな花が咲いているから、見に連れてって上げるよ
□11: 花をとってあげるよ
□12: みんなに聞いているんだけど、健康観察しているんだよ
□13: 人を捜している
□14: お母さんが事故に遭い病院に運ばれた。おじさんと一緒に行こう
□15: このおじさんは僕の知り合いだよ。もうちょっと話をしよう
□16: ○○インターはどこ?
□17: ○○銀行はどこ?
□18: 駅はどこ?
□19: ○○中学校は知ってる?
□20: この辺にコンビニある? ついてきてくれない?
□21: ○○さんちは何処? ここだと危ないからこっち来て
□22: 携帯電話番号教えて、○○さんの家知ってる?
□23: カバンの名前見せて
□24: 学校まで乗せて行ってあげようか?
□25: 家は近いの? 乗せてあげようか?
□26: どこに行くの? 何してるの?
□27: みんな可愛いね、おじさん家に来ない?
□28: 可愛いね、一緒に遊ぼうよ
□29: キスしていいよ
□30: 援助交際しませんか?
□31: 下着を売ってくれないか?
□32: 触らせて
□33: 足を触らせてちょうだい
□34: 食事をしない?
□35: 車に乗らないかい?
□36: ドライブに行かない?
□37: これからどこかへ行かないか?
 実際はこの他にも色々ありますので、知らない人に声をかけられても絶対ついてゆかないようにお子さんに教えて上げて下さい。

身近なところにこんなに危険がいっぱい! 

 子どもの周囲には実は危険がいっぱです。本節では、その危険の実例と対策を以下で紹介します。
公園にはこんな危険が! 


●事例: 樹木の影やトイレに連れ込まれる
●対策:
  • 公園でのひとり遊びはしない
  • 友だちと離れて遊ばない
  • トイレにゆく時は友だちについて来てもらう

路上にはこんな危険が! 


●事例1: 「ゲームをしよう」「捜し物を見つけて」などと言葉巧みに話しかけ、どこかへ連れ去る
●対策:
  • 日頃から知らない人にはついて行かない、知っている人でも「家の人に聞いてから」と言うようにする
  • 名前入りの学校用具を持っていると、子どもの場合「○○ちゃん」と声をかけられて思わず反応してしまうこともあるので、氏名入りのものは登下校時には外から見えないようにする

●事例2: 車の中から声をかけ、近づいた瞬間にドアを開けて車内に引っ張り込む
●対策:
  • 車の中から声をかけられたら、両手を広げた幅の距離まで車から離れる
  • 車の広報に向って逃げる

●事例3: 路地や死角になるところに連れてゆかれ、暴行や恐喝を受ける
●対策:
  • 普段から危険な場所を確認し、近づかないようにする
  • 連れて行かれそうになったら、大声で助けを呼ぶ

駐輪・駐車場にはこんな危険が! 


●事例:
  • 自転車置き場に自転車を置こうとしたところ、いきなり後ろから男に抱きつかれる
  • 駐車した車の近くを歩いていたら、急にドアが開いて中へ引っ張られる
●対策:
  • 自転車を置く前に、不審な人がいないか周囲を見回すようにする
  • 人通りのある場所に自転車置き場を変更する
  • 自転車置き場を明るくする
  • 防犯カメラを設置する
  • 防犯パトロールを行なう
  • 万一の場合は大声を出して助けを呼ぶ

エレベーターにはこんな危険が! 


●事例:
  • 自宅に帰るためマンションのエレベーターに乗ったところ、扉が閉まる直前に男が乗ってきて、後ろから口をふさがれ、猥褻行為をされた
  • エレベーターに乗っている時に身体を触られる
  • エレベーターを降りたところで腕をつかまれ、踊り場へ連れてゆかれる
●対策:
  • エレベーターホール等に見かけない人がいないか周囲を確認する
  • 不審者を発見した時は、管理人や管理組合の人に知らせる
  • エレベーターに知らない人と2人で乗らない
  • 知らない人と二人だけで乗った時や、ひとりで乗っている時に知らない人が乗ってきたら、なるべく直ぐ近くの階でエレベーターを降りる
  • エレベーターは、非常ベルや各階のボタンを押せる位置に乗る
  • 後ろから襲われないように壁を背にして乗る

階段や踊り場・屋上にはこんな危険が! 


●事例: エレベーターから降りたところ、腕を捕まれて無理矢理踊り場に連れてやかれ、猥褻行為などをされる
●対策:
  • 周囲に不審な人がいないか確認する
  • 踊り場や屋上など余り人の通らない場所の環境整理を行ない、死角をなくす
  • 防犯カメラを設置する
  • 知らない人と二人だけで乗った時や、ひとりで乗っている時に知らない人が乗ってきたら、なるべく直ぐ近くの階でエレベーターを降りる
  • 防犯パトロールを行なう

玄関にはこんな危険が! 


●事例1: 自宅のカギを開けた瞬間、後ろから押されて室内に押し込まれて猥褻行為などをされる
●対策:
  • 周囲を見回して安全を確認してからカギを開ける
  • 自宅周辺を整理して、人が隠れるような死角を作らない
  • 普段から隣近所とのコミュニケーションをよく取り、子どもの安全について協力をお願いしておく

●事例2: 集金や宅配の人を装ってドアを開けさせ、室内に入り込む
●対策:
  • 事前に電話で子どもだけであることを確認する場合があるので、大人が不在であることは絶対に知らせない
  • どんなことがあっても絶対にドアを開けない
    • ドアスコープを覗いて相手を確認する
    • ドアチェーンをかけて対応する
    • 宅配便などは送り主を確認する

室内ですらこんな危険が! 


●事例: 真夏の夜、蒸し暑いので窓を開けて寝ていたところ、進入され猥褻行為などをされる
●対策:
  • 窓やドアのカギの掛け忘れに注意する
  • 2階以上の部屋でも戸締まりを行なう
  • カギは強固なものを付け、ツーロックにする
  • 窓を開ける時は外をよく確認してからにする


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ネット環境と子どもの安全

 子どもの安全を考える上でインターネットの存在は近年無視出来ない存在になっています。本節では、子どもとインターネットをめぐる状況とその対応策について特に詳しく解説しました。
「子どもとインターネット」をめぐる状況

 インターネットが開発された当時は、インターネットに接続するためには一定の知識が必要とされました。しかし、現在では利用者は専門的な知識がなくても簡単にインターネットを利用することが出来るようになって、ご存知のように一般家庭にもインターネットの普及が進んでいます。このような中で、「子どもとインターネット」をめぐって次のような状況があると考えられます。


子どもをめぐるインターネット環境


子どもや保護者の認識:
  一般的に子どもは判断力がないというよりも、インターネット上に潜在する「危険」に対する認識が薄いと思われます。たとえば下記でも触れる携帯電話接続のインターネット利用に関し、通信料を支払うことが出来なくなり、極端な場合には児童買春等の被害に巻き込まれるような例もあるようです。また、保護者の側もインターネットの基本的な仕組みやそこに潜在する危険についての認識がやはり薄いと思われます。このため、子どもが危険に遭遇することを防止したり遭遇した場合の対処方法などについてお子さんに適切な助言を与えることが出来ないという状況があります。

家庭や地域での取組の遅れ:
 上記でも触れたように、インターネット上に潜在する「危険」に対する認識が薄いことなどから、親御さんの子どもとインターネットの問題に対する社会的関心は決して高くはなく、家庭や地域での取り組みは残念ながら遅れていると言わざるを得ません。つまり、“子どもを違法・有害情報から守るには家庭や地域で何をなすべきか”、或は“インターネットを子どもにとって「良いメディア」にするには家庭や地域で何をなすべきか”といった議論や実践(情報提供やネットワークの構築等を含む)がまだまだ少ないのが現状です。

携帯電話に関する問題:
 子どもとインターネットの問題において、携帯電話の占める割合はやはり中々大きいものがあると言ってよいでしょう。携帯電話の問題については、下記の項目で改めて取り上げます。

フィルタリング・ソフトに関する問題:
  フィルタリング・ソフトはポルノなど特定の内容の情報への接続を受信者が選択的に阻止出来るソフトで、財団法人インターネット協会などの関係団体や企業などが無償また有償で提供しています。なお、ソフトを提供している企業はそれぞれが独自の取組を行なっていて必ずしも連携が取られていないため、ソフトにより規制精度は異なっているのが実情です。また、フィルタリングを行なうためには各種情報を収集した上で、それらを格付け(レイティング)し、子どもにとって有害または不適切な情報をリスト化(ブラックリスト)する必要がありますが、インターネット上では様々なサイトが日々新たに開設されては閉鎖されるという状況にあることから、日々変化するインターネット上の情報を収集することはボランティアでは困難で、非常にコストがかかるという問題があります。

学校におけるインターネット上の子どもの安全:
  日本の学校では、「インターネットを通じて情報発信する際には子どもの顔や名前などプライバシーに関することを掲載しないようにチェックすること」とされていますが、実際には学校により温度差があり、試行錯誤の段階であるのが現状です。また、たとえば保育所の様子をインターネットを通じて保護者に対してライブ中継をするというサービスが行なわれている例がありますが、実はこれは第3者が見ることも可能で、子どもの安全確保の点では問題があると思われます。

※なお、日本ではインターネット上で子どもが作文や絵画などを掲載する場合、子どもの安全確保のために個人情報を掲載しないということと、子ども本人や保護者が著作権を主張することとは相容れない問題で、今後の検討課題のひとつになっています。

携帯電話は危険がいっぱい

 日本における「子どもとインターネット」の問題に関しては、パソコンと共に携帯電話が大きな問題となっています。「迷惑メール」問題の他、いわゆる「出会い系サイト」の利用を通じて子どもが犯罪等の被害に遭うことが社会問題化していることは周知の通りです。
保護者の安心感のために子どもの安全が脅かされないように気をつけましょう

 皆さんご存じの通り現在の携帯電話には、電話機能の他にインターネットやメール・カメラ・お財布・クレジットカード・オーディオなど様々な機能があります。特にインターネット上にはアダルト・暴力・ギャンブル・出会い系・成人嗜好・闇サイトなどの有害なサイトが溢れています。このような世界に簡単にアクセス出来る携帯電話を何の考えもなしにお子さんに持たせることは、子どもをいきなり夜の街へ放り出すようなものです。

 保護者は、子どもに携帯電話を持たせた動機として子どもの居場所確認や緊急連絡用などの防犯グッズ的な理由を挙げますが、一方の子どもは「友だちが使っている」などの理由で携帯電話を所持したがります。このように保護者と子どもの認識にはズレが生じています。
 何れにせよ、子どもが使う携帯電話は親の持ち物です。当然借りている子どもと親の間には両方で守るべきルールが存在し、保護者には教えて守らせる義務と責任があることをお子さんにもしっかりと理解させましょう。
子どもの携帯電話にはフィルタリング機能の設定を! 

 お子さんに携帯電話を持たせる時は、インターネット接続機能を有しないものや、或は情報を受け取る側で有害なウェブページを表示させないことが出来るフィルタリング機能を設定したものを持たせることが大事です。

※ 携帯電話のフィルタリング機能については携帯電話会社ごとに異なりますので、詳しくは携帯電話各社のホームページをご覧いただくか、販売店等にお問い合わせ下さい。
対策!子どもとインターネットのよりい関係のために

 「子どもとインターネット」の問題はとても複雑です。従って、インターネット上に潜在する危険から子どもを守り、インターネットを子どもにとってよいメディアにするためには幅広い取組を社会全体で進めてゆくことが重要となってきます。まずは次のようなことが家庭や地域での取組の推進に寄与するものと考えられます。


家庭に対する様々な情報提供:
 インターネット上に潜在する危険から子どもを守るために、子どもや保護者に対する情報提供が必要になります。家庭や地域での取り組みを推進する観点から、まずインターネット上には子どもにとっての危険が潜在することやその対処方法などについて、家庭や地域に以下のような様々な情報を提供していくことが必要であると考えられます。

  • インターネットに潜在する危険やその対応策などに関する情報提供
  • 推薦サイトのリスト(ホワイトリスト)に関する情報提供
  • 様々なツールに関する情報提供
  • Q&Aサービスの提供
  • 連絡機関や相談機関等に関する情報提供
  • 子どもの安全に配慮した教育的なサイトの運営
  • インターネット上以外(オフライン)での情報提供 など

幅広い啓発広報による社会的意識の向上:
 子どもとインターネットの可能性と危険性に対する社会的意識を高めるために全国的なキャンペーンなど幅広く啓発・広報を行なうことが是非とも必要になります。何れにせよ 日本では、子どもが出会い系サイトなどインターネットを利用した犯罪等の被害に遭う事件が多発していますが、そもそも保護者など子どもを取り巻く大人がインターネット上の子どもの危険性や対応策について認識が不足していると考えられます。従って、全国的なキャンペーンなど幅広く啓発広報を行なっていくことが必要でしょう。

メディア・リテラシー又は情報リテラシーを養う教育の推進:
 情報の送受信に際し的確に判断し対処することが出来る能力(メディア・リテラシー又は情報リテラシー)を身につけることが出来るように教育することが必要となります。そのため、子どもにとって不適切或は有害な情報に関しては、情報発信者側に何らかの規制を加えることが必要になるでしょう。しかし、このような不適切或は有害な情報の発信者は最先端の技術を持っており、発信される情報は無数にあることを考えると、情報発信者側に規制を加えることで問題解決を図ることは実効性の点から事実上困難な場合が考えられます。また、最近ではホームページの他にも電子メールやチャットにもフィルタリングをかけることが出来るような技術開発が進んでいますが、上でも触れたようにフィルタリングも決して万全なものではなく、有害・不適切な情報を完全に規制することは困難なのが実情です。そこで、受信者であると同時に発信者でもある子どもが的確に判断し、対処することが出来る能力(メディア・リテラシー又は情報リテラシー)を身につけることが出来るように教育してゆくことが求められています。

子どもの安全・プライバシーの保護:
 インターネットを介した「接触(コンタクト)」の危険から子どもを守るためにも個人情報の取扱いには充分に注意する必要があります。インターネットを介した「接触(コンタクト)」により、子どもが誘拐・暴力・殺人等の被害に遭うおそれがありますが、そのためにも、インターネット上で子どものプライバシーと安全を守るために、たとえばペンパルボックス(文通相手募集コーナー)では、保護者の承認を義務づけたりメールがサイトに掲載される前に内容を全てチェックして子ども自身のメールアドレスや家族のことなど個人情報を削除したり、或は全体的に書き直す必要がある場合には理由をつけて子ども本人と保護者に送り返すなど様々な取り組mにを行なっています。また、セイフティ・システムの開発や提案、子どもの安全を守るための政府機関等との協力なども行なっています。

フィルタリング・システムの普及:
 フィルタリング・システムの普及を図るため、高度な機能を持つソフトを開発すると共に、一般の利用者が簡単に利用出来るソフトを安価に提供することが必要です。もちろん日本でも様々なメーカーがフィルタリング・ソフトを提供しているわけですが、上でも若干触れた通り、ソフトにより規制精度が異なり、また保守料も含めると高額となるものが多いのが現状です。たとえば教育現場では高額なフィルタリング・ソフトが使用され、2年目以降保守料が支払えないために使われなくなっているという実情があります。また、安いソフトは当然ながら性能が落ちるのも現実です。このように、フィルタリング・ソフトの活用も含めて子どもをインターネット上に潜在する危険から守るための対策を立てることが必要であると考えられます。

図書館・図書館司書の役割:
 インターネット上の子どもにとって不適切或は有害な情報に対する方策を検討するに当たって、図書館や図書館司書は大きな役割を果たし得るものと思われます。たとえば米国では図書館は情報発信センターとして明確に位置づけられており、子どもとインターネットの問題に関しても「情報へのアクセスを保障する」という立場から関わっています。インターネット上の子どもにとって不適切或は有害な情報に対する方策を検討するに当たって、日本でも図書館や図書館司書は大きな役割を果たし得ると考えられます。

家庭・学校・産業界・行政・NPO等の連携:
 子どもとインターネットのよりよい関係を築くために、家庭・学校・産業界・行政・NPOなどの関係者がそれぞれの立場で、或は相互に連携しながら取り組みを進めてゆくことが非常に重要です。すなわち、子どもとインターネットの問題は複雑で、それ故に様々な方法により解決を図る努力をすることが必要になるわけです。もっとも家庭や地域での取り組みを推進するとは言っても、家庭や地域だけで進めることは現実には難しく、学校・図書館・NPO・産業界・行政・法執行機関などの関係者が連携しながら取り組んでゆくことが肝要になります。


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子どもの安全を守るために

 上で解説したように、子どもを巡る環境は近年著しく危険なものになってきています。子どもを犯罪などの危険から守るためには、警察だけでなく、地域の皆さんはもちろん、関係機関=団体などが一体となった取り組みが必要となります。
 本節では、小さなお子さんと被害防止について参考になるよう、日常生活での防犯上のポイントなどを分かりやすく紹介・掲載いたしました。
必ず守らせよう! よい子の5つの約束


■みんなで守ろう!5つのお約束
親御さんは、お子さんに次の5つの約束を繰り返し教えて下さい。
お約束!
◆1: 外に行く時は必ず行き先を言います! 
 外にゆく時は、お家の人に「誰と・どこで・何をするか、何時ごろに帰って来るか」を必ず言って出かけよう。
※こうしておけば、お子さんが約束の時間に帰って来ない時に探す場所の見当をつけることが出来ます。
◆2: 外に行く時は必ず行き先を言います! 
 ひとりで遊んでいると悪い人に声をかけられやすいので、お友だちがたくさんいるところで、みんなといっしょに遊ぶようにしよう。また、暗くなるまで外で遊んだりしないで、みんなが「おうちに帰ろう」と言ったら必ずいっしょに帰るようにしよう。
※年少者は保護者の目の届くところで遊ばせましょう。また、複数の子ども同士でで遊んでいれば、仲間が大人に危険を知らせることも出来ます。
◆3: 声をかけられても、ついて行きません! 
 「お菓子(オモチャ)を買って上げるからおいで」とか「ゲームをいっしょにやらない?」「犬を一緒に探して」「お家の人(お母さん)が病気だからいっしょに来て」などなど、こういう言葉に気をつけましょう。知らない人も知っている人も、外では色々な大人が声をかけて来るけれど、お家の人に言わないで、絶対にひとりでついてゆかないようにしよう。
◆4: 怖いと思ったら、大声を出して逃げます! 
 危ない目にあったら、「助けて〜!」と大声で助けを呼ぼう。友だちが危ない目にあった時も大きな声で助けを呼ぶようにしよう。
※キャー!よりワー!ってお腹から声を出すとよく聞こえるるそうです。まずは、大きな声を出せるようにお子さんには日頃から訓練をさせておきましょう。
◆5: 今日あったことを必ず家の人に話します!  
 「今日はこんなことがあったんだよ」って、いつもお家の人にお話しするようにしよう。自分が危ない目にあったりお友だちが危ない目にあったのを見た時も、また、変な人を見た時も、必ずお家の人に話すようにしよう。


■合い言葉「いかのおすし」をおぼえて身を守りましょう!
いか: 知らない人にはついてゆかない
の: 知らない車には乗らない
お: 大声を出す
す: 直ぐ逃げる
し: 何かあったら直ぐに知らせる

大人が気をつけるべきこと


■保護者の皆さんへ
◆1: 外出する時は、行き先・用件・帰宅時間を必ず言うよう習慣づけましょう
◆2: 知らない人には絶対についてゆかないよう一声かけましょう
◆3: 暗いところや寂しいところへはゆかないように注意しましょう
◆4: 定期的に自宅に連絡するよう習慣づけましょう
◆5: 夜遅くなったりした時は迎えにゆきましょう

■学校関係者・地域ボランティアの皆さんへ
◆1: 不審者に対しては声かけが有効なので、複数で対応しましょう
◆2: 不審者の動静を確認し、速やかに110番通報しましょう
◆3: 不審者は、人相や特徴、車のナンバーなどを記憶するかメモに取っておきましょう
◆4: 不審者は刃物等を所持している場合もあるので、不用意な対応は避けましょう
◆5: 下校時間帯の通学路を中心とした自主防犯パトロールなど協力をお願いしましょう


◆子どもの心を大切にしましょう
◆1: 子どもが被害を訴えやすいように、日頃から親子のコミュニケーションを図りましょう
◆2: 心理カウンセラーへ早めに相談するようにしましょう
◆3: 日頃から親子で通学路の危険な場所などをチェックしておきましょう


◆注意!!  「知らない人にはついていってはいけないよ」と親は子どもによく注意しますが、しかし、子どもは「知らない人」といっても、たとえば毎日通学路で見かける人は「知っている人」になってしまいます。よく見かける人でも、直接生活に関わりのない人、お父さんやお母さんが知らない人は「知らない人」だということをくれぐれも肝に銘じておきましょう。

お子さんに防犯グッズを携帯させよう! 

 以下に紹介するように、最近は子どもを守るための防犯グッズなどが数多く販売されています。
 しかし、お子さんが防犯グッズをいざ使おうとした時に、肝心の防犯グッズの使い方を知らなかったり、或は使おうと思ったら電池が切れていたりなどして余り意味をなさないこともあるようです。そのようなことがないように、ご家庭で定期的に防犯グッズの使い方や電池の確認などをして下さい。


■防犯グッズの種類
簡単に携帯できるホイッスル:
 キーホルダーや首にかけるなどして簡単に携帯できるホイッスル。咄嗟の時に吹くことで、周囲に身の危険を知らせることが出来ます。
音で危険を知らせる防犯ブザー:
 身の危険を感じたら、ボタンを押したり紐を引っ張ったりするだけで大きな音が鳴り、周囲の人に危険を知らせることが出来ます。
暗い夜道でも安心の携帯ライト:
 周りが良く見え、危険を早めに察知することが出来ます。
どこにいるのかが分かる器具警備会社の位置情報サービスや携帯電話:
 帰りが遅い時や迷子になった時などには、連絡が取れたり居場所が分かる器具や携帯電話が役に立ちます。
 ただしくれぐれも注意しなければならないのは、防犯グッズを身につけているから安心とは必ずしも言い切れないということですん。「危ないところに近づかない」「知らない人にはついてゆかない」など、上でも触れた“身を守るために守るべき基本的な事柄”を親御さんがお子さんに繰り返し教えて上げることが大切でしょう。

子ども110番の家

 昨今、幼児・児童を対象とした誘拐事件や殺傷事件が連続して発生したことを契機として、被害児童等が助けを求めることが出来る民間協力の拠点である「子ども110番の家」の活動がPTAや自治体等を主体として都内各地域で広まってきています。
 本節では、その「子ども110番の家」について、以下に簡単に紹介・解説しておきました。
「子ども110番の家」とは? 

 子どもを犯罪から守るためには、警察だけでなく、当然ながら地域住民・学校関係者・事業所やボランティアの皆さんが相互に連携し、みんなが安心して安全に暮らせる環境作りをする必要があります。「子ども110番の家」は、「不審者からの声かけ、わいせつ、つきまといなど」の被害を受けた子どもを一時的に保護し、警察への連絡をお願いする制度です。


 そのため、子どもたちが安心して通学したり遊んだりすることはもちろん、地域の皆さんが安全で安心して歩くことの出来る町づくりの一方策として、警視庁は、

  1. 希望団体へのマークの配布
  2. 協力者に対する110番通報要領等の指導
  3. 通学路等の安全点検パトロール
 などを行ない、「子ども110番の家」の活動を支援しています。
危険を感じたら「子ども110番の家」に助けを求めましょう! 

 通学路や学校の付近には、子どもが危険な目にあった時に駆け込んで助けを求めることが出来る「子ども110番の家」があります。日頃から「子ども110番の家」の位置を確認しておき、不審な人に声をかけられたり連れてゆかれそうになったら、「子ども110番の家」に駆け込んで助けを求めましょう。

 なお、「子ども110番の家」は、普通の家だけでなく、お店や事業所の車などもあります。何れも建物の入口や車のドアなどに「子ども110番の家」や「子ども110番の車」であることを示す表示がされています。登下校時や外に出かけた時などに、このようなお店や車を探してみましょう。
「子ども子ども110番の家」のマーク

こども110番の家のマーク 「子ども110番の家」の問題点として、「子ども110番の家」の表示デザイン(マーク)が地域によって異なることが上げられます。このように、「子ども110番の家」の目印としてそれぞれの設置主体が独自のマークを作製している実情がありますが、そこで警視庁でも統一したシンボルとして「警視庁子ども110番マーク」を作製しています。

 この「警視庁こども110番マーク」は、

  • マークを作製したいが予算がない
  • 各地域や設置主体により名称やマークが異なっており、子どもに分かりにくいので、統一したマークを使用したい
 などの事情をお持ちの団体等に対し、各警察署から配布しています。

 支援を希望する団体等の代表者は、最寄りの警察署又は下記へご相談ください。
 【問い合わせ先】
 警視庁 生活安全総務課 生活安全対策第三係
 TEL 03-3581-4321(代表)

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