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今月のワンポイントアドバイス


 携帯電話のマナーがしきりに叫ばれながら、正しいマナーが中々確立せず、不適切で問題のある携帯電話の使い方をする方が後を絶ちません。また、子どもの携帯電話の利用とその問題についても議論されていますが、結論は殆ど出ていない状況です。
 今月は「みんなが気持ちよく携帯電話を利用するために、あなたのマナーで快適なコミュニケーションを培ってゆこう」のモットーの下、子どもも大人も携帯電話を上手に利用出来るよう、携帯電話との正しい付き合い方について解説しました。
携帯マナー

携帯電話とそのマナー
マナーもいっしょに携帯しよう〜特集!携帯電話のマナー〜
子どもと携帯電話〜携帯電話との付き合い方〜


マナーもいっしょに携帯しよう〜特集!携帯電話のマナー〜

 人間関係においては何事も気配りが大事です。気配り上手名人は当然、携帯電話も上手に使いこなせるはずです。あなたの気配りとマナーがあなたの周囲に素敵なコミュニケーションを広げてくれることでしょう。みんなが気持ちよく文明の利器・携帯電話を使いこなすためにも、あなたのマナーで快適なコミュニケーションを培ってゆきましょう。
 そこで本項では、携帯電話各社が掲げる携帯電話の正しいマナー集も参考にしながら、携帯電話の正しい使い方を紹介・解説します。
(A)携帯電話の基本マナー

 まずは必要な基本的な携帯電話の機能やサービスは把握しておくようにしましょう。それらは、特にビジネスマンにとっても必要になる大事な機能です。たとえば留守番電話サービスや転送サービス、音等を消去できるマナーモードやバイブレーター機能、ディスプレイ点滅機能などを時と場所に応じて使い分けることが大切になります。
(1)訪問中・来客中・商談中のマナー

 大事な話の最中にいきなり携帯電話が鳴り出したら、相手は余りよい気持ちはしないものです。友達同士での会話中ならばまだしも、予期せぬ話の中断も、相手を不必要に待たせることも大変失礼な行為になります。従って、大事な話に入る前には、携帯電話の電源を切って留守番電話などの設定を心懸けましょう。
(2)相手の携帯にかける時

 電話を取ったものの、ゆっくり話していられない状況はよくあることです。用件を切り出す前に、「今お話してよろしいですか?」とひと言訊ねるようにしましょう。何はともあれ、電話を受ける人への心配りが肝心です。
(B)気配り上手になろう!
   〜ちょっとした心遣いがあれば、使っている人も周囲の人も快適コミュニケーション〜

(1)大声に注意しましょう!
   〜レストランやホテルのロビーなどの静かな場所では声のトーンは抑えめに〜

携帯電話とマナーモード 携帯電話は、一般の電話よりもマイクが高性能で周囲の騒音をカットしてくれる仕様になっています。騒音で相手の声が聞こえにくいと話す方も自然と大声になりがちですが、普通の声で充分に通じます。また、夜道では声は意外に響くものです。自分が騒音のもとにならないように、日頃から声のトーンは控えめにするようにしましょう。

 なお、携帯キャリアにより、また機種によって多少違いはありますが、着信音などを消去できるマナーモードやサイレントモード、バイブレータ機能が洗濯出来るようになっています。また、イヤホン・マイクを利用することで声のトーンを抑えて話すこともできる機種もあります。それらの機能を充分に把握して積極的に活用するように心懸けましょう。
(2)新幹線や電車・バス内ではマナーモードに切り替え、通話は控えるようにしましょう

 電車やバス内などの公共の乗り物の中では携帯の電源を切るのでなければ、とにかく着信音を消して通話を控えるようにしましょう。もしも車内で着信した場合は、いま車内であることを相手に断わって後で電話をかけ直すようにしましょう。また、新幹線の車内などでは指定の場所で電話をかけるようにしましょう。なお、心臓ペースメーカー等の医療用電子機器を使用している人が乗っている可能性があるので、特に優先席付近では携帯の電源をオフにしなければなりません。(※電車内での携帯電話等の使用については各電鉄会社のルールを守るようにしましょう。) 
(3)通行中のマナー〜街の中などでは、通行の妨げにならない場所でつかうようにしましょう〜

 人混みの中でかかってきた携帯電話を取る時、道の真ん中でいきなり立ち止まったりしては当然ながら周囲の迷惑になります。通行中は、人の流れに逆らわず場所を移すか、或は人混みを避けて道端など人の邪魔にならないところで話すようにしましょう。また、自転車に乗っている時などの携帯電話の使用も、周囲への迷惑になると共に大変危険な行為です。通行の妨げにならない安全な場所に止まるなどして利用するように心懸けましょう。
(4)こんな場所では気配りを〜静かな場所では携帯の利用を控えましょう〜

 レストランやホテルのロビーなどの静かな場所では、着信音や電話の話し声はとても気になるものです。そのような場所では、出来れば着信音が鳴らないマナーモードを設定したり、声のトーンを控えるようにしましょう。或は他の人の迷惑にならない場所に移動するなど気配りを心懸けましょう。
(C)時と場合によって電源をOFFにしておきましょう

(1)劇場や映画館・美術館などでは、電源をOFFにするなどの配慮をしましょう

 上で「静かな場所では携帯の使用を控えましょう」と述べましたが、それと同じで、たとえば映画館や劇場・美術館などでは、携帯の電源を切っておくようにしましょう。マナーモードもよいのですが、バイブレーターなどのちょっとした音でも他の人の楽しみに水を差して興ざめな思いをさせることになるので、くれぐれも気をつけるようにしましょう。(※なお、大事な電話がかかってくるかも知れない場合は、留守番電話サービスなどを利用しましょう。) 
(2)飛行機や病院内などの使用を禁じられている場所では電源を切りましょう

 電子機器や医療電気機器を取り扱う航空機内や病院などの使用を禁止された区域では、必ず携帯の電源を切っておくように習慣づけましょう。とにかく高精度な制御や微弱な信号を取り扱う電子機器の近くでは携帯の電源を切っておかなければなりません。携帯の電源が入っていると、通話中でなくても自動的に電波を出す場合があり、電子機器が誤作動を起こす恐れがあるからです。また、病院など元々携帯電話の持ち込み自体を禁止している場所もあるので、必ず医療機関などの指示に従うようにしましょう。なお、航空機内での使用など禁止行為をした場合は法令により罰せられる場合もあります。
(D)運転中の通話は禁止!〜運転中の携帯電話等の使用はやめましょう〜

 生命に関わる問題です。運転中の通話やメールはやめましょう。
 電話を取る一瞬や会話そのものに気を取られると非常に危険です。そのため、運転前に電源を切っておくか、運手中はドライブモードなどの機能の設定するようにしましょう。その上で留守番電話を活用するとよいでしょう。とにかく電話をする時やメールは、必ず安全な場所に車を停車させてから行なうようにしましょう。

 なお、運転中の携帯電話使用による交通事故が激増したこともあって、道路交通法が改正され、携帯電話やPHS等の運転中の使用は禁止になりました。従って、運転中の携帯電話等の使用に罰則(5万円以下の罰金)が科せられるようになりました。そして、この違反行為には交通反則通告制度が適用されます。反則金の額は、大型自動車等の場合は7千円、普通自動車・自動二輪車の場合は6千円、そして原動機自転車等の場合は5千円。違反点数は1点となっています。
(E)カメラ付き携帯電話を利用する時のマナー

 カメラ付き携帯電話での撮影は手軽で簡単にできますが、当然ながら普通のカメラを使う時と同様の配慮が必要です。たとえば人を撮影する時は相手の了承を得るとか、店内の様子や商品を撮影する場合もお店の人の了承を得るといったことは写真撮影ならば当然のマナーです。

 また、うるさいことを言うようですが、携帯利用者が個人で撮影した写真は、その個人が自分で楽しむなどの他は、著作権法上、権利者に無断で使用できないことになっています。また、書店で雑誌などのページを撮影するのは場合によっては著作権侵害と見なされることもありますので元々ルール違反なのだと予め心得ておきましょう。同じく実演や興行・展示物などにも、それがたとえ個人として楽しむなどの目的であっても撮影を制限している場合がありますのでくれぐれも注意が必要です。


◆注意: 撮影・画像伝送について
 著作権に関わる画像の伝送は、著作権法の規定による範囲内で使用する以外は利用することが出来ないので注意が必要です。また、撮影・画像送信を行なう際は、著作権等の知的財産権や肖像権、プライバシー権等の他人の権利を侵害しないよう充分な配慮が必要です。なお、これらの他人の権利を侵害する行為、また、撮影・画像送信を利用した迷惑行為や公序良俗に反する画像の撮影・画像送信行為等は法令等により罰せられる場合や損害賠償請求を受ける場合がありますので、くれぐれも注意が必要です。

(F)医用電気機器の近くでのご利用上の注意〜電波の影響を防止するために〜

 これについては、上の「(C)時と場合によって電源をOFFにしておきましょう」でも述べましたが、大事なことなのでこちらでも再度取り上げて、以下で詳しく解説いたします。
(1)病院内で

 医療機関の屋内では次のことに注意して携帯を使用するようにしましょう。


病棟内など病院内の使用を禁じられている場所では携帯電話の電源を切る
 病室内で医用電気機器が使用されている場合がある他、医用電気機器を装着した患者が廊下などを移動することがあるため、そのような場所では携帯の電源そのものをOFFにしなければなりません。
◆注意: 携帯電話の電源を入れた状態では通話をしていなくても自動的に電波を出す場合があるので、「マナーモードにして通話やメールをしないから大丈夫だ」などとはくれぐれも勘違いしないで下さい。携帯電話の電源がONになっているだけで危険なのです。


手術室・集中治療室 (ICU)・冠状動脈疾患監視病室 (CCU) には携帯電話を持ち込まない
 上と同じ理由で危険性が高いので、OFFにしたつもりが、うっかり電源が入っているかも知れません。念には念を入れて、携帯電話そのものを持ち込まないようにしましょう。何れにせよ、必ず病院の指示に従うようにして下さい。


病棟外のロビーや待合室・廊下等であっても、近くで医用電気機器が使用されている場合には携帯電話の電源を切る
 携帯電話の所持者の周辺(隣室も含む)において医用電気機器が使用されている可能性があるため、病院内であれば携帯電話の電源を切るようにした方がよいでしょう。


医療機関が個々に使用禁止や持ち込みの禁止などの場所を定めている場合はその医療機関の指示に従う
 以上の理由で、携帯電話の使用そのものが禁止されている場合は各医療機関等の指示に従って必ず電源そのものを切らなければなりません。事故が起こってからでは遅いのです。

(2)病院外で

 満員電車の中など混雑した場所では、付近に植込み型の心臓ペースメーカーを装着している方がいる可能性があります。携帯電話から発せられる電波により植込み型心臓ペースメーカー及び植込み型除細動器の作動に影響を与える場合がありますので、そのような混雑した場所では携帯電話の電源を切るようにしましょう。
(3)参考:医用電気機器を使っている方へ〜充分に注意して使用しましょう〜

 繰返しになりますが、植込み型心臓ペースメーカー及び植込み型除細動器は、近くで携帯電話や自動車電話等の無線機器を使用した時、それらの機器の出す電波により影響を受ける恐れがあります。従って、医療機関の外で植込み型心臓ペースメーカー以外に医用電気機器を使用される場合(自宅療養など)は、電波による影響について予め個別に医用機器メーカーなどに確認を取るようにしましょう。また、植込み型心臓ペースメーカー及び植込み型除細動器以外にも病院外で医用電気機器が使用される場合があります。これらの機器の使用者は電波による医用電気機器への影響を医用電気機器製造業者等の関係者に確認するようにして下さい。 心臓ペースメーカー


■参考: 植込み型心臓ペースメーカー及び植込み型除細動器装着の方は、装着部から離して携行、使用するように心懸けましょう
  • 携帯電話(出力は1ワット以下)の場合は装着部から22cm以上離すようにしましょう
  • 自動車電話及びショルダーホン(出力は2ワットから5ワットまで)の場合は装着部から30cm以上離すようにしましょう

インターネットのマナーについて

 携帯電話でインターネットを利用する際はくれぐれもマナーを守って利用するように心懸けましょう。


 インターネットは世界中で多くの人が利用していますので、普段の日常生活以上に礼儀やマナーが重要になります。携帯電話でインターネットを利用する際にも、くれぐれもマナーに配慮した使い方を心懸けるようにしましょう。また、ちょっとした表現が誤解を招いたり争いのもとになることもあるので、言葉を選んで相手を不快にさせることのないように配慮しましょう。

 なお、インターネットのマナーの詳細については、ワンポイントアドバイスのバックナンバー「ネチケットとは?」において、パソコンによるインターネットが中心ですが、特に掲示板とメールのネチケットにつて取り上げて解説していますので、インターネットのマナーの詳細についてはそちらをご参照下さい。

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子どもと携帯電話〜携帯電話との付き合い方〜

 公共のマナーについて特にマナーの問題が指摘されるのは、大人よりも若者の方が多い傾向があります。携帯電話のマナーに関しても、やはりその傾向が認められます。
 そこで本項では、携帯電話のマナーの問題の背景にある、子どもの携帯電話の利用実態や携帯電話が子どもに与える影響などの問題について取り上げ、併せて親子で携帯電話とどのように付き合うかについて取り上げ解説しました。
子どもに携帯電話を持たせる前に〜親自身がリスクを把握する〜

 子どもを巻き込む犯罪が増えている昨今、緊急時の連絡や所在確認などのための安心グッズとして携帯電話を活用している、或は活用しようとしているご家庭も多いのではないでしょうか。或は子どもがほしがった時や中学入学、塾通いなどを機に携帯電話を持たせる例も多いようです。
 ところが、携帯電話の子どもへの普及と共に、中高生が携帯電話を介して不当請求などの被害に遭ってしまったなどという事例も報告されるようになって来ました。携帯電話を持つ時には、特に親御さんはその安心・便利さだけに着目しがちですが、しかし、その携帯電話が子どもには対処し切れないリスクの入り口になることも知っておかなければなりません。

 携帯電話を取り巻く状況は目まぐるしく変化していて、親はその実態を中々把握し切れないかも知れませんが、とにかく子どもに携帯を持たせる前に、まず親御さん自身が子どもが携帯電話を持つことのリスクについて勉強し、それをきちんと子どもにも伝えて一緒に考えるという姿勢が大切になります。
■子どもが携帯電話を持つことに賛成?反対?
子どもが携帯電話を持つことの是非

■子どもに携帯電話を持たせる理由
子どもが携帯電話を持っている理由

携帯電話をめぐる状況

 皆さんもご存知の通り、近年の携帯電話の広がりは目覚ましいものがあって、最近では中学生、さらには小学生にまで携帯電話が普及しつつある状況です。当然ながら子どもたちは携帯電話に興味津々で、「みんなが持っているから」などと言って欲しがります。その一方で親たちは、「子供の安全」や「危険な出会い系」の特集でも触れたように、出会い系や援助交際・不当請求など子どもが犯罪に巻き込まれることを心配をしたり、逆に防犯のためには持たせた方がよいのではないかとも考えるといったように、携帯電話に対していささか混乱した立場を取っていると言ってよいでしょう。他方、教員としては、授業中のメールが教室秩序の妨げとなるとか、新たな携帯リテラシー教育が必要だ、或は携帯メールでの教員と生徒との関係をどうするか等々かなり厄介な問題を抱えている現状があります。
 親御さんの態度にも見られたように、こうした事態に対して社会はいささか混乱気味だと言ってよいでしょう。携帯電話各社が子ども向けの携帯電話を開発・販売する一方で、マスコミは携帯電話絡みの事件を繰り返し報道しています。また、警察は携帯電話と非行との関係を警告するといった具合です。そして一部では「小中学生に携帯電話を持たせない」という住民運動が起きたりもしている有様です。

 それでは、そのどちらの意見が正しいのでしょうか? そもそも子どもと携帯電話の関係について私たちはどう考えたらよいのでしょうか? もっともどれが正しいとは一概に言えませんが、ここでは、主にこれまでの調査研究から、利用の実態や影響、対策などについて考えていきたいと思います。
 なお、参考までに携帯電話に関する様々な統計レポートがネプロジャパンの「モバイルレポート」において取り上げられています。大変参考になるデータなので、興味のある方はそちらもご覧下さい。
携帯電話の利用実態

携帯は中学生になってから

 まずは小・中学生における携帯電話の普及率から見ててゆくことにしましょう。

 ある調査によると、小学校4年生が7%、5年生で20%弱、6年生で20%強、中学校では、1年生で30%台、2年生で40%台、3年生で50%台の普及率だと言います。しかし、もちろん普及率には地域差があって、たとえば大都市では小学生が30%弱、中学生が60%強と、大都市での普及が早くなっています。とにかく全国的に言えば、中学2〜3年生辺りから携帯電話を持つのが平均的ということになるのではないでしょうか。
携帯は付き合いの道具

 携帯電話の利用実態は、小学生と中学生でかなり異なっているようです。

 まず小学生の場合は、塾通いや親のススメがキッカケで持ち始め、連絡の相手も親が多くなっています。一方で中学生になると、携帯電話を持ち始めたキッカケは「友人が持っているから」という人が多くなり、連絡の相手も学校の友人が主となります。また、中学生は携帯メールの利用が活発で、そこでは、主に放課後の予定や遊びの連絡など他愛のない友人の話題などがやりとりされています。このように、小学生の時は親が持たせるものであった携帯電話が、中学生になると友だち付き合いの道具となるわけです。
月額使用料金は4〜6千円 

 子どもに携帯電話を持たせる時に親がまず心配するのは携帯電話の使いすぎによる料金の問題で、そのため、多くの家庭で利用金額の上限を決めていることと思います。実際に中学生が月にどのくらい携帯電話代金を支払っているかをみると、4〜6千円までが中心で、次いで6〜8千円、4千円未満とその前後の料金が多くなっているようです。
 そこで、利用上限を決める際にはこの中心帯辺りの4〜6千円程度を目安にするとよいのではないでしょうか。なお、使いすぎを防止するために、5千円とか7千円、1万円など一定料金を超えるとそれ以上利用できなくなるサービスも携帯各社によって用意されています(例:ドコモのタイプリミット、auの料金安心サービスなど)ので、或は使いすぎの防止にはこうしたサービスを利用するのもよいかも知れません。
携帯電話が子どもに与える影響

人間関係への悪影響は限定的

 携帯電話が人間関係に与える影響については様々に議論されていますが、これが正解だという結論は必ずしもまだ出ていません。ただ、これまでの調査研究によると、特に深刻な影響は確認されていないというのが実状のようです。


 たとえば「携帯は親の頭越しに子ども同士のやりとりができるので、家族をバラバラにするのではないか」という議論があります。けれども、携帯が親子間で使われれば、逆に親子のつながりが強化されることもあるわけで、若者に対する調査ではその両方の影響が同様に確認されています。これは、たとえば親離れの傾向にある親子では携帯もその傾向の中で使われ、他方で親子の絆が強い時にはそれに沿った形で使われるからで、要するにこれは、元々あった親子関係などの傾向を携帯電話が促進することはあっても、携帯電話が人間関係を劇的に逆転させるようなことは余りないと考えられます。

 その他、「携帯で友だち関係が変質した」という議論もあります。たとえば「携帯メールのやりとりは文字上に限られ、都合のよい時だけ応対すればよいので、表層的人間関係を促進するのではないか」という恐れがよく表明されます。けれども、これも詳しく調査してみると、携帯メールを多用する人ほど友人と密に付き合うことを好むという逆の傾向が確認されます。これは、携帯メールを多用する若者には友だちが多く、実際に会って話すことも多いために、ある意味で親密な人間関係を持っているためだと考えられます。
 また、「携帯メールによって友人関係が選択的になってきたのではないか」という議論もありますが、しかし、これも調査してみると、「人間関係の切り替え志向」と携帯メール利用とは関係性は特に見られませんでした。さらに「携帯メールの多用は却って孤独感を増しているのではないか」という懸念もあるのですが、これについても、実際には、携帯メール利用頻度の多い人は、孤独に対する恐怖は多いものの、孤独感は少なかったという結果が出ています。

 以上から分かることは、先にも述べたように、子どもたちの中に元々あった人間関係に置ける問題傾向を携帯電話が増幅し促進するといった問題点は認められるものの、逆に元々あった人間関係を携帯電話が一方的に変質させるというような問題点はないということになります。
メル友は問題か?

 メル友とは、実際に会ったことがなく、メールだけでやりとりする間柄のことを言います。中学生ではメル友が盛んで、メル友とよくやりとりをするという生徒がメール利用者の4分の1程度はいるようです。さらにメル友がいる中学生の40%弱が実際にメル友と会ったことがあると言います。もしもこれが「出会い系」などを介して良からぬ大人たちと会っているのだとしたらそれこそ大変由々しき問題ですが、実際はそのようなことは少ないと言われています。というのも中学生のメル友の殆どは中学生で、「出会い系」などにアクセスするのは携帯WEB利用者のうち数%ほどだからです。要するに彼らのメル友とは、どうやら友だちの友だち、或は趣味の掲示板などで知り合った相手などが多いようです。

 なお、中学生がメル友をつくる背景には、「多くの友だちを作りたい」という心理があります。成長の途中にある中学生は、自己の独自性に気づいていないために、たとえば「自分と同じように考え、同じように感じる人がどこかにいるのではないか」と考えて多くの友だちを探す傾向があって、それがメル友に繋がっているのではないかと考えられます。
携帯電話の問題点とその対策

 以上解説して来たように、携帯電話が友だち付き合いのためのただの道具であり、基本的には人間関係上の大きな問題が必ずしもないとすれば、中学生以降の携帯電話利用は已むを得ないものと言えるのではないでしょうか。しかしながら、もちろんその一方で携帯絡みの様々なトラブルが発生しているのも紛れもない事実です。
 そこで本節では、その代表的なトラブルと考えられる解決策について以下に取り上げ解説しておくことにします。なお、いわゆる携帯によるインターネットの危険性としてよく取り上げられるいわゆる「出会い系」の危険性などについては、これもワンポイントアドバイスのバックナンバー「危険な出会い系サイト」「子どもの安全」中の 「ネット環境と子どもの安全」の章においても再々取り上げて解説していますので、興味のある方はそちらをご参照下さい。
出会い系サイトは危険がいっぱい


■1: 出会い系サイトなど有害サイトで被害に遭う
 出会い系サイトは性犯罪や怪しい勧誘、ぼったくりなどの温床であることを詳しく説明しましょう。その上で、携帯電話の販売店で各社が用意した無料のアクセス制限サービス(例:ドコモのKid's iモードプラス、auのEZ安心アクセスサービス、ボーダフォンのウェブ利用制限など)に登録するのもよいと思います。
■2: ダウンロード等で料金を使いすぎる
 よく話し合った上で、各ご家庭で利用料金の上限についてルールを作り、監視するようにしましょう。その上で、余り使わない有料サービスは解約させるのもよいでしょう。なお、上述の使いすぎ防止サービスに登録するのもよいと思います。
■3: 使いすぎて勉強が疎かになる
 生活態度や成績・利用料金等を親御さんが監視し、それでも直らない場合は携帯電話を取り上げるなり、或は夜間利用制限サービスに登録するのがよいでしょう。
■4: 怪しげな迷惑メールが来る
 パソコンからのメールは受けないよう設定するなど迷惑メール対策を取るようにしましょう。
■5: 怪しげなサイトをクリックしたりして不当請求が来る
 クリックだけではアドレスなどの個人情報は流出しないので、無視するように教えましょう。また、懸賞等に釣られて安易に個人情報を送ったりしないように指導するのも大切です。
■6: 絵文字を使ったとしても、メールは相手の真の反応が分かりづらく行き違いが生じやすい
 メールだけに頼らず、大事な話は電話ないしは直接会って話し合った上で修正するよう指導しましょう。
■7: メールは残るし独白的なので、怒りの連鎖を生じやすい
 怒りはメールではなく、相手に直接会って言うなり、それが出来ない場合は電話でもよいから、とにかく実際に相手と面と向かって自分の口で言うように指導しましょう。
■8: メールで噂が流れる(チェーンメール)
 チェーンメールの恐ろしさをよくよく説明した上で、根拠が不確かな情報は取りあえず送らないように指導しましょう。
■9: 他人になりすましてイタズラ・メールをする
 人間関係を壊すので、悪意のないイタズラといえど、そのようなことはくれぐれもしないように指導しましょう。また、携帯の貸し借りもしないように指導しましょう。
■10: 携帯オークションで詐欺に遭う
 携帯オークションは出来るだけしないように指導しましょう。
■11: 書店の本を買わずに撮影する
 これは「デジタル万引き」という犯罪なので、著作権の問題も含めよくよく説明して、そういったことをしないように指導しましょう。
■結論:  以上のように、子どもが携帯電話を適切に使うためには、(1)親がするべきこと、(2)子どもへの指導、そして、(3)子どもが心懸けることの3つが必要になります。中には小学生レベルでは難しいこともありますので、やはり小学生に携帯電話を持たせるのは慎重に考えた方がよいかも知れません。一方で中学生以降については、以上のことに気をつけさせてトラブルなく携帯電話を使うように親がきちんと指導してほしいと思います。

参考:子どもケータイ10箇条

 上で子どもと携帯電話をめぐる状況について詳しく解説して来ましたが、それでも、親自身がリスクを知ると言っても、どうしてよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。そんな方の役に役立つのが「子どもケータイ10箇条」です。

 これは、「親と子の情報ネットワークASU.ナビ」が作成した初めて携帯電話を持つ子どもと保護者のための心得を分かりやすくまとめたものですが、こうした心得を手掛かりに、携帯を悪用した最近の犯罪事例などを親子で一緒に調べてみるのもよいでしょう。リスクを事前に知っておけば対処もしやすくなり、トラブルを防ぐことが出来るかも知れません。また、子どもが携帯電話を持ちたいと言い出した時は、何故ほしいのか、その理由を説明させることも大切です。「友だちが持っているから」といった安易な理由ではなく、何故必要なのかを自分自身できちんと考えて、責任を持って使えるようにすることが大事です。
 既に上で述べたことと一部重複する部分もありますが、本節では下記に「子どもケータイ10箇条」を参考までに掲げておきます。


■子どもケータイ10箇条
■1: 長時間、また夜遅くまで使わない
■2: 使ってよい料金の中でやりくりする
■3: メールアドレスを複雑にして迷惑メールをブロック
■4: 知らない人からメールや電話が来ても対応しない
■5: 出会い系サイトなどの危険なサイトにはアクセスしない
■6: やたらに個人情報を登録しない、教えない
■7: 悪意のあるメールやチェーンメールは送らない
■8: 使ってよい場所や悪い場所、やってはいけないことを考えて使う
■9: 携帯を人に貸さない・無くさない
■10: 困ったことや分からないことがあったら、直ぐに保護者に相談する


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