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 2007年に麻疹が大流行し、大騒ぎになったことを覚えている人もいるでしょう。今年も麻疹が例年になく大流行しています。しかも、麻疹は今や子どもだの病気ではありません。大人でも麻疹に罹る恐れが充分にあります。


今年も大流行!怖い麻疹
【1】麻疹はどんな病気か?〜その症状と合併症〜
【2】大人の麻疹に注意〜麻疹は最早子どもの病気ではない!?〜
【3】麻疹に罹ったら?〜麻疹の検査と治療法〜
【4】麻疹の予防法〜予防接種と日頃の心懸け〜


【1】麻疹とはどんな病気か?〜その症状と合併症〜

 今年も麻疹が大流行しています。
 本節では、麻疹とはどんな病気なのか。その症状や合併症について解説します。
麻疹とはどんな病気か?


麻疹はその昔は「命さだめ」と呼ばれた世紀の大病
 江戸時代の日本には、「7歳までは神の子」などという表現ががありました。乳幼児の死亡率が今とは比べものにならないほど高かったため、「7歳までは人の子ではない。神様の子だ」と言われたのです。そして、様々な感染症を乗り越え、丈夫な身体となってはじめて人の子とされたわけです。 そんな子どもたちの命を奪うと恐れられていた病気の代表が麻疹です。当時、麻疹は「命定め」と呼ばれた世紀の大病だったのです。麻疹は既に奈良時代から流行を繰り返しており、人々は常にその脅威に怯えていました。感染力が強く、一度発生するとあっという間に広がり、為す術もないまま死に至ることもあります。生きるか死ぬか、そんな生死を分けるほどの重い病気だったため、江戸の人たちも麻疹を「命定め」と呼んだのです。
 いま麻疹は麻疹・風疹ワクチンで風疹と一緒に予防することが出来るようになりました。命定めとまで呼ばれていた病気も、予防接種を受ければ罹らずにすむのです。しかし、世界では未だに毎年16万人が麻疹でなくなっていることも事実です。かつて麻疹で苦しんだ人たちの思いを無駄にしないためにも、決められた時期に、決められた回数のワクチンを、きちんと接種するようにしましょう。

麻疹は春に気をつけたい病気
 春は結構気温の変化も激しく、天気も変わりやすい季節です。それに加え、様々な環境の変化で体調を崩しやすい時でもありますね。春に流行する病気の一つで気をつけたいのが麻疹ですが、子どもはもちろん、今は大人の麻疹も流行っているので注意が必要です。また、特に春から夏にかけては様々なイベント事も目白押しですが、そういったものへの参加は小さな子どもにとっても体力消耗の原因にもなってしまいます。もっとも、気をつけると言っても、転勤になったり、保育園に行き始めたりといった具合でm子どもの新しい環境での集団生活がスタートすると、大人も他人から麻疹を移される確立も高くなってしまいます。せめて家庭で予防策を講じたいものですが、そのためには、毎日のうがいや手洗い、部屋の加湿などを心懸けて、麻疹をはじめ様々感染症を防ぎましょう。 

麻疹とはどんな感染症か?

 麻疹とは、麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性のウイルス感染症で、感染力が極めて強く、死亡することもある重症の感染症です。日本を含めた世界保健機関(WHO)西太平洋地域では、残念ながら実現はしませんでしたが、2012年までに麻疹を排除することを目標に決めていました。空気感染や飛沫感染、或は接触感染、その何れの方法によっても感染し、好発年齢は1歳代が最も多く、次いで6〜11カ月、2歳の順で発症します。また近年、成人麻疹の増加が問題となっており、10〜20代での発症が多く報告されています。

麻疹のサイン
 風邪と見分けがつきにくい麻疹も、昔は「命定め」と呼ばれたほどで、重症になると怖い病気です。仮に流行シーズンが過ぎていても、暫くは注意しなければなりません。それというのも、麻疹には潜伏期間が10日ほどあるからです。発熱や咳などの症状が出る数日前にはもう感染していることになります。しかしながら、風邪の初期症状と似ていることもあり、残念ながら素人判断ではよく分かりません。それでは、麻疹のサインはどんなものかと言うと、その決め手はコブリック斑という口の中に出来る小さな白い斑点です。これは1日くらいで消えてしまうことが多いので見逃さないようにしましょう。そのあと身体に赤い発疹が現われますが、出来ればコブリック斑に気づいた時点で受診するようにして下さい。

参考:麻疹と風疹の違い
 風疹のことを「三日はしか」とも呼び、どちらも身体に発疹が出ることから、麻疹も風疹も同じものと考えている人もいますが、本来両者は別の病気です。初期症状は似ていますが、風疹は比較的早く症状が治まるのに対し、麻疹は高熱が数日続くのが特徴です。何れも予防接種で防いだり、或は予防接種をすることによって、罹患しても症状が軽くすみます。

麻疹の種類

 多くの人が罹る麻疹というのは一般的なものですが、この一般的な麻疹の他にも、症状の重さによって幾つかの種類に分けられます。麻疹にも種類があることを覚えておきましょう。


重症の麻疹
 重症の麻疹は2つの種類に分けることができます。1つは内攻型の麻疹。これは普通の経過をしていたにも拘わらず、急に発疹が消えて、呼吸困難やチアノーゼ蒼白などの気管支肺炎や心不全の症状が現われるタイプで、こうなると数時間以内に命を落としてしまうとても危険なものです。もう1つは出血性麻疹と言い、突然痙攣や意識障害、呼吸困難などが起こって、皮膚には広範囲に渡って出血斑が出ます。余程でない限り、何れの麻疹も罹る確率は低いと言えますが、万が一このような症状が見られた時には一刻も早く医者を受診するようにしましょう。

軽症の麻疹
 重症の麻疹とは反対に軽症の麻疹もあり、たとえば潜伏期間が長くなったり、熱の出る期間が短かったり、コプリック斑(小さな白い斑点)が出なかったりと言った具合で、一般的な麻疹の症状よりも軽くすむことがあります。このような症状の軽いものを修飾麻疹と言い、一度ワクチン接種をしたことのある人に見られる種類の麻疹です。接種してから時間が経ちすぎていたり、ウイルスに晒されることが少ないため、免疫力が低下していると修飾麻疹を発症するわけですが、何れにせよ他人に移るので気をつけてください。この修飾麻疹は、症状が軽いと麻疹かどうか判断しにくいということもあるので、一度抗体検査を受けてみましょう。

麻疹の症状とその特徴
麻疹の症状


麻疹の症状の現れ方
 麻疹は、10〜12日の潜伏期の後、発熱で発症します。発熱期は咳や鼻水、結膜炎の症状が強く、38℃以上の発熱が数日続きます。病気の経過中一番感染力が強い時期です。その後、いったん解熱傾向を示しますが、直ぐに耳後部付近から発疹が現われると共に39℃以上の発熱が数日続きます。そして、発疹出現前後1〜2日間に口腔粘膜(臼歯の横付近)に白い粘膜疹(コプリック斑)が現れます。この粘膜疹は麻疹に特徴的であるため、これを確認して麻疹と臨床診断されることが殆どです。発疹はその後、顔面や体幹、手足に広がって全身の発疹となり、数日後、色素沈着を残して回復に向かいます。なお、肺炎や中耳炎を合併することも多く、1000人に0・5〜1人の割合で脳炎を合併します。また、麻疹ウイルスに感染後、特に学童期に発症することの多い中枢神経疾患として亜急性硬化性全脳炎(SSPE)があります。知能障害や運動障害、ミオクローヌスなどの症状を示し、発症から平均6〜9カ月で死亡する進行性の予後不良な疾患です。発症頻度は麻疹に罹った10万人に1人程度と言われています。

麻疹の初期症状
 麻疹は子どもがよく罹る病気として知られています。最近では子どものみならず、大人の間でも流行することがあるので特に注目が高まっていると言えるかも知れません。麻疹はケースによっては重篤な結果を引き起こすこともあるので、初期症状を理解して適切に対処するようにすることが肝要です。
 麻疹は高熱と赤い細かな発疹が特徴の病気です。麻疹と言うと赤い細かな発疹と考えている方が多いかも知れませんが、初期症状は以外にも風邪に似ています。38度前後の高熱や咳、鼻水、目の充血、目ヤニ、そして口の中の白い斑点などが初期症状として現れることが多いとされます。この目の充血や口の中の白い斑点を見逃すと、風邪と症状が変わらないので見過ごしてしまうことがあります。風邪だと思って安静にしていたところ、発疹が現われてきたというケースも少なくないので、おかしいと思った場合は出来るだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。なお、麻疹に特徴的な赤い細かな発疹は、高熱が出てから2日〜4日程度経ってから現れることが一般的です。高熱が出てから数日で口の中に白い斑点が現れることがあるので、こちらも注意が必要です。高熱が下がってから発疹が本格的に現れるケースが多いでしょう。何れにせよ、発疹が現れたら麻疹の可能性が高いので医療機関を受診しましょう。

症状の特徴

 麻疹は一般に風邪の症状に似ていると言われますが、これは初期症状に関してのことで、症状が進むにつれて明らかに違いが出てきます。麻疹の主な症状はこの他、全身の倦怠感や口の中の激しい痛み、下痢などが特徴です。


必ず発熱する
 麻疹の症状としてまず38℃前後の発熱が挙げられます。場合にとっては39℃にまで上がることもあります。発熱は3〜4日ほど続きます。その後、熱は1℃くらい下がりかけますが、半日或は1日ほどでまた上がり始めます。また、熱が上がり始める前に頬の裏側に白い小さな斑点がたくさん見られるようになります。これはコプリック斑と呼ばれるもので、粉チーズをふりかけたように見えます。この頃から口の中の痛みは増してゆき、熱のせいもあってものを食べられなくなります。このコプリック斑は麻疹特有の症状とされていて、二峰性(にほうせい)発熱と言われる二度目の発熱が起こるサインとも言えます。また、二峰性発熱は39〜40℃になり、1度目の発熱よりも高くなることが多いです。この高熱が4〜5日続きますが、これを乗り切り、順調に経過すれば次第に熱も下がってゆきます。

空咳が出る
 麻疹が初期のうちは激しい咳も特徴の一つと言えます。最初はあまり痰もからみませんが、とにかくかなり強くでます。そのため喉も痛くなってきます。そうこうしているうちに痰がからんでくる場合が多いです。麻疹の全体の症状が治まった後も咳が2〜3日続きます。特に夜は気圧の変化などで咳が続き、呼吸をするのも大変で眠れないこともあります。そういう時は部屋の加湿を心懸けて下さい。特に小さな子どもは強い咳とともにもどしてしまい、吐いたものが喉に詰まってしまうこともありますが、その予防策として顔の横にタオルなどを置き、横向きに寝かせるとよいでしょう。なお、咳の症状は全員が強く出るとは限りません。

鼻水も大量に
 麻疹に罹って直ぐの頃から二度目の発熱が治まる頃まで鼻水の症状は続きます。鼻水だけでなく、他の症状もそうですが、体中にたくさんの発疹が出ている時が一番重症になります。この時大量の鼻水が出ますが、鼻のまわりの皮膚を傷めてしまいますので、くれぐれも鼻のかみすぎには気をつけましょう。が鼻水と思うかも知れませんが、長引くと結構辛いものがあります。

大量の目ヤニ
 麻疹になると目にも異常が現われます。目が真っ赤に充血し、黄色や黄緑色がかった目ヤニが出る結膜炎の症状が何日間か続きます。普通の光を眩しく感じ、涙が出ることもあります。目ヤニなどの症状は咳が出始めた次の日くらいから発症すると言われています。また、目の症状に関しては痒みが伴う場合と伴わない場合があります。

痒みを伴う発疹
 最初の発熱と咳、鼻水などのカタル症状を経て、二度目の熱が上がり始めてから顔や耳の後ろ、首に2〜3mmくらいの少しぷっくりと盛り上がった赤い発疹が現われます。この発疹は紅斑と言われるもので、次第に胸や腕などにも広がってゆき、仕舞いには背中やお腹、足と言った具合で全身に広がってゆきます。この時には隣り合った発疹同士がくっついて大きくなり、大小様々な発疹が出来るようになるため、皮膚が斑になります。 発疹が広がっていゆく度に色も濃くなってゆきます。発疹は余り強くはないものの、痒みを伴うことがあるので、無意識のうちに掻きむしってしまわないように注意が必要です。こうして、3日ほど経つと発疹の色も暗褐色に変わり、徐々に色素沈着(シミのこと)してゆきますが、この色素沈着は大抵1〜2週間で消えてゆきます。

経過による症状の変化

 麻疹の症状は主に3つに分類されます。それぞれの時期によって症状が異なり、その対処法も異なるため注意が必要です。また、ウィルス感染してから発病までは潜伏期間は1〜2週間あり、自覚症状は殆どないた、この時期に周りの人へ感染してしまう恐れも指摘されます。


カタル期の症状

 発病から最初の3〜4日の期間がカタル期に当たります。風邪のような発熱(38度前後)や身体のだるさがあるので、最初は風邪と勘違いする人が多いと言われます。そのため、この時期に通学・通勤してしまうと、他者への感染を広めることに繋がり、集団感染する恐れがあります。自覚症状も風邪と非常によく似ているために自己判断で無理をして外出してしまう人が多いのです。麻疹のカタル期では一度熱は下がりますが、身体に発疹が出始めた頃に口の中にも発疹が出来るようになります。

発疹期の症状
 カタル期で熱が1度下がった後に再び発熱し、39度以上の高熱が出ます。それと同時に身体や顔に小さくて赤い発疹が出始めます。発疹は手足の先まで発疹が出るので、ここで風邪ではないということを自覚する人も多いでしょう。また、他の症状としては、風邪のような咳や鼻水といった症状も強く、下痢などの腸トラブルも頻発します。口の中の発疹も痛みを伴い、普段通りの食事を摂ることが難しくなります。子どもは特に痛みで食事が出来ないので脱水症状になりやすく、栄養不足が続くと治りも遅くなる傾向があります。なお、発疹は小さい斑点から大きな斑点になり、約3日間続いた後に緩和しますが、発疹がいつまでも続く場合には他の病気を患っている場合もありますので、必ず病院に罹って下さい。発病から1週間目までを区切りに、その後回復に向かいます。

回復期の症状
 回復期に入っても微熱や咳があるために、通学・通勤へ戻ることはできません。通常、熱が下がってから3日までは自宅で安静するように医師からは求められます。赤い発疹は徐々に薄くなり、皮が剥けるように褐色のシミを残しながら消えてゆきます。そして、褐色のシミも後日消えてゆきます。

麻疹の初期症状は風邪と似ている〜麻疹を風邪と間違えないで〜

 麻疹の初期症状は風邪の症状ととてもよく似ています。発熱や咳、鼻水が出て、そして、熱が上がったと思ったら少し下がり、また高熱が出たりします。ちょっと風邪に比べておかしな熱の出方をするのも麻疹の特徴と言えるでしょう。麻疹であれば、もちろん風邪薬を飲んでも効くわけがありません。子どもが風邪のような症状だったので病院に連れて行ったら実は麻疹だったなどといいう話もよく聞きます。おかしいなと思ったら、発疹が出る前に受診することをオススメします。その他、熱の出方以外に、全身のだるさや寒気、腰痛、関節痛、頭痛などの症状が風邪よりも強い点も、麻疹と風邪を見分ける目安の一つと言えます。中でも0〜3歳くらいまでの小さな子どもは親御さんが日頃から小まめに体調をチェックしてあげることが大切です。
麻疹の合併症
合併症の危険性〜全体の30%が合併症を発症〜

 麻疹を発病すると免疫力が一時的に弱くなり、他の病気との合併症を起こす場合があります。また、元々その患者が患っていた病気と関連して悪化する可能性があります。合併症の代表的な病気は肺炎で、麻疹で死亡者が出る場合はこの肺炎によるものが多いとされます。合併症の判断は、発病後、薬を飲んでも1週間後も熱が出る場合、或は一度は熱が下がってからも再び発熱するなどの症状が現れた場合には合併症が疑われます。直ぐに発病時に罹った病院に再診をするようして下さい。なお子どもの場合、合併症で脳炎を引き起こすと脳への障害が出ることがあり、その後の生活に支障が出る危険性があるので注意が必要です。

 麻疹が怖いのは、感染力と発症率の高さだけではありません。麻疹に罹ると全身の免疫力が低下するため、他の菌などにも感染しやすくなります。そのため、中耳炎や肺炎、脳炎などの合併症を起こすことがあるのです。麻疹の合併症の発症率は全体の30%とも言われており、特に脳炎の合併症は麻疹感染者の1000〜2000人に1人の割合で発症しています。脳炎を発症すると知能や運動機能に重い後遺症が残ることもあり、最悪の場合は死に繋がることもあります。麻疹により1000人に1人が命を落としていると言われ、その2大死亡原因は肺炎と脳炎の合併症によるものです。また、感染後して数年も経ってから発症する合併症(亜急性硬化性全脳炎:SSPE)もありますので、治療後数年に渡って合併症への注意が必要になります。ちなみに、亜急性硬化性全脳炎とは、麻疹ウイルスが脳内で潜伏し、持続感染していることで起こる脳炎(脳の炎症)で、潜伏期間が長く、半年から10年にも及びます。初期には軽度の知的障害や性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が見られます。日本での発症は年間で5〜15名程度と稀な病気ではありますが、予後が悪く、罹ってしまった場合には死に至ることもある難病です。
麻疹による合併症の種類

 麻疹を発症すると、合併症にも罹りやすくなってしまいます。麻疹そのものの心配に加え、二次感染によって起こる合併症についても気にかける必要があります。肺炎や脳炎など生命に関わる病気も少なくありません。主な合併症の知識を身につけておくことも大切です。


中耳炎
 中耳炎は麻疹に罹った人の約5〜15%がなると言われています。麻疹には付き物の合併症と言ってもよいかも知れません。特に赤ちゃんの場合、症状を訴えないこともあるので、十分注意が必要です。中耳炎とは耳の鼓膜の内側の中耳に細菌などによって炎症が起きる病気ですが、小さいうちは、機嫌が悪い、頻りに手を耳に持って行っては大泣きする、夜泣きがひどい、ミルクを飲まないなどの様子が見られたら中耳炎の疑いがあります。また、中耳炎の症状の一つに発熱が挙げられます。高熱だったり微熱だったり様々ですが、麻疹の症状は治りかけているのに熱が下がらず、耳の痛みや耳だれが出て来たら医者を受診しましょう。

気管支炎
 麻疹の激しい咳の症状から気管支炎を合併することがあります。一口に気管支炎と言っても、軽い症状のものから肺炎になる一歩手前のものまで様々で、特に喉から下の気管支の部分が炎症を起こすものを気管支炎と言います。この気管支炎の最大の特徴は咳で、麻疹も咳が強く出て、しかも発疹が治まった後も暫くは続きます。そのため、麻疹の合併症として気管支炎の症状が現われていても直ぐ気づかないことも多いようです。麻疹の完治後もゴホゴホと激しい咳が取れずに咳き込んで吐いてしまったりといった症状が1週間以上続き、胸が痛くなったり、ゼーゼーする音が聞こえる場合は気管支炎になっていることが考えられます。更に発熱が続くこともサインの一つと見てよいでしょう。部屋の乾燥に注意して下さい。

肺炎
 麻疹に罹った後、気管支炎の延長で肺炎を引き起こしてしまう可能性もあります。程度によっては入院治療が必要になるため、気をつける必要があります。肺炎は40℃近い高熱が下がらず、痰のからんだ咳と鼻水も止まりません。息づかいが荒く、呼吸困難に陥ることもあります。そのため、早急に治療しなければとても怖い病気です。小さな子どもなどはこれらの症状のため機嫌がとても悪くなります。麻疹の症状が落ち着いてからも、熱が4日以上続いたり、咳などが治まる気配がなければ医者を受診しましょう。夜中でも様子がおかしいようなら、朝まで待たずに病院へ行くようにして下さい。

ウイルス性脳炎
 ウイルス性脳炎は麻疹の発疹が出てから2日〜1週間の間に発症しやすい合併症です。麻疹に罹った人の1000人に1人くらいの割合で発症します。嘔吐や頭痛、痙攣、意識障害などの症状が現われます。麻疹のために出た高熱が下がることなく、嘔吐などを繰り返したり、眠ってばかりいる、意識が朦朧とするというようなことがあればウイルス性脳炎が疑われます。一刻も早い受診が必要です。

SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
 上記の脳炎の中でも一番怖いのが、このSSPE(亜急性硬化性全脳炎)だと言われています。SSPEは亜急性硬化性全脳炎と呼ばれ、麻疹に罹った後6〜7年後に発症するとされています。このような恐ろしい合併症が起こるのは非常に稀ですが、それでも絶対にならないとは言い切れず、日本でも小児人口の100万人に0.57人の割合で発症しています。学力低下や行動異常に運動障害やてんかんが加わり、意識障害が出て、やがては昏睡状態に陥ります。もちろんワクチン接種していた方がSSPEにはなりにくいと考えられます。

その他の合併症
 この他にも、色々な合併症の症状があります。麻疹で出た症状がそのまま合併症として出続ける下痢や口内炎、それから麻疹の症状が悪化したものとしてカンジダ症、喉頭炎などが挙げられます。


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【2】大人の麻疹に注意〜麻疹は最早子どもの病気ではない!?〜

 近年は麻疹は子どもの病気とばかりは言えなくなりました。
 本節では大人の麻疹について取り上げ、大人でも麻疹が流行するその原因について解説しました。
今年も麻疹が大流行!


麻疹の海外感染急増 今年に入り100人超
 海外で麻疹のウイルスに感染し、帰国後に発症するケースが急増しています。国立感染症研究所が2月に発表した今年の患者数は1カ月半余りで103人に上り、昨年1年間の232人の半数に迫る勢いです。地域別では、京都府が20人で最も多く、千葉県13人、埼玉県12人、神奈川県10人と続きます。なお、今年の麻疹の患者で、ウイルスを分析した24人のうち20人からフィリピンで流行している型を検出、そのうち12人はフィリピンへの渡航歴があったとのことです。しかも発症者の約6割は予防接種を受けていなかったそうです。ちなみに、1歳と小学校入学前1年間の計2回の予防接種が無料です、昨年4〜9月の半年間の接種率は59%に留まっています。専門家は、麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の接種を呼び掛けています。

東アジアと東南アジアにおける麻疹の流行状況
 世界保健機関(WHO)西太平洋事務局(WPRO)の情報によると、2013年12月時点でに麻疹の患者の報告が多かった国は、中国、ラオス、フィリピンで、これらの国における確定患者数は、中国が26,360人、フィリピンが957人、ラオスが68人です。また、人口100万人当たりの麻疹の罹患率は、中国で21.2人、ラオスで11.5人、フィリピンで10.6人です。フィリピン保健省が1月23日付けで公表した情報によると、フィリピンでは、今年1月初旬の段階で麻疹が疑われる患者は1,163人も報告されており、このうち55人が検査で麻疹と確定診断されました。また、確定患者の多くはマニラ首都圏とカラバルソン、中部ルソンで報告されています。確定患者は1歳〜35歳までの年齢層で、29%は1歳〜4歳までの小児で、確定患者のうち麻疹の予防接種歴のある患者は21%のみでした。フィリピンでは、患者が多く発生している地域で集中的に予防接種キャンペーンが行なわれています。
 麻疹は予防接種で予防することができる病気ですが、予防効果を確実にするためには2回の接種が必要とされています。現在1歳と小学校入学前1年間の小児に対して計2回の定期の予防接種が行なわれています。海外の麻疹の流行が見られる地域へ渡航する前には、母子健康手帳などで予防接種歴を確認して下さい。麻疹に罹ったことがない人で、麻疹の予防接種を受けたことがない人や、1回しか接種していない人、または予防接種を受けたかどうかが分からない人は、渡航する前に早めに医師に相談しましょう。


参考:はしかは日本の輸出病!?
 日本の医療で海外から真っ先に非難されるのは「はしかの輸出」だと言われています。我が国は近年「麻疹輸出国」という誠に不名誉なレッテルを欧米諸国より貼られているのです。経済的に予防注射が可能な国の中で、実は日本のはしかの予防接種の普及は最低なのです。確かに成人の発病率も上昇傾向を示し、乳幼児の死亡も今なお毎年2桁を下りませんが、その主因は何れもワクチン接種体制の不備によるもので、その改善こそ第一に取り組まなければならない施策だと言ってよいでしょう。ちなみに、予防接種が普及しているアメリカでは年間数十人の発症しかありません。その数十人も、いわゆる不法移民が殆どとされています。自由の国・アメリカでは予防接種の国からの強制は当然ありませんが、しかし、就学時の条件にはしかを含めた多くの予防接種の証明が要求されます。アメリカ留学や転勤の場合、小学校入学を控えた家族がいると予防接種が済むまでは就学出来ないのです。
 まず乳幼児対策としては、麻疹発病のピークが1歳児にあることから、現行法の下では1歳になったら出来るだけ早期にワクチン接種を実施し、しかもその接種率を95%以上に上げることが大切です。そのため、日本医師会でもポスターを作るなどしてその推進に積極的に取り組んでいます。現行法では麻疹ワクチンの接種は母体より移行する抗体保有期間として12ヶ月までを除外していますが、実際には0歳児の罹患率は10数%を超え、しかも重症例も少なくないのが実情です。その原因としては、母親自身が若くてワクチン未接種者であったり、或は接種していてもお子さんの抗体価の保有が12ヶ月持たずに急激に降下してしまうものがかなり多いことなどが考えられます。従って、これを放置するわけにはゆかない現状にあります。何れワクチンの早期接種と接種率の向上が進めば、1歳児の感染ピークが抑えられ、そこからうつされる機会も減り、0歳児の罹患も防げることになるでしょうが、ここ暫くは何らかの対策が必要だろうと考えられます。また、0歳児への麻疹ワクチン接種については、その確実性を考えれば、現状では2回接種が必要という厄介な面があるわけですが、出来れば9ヶ以降の1回接種のみで充分確実で安全なワクチンの開発が可能であれば理想的で、開発が期待されているところです。その一方で成人対策としては、未接種者を中心とするはしか感受性者への対策がまず大切でしょう。特に現在海外で活躍することの多い10歳代後半より30歳前半の年代はワクチンの接種率も60〜70%前後と低く、成人麻疹の発生の大半を占めているもので、この中のはしか感受性者もおよそ80万人程度いると推計されています。しかし、問題はこのはしか感受性者の確認が簡単には出来ないことで、早急な方策としては、その年代で海外出張や長期の旅行を計画している者は、確実にはしかに罹った者以外はまずワクチン接種を受けてから海外にゆくことが推奨されます。何れにしても麻疹を早急に根絶し、「麻疹輸出国」の汚名を返上したいものです。

増えている大人の麻疹に用心を

 麻疹はウイルスの感染によって起こる小児期の代表的な感染症のひとつで、この病気は従来は大人が罹るケースは稀だと考えられてきました。ところが、麻疹に罹った成人患者の報告例が増えているとして、実は近年非常に注目されているのです。ちなみに麻疹の約3年間分の報告数を年齢別に見ると、報告数は1歳児が最も多く、1万5千人以上に上ります。一方、15〜19歳の患者も2千人以上、20歳以上の患者も1500人を超えます。乳幼児のみが罹る病気とは到底言えない状態です。軽症の人も入れると、実際の成人患者数はもっと多いと予想されます。何れにせよ、大人が麻疹に罹ると重症化することが多いと言われている点は見逃せないところです。麻疹を軽い病気と思っている人は少なくないかも知れませんが、実は日本でも50年前には子どもを中心に毎年数千人規模の死亡者が出ていた恐ろしい病気だったのです。その証拠に、今でも毎年数十人もの子どもが麻疹で重い合併症を起こして死亡しているほど怖い感染症であることに変わりはありません。何れにせよ麻疹が怖いのは、ウイルスが体の免疫系の中心となるリンパ球などで主に増殖するため、一時的な免疫不全とも言える状態になってしまうことにあります。このため、肺炎や脳炎といった重い合併症を起こすことがあり、これが麻疹による死亡の大きな原因となっており、たとえば麻痺など神経系に重い後遺症が残ることもあるのです。


肺炎や脳炎などの重い合併症も
 麻疹に罹ると、まず38℃前後の熱や咳、鼻水、結膜炎による充血や目ヤニなどが出て、その数日後には頬の内側に白い斑点ができ、さらに1〜2日すると、今度は頭部から全身へと赤い発疹が広がってゆきます。発疹は皮膚から盛り上がって、複数がくっついた形になるのが特徴です。麻疹の治療では、麻疹ウイルスを直接殺す薬はないため、風邪と同様、解熱薬などによるいわゆる対症療法が中心となります。幸い1週間程度で治ることが殆どですが、約千人に1人の割合で脳炎を合併し、その場合15%が死亡するとされます。大人でもこういった麻疹の症状は大体同じで、高熱やひどい咳に加え、肺炎や肝機能障害を来して、時に1週間近くもの入院が必要になったりします。妊娠中の女性では、早産や流産に至った例もあると言われます。さらに大人の場合、麻疹だと診断がつきにくいという問題もあります。小児科ではない内科の医師では、風邪にも似た高熱や咳といった症状から成人の麻疹を麻疹と診断するのは難しいでしょう。また、発熱の数日後に発疹が出るため、その間に飲んだ市販薬が原因だなどと思い込んでしまう人もいると思います。

ワクチンは約10年しか保たない!?
 なぜ大人がこうした感染症に罹るようになったのでしょう? その原因として、予防接種がそれなりに普及した結果、地域での自然な感染症の流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減ったことが指摘されています。ワクチンは、接種により免疫を得た後、徐々にその効力が落ちてゆくものです。従来は自然な周囲での流行によってウイルスに何度か接する機会があり、その度に免疫が強化されて来ました。ところが、流行自体が少なくなった結果、現在、予防接種の効果は、接種後10年程度しか期待できなくなっていると言うのです。要するに子どもの頃に麻疹の予防接種をしていても決して安心できないということです。従って風邪のような症状であっても、油断は禁物と言えます。

大人で麻疹に罹るとどうなるか?


原因
 一般的には幼児期に予防接種を受けるものですが、何らかの原因により予防接種できなかった人が成長し大人になってから麻疹のウィルスに感染して病気を発症するものだと言われています。また、幼児期に予防接種は受けたものの抗体値が低下し感染してしまうケースが最近は非常に増えていると考えられています。後者の場合には、子どもの頃に麻疹を発症したとしても,大人になって麻疹を再度発症するケースがあり、一概に子どもの時に麻疹に罹ったから大丈夫だとは言えなくなりました。

大人の麻疹は怖い
 麻疹は子供でも肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすと、死亡するケースや予後の生活に重い障害が出る場合があり、気を緩めることはできない病気です。しか、大人になって罹る麻疹が重症化すると言われる所以は、発病初期に自分自身や医師が麻疹だとは気づきにくい点にあります。子どもの麻疹は一般的に警告がなされ、医師の間でも注意して診断することが多いのですが、大人が麻疹に罹っても「まさか麻疹だとは思わなかった」という医師が多いと言われます。もっとも統計や実際の患者数から見れば麻疹の患者の殆どは20歳以上の大人に多いことが分かるのですが、昔からの習慣や謂われ深く残る地域や医師は大人の麻疹に気づくことが遅れる可能性があります。従って薬での対症療法の開始時期も遅れるため、症状が長期間に渡ったり重症化したりする例があります。麻疹ワクチンはそもそも一生効果が持続するわけではなく、子どもの頃に一度打てばよいと思っている人がたくさんいますが、それは誤りです。原則的に麻疹ワクチンは接種後10年しか予防できません。たとえば1歳になってから麻疹の予防接種をしても11歳まで、小学校に上がる前の6歳になって麻疹の予防接種をしたとしてもせいぜい16歳までしか効果は期待できないのです。もちろん子どもの時期の麻疹が怖いから予防接種を受けるわけですが、このようにワクチンの効果が切れた後は麻疹に感染したとしても決して不思議ではないのです。

妊婦への影響
 大人の麻疹で特筆すべきは、妊婦への影響が高いことです。それというのも、麻疹を患った人が妊婦へ麻疹を感染させてしまうと早産や流産に至ってしまう可能性があるのです。妊娠している女性が家族にいて、その人が麻疹ウイルスに感染すると、その女性も胎児へも悪影響が出ることを心に留めておいて下さい。そのため、家族に妊婦の人がいる場合や、或は会社や仲間の内に妊婦がいる場合には注意が必要で、特に気になる症状がその人達にあれば直ぐに医者に罹るよう心懸けましょう。特に麻疹患者は男性が多いので、高熱や腸トラブル、咳がある場合には、早計に風邪だと自己判断せずに病院へ判断を仰ぎましょう。

どうして大人が麻疹やおたふく風邪に罹るようなったのか?

 麻疹や、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)などのウイルス感染症の多くは、ワクチン接種によって予防されるようになりました。しかし、最近大学生が麻疹に罹ったり、野球の選手がおたふく風邪に罹ったというようなニュースを見かけることが最近多くなりました。その原因はどこにあるのでしょうか? その可能性としてまず挙げられるのは、日本における衛生環境の向上が原因となっているということです。
 免疫は細菌やウイルスなどの病原体に対する防御システムで、ある病原体に一度感染した人は同じ病原体の感染には2度と罹らない(または罹りにくい)という特徴があります。ワクチンは一度目の感染を人為的に行なうもので、もちろんその際には病原性をなくした弱毒ウイルスや増殖できなくなった不活化ウイルスを人為的に作成し、それらを用いてワクチンを調整します。前者を生ワクチン、後者を不活化ワクチンと言います。なお、免疫の武器は抗体とキラーT細胞ですが、生ワクチンは両者を、一方不活化ワクチンは前者のみを誘導するので、生ワクチンのほうが予防効果が高いことが知られており、麻疹やおたふく風邪、風疹などに対しては生ワクチンが使用されています。しかし、生ワクチンは投与後体内で病原性を持つウイルスに変わる可能性も極稀ながらあり、それに伴う危険性もあります。これら生ワクチンは赤ちゃんの時に接種されますが、体内では弱毒ウイルスが生き続け、暫時免疫力を高めてゆきます。同時に少量のウイルスは体外に唾液や糞便等とともに排泄され、他の子供に感染し、これら子どもの免疫力を高めます。また、ある程度免疫力を持った子どもは、患者から排泄されたごく少量の病原性ウイルスに感染すると、同様に免疫力が高まります。このように、かつては自然に何度もワクチン接種を受けているような状況が整っていました。ところが、近年衛生環境が向上した日本では、他の子どもや患者からの弱毒ウイルスや病原性ウイルスに接する機会が少なくなってきたため、生ワクチン投与を受けた子どもの免疫力が成長と共に弱くなり、大人になった時にはウイルスに対する抗体価が低いとか全くない人もいることが最近になって分かってきたのです。そして、このような成人がウイルスに感染すると、麻疹やおたふく風邪を発病するという次第です。ちなみに、元来子どもの病気であったこれらのウイルス感染症に大人になって罹ると、その副作用が大きいことが知られています。たとえば妊婦が風疹に罹ると奇形の赤ちゃんを産む可能性が高いとか、或はおたふく風邪に罹ると、精巣炎が発症し、不妊の原因になる場合があるなどと言った具合です。そこで最近、成人でも抗体価が一定以下の人にはワクチンを接種することが望ましいとされるようになってきました。現時点では健康保険には採用されていませんが、一度抗体の検査を受けることができますし、抗体価が低いという結果が出た人はぜひワクチン接種を受けられることをオススメします。

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【3】麻疹に罹ったら?〜麻疹の検査と治療法〜

 それでは、図らずも麻疹に罹ってしまったらどうしたらよいでしょうか?
 本節では、医者が行なう麻疹の検査法及び治療法について簡単ながら解説しました。
麻疹の感染経路


麻疹の原因
 麻疹は麻疹ウイルスが原因で起こる感染症です。特に咳やクシャミなどが喉や鼻から入って人から人へと移ってゆきます。また、空気による感染も起こります。従って、麻疹を発症した人と同じ室内にいるだけで、かなり距離が離れていたとしても移る可能性があります。10日間くらいの潜伏期間がありますが、この期間、自覚症状はまだ見られません。麻疹の感染力はとても強く、感染してしまったら90%以上の人が発症すると言われています。1人発症すると12〜14人の免疫のない人に移ってしまうほどです。発熱などの症状が出る1日くらい前から、発疹が消えた後3〜4日は周囲に移る可能性が高いです。ちなみに、この間ウイルスのパワーが弱まることはありません。

感染経路
 麻疹の原因はウィルス感染で、麻疹を発病した人から人への感染が認められます。また、麻疹ウイルスはウイルスの中でも小さなウイルスなので、空気中を漂い空気感染を起こして広まります。
  • 空気感染
     空気中にあるウィルスが空気の流れによって運ばれて人の皮膚や粘膜に付着して感染することを言います。部屋の中だけに限らず、屋外の殆どで空気感染する可能性が高く、空気感染を防ぐ手立てはこれと言ってありません。しかし、ウィルスを持っている患者と会わないことや、人の多い繁華街やイベントなどになるべく行かないことで少しでも空気感染の可能性を低くすることができます。

  • 飛沫感染
     人のクシャミや咳などによってウィルスが体内から外へ飛び人に感染することを言います。飛んだウィルスは人の皮膚や鼻や口などの粘膜に直接付いたり、吸い込んだりして感染します。咳やクシャミは通常4〜9メートルの非常に広い範囲に飛ぶことが分かっており、空気感染と同様に対策を立てづらいことが難点です。

  • 接触感染
     ウィルスの付いた服や物に触って感染することを言います。また、感染者とのキスやハグ、性行為においてもウィルス感染することも判明しています。ドアノブや洗面所の蛇口、タオル、食器、筆記用具、寝具など感染者が触れる物全てが対象になり得ます。

麻疹に感染しやすい季節

 今では身近な感染症の麻疹ですが、実は重篤な合併症を起こすこともあり、注意が必要な病気と言えます。そして、麻疹の感染者の約50%程度が2歳以下の乳幼児と言われています。従って、小さな子どもを育児中の人は、1歳を迎えた時点で予防接種を受けるなどして対策を採った方がよいでしょう。先にも書いたように麻疹には有効な治療法がないので、感染を予防することがまず第一に必要です。また、これも先に説明したように麻疹は麻疹ウイルスと呼ばれるウイルスに感染することで発症します。麻疹のウイルスは非常に感染力の強いウイルスとして知られており、麻疹を発症している人と一緒の部屋にいるだけでも感染する可能性があります。特に麻疹への感染経験がない人や予防接種を受けていない人は注意が必要です。
 意外かも知れませんが、麻疹は季節性がある病気として知られています。年末から3月頃に流行のピークを迎えるインフルエンザのように、麻疹にも流行しやすい季節があります。一般的には初春から初夏にかけて麻疹が流行しやすいと考えられています。この季節になると麻疹の患者が増えるので、予防接種をしていない人や感染をしていない人は注意が必要になります。もしもこの季節に高熱がでるなどの症状が現われたら麻疹を疑う必要があるかも知れません。
麻疹に気づいたらどうするか?

 麻疹の予防でワクチン接種に勝る治療はありません。ワクチンを接種する前に麻疹の患者と接触したことが判明した場合は、接触後48時間以内に麻疹含有ワクチンを接種する、或は接触後5日以内にγ(ガンマ)グロブリン製剤の注射を受けることで発症を予防することで、たとえ麻疹に罹っても幸い軽くすませる効果があります。ただし家族内感染の場合は、これらの予防法では間に合わないことが殆どです。不幸にも麻疹を発症してしまった場合は、早急にかかりつけの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診し、入院の必要性を含めて対応を相談することが必要です。
麻疹の検査

 麻疹の抗体検査は、検査と言っても、麻疹が発症しているかどうかの検査ではなく、麻疹に対する免疫を持っているか否かを調べる検査です。ただ検査の結果、免疫があってもその効力が弱まっていれば発症してしまうこともありますし、また、麻疹以外にも抗体検査が必要な病気があるので、何にしても注意が必要です。


検査と診断
 麻疹の検査と言っても、特徴的な臨床症状で診断されることが殆どですが、最近はウイルス学的な検査診断が必要と考えられています。急性期に採血し、麻疹に特異的なIgM抗体を証明することで診断されます。また、麻疹は急性期の血液や咽頭ぬぐい液、尿から麻疹ウイルスを分離したりRT-PCR法で麻疹ウイルスの遺伝子(RNA)を検出することでも診断が可能です。この検査は全国の地方衛生研究所(地研 )で実施されており、麻疹を疑った場合は保健所を通して地研に臨床検体を搬送、地研での実施が困難な場合は国立感染症研究所で実施します。また、急性期と回復期に採血して麻疹ウイルスに対するIgG抗体が陽性に転じたことで診断する場合もあります。ちなみに2008年1月1日から麻疹は全数報告の感染症となり、診断した全ての医師が最寄りの保健所に1週間以内(出来る限り24時間以内)に届け出ることが義務づけられました。

麻疹の検査結果
 麻疹の検査結果の見方を説明します。この検査結果に従ってワクチンを接種した方がよい人は直ぐにでも病院にゆくことをオススメします。
  • 陰性(2.0未満):
     麻疹のワクチンを接種する必要があります。

  • 疑陽性(2.0以上4.0未満):
     近いうちに必ずこの数値は自然に減少してゆきます。この検査結果の場合もワクチンの接種が必要になります。

  • 陽性のうち10.0未満:
     陽性であっても急激ではないにしろ、この数値なら自然に減少してゆきます。念のために麻疹ワクチンを受けておくことをオススメします。

  • 陽性で10.0以上:
     麻疹に対する免疫は充分についていると言えます。ワクチンの接種なども今のところ必要ありません。

麻疹の治療法

 麻疹は子どもの多くが感染するため身近な感染症と考えてしまいます。しかも、身近な病気であればあるほど大したことはないと考えてしまいがちですが、麻疹に関してはこの考えは通じません。
 麻疹に罹ると風邪とよく似た症状が現われますが、合併症を引き起こすと命に関わることもあります。後遺症などが残るケースもあるので、最善の体制で治療に望むことが必要です。麻疹は身近な病気なので医療機関を受診すれば簡単に治療することが出来ると考える人がおおいと思いますが、実は麻疹は有効な治療法が未だに発見されていない病気なのです。そのため治療に当たっては、現われている症状を緩和する対処療法が用いられます。現在のところ麻疹に感染をすると対処療法を行なうのみになるので、感染をしないことが大切だと考えられています。その方法として取られているのが予防接種で、万全を期すために、1歳になったら出来るだけ早い時期に予防接種を受けることが薦められています。このように確実な治療法がなく、ケースによっては重篤な合併症を引き起こすことがあるので、現在のところ麻疹を治療するというより予防することに重きを置いた方が有効と考えられているのです。麻疹はリスクの大きな感染症なので、小さなお子様をお持ちの方は出来るだけ早く予防接種を利用しましょう。
参考:麻疹に解熱剤は危険!?

 はしかの診断は発疹が出てからなされることが多いのですが、はしかの発疹と発熱は麻疹ウィルスと免疫系の戦いの証拠です。この発疹の意味は、譬えて言えば潜伏期間中の麻疹ウイルスと免疫系の小勢り合い(具体的には発熱)を経て最後の決戦に及んでいる状況です。しかし、はしかの発熱に対して解熱剤を使用することは、その免疫の防御機能を下げて実は大変危険なのです。
 呼吸器系から侵入したウイルスが血液中に入り、ウイルス血症を起こしている時期は、自覚的には頭痛や腹痛・関節痛などが現われ、いっぽう他覚的には発熱が認められます。しかし、他のウイルス感染による症状と区別が出来ないので、はしかとは診断することが出来ません。この時期にうっかり解熱剤を使っては大変なことになります。 周囲にはしかの人がいる時は解熱剤は服薬しないで、まずは経過観察するように心懸けましょう。なお、ウイルス性疾患に対して安全性が高い解熱剤はacetoaminophenだけで、これ以外は使用してはいけません。なお、acetoaminophenの安全性は高いのですが、解熱効果は弱く、下げるというよりも投与時の体温より上げない程度の効き目です。

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【4】麻疹の予防法〜予防接種と日頃の心懸け〜

 麻疹の有効な対処法は予防以外ありません。そして、その予防法のうち一番効果的なものが予防接種だとされています。
 本節では、麻疹の予防接種について解説し、併せて日常での予防法を取り上げました。
麻疹を予防するために
麻疹の予防法

 まずは予防接種をすることと原因不明の発熱や発疹が出たら直ぐに病院にかかることが大切ですが、それ以外に考えられる予防策としては、自宅内では、うがいや手洗いの他に、掃除の頻度を高めたり、不特定多数の人が触れるもの(ドアノブやテーブルなど)は除菌ペーパーで拭き取ったりすることが予防法として考えられます。また、日頃から免疫力を高めるためには、充分な睡眠と適度な運動、栄養バランスのよい食事といった基本的なことが大切です。さらに、ストレスを溜めないことや体温を上げることも免疫力を高める方法として最近は注目され始めています。何の病気にしても生活リズムの整った健康的な生活が大切であることは論を俟ちません。
規則正しい生活

 夜更かしや寝不足、きちんとした食事が出来ていないなど生活が不規則になりがちの人は注意が必要です。特に子どもには好き嫌いなく何でも食べさせることも大切です。また、風邪などで受診した時に病院で麻疹を移されることも考えられます。風邪などを引かないようにするためにも、規則正しい生活を送ることが必要です。また、小さな子どもがいる家庭では、子どもにばかり気を配るのではなく、親御さんの健康管理がとても大切です。親が子どもに麻疹を移してしまったら大変ですし、それでなくても、体力が落ちている時は様々な病気に罹りやすくなります。体調が悪い時は、親もなるべく家の中で静かに過ごすことが肝要です。万が一、親御さんがも麻疹に罹ってしまった時は、子どもを自分の実家に預けるなど親御さんから子どもを一時遠ざける工夫も必要になります。
人混みではマスクをする

 赤ちゃんを含む小さな子どもは、基本的に体調の勝れない時は外出を避けた方がよいでしょう。特にデパートやスーパーなどの人混みへは連れて行かないようにしましょう。麻疹が流行っている時期は大人も外出を控えたいものです。もしもどうしてもという場合はマスクをするのも一つの方法です。麻疹は人に移す力がとても強いためマスクをしても意味がないとも言われますが、使わないよりも効果はあります。人混みに行く時や別の病気で病院に行く時などにマスクをつけるようにしましょう。そうすることで麻疹を移される機会を減らすことが出来ます。今は様々なキャラクター付の可愛いマスクなども売っているので、子どもが嫌がらないようであれば登園&登校時にマスクをつけさせるのもよいでしょう。
うがい・手洗い

 うがいと手洗いは色んな感染症の予防に役立ち、自宅でも簡単に実践することが出来ます。大人も子どもも外から帰ってきたら、うがいと手洗いをする習慣をつけましょう。喉も手も外の空気に直接晒される部分です。喉にはたくさんの最近が付着していますが、これを取り除くためにもうがいが効果的です。手も外で色々なものに触れて多くの最近で汚れています。手洗いは感染症予防のための一番効果のある方法と言っても過言ではありません。


うがいのしかた
  1.  うがいしやすい量の水、うがい薬を薄めたものなどをコップに入れます。お茶や紅茶も細菌を消滅させてくれる作用があるので効果的です。
  2.  まずは口の中に残った食べ物の滓などを取り除くために、上でうがい用に用意した水を口に含んで強めにうがいします。
  3.  次は上を向いて喉の奥まで液が行き渡るように15秒間ほどうがいします。後はこれを何度か繰り返します。

手洗いのしかた
  1.  まず手を水で濡らして石鹸をよく泡立てます。固形石鹸の場合も液体のハンドソープの場合も同様です。
  2.  手の甲と手の平、親指、指の付け根、指と指の間を丁寧に洗ってゆきます。特に爪の隙間は念入りに洗うようにします。
  3.  さらに10〜15秒間揉み洗いをします。手についた汚れなどを洗い流すのにとても効果的です。
  4.  最後は清潔なタオルで手を拭きます。出来ればタオルは毎日取り替えることがオススメです。

麻疹の予防接種

 麻疹は一般的には小さな乳幼児を含む子どもによく見られる病気で、場合によっては重篤化することもあります。この麻疹を防ぐ最善の方法と言えば何と言っても予防接種です。なお、大人でも麻疹をやっていないのなら予防接種しておいた方がよいでしょう。


麻疹のワクチン
 麻疹のワクチンを接種すると抗体を獲得することが出来、身体の中に免疫が出来るため、一般的には麻疹に罹らなくなります。麻疹のワクチンを接種してから10年以上経っても、免疫自体はまだあります。しかし、その効果は弱まっていると言ってよいそうです。現在アメリカでは1歳の時と5〜7歳未満の時の2回麻疹の予防接種が行なわれており、日本でも2008年から同様の措置が取られるようになりました。ただ、これは原則として麻疹・風疹混合ワクチン(MR)を接種します。

麻疹・風疹混合ワクチン
 2006年4月1日から麻疹と風疹の予防接種制度が変わり、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)が導入されました。同時に2つの病気を予防できるならその方がよいですし、2種類のワクチンを1回ずつ接種するよりも、麻疹・風疹混合ワクチンならば一度で簡単に済みます。なお、2008年から2012年までの5年間に限り、中学1年時と高校3年時にも第3期と4期の予防接種を受けることができるようになりましたが、これは幼児期に麻疹・風疹の予防接種を1回しか受けていない年代の免疫を強めるための特別措置です。

予防接種の副反応
 一般的には麻疹の予防接種を受けると、その副反応として発熱することが多いようです。ワクチン接種後5〜14日間に37.5℃以上の発熱がよく見られますし、人によっては38.5℃以上の高熱が出ることもあります。同時に発疹も出やすくなって、痒みを伴うこともあります。熱も発疹も通常は1〜3日ほどで治まります。なお、ごく稀にアナフィラシーや血小板減少性紫斑病、脳炎、痙攣などの副反応を引き起こす可能性があることも過去のデータによって明らかになっています。

予防接種を受けられる時期と場所
 麻疹の予防接種の時期としては、まず第1期は1歳ですが、1歳未満でも、生後7〜8か月を過ぎていると移る可能性があるので気をつけましょう。もしも周囲で麻疹が流行っていたり、親御さんの都合で保育園などに入れる場合は、1歳に満たなくてもワクチンを接種して構いませんよ。ですが、この場合は年齢が低いこともあって充分な抗体が得られないことも多いそうです。従って、1歳未満に予防接種を受けても、1歳以降にもう1度受けておくことが確実です。
 次に予防接種はどこで受けられるのかと言うと、基本的には内科や小児科といった医療機関で予防接種を受けることが出来ます。その他、麻疹に罹る学生などが増えていることから、病院での予防接種が出来ない学生のために学内で予防接種を実施する大学もあります。予防接種の費用については、第1〜4期の予防接種は無料ですが、大学生以上は任意接種になるため、費用は自己負担(大体5000〜8000円)しなければなりません。ただ、ワクチン不足のために予防接種を見合わせる病院も少なくありません。前もって問い合わせてから受診するようにしましょう。

麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種を受けられる人へ


ワクチンの効果と副反応
 麻疹風疹混合ワクチンは1 回の接種で麻疹及び風疹に対する免疫を獲得することができますが、その副反応としては、ワクチンの接種直後から数日中に発疹や蕁麻疹、紅斑、痒み、発熱などが見られることがあります。また全身症状として、接種5〜14日後に1〜3日間のだるさや不機嫌、発熱、発疹、局所症状として接種部位に発赤や腫張、硬結などが見られることがあります。また非常に稀ですが、ちょっとしたショックないし、時にアナフィラキシー様症状(蕁麻疹や呼吸困難、血管浮腫など)や急性血小板減少性紫斑病、脳炎、発熱を伴う痙攣が見られることがあります。

予防接種を受ける時の注意
  •  麻疹風疹混合ワクチンの必要性や副反応について不明な点がある場合は予防接種を受ける前にお医者さんに相談しましょう。
  •  予防接種を受ける前日は入浴(又はシャワー)をして身体を清潔にしておきましょう。
  •  当日は体調をよく観察して、普段と変わったところのないことを確認しましょう。
  •  清潔な着衣をつけましょう。
  •  予診票はお医者さんへの大切な情報です。正確に記入するようにしましょう。
  •  予防接種を受ける人が子どもの場合、母子手帳を持ってゆきましょう。
  •  予防接種を受ける人が成人女性の場合、予め約1か月間は避妊しておきましょう。

予防接種を受けることが出来ない人
  •  明らかに発熱のある人(37.5℃以上)
  •  重篤な急性疾患に罹っていることが明らかな人
  •  過去に麻疹風疹混合ワクチンに含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人(※他の医薬品投与でアナフィラキシーを起こしたことがある人は予防接種を受ける前にお医者さんへその旨を伝え、判断を仰いで下さい)
  •  妊娠していることが明らかな人
  •  お医者さんより免疫不全などの診断を受けた人、または免疫抑制を起こす治療を受けている人
  •  その他、お医者さんが予防接種を受けることが不適当と判断した人

予防接種を受ける際にお医者さんとよく相談しなくてはいけない人
  •  心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気などの基礎疾患がある人
  •  発育が遅く、お医者さんや保健師さんの指導を継続して受けている人
  •  風邪などの引き始めと思われる人
  •  前回の予防接種を受けた時に、2日以内に発熱や発疹、蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が見られた人
  •  薬の投与または食事で皮膚に発疹が出たり身体に異常を来したことのある人
  •  今までに痙攣を起こしたことがある人
  •  過去に免疫不全と診断されたことがある人、及び近親者に先天性免疫不全症の人がいる人
  •  麻疹風疹混合ワクチンに含まれる成分でアレルギーを起こす恐れのある人
  •  家族や遊び友達、クラスメートの間に麻疹や風疹、おたふく風邪、水ぼうそうなどの病気が流行している時で、まだその病気に罹ったことがない人
  •  妊娠の可能性のある人
  •  気管支喘息のある人

予防接種を受けた後の注意
  •  接種後30分間は病院にいるなどして様子を観察し、アレルギー反応などがあればお医者さんと直ぐに連絡を取れるようにしておきましょう。
  •  接種後2〜3週間は副反応の出現に注意しましょう。
  •  接種当日の入浴は差し支えありませんが、注射した部位を擦ることは止めましょう。
  •  接種当日は接種部位を清潔に保ち、いつも通りの生活をしましょう。ただし、激しい運動や大量の飲酒は避けましょう。
  •  高熱や痙攣などの異常な症状が出た場合は速やかにお医者さんの診察を受けて下さい。
  •  接種後2か月間は妊娠しないように注意しましょう。

はしか予防接種が大人に必要な理由
麻疹の予防接種の効果と予防接種時期

 麻疹予防接種を幼児期にすることが麻疹排除の上で欠かせないとされています。麻疹の予防接種は1966年に開始されました。従来は、麻疹の症状が出たことのある人や麻疹の予防接種を受けた人は終生免疫を獲得するとされていましたが、麻疹の予防接種を行なっていながら充分な抗体を得られない場合や、空気中の麻疹ウイルスに晒されないまま長時間を経過することで抗体価が低下するなどして、場合によっては麻疹の症状が出ることがあるのです。ただ、幸いその場合の症状は軽くすむことが多いとされます。麻疹の予防接種のワクチン接種後の抗体価の低下を防ぐため、世界の主な国々では年長幼児から学童期に2回目のワクチン接種を行なって抗体価の再上昇(ブースター効果)を図っています。日本においても、2006年4月以降に1回目のワクチン接種を受ける児童からは、就学前の1年間に2回目の麻疹・風疹混合ワクチンを受けれるように予防接種法が改正されました。
麻疹の予防接種はなぜ大人にも必要なのか?

 麻疹の予防接種は大人にも有効で、それは、麻疹の約30%に合併症として肺炎や脳炎ががあって、それが大人の麻疹の2大死因となっているからです。2007年の北九州市の枝光台中学校に代表される大人の麻疹の流行、集団発生が問題になったように、10歳以上並びに20〜39歳の大人に対する抗体検査が急務と指摘されています。麻疹は例年、春から夏にかけて流行するとされており、麻疹の症状の出た大人はこの年、15歳から29歳の世代で全体の77.6%を占めていました。大人の麻疹がこの年代に多く見られた原因として、定期的な麻疹の予防接種に使用されていたMMRワクチンの副反応を心配して、麻疹の予防接種率が低下、麻疹が余り流行しなくなったために、却って逆に麻疹に対する抗体のブースター効果が期待出来なくなったことで抗体価が低下し大人の麻疹が流行したためだと考えられます。
参考:麻疹に関する参考図書と参考サイト


◆参考図書
鈴木則子『江戸の流行り病 麻疹騒動はなぜ起こったのか』吉川弘文館
鈴木則子・著
『江戸の流行り病 麻疹騒動はなぜ起こったのか』
歴史文化ライブラリー342、吉川弘文館・ 2012年04月、1,700円
疱瘡は見目定め,麻疹は命定め─はしか絵,医療マニュアル,麻疹神を通して江戸社会を描く。
『日本から麻疹がなくなる日 沖縄県はしかゼロプロジェクト活動の記録』日本小児医事出版社
安次嶺馨+知念正雄・編
『日本から麻疹がなくなる日 沖縄県はしかゼロプロジェクト活動の記録』
日本小児医事出版社・2005年08月、2,000円
麻疹制圧の草の根運動。沖縄県では、麻疹根絶に立ち上がりました。本書はその活動の記録です。関係各位にぜひこの1冊を!麻疹制圧に取り組む小児科医・公衆衛生関係者・保健師などに最前線から熱い思いを込めて…。
岩田健太郎『麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか』亜紀書房
岩田健太郎・著
『麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか』
亜紀書房・2009年03月、1,500円
先進国で唯一麻疹が流行し、エイズが増え、結核が減らない国。ワクチン行政が世界標準より20年遅れている国。なぜこんな状態になってしまったのか!?日本の医療、行政、マスコミ、製薬会社、そしてわれわれ国民のなかにある“盲点”をさぐる。
麻しん(はしか)に関するQ&A - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
はしか(麻疹) 子どもの症状チェック - メディカルiタウン
http://medical.itp.ne.jp/shoujou-chekku/kodomo/hashika/
東京都感染症情報センター ≫ 麻しんの流行状況(東京都 2014年)
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/measles/measles/


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