【3】麻疹に罹ったら?〜麻疹の検査と治療法〜 |
それでは、図らずも麻疹に罹ってしまったらどうしたらよいでしょうか?
本節では、医者が行なう麻疹の検査法及び治療法について簡単ながら解説しました。
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麻疹の感染経路 |
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麻疹の原因 |
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麻疹は麻疹ウイルスが原因で起こる感染症です。特に咳やクシャミなどが喉や鼻から入って人から人へと移ってゆきます。また、空気による感染も起こります。従って、麻疹を発症した人と同じ室内にいるだけで、かなり距離が離れていたとしても移る可能性があります。10日間くらいの潜伏期間がありますが、この期間、自覚症状はまだ見られません。麻疹の感染力はとても強く、感染してしまったら90%以上の人が発症すると言われています。1人発症すると12〜14人の免疫のない人に移ってしまうほどです。発熱などの症状が出る1日くらい前から、発疹が消えた後3〜4日は周囲に移る可能性が高いです。ちなみに、この間ウイルスのパワーが弱まることはありません。 |
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感染経路 |
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麻疹の原因はウィルス感染で、麻疹を発病した人から人への感染が認められます。また、麻疹ウイルスはウイルスの中でも小さなウイルスなので、空気中を漂い空気感染を起こして広まります。
- 空気感染
空気中にあるウィルスが空気の流れによって運ばれて人の皮膚や粘膜に付着して感染することを言います。部屋の中だけに限らず、屋外の殆どで空気感染する可能性が高く、空気感染を防ぐ手立てはこれと言ってありません。しかし、ウィルスを持っている患者と会わないことや、人の多い繁華街やイベントなどになるべく行かないことで少しでも空気感染の可能性を低くすることができます。
- 飛沫感染
人のクシャミや咳などによってウィルスが体内から外へ飛び人に感染することを言います。飛んだウィルスは人の皮膚や鼻や口などの粘膜に直接付いたり、吸い込んだりして感染します。咳やクシャミは通常4〜9メートルの非常に広い範囲に飛ぶことが分かっており、空気感染と同様に対策を立てづらいことが難点です。
- 接触感染
ウィルスの付いた服や物に触って感染することを言います。また、感染者とのキスやハグ、性行為においてもウィルス感染することも判明しています。ドアノブや洗面所の蛇口、タオル、食器、筆記用具、寝具など感染者が触れる物全てが対象になり得ます。
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麻疹に感染しやすい季節 |
今では身近な感染症の麻疹ですが、実は重篤な合併症を起こすこともあり、注意が必要な病気と言えます。そして、麻疹の感染者の約50%程度が2歳以下の乳幼児と言われています。従って、小さな子どもを育児中の人は、1歳を迎えた時点で予防接種を受けるなどして対策を採った方がよいでしょう。先にも書いたように麻疹には有効な治療法がないので、感染を予防することがまず第一に必要です。また、これも先に説明したように麻疹は麻疹ウイルスと呼ばれるウイルスに感染することで発症します。麻疹のウイルスは非常に感染力の強いウイルスとして知られており、麻疹を発症している人と一緒の部屋にいるだけでも感染する可能性があります。特に麻疹への感染経験がない人や予防接種を受けていない人は注意が必要です。
意外かも知れませんが、麻疹は季節性がある病気として知られています。年末から3月頃に流行のピークを迎えるインフルエンザのように、麻疹にも流行しやすい季節があります。一般的には初春から初夏にかけて麻疹が流行しやすいと考えられています。この季節になると麻疹の患者が増えるので、予防接種をしていない人や感染をしていない人は注意が必要になります。もしもこの季節に高熱がでるなどの症状が現われたら麻疹を疑う必要があるかも知れません。
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麻疹に気づいたらどうするか? |
麻疹の予防でワクチン接種に勝る治療はありません。ワクチンを接種する前に麻疹の患者と接触したことが判明した場合は、接触後48時間以内に麻疹含有ワクチンを接種する、或は接触後5日以内にγ(ガンマ)グロブリン製剤の注射を受けることで発症を予防することで、たとえ麻疹に罹っても幸い軽くすませる効果があります。ただし家族内感染の場合は、これらの予防法では間に合わないことが殆どです。不幸にも麻疹を発症してしまった場合は、早急にかかりつけの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診し、入院の必要性を含めて対応を相談することが必要です。
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麻疹の検査 |
麻疹の抗体検査は、検査と言っても、麻疹が発症しているかどうかの検査ではなく、麻疹に対する免疫を持っているか否かを調べる検査です。ただ検査の結果、免疫があってもその効力が弱まっていれば発症してしまうこともありますし、また、麻疹以外にも抗体検査が必要な病気があるので、何にしても注意が必要です。
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検査と診断 |
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麻疹の検査と言っても、特徴的な臨床症状で診断されることが殆どですが、最近はウイルス学的な検査診断が必要と考えられています。急性期に採血し、麻疹に特異的なIgM抗体を証明することで診断されます。また、麻疹は急性期の血液や咽頭ぬぐい液、尿から麻疹ウイルスを分離したりRT-PCR法で麻疹ウイルスの遺伝子(RNA)を検出することでも診断が可能です。この検査は全国の地方衛生研究所(地研
)で実施されており、麻疹を疑った場合は保健所を通して地研に臨床検体を搬送、地研での実施が困難な場合は国立感染症研究所で実施します。また、急性期と回復期に採血して麻疹ウイルスに対するIgG抗体が陽性に転じたことで診断する場合もあります。ちなみに2008年1月1日から麻疹は全数報告の感染症となり、診断した全ての医師が最寄りの保健所に1週間以内(出来る限り24時間以内)に届け出ることが義務づけられました。 |
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麻疹の検査結果 |
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麻疹の検査結果の見方を説明します。この検査結果に従ってワクチンを接種した方がよい人は直ぐにでも病院にゆくことをオススメします。
- 陰性(2.0未満):
麻疹のワクチンを接種する必要があります。
- 疑陽性(2.0以上4.0未満):
近いうちに必ずこの数値は自然に減少してゆきます。この検査結果の場合もワクチンの接種が必要になります。
- 陽性のうち10.0未満:
陽性であっても急激ではないにしろ、この数値なら自然に減少してゆきます。念のために麻疹ワクチンを受けておくことをオススメします。
- 陽性で10.0以上:
麻疹に対する免疫は充分についていると言えます。ワクチンの接種なども今のところ必要ありません。
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麻疹の治療法 |
麻疹は子どもの多くが感染するため身近な感染症と考えてしまいます。しかも、身近な病気であればあるほど大したことはないと考えてしまいがちですが、麻疹に関してはこの考えは通じません。
麻疹に罹ると風邪とよく似た症状が現われますが、合併症を引き起こすと命に関わることもあります。後遺症などが残るケースもあるので、最善の体制で治療に望むことが必要です。麻疹は身近な病気なので医療機関を受診すれば簡単に治療することが出来ると考える人がおおいと思いますが、実は麻疹は有効な治療法が未だに発見されていない病気なのです。そのため治療に当たっては、現われている症状を緩和する対処療法が用いられます。現在のところ麻疹に感染をすると対処療法を行なうのみになるので、感染をしないことが大切だと考えられています。その方法として取られているのが予防接種で、万全を期すために、1歳になったら出来るだけ早い時期に予防接種を受けることが薦められています。このように確実な治療法がなく、ケースによっては重篤な合併症を引き起こすことがあるので、現在のところ麻疹を治療するというより予防することに重きを置いた方が有効と考えられているのです。麻疹はリスクの大きな感染症なので、小さなお子様をお持ちの方は出来るだけ早く予防接種を利用しましょう。
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参考:麻疹に解熱剤は危険!? |
はしかの診断は発疹が出てからなされることが多いのですが、はしかの発疹と発熱は麻疹ウィルスと免疫系の戦いの証拠です。この発疹の意味は、譬えて言えば潜伏期間中の麻疹ウイルスと免疫系の小勢り合い(具体的には発熱)を経て最後の決戦に及んでいる状況です。しかし、はしかの発熱に対して解熱剤を使用することは、その免疫の防御機能を下げて実は大変危険なのです。
呼吸器系から侵入したウイルスが血液中に入り、ウイルス血症を起こしている時期は、自覚的には頭痛や腹痛・関節痛などが現われ、いっぽう他覚的には発熱が認められます。しかし、他のウイルス感染による症状と区別が出来ないので、はしかとは診断することが出来ません。この時期にうっかり解熱剤を使っては大変なことになります。 周囲にはしかの人がいる時は解熱剤は服薬しないで、まずは経過観察するように心懸けましょう。なお、ウイルス性疾患に対して安全性が高い解熱剤はacetoaminophenだけで、これ以外は使用してはいけません。なお、acetoaminophenの安全性は高いのですが、解熱効果は弱く、下げるというよりも投与時の体温より上げない程度の効き目です。
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【4】麻疹の予防法〜予防接種と日頃の心懸け〜 |
麻疹の有効な対処法は予防以外ありません。そして、その予防法のうち一番効果的なものが予防接種だとされています。
本節では、麻疹の予防接種について解説し、併せて日常での予防法を取り上げました。
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麻疹を予防するために |
麻疹の予防法 |
まずは予防接種をすることと原因不明の発熱や発疹が出たら直ぐに病院にかかることが大切ですが、それ以外に考えられる予防策としては、自宅内では、うがいや手洗いの他に、掃除の頻度を高めたり、不特定多数の人が触れるもの(ドアノブやテーブルなど)は除菌ペーパーで拭き取ったりすることが予防法として考えられます。また、日頃から免疫力を高めるためには、充分な睡眠と適度な運動、栄養バランスのよい食事といった基本的なことが大切です。さらに、ストレスを溜めないことや体温を上げることも免疫力を高める方法として最近は注目され始めています。何の病気にしても生活リズムの整った健康的な生活が大切であることは論を俟ちません。
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規則正しい生活 |
夜更かしや寝不足、きちんとした食事が出来ていないなど生活が不規則になりがちの人は注意が必要です。特に子どもには好き嫌いなく何でも食べさせることも大切です。また、風邪などで受診した時に病院で麻疹を移されることも考えられます。風邪などを引かないようにするためにも、規則正しい生活を送ることが必要です。また、小さな子どもがいる家庭では、子どもにばかり気を配るのではなく、親御さんの健康管理がとても大切です。親が子どもに麻疹を移してしまったら大変ですし、それでなくても、体力が落ちている時は様々な病気に罹りやすくなります。体調が悪い時は、親もなるべく家の中で静かに過ごすことが肝要です。万が一、親御さんがも麻疹に罹ってしまった時は、子どもを自分の実家に預けるなど親御さんから子どもを一時遠ざける工夫も必要になります。
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人混みではマスクをする |
赤ちゃんを含む小さな子どもは、基本的に体調の勝れない時は外出を避けた方がよいでしょう。特にデパートやスーパーなどの人混みへは連れて行かないようにしましょう。麻疹が流行っている時期は大人も外出を控えたいものです。もしもどうしてもという場合はマスクをするのも一つの方法です。麻疹は人に移す力がとても強いためマスクをしても意味がないとも言われますが、使わないよりも効果はあります。人混みに行く時や別の病気で病院に行く時などにマスクをつけるようにしましょう。そうすることで麻疹を移される機会を減らすことが出来ます。今は様々なキャラクター付の可愛いマスクなども売っているので、子どもが嫌がらないようであれば登園&登校時にマスクをつけさせるのもよいでしょう。
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うがい・手洗い |
うがいと手洗いは色んな感染症の予防に役立ち、自宅でも簡単に実践することが出来ます。大人も子どもも外から帰ってきたら、うがいと手洗いをする習慣をつけましょう。喉も手も外の空気に直接晒される部分です。喉にはたくさんの最近が付着していますが、これを取り除くためにもうがいが効果的です。手も外で色々なものに触れて多くの最近で汚れています。手洗いは感染症予防のための一番効果のある方法と言っても過言ではありません。
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うがいのしかた |
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- うがいしやすい量の水、うがい薬を薄めたものなどをコップに入れます。お茶や紅茶も細菌を消滅させてくれる作用があるので効果的です。
- まずは口の中に残った食べ物の滓などを取り除くために、上でうがい用に用意した水を口に含んで強めにうがいします。
- 次は上を向いて喉の奥まで液が行き渡るように15秒間ほどうがいします。後はこれを何度か繰り返します。
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手洗いのしかた |
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- まず手を水で濡らして石鹸をよく泡立てます。固形石鹸の場合も液体のハンドソープの場合も同様です。
- 手の甲と手の平、親指、指の付け根、指と指の間を丁寧に洗ってゆきます。特に爪の隙間は念入りに洗うようにします。
- さらに10〜15秒間揉み洗いをします。手についた汚れなどを洗い流すのにとても効果的です。
- 最後は清潔なタオルで手を拭きます。出来ればタオルは毎日取り替えることがオススメです。
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麻疹の予防接種 |
麻疹は一般的には小さな乳幼児を含む子どもによく見られる病気で、場合によっては重篤化することもあります。この麻疹を防ぐ最善の方法と言えば何と言っても予防接種です。なお、大人でも麻疹をやっていないのなら予防接種しておいた方がよいでしょう。
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麻疹のワクチン |
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麻疹のワクチンを接種すると抗体を獲得することが出来、身体の中に免疫が出来るため、一般的には麻疹に罹らなくなります。麻疹のワクチンを接種してから10年以上経っても、免疫自体はまだあります。しかし、その効果は弱まっていると言ってよいそうです。現在アメリカでは1歳の時と5〜7歳未満の時の2回麻疹の予防接種が行なわれており、日本でも2008年から同様の措置が取られるようになりました。ただ、これは原則として麻疹・風疹混合ワクチン(MR)を接種します。 |
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麻疹・風疹混合ワクチン |
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2006年4月1日から麻疹と風疹の予防接種制度が変わり、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)が導入されました。同時に2つの病気を予防できるならその方がよいですし、2種類のワクチンを1回ずつ接種するよりも、麻疹・風疹混合ワクチンならば一度で簡単に済みます。なお、2008年から2012年までの5年間に限り、中学1年時と高校3年時にも第3期と4期の予防接種を受けることができるようになりましたが、これは幼児期に麻疹・風疹の予防接種を1回しか受けていない年代の免疫を強めるための特別措置です。 |
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予防接種の副反応 |
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一般的には麻疹の予防接種を受けると、その副反応として発熱することが多いようです。ワクチン接種後5〜14日間に37.5℃以上の発熱がよく見られますし、人によっては38.5℃以上の高熱が出ることもあります。同時に発疹も出やすくなって、痒みを伴うこともあります。熱も発疹も通常は1〜3日ほどで治まります。なお、ごく稀にアナフィラシーや血小板減少性紫斑病、脳炎、痙攣などの副反応を引き起こす可能性があることも過去のデータによって明らかになっています。 |
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予防接種を受けられる時期と場所 |
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麻疹の予防接種の時期としては、まず第1期は1歳ですが、1歳未満でも、生後7〜8か月を過ぎていると移る可能性があるので気をつけましょう。もしも周囲で麻疹が流行っていたり、親御さんの都合で保育園などに入れる場合は、1歳に満たなくてもワクチンを接種して構いませんよ。ですが、この場合は年齢が低いこともあって充分な抗体が得られないことも多いそうです。従って、1歳未満に予防接種を受けても、1歳以降にもう1度受けておくことが確実です。
次に予防接種はどこで受けられるのかと言うと、基本的には内科や小児科といった医療機関で予防接種を受けることが出来ます。その他、麻疹に罹る学生などが増えていることから、病院での予防接種が出来ない学生のために学内で予防接種を実施する大学もあります。予防接種の費用については、第1〜4期の予防接種は無料ですが、大学生以上は任意接種になるため、費用は自己負担(大体5000〜8000円)しなければなりません。ただ、ワクチン不足のために予防接種を見合わせる病院も少なくありません。前もって問い合わせてから受診するようにしましょう。 |
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麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種を受けられる人へ |
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ワクチンの効果と副反応 |
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麻疹風疹混合ワクチンは1 回の接種で麻疹及び風疹に対する免疫を獲得することができますが、その副反応としては、ワクチンの接種直後から数日中に発疹や蕁麻疹、紅斑、痒み、発熱などが見られることがあります。また全身症状として、接種5〜14日後に1〜3日間のだるさや不機嫌、発熱、発疹、局所症状として接種部位に発赤や腫張、硬結などが見られることがあります。また非常に稀ですが、ちょっとしたショックないし、時にアナフィラキシー様症状(蕁麻疹や呼吸困難、血管浮腫など)や急性血小板減少性紫斑病、脳炎、発熱を伴う痙攣が見られることがあります。 |
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予防接種を受ける時の注意 |
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- 麻疹風疹混合ワクチンの必要性や副反応について不明な点がある場合は予防接種を受ける前にお医者さんに相談しましょう。
- 予防接種を受ける前日は入浴(又はシャワー)をして身体を清潔にしておきましょう。
- 当日は体調をよく観察して、普段と変わったところのないことを確認しましょう。
- 清潔な着衣をつけましょう。
- 予診票はお医者さんへの大切な情報です。正確に記入するようにしましょう。
- 予防接種を受ける人が子どもの場合、母子手帳を持ってゆきましょう。
- 予防接種を受ける人が成人女性の場合、予め約1か月間は避妊しておきましょう。
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予防接種を受けることが出来ない人 |
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- 明らかに発熱のある人(37.5℃以上)
- 重篤な急性疾患に罹っていることが明らかな人
- 過去に麻疹風疹混合ワクチンに含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人(※他の医薬品投与でアナフィラキシーを起こしたことがある人は予防接種を受ける前にお医者さんへその旨を伝え、判断を仰いで下さい)
- 妊娠していることが明らかな人
- お医者さんより免疫不全などの診断を受けた人、または免疫抑制を起こす治療を受けている人
- その他、お医者さんが予防接種を受けることが不適当と判断した人
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予防接種を受ける際にお医者さんとよく相談しなくてはいけない人 |
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- 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気などの基礎疾患がある人
- 発育が遅く、お医者さんや保健師さんの指導を継続して受けている人
- 風邪などの引き始めと思われる人
- 前回の予防接種を受けた時に、2日以内に発熱や発疹、蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が見られた人
- 薬の投与または食事で皮膚に発疹が出たり身体に異常を来したことのある人
- 今までに痙攣を起こしたことがある人
- 過去に免疫不全と診断されたことがある人、及び近親者に先天性免疫不全症の人がいる人
- 麻疹風疹混合ワクチンに含まれる成分でアレルギーを起こす恐れのある人
- 家族や遊び友達、クラスメートの間に麻疹や風疹、おたふく風邪、水ぼうそうなどの病気が流行している時で、まだその病気に罹ったことがない人
- 妊娠の可能性のある人
- 気管支喘息のある人
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予防接種を受けた後の注意 |
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- 接種後30分間は病院にいるなどして様子を観察し、アレルギー反応などがあればお医者さんと直ぐに連絡を取れるようにしておきましょう。
- 接種後2〜3週間は副反応の出現に注意しましょう。
- 接種当日の入浴は差し支えありませんが、注射した部位を擦ることは止めましょう。
- 接種当日は接種部位を清潔に保ち、いつも通りの生活をしましょう。ただし、激しい運動や大量の飲酒は避けましょう。
- 高熱や痙攣などの異常な症状が出た場合は速やかにお医者さんの診察を受けて下さい。
- 接種後2か月間は妊娠しないように注意しましょう。
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はしか予防接種が大人に必要な理由 |
麻疹の予防接種の効果と予防接種時期 |
麻疹予防接種を幼児期にすることが麻疹排除の上で欠かせないとされています。麻疹の予防接種は1966年に開始されました。従来は、麻疹の症状が出たことのある人や麻疹の予防接種を受けた人は終生免疫を獲得するとされていましたが、麻疹の予防接種を行なっていながら充分な抗体を得られない場合や、空気中の麻疹ウイルスに晒されないまま長時間を経過することで抗体価が低下するなどして、場合によっては麻疹の症状が出ることがあるのです。ただ、幸いその場合の症状は軽くすむことが多いとされます。麻疹の予防接種のワクチン接種後の抗体価の低下を防ぐため、世界の主な国々では年長幼児から学童期に2回目のワクチン接種を行なって抗体価の再上昇(ブースター効果)を図っています。日本においても、2006年4月以降に1回目のワクチン接種を受ける児童からは、就学前の1年間に2回目の麻疹・風疹混合ワクチンを受けれるように予防接種法が改正されました。
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麻疹の予防接種はなぜ大人にも必要なのか? |
麻疹の予防接種は大人にも有効で、それは、麻疹の約30%に合併症として肺炎や脳炎ががあって、それが大人の麻疹の2大死因となっているからです。2007年の北九州市の枝光台中学校に代表される大人の麻疹の流行、集団発生が問題になったように、10歳以上並びに20〜39歳の大人に対する抗体検査が急務と指摘されています。麻疹は例年、春から夏にかけて流行するとされており、麻疹の症状の出た大人はこの年、15歳から29歳の世代で全体の77.6%を占めていました。大人の麻疹がこの年代に多く見られた原因として、定期的な麻疹の予防接種に使用されていたMMRワクチンの副反応を心配して、麻疹の予防接種率が低下、麻疹が余り流行しなくなったために、却って逆に麻疹に対する抗体のブースター効果が期待出来なくなったことで抗体価が低下し大人の麻疹が流行したためだと考えられます。
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参考:麻疹に関する参考図書と参考サイト |
◆参考図書 |
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安次嶺馨+知念正雄・編 |
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『日本から麻疹がなくなる日 沖縄県はしかゼロプロジェクト活動の記録』 |
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日本小児医事出版社・2005年08月、2,000円 |
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麻疹制圧の草の根運動。沖縄県では、麻疹根絶に立ち上がりました。本書はその活動の記録です。関係各位にぜひこの1冊を!麻疹制圧に取り組む小児科医・公衆衛生関係者・保健師などに最前線から熱い思いを込めて…。 |
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岩田健太郎・著 |
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『麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか』 |
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亜紀書房・2009年03月、1,500円 |
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先進国で唯一麻疹が流行し、エイズが増え、結核が減らない国。ワクチン行政が世界標準より20年遅れている国。なぜこんな状態になってしまったのか!?日本の医療、行政、マスコミ、製薬会社、そしてわれわれ国民のなかにある“盲点”をさぐる。 |
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