【1】電力自由化とは何か?〜その意義と経緯〜 |
4月から電力が自由化され、誰でも好きな電力会社を選べるようになりました。
本節では、電力自由化とは何か、その意義と経緯をまとめました。
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電力自由化とは? |
電力自由化によって、地域の電力会社以外にも様々な事業者が家庭や商店等で使う電力を販売できるようになりました。電力の小売全面自由化で様々な事業者が新規参入することにより、今年の4月から消費者は電力会社を自由に選べるようになります。自分で好きな電力供給会社から電力を購入できるので、値段を見比べたり、或は原発で発電した電気は嫌だという意思を持っている人はそれ以外の発電方式の会社から買ったりすることができるようになるのです。
毎日使う電力(電気)をどこから買うかに関しては、従来は大量の電力を消費する大きな会社や工場などしか契約する電力会社を選ぶことができませんでした。家庭や個人商店などの消費者が電力を買う場合、これまで地域毎に決まった電力会社と契約するしかありませんでした。つまり、家庭や個人商店、町工場、小規模事業所などの消費者が電力を買う場合、それぞれの地域の電力会社と契約するしかなかったのです。それは、家庭などで使う電力は各地域の電力会社しか販売できなかったからです。しかし、今年の4月からはそれが大きく変わります。電力の小売が全面自由化され、様々な事業者が消費者向けの電力小売事業に新規参入できるようになったのです。これによって、消費者は住んでいる地域の電力会社だけでなく、電力の購入先を選べるようになりました。
電力自由化とは、今まで地域の電力会社が独占していた電気の販売を電力会社以外の他の業種の企業が販売できるようになることを言います。もっとも、どんな企業でも販売できるというわけではなく、政府が認可した企業(ガス会社や通信会社が多い)のみが販売できる形を取っています。特に今年の4月に法律が改正されるため、2016年1月から事前受付のような形で既に申し込みを受け付けている企業が多いです。基本的には個人で申し込みが可能で、マンションなどの集合住宅であっても個別で加入は可能ですが、大屋さんなどが電力を一括で管理しようと考えている場合もあるので、一度管理会社に相談した方がよいかと思います。現時点では119社が登録されています。ちなみに、電力の小売事業を行なうために国(資源エネルギー庁)に登録された小売電気事業者の数は、平成28年(2016年)2月8日の時点で169社を数えており、そこには既存の電力会社の関連会社の他に、ガス会社や携帯電話通信会社など多彩な顔ぶれが並んでいます。それにより、電力会社の間で健全な競争が促進され、より多様なサービスが生まれたり、価格(電気料金)が下げられたりすることが期待されます。
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電力自由化とその目的 |
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電気料金の引き下げ |
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各家庭によって使用する電気量は違いますが、毎月必ず支出となる項目であり、1〜2割ほど安くなるのであれば相当大きな節約になります。そのため、できれば乗換えたいと思っている人が過半数はいるだろうことが想像できますが、その反面、様子を見てから乗り換えを考えようという人も多いだろうことが想像できますが。何れにせよ、関心はあるが、その心理的その他の抵抗もあると言ったところでしょうか。
電気料金が今よりもどれくらい安くなるかは、企業独力によるものと、既存の送電網を借りる際に支払う託送料というものがあります。まず企業独力に関しては、ポイント連動などの付加価値を加えることや、キャッシュバックで囲い込みを行なうことが考えられます。100社以上の参入なので、それぞれのメリットを見ていれば自分に合ったところが見つけられるでしょう。しかし、送電網の使用にかかる費用に関しては企業努力でどうにもならない点であり、電気料金の安さを決定するには託送料が鍵となります。今後は経産省、送電網を管理する電力会社、小売り参入の企業との動きに注視が必要です。 |
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電力の安定供給 |
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電力の安定供給と言われても、スイッチを入れれば電気が点くのが当たり前のように思っている私たちには想像できないでしょうが、今こうして何不自由なく私たちが電気を使えているのは、需要と供給のバランスを保ち、発電量にずれが生じないよう発電所の運転をすることが義務付けられていまるからです。このことを「同時同量」と呼び、電力事業で最も重要な定めでもあります。ちなみに同時同量とは、電力の需要と供給を絶えず一致させることを言いい、需要と供給のバランスを保つことで電気は電気のまま貯めておくことが難しく、また「売り切れましたので停電します」と言うわけにもいかないビジネス上の特性があります。電力自由化により新電力会社がたくさん参入するわけですが、当然ながら従来と同様に同時同量の義務が課されます。また、参入する事業者には需要を補うための確保が義務付けされ、それらの処置により安定供給を保つ事が可能とります。 |
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消費者の選択肢や事業者の事業機会の拡大 |
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電気料金の引き下げと電力の安定供給に大きく関わってくることですが、新電力が増えることにより現在の使用料金と比較してメリットのあるプランが生まれます。そして、独占していた10社の体制を根本的に崩し、新規参入する企業への事業機会を拡大することにより、電力システム改革が達成可能となるのです。 |
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電力自由化で電気料金を下げられる理由 |
 従来は、将来の一定期間に見込まれる電力使用量と設備を想定し、必要な原価に利益を加えたものを総括原価として電気料金を算定してきました。こうした総括原価方式でも能率的な経営が行なわれることが前提になっていますが、地域の電力会社間には競争がないため、国の審査は受けるものの、ある意味電力会社の言い値で電気料金が決められていたのが実情でした。そこに各社がサービスを競い合う競争原理を導入することで、更なる経営効率化を促す効果を上げようという考えの下に進められているのが電力自由化です。新しく電力事業に参入する会社は、石油会社や通信会社、商社、製紙会社、電機メーカー、ガス会社など様々ですが、こうした会社は既に収益部門を持っており、それに加えて新たに電力事業への参入することで、新たな収益部門を育てると同時に、既存の事業部門とのシナジー効果も期待することができます。電力事業単体ではそれほど収益が上がらなくても、電力事業に参入することで会社全体の売上や収益を増加させようと考える会社もあるでしょうし、電気料金を下げることで顧客との新たな結びつきを作り本業の収益をアップさせることを狙う会社もあるでしょう。携帯電話会社を乗り換えることで携帯電話の料金が安くなったような状況が電気料金でも起こる可能性が十分にあります。
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電力自由化とその経緯 |
電力自由化とその歴史 |
電力自由化の経緯はどのようなものだったのでしょうか?
2016年4月から一般家庭向けにも電力自由化が始まるということでニュースでも言葉を耳にする機会が増えています。しかし、ここまでの経緯を余りよく知らないという人も多いのではないでしょうか。電力自由化の経緯が分かれば、なぜ電力自由化が実施されることになったか理由を知ることができます。そして、この機会をどのように活かせばよいかも理解できるでしょう。電力自由化の経緯の中で数多くの新電力が参入してきて、電気料金も選択の幅が広がってゆきます。自分たちが日頃使っている家電の消費電力や電気代、節電などについて考えるためにも、電力自由化がなぜ実施されることになったか、これまでの経緯を見ておくのもよいのではないかと思います。
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日本最初の発電所は浅草にあった!? |
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日本で初めて電灯が灯ったのは1882年(明治15年)、東京は銀座でのことです。エジソンが白熱電燈を実用化したのが1879年だから、それから僅か3年後のことでした。銀座は当時も日本最大級の繁華街であったわけですから、そこが選ばれて日本初の電灯が灯ったということは容易に想像することができます。意外なのは電力の供給源である発電所のあった場所です。それは現在の蔵前国技館近く、隅田川沿いに造られた浅草発電所からの供給でした。具体的には、現在の浅草税務署の前です。この発電所を建設したのは民間企業の東京電燈で、もちろん日本で初の電力会社です。電力供給は最初から民間だったとも意外です。
なお、浅草発電所の発電機は、現IHI(旧石川島播磨重工業)の国産のものと、ドイツのAEG(アルゲマイネ社)から購入した交流発電機を使用しました。このAEG社の発電機が50Hzだったため、東京圏は50Hzになりました。しかし、これよりも少し前、関西の電力会社である大阪電燈は、先にアメリカのゼネラルエレクトリック製の60Hz交流発電機を既に発注しており、このため関西圏は60Hzになりました。そして、それが現在にも変わらず引き継がれているのです。 |
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電力戦国時代〜元々自由市場だった電力業界〜 |
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その後、東京を中心に電車が走るようになると、数多くの電力会社が設立されました。そこへ鉄道会社も参入し、一気に電力戦国時代とも言えるような状況になったのです。なお、当時の電力会社を以下に列記してみると分かることですが、その殆どが地名をそのまま会社名にしています。このように電力小売事業は元々自由市場だったのです。
- 電力系:
品川電燈・深川電燈・利根発電・鬼怒川水力電気・桂川電力・江戸川電気・猪苗代水力電気・帝国電燈
- 鉄道系:
前橋電気軌道・江之島電氣鉄道・東京鉄道
- 東京以外:
神戸電燈・大阪電燈・京都電燈・名古屋電燈・横浜共同電燈・熊本電燈・箱根電燈所・日光電力・豊橋電燈・前橋電燈・桐生電灯・仙台電燈・福島電燈
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日本最初の発電所は浅草にあった!? |
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日本で初めて電灯が灯ったのは1882年(明治15年)、東京は銀座でのことです。エジソンが白熱電燈を実用化したのが1879年だから、それから僅か3年後のことでした。銀座は当時も日本最大級の繁華街であったわけですから、そこが選ばれて日本初の電灯が灯ったということは容易に想像することができます。意外なのは電力の供給源である発電所のあった場所です。それは現在の蔵前国技館近く、隅田川沿いに造られた浅草発電所からの供給でした。具体的には、現在の浅草税務署の前です。この発電所を建設したのは民間企業の東京電燈で、もちろん日本で初の電力会社です。電力供給は最初から民間だったとも意外です。
なお、浅草発電所の発電機は、現IHI(旧石川島播磨重工業)の国産のものと、ドイツのAEG(アルゲマイネ社)から購入した交流発電機を使用しました。このAEG社の発電機が50Hzだったため、東京圏は50Hzになりました。しかし、これよりも少し前、関西の電力会社である大阪電燈は、先にアメリカのゼネラルエレクトリック製の60Hz交流発電機を既に発注しており、このため関西圏は60Hzになりました。そして、それが現在にも変わらず引き継がれているのです。 |
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淘汰と統合 |
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これだけ多くの電力会社があると、当然ながら競争が起き、電力の大量消費者である鉄道への供給を巡ってダンピングが起きます。やがて競争の原理が働いて吸収・合併を繰り返し、五大電力会社と呼ばれる巨大企業が出来ました。この時まだ明治時代中期の話です。その後、戦争を経る度に統合や半国営化などが繰り返されますが、1950年、電力の安定供給を目的に全国9地域の民間電気事業者による事実上の地域独占での電力供給体制となりました。そして沖縄返還後は、沖縄電力を含めた現行の10社体制で今日まで電力供給を行なってきたのです。 |
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1995年、電力運営のあり方が徐々に変わってゆく |
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これだけ多くの電力会社があると、当然ながら競争が起き、電力の大量消費者である鉄道への供給を巡ってダンピングが起きます。やがて競争の原理が働いて吸収・合併を繰り返し、五大電力会社と呼ばれる巨大企業が出来ました。この時まだ明治時代中期の話です。その後、戦争を経る度に統合や半国営化などが繰り返されますが、1950年、電力の安定供給を目的に全国9地域の民間電気事業者による事実上の地域独占での電力供給体制となりました。そして沖縄返還後は、沖縄電力を含めた現行の10社体制で今日まで電力供給を行なってきたのです。 |
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1995年、電力運営のあり方が徐々に変わってゆく |
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JR、JT、郵政といった具合に国営企業が次々と民営化されていく中で、国営に似た体質であった電力会社にもメスが入れられるようになります。これは、当時の総務庁がエネルギーに関する規制緩和への提言をしたことが契機となりました。そして、1995年に電気事業法が改正され、発電事業への新規参入が拡大、独立系発電事業者が電力会社に電力を卸売り販売することが可能になりました。そして、社会全体の規制緩和と競争原理の導入といった大きな流れの中で、1999年の電気事業法改正により、2000年3月より電力小売が部分的に自由化されました。しかし電力小売事業に参入可能と言っても、全ての小売が自由化されたわけではなく、当初は契約電力2,000kw以上が条件で、大規模な工場やデパートなどの大型ビルに限定されていました。この契約電力の条件が500kw以上、50kw以上といった具合に段階的に緩和されて、ついに2016年4月からは家庭用電力小売も自由化の対象となり、電力小売は完全に自由化されることになったのです。さらにこの6月に成立する改正電気事業法では、2020年4月までに現行の電力会社から送配電部門を切り離して「発送電分離(電気を作る者と送る者を分けること)」をすることが新たに定められました。 |
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家庭向け電力自由化が施行されるまで |
国にとっては、民間企業に自由競争をさせることで東電や関電などのように扱いやすい存在とはならないはず。それでも自由化が具現化した理由のひとつが福島の原発事故です。メディアでは連日のように東電批判を放送し、運営体制がどれだけ問題を抱えたものだったか、国民の多くがその実態を知るところとなりました。そして、国民からの反発に耐えかねた政府は、ついに日本の電力を独占させていた体制にメスを入れることになったのです。
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これまでの日本の電力市場 |
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一般家庭にお住いの方はご存じないでしょうが、1995年に電気事業法は改正されて電力会社への卸売りをする事が可能となりました。ただ、これは企業向けの法改正であって、家庭向けの電気代には関係しない事柄でした。もちろんその当時から家庭向けの電力自由化は議論されていたのですが、送電網を独占している電気事業連合会10社によって自由化は進むことがありませんでした。
ちなみに電気事業連合会とは、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社のことで、従来、日本の電気は上記10社が掌握しており、自家発電をする以外電気料金を払い続けなければ近代的な生活ができないのです。全て大手企業であり、社会的信用はあるものの、言い方を変えれば企業通しの争いがなく、公務員とそこまで違いがないのではないかという疑問も起こってきます。そこに、福島の原発事故に伴う東電の体質に伴う様々な批判が起こってきた次第です。 |
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東日本大震災で福島第一原発事故 |
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記憶に新しい悲惨な災害だった東日本大震災ですが、津波とそれに伴う二次災害で起こった福島の原発事故が最悪の事態を招きました。災害当時は半径数10キロ以外立ち入り禁止など、津波の被害はないのに、現在でも仮設住宅で生活している人がいます。その被害をもう少し抑えられていたのではないかと批判されているのが東京電力でした。当然ながら原発事故の後に経産省やメディアから日本の電力事業に関しての問題提起がされたわけですが、それらは、その大半が的を得た批判であったため、電力自由化が実現する大きな要因となったのです。 |
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チェルノブイリ原発事故後も同様の動き |
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東日本大震災よりだいぶ前のことですが、ウクライナ(旧ソビエト連邦)で起こった有名な原発事故にチェルノブイリ原発事故があります。これは世界最大の原発事故でもあり、福島原発事故とチェルノブイリ原発事故との類似が時に取り沙汰されることがあります。
福島原発事故よりも甚大な被害を受けたチェルノブイリですが、その影響で自然エネルギーの普及を急激に進めました。ヨーロッパでは多くの国で脱原発の考えが根強くあり、国によっては50%以上を自然エネルギーが占めているところもあります。また、日本のように独占している電力会社はなく、消費者は数ある電力小売り会社から選び、自由な売買を行なう電力自由化が当たり前となっているのです。 |
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電力システム改革の実施スケジュール |
平成25年4月2日に閣議決定した「電力システム改革」ですが、平成32年頃までの期間を目途に実施スケジュールが3段階に分けられています。
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広域系統運用期間の設立 |
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- 実施時期:平成27年4月1日
- 内容:東日本大震災の際に関東と関西で電気のやり取りができないといった事態が起こりました。その教訓を生かして全国の送配電網の整備と需給調整機能の強化を目的として設立されました。
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電気小売業への参入の全面自由化 |
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- 実施時期:平成28年4月1日
- 内容:これまで独占市場だったものが開放され、auやソフトバンク、楽天といった民間企業でも事業への参加が可能となりました。
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電気小売業への参入の全面自由化 |
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- 実施時期:平成32年4月1日
- 内容:平成28年4月から実施する「参入の全面自由化」と混合しそうですが、言葉の意味は全く違い、これは小売業者が販売価格を自由に決めることができるようになることを言います。従来は一定の規則(料金・プランなど)の下、消費者へ電力を配電することになる一方、平成32年を目途にそれらの決まりごとが撤廃され、本当の意味での「自由競争」となります。
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電力システム改革の実施スケジュール |
平成25年4月2日に閣議決定した「電力システム改革」ですが、平成32年頃までの期間を目途に実施スケジュールが3段階に分けられています。
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広域系統運用期間の設立 |
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- 実施時期:平成27年4月1日
- 内容:東日本大震災の際に関東と関西で電気のやり取りができないといった事態が起こりました。その教訓を生かして全国の送配電網の整備と需給調整機能の強化を目的として設立されました。
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電気小売業への参入の全面自由化 |
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- 実施時期:平成28年4月1日
- 内容:これまで独占市場だったものが開放され、auやソフトバンク、楽天といった民間企業でも事業への参加が可能となりました。
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電気小売業への参入の全面自由化 |
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- 実施時期:平成32年4月1日
- 内容:平成28年4月から実施する「参入の全面自由化」と混合しそうですが、言葉の意味は全く違い、これは小売業者が販売価格を自由に決めることができるようになることを言います。従来は一定の規則(料金・プランなど)の下、消費者へ電力を配電することになる一方、平成32年を目途にそれらの決まりごとが撤廃され、本当の意味での「自由競争」となります。
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電力自由化の経緯は度重なる電気事業法の改正 |
電力自由化の経緯は3度に渡る電気事業法の改正にあります。1990年代、日本製品は海外製品と比べて価格やコストが高いことをあらゆる方面で指摘され、国内外から是正を求める声が上がっていました。そのような中、電力業界は完全な独占ではないものの、地方単位では独占状態になっており、電気料金の設定には競争原理が働いていないことが度々問題視され、諸外国からも指摘されていました。電力自由化はそのようなことが経緯となっており、競争の原理を取り入れるために電気事業法が僅か10年の間に3度も改正されることになったのです。
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1995年の法改正のポイント |
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電力自由化の経緯を語る上で、1995年の法改正は避けて通れません。なぜなら一般電気事業者と呼ばれる従来の電力会社以外にも電力供給を行なうことが認められたのがこの改正によるものだからです。また、認可制度や卸託送の規制が緩和されたこと、条件付きで特定電気事業者にも電力小売りが認められたことが電力自由化の経緯としてとても重要な点です。さらに電力自由化の経緯を語る上で欠かせない幅広い電気料金プランからの選択が可能になったことも、この改正で電気料金の規制が緩和されたことから始まっています。 |
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1999年の法改正のポイント |
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1999年の改正が電力自由化の経緯として重要な点は、電力自由化の最初の条件が決められたことと、新電力と呼ばれる特定規模電気事業者の創設が認められたことです。電力自由化のスタートは特別高圧で受電し、消費電力も2,000kW以上の大規模工場や百貨店などからということが決められたのがこの改正です。そのため、消費電力が大きく電気代節約のために節電が重要な課題となっていた大規模施設から始まった電力自由化の経緯を語る上では外せません。また、この改正では新電力が従来の送電網を利用する際のルールが決められたという経緯もあります。さらに料金の改正手続きが合理化されたり、選択できる電気料金プランの設定条件が緩和されたりしたことも電力自由化の経緯として重要です。 |
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2003年の法改正のポイント |
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1999年の改正が電力自由化の経緯として重要な点は、電力自由化の最初の条件が決められたことと、新電力と呼ばれる特定規模電気事業者の創設が認められたことです。電力自由化のスタートは特別高圧で受電し、消費電力も2,000kW以上の大規模工場や百貨店などからということが決められたのがこの改正です。そのため、消費電力が大きく電気代節約のために節電が重要な課題となっていた大規模施設から始まった電力自由化の経緯を語る上では外せません。また、この改正では新電力が従来の送電網を利用する際のルールが決められたという経緯もあります。さらに料金の改正手続きが合理化されたり、選択できる電気料金プランの設定条件が緩和されたりしたことも電力自由化の経緯として重要です。 |
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参考:販売の自由化と電力自由化 |
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小売り自由化(retail liberalization) |
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小売りの部分自由化は、1999年5月の電気事業法改正を受け、00年3月から特別高圧分野(電圧2万V超・契約2,000kw超)を対象に始まりました。2004年4月から高圧分野の一部(電圧6,000V超・契約500kw超)まで、更に2005年4月から全ての高圧分野(電圧6,000V超・契約50kw超)までが順次開放されています。
規制緩和の流れを受け、1996年12月に閣議決定された「経済構造の変革と創造のためのプログラム」では、2001年までに国際的に遜色のないコスト水準の実現が謳われ、小売り市場の自由化が本格的に検討されるに至っりました。そして、2005年4月の自由化範囲拡大により市場の約6割に当たる需要が自由化の対象となりました。さらに経済産業省の「電力システム改革専門委員会」が2013年2月8日にまとめた報告書で、2016年に小売りへの参入を全面自由化することが決まったのです。 |
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PPS(特定規模電気事業者)/需要家PPS(Power Producer and Supplier/user PPS) |
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PPS(Power Producer and Supplier)は、自由化対象である特定規模需要の顧客に対し、一般電気事業者(10電力会社)の送電ネットワークを介して電気を供給する新規参入の電気事業者のことを言います。電力の小売り自由化に伴い、既存の電力会社に対抗する新規の電力販売事業者として登場しました。
事業者は、経済産業省に「特定規模電気事業開始届出書」を提出し、事業者として登録されることになります。これは、1999年の電気事業法改正より導入されたものです。一方、需要家PPSは、電力の需要家である事業者が日本卸電力取引所からの取引を想定してPPSの届出を行なったもので、発電設備がなくても、需要家が自らの利用する電力を間接的に取引所から購入することができます。 |
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電力購入入札(electrical purchase bid) |
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電力自由化の経緯として2003年の法改正を説明すると、電力の安定供給のために行われた法改正であるということができます。電力自由化がスタートして3年、その経緯の中で同じインフラを複数の事業者で利用することによる問題が発生し始めていました。そこでこの改正では、送配電の際の条件を公平にし、外部からも分かりやすいルールを整備し、中立的な機関を設立したという経緯があります。単に消費電力の差で電気代が変化したり、節電すれば電気代が安くなったりするといった単純な話のみではなく、どの新電力を選びどの電気料金プランを選ぶかによっても節電条件や電気代が変わるといった電力自由化の特徴はこれらの法改正が経緯となっているのです。 |
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【2】電力自由化とその問題点〜そのメリットとデメリット〜 |
電力自由化には様々なメリットがあると言われます。しかし、その反面で問題点も幾つか指摘されています。
本節では電力自由化のメリットとデメリット、そしてその問題点を指摘します。
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電力自由化とその問題点 |
電力自由化の問題点 |
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自由化バブル |
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既に自由化バブルともいうべき現象が発生しており、たとえば首都圏では合計1300万キロワット分の火力発電所の建設計画があるそうですが、この1300万キロワットという数字は原発13基分もの出力に相当する量でなのです。何れにせよ、首都圏だけで原発13基分もの火力発電所が新たに稼働するというのは過剰な設備となる可能性が非常に高いと言わざるを得ません。競争の激化により電気料金が下がる効果も期待できますが、行き過ぎると供給の不安定化を引き起こします。 |
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天然ガスへの依存 |
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新設が予定されている発電所の多くは天然ガスによる火力発電所です。石油と比べると圧倒的に発電コストが低いというのが選ばれている理由ですが、天然ガス(LNG)への依存度の高まりが日本経済への新たなリスクとなる可能性もあります。たとえば英国では電力の小売自由化後いったんは電気料金が下がったものの、原油価格の高騰などを原因として以前よりも電気料金は高くなっています。天然ガスは世界中に資源が点在していて、石油などと比べると安定的に供給できる燃料ではありますが、リスクとなってしまう可能性は決してゼロではありません。 |
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天然ガスへの依存 |
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新設が予定されている発電所の多くは天然ガスによる火力発電所です。石油と比べると圧倒的に発電コストが低いというのが選ばれている理由ですが、天然ガス(LNG)への依存度の高まりが日本経済への新たなリスクとなる可能性もあります。たとえば英国では電力の小売自由化後いったんは電気料金が下がったものの、原油価格の高騰などを原因として以前よりも電気料金は高くなっています。天然ガスは世界中に資源が点在していて、石油などと比べると安定的に供給できる燃料ではありますが、リスクとなってしまう可能性は決してゼロではありません。 |
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石炭への依存の高まり |
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石炭は安価、かつ国内を含め世界各地で安定的に採掘できる資源です。多くの新電力事業者がこの石炭を使った火力発電に注目していますが、石炭火力発電は環境への負荷が大きいと言われています。たとえば二酸化炭素の排出量は最新のコンバインドLNG発電(ガス)の2倍です。ちなみに中国で深刻な大気汚染を引き起こしているPM2.5も、安価な石炭を古い設備で燃やしているために発生しているものです。さすがに現在の日本の環境基準は厳しいので、中国のようにはなりませんが。何れにせよ、安く発電できるために多くの事業者が石炭火力発電所を建設しようと計画しています。しかし、環境への負荷の問題もありますから、環境省がそれに対して待ったをかけている状況で、今後の推移を見守る必要がありそうです。 |
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節電意識の低下を招く可能性も |
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電気料金が安くなるので、節電意識の低下を招く可能性もあります。しかも、多くの電力会社では電気を使えば使うほど割引率が高くなるという料金設定をしています。無駄に電気をたくさん使う家庭がより優遇されるというのは果たして正しい姿なのでしょうか? |
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逆に値上がりを招くことも
〜電力自由化では問題点なく電気代が安くなるのか?〜 |
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電力自由化によって電気料金が安くなることがまず第一に期待されています。従来の独占市場の場合は競合相手がいなかったので、地方電力会社の言い値で取引が行なわれていました。当然過度に高くないかなどの審査は行なわれていましたが、それでも比較的利率は高かったのです。今後競合相手ができることで、現在の金額よりも安く提供してくれる会社も増えると言われています。また、他業界からの参入もあり、電気と携帯、電気とケーブルテレビなどのようにセットプランを出してくる会社もあるかも知れません。このようなことから価格が全体的に下ることが予想されています。しかし、その一方で海外の先行事例では逆に値上がりしているようなケースも見られますので注意が必要です。たとえば90年代に自由化した欧米では自由化前よりも軒並み料金水準が上昇しています。これは燃料価格の高騰などが主な要因ではありますが、日本でも同様の事態が起きる可能性は高いでしょう。何れにせよ、2020年までは現在の料金での対応も行なう予定となっていますので、よく検討しておきたいところです。 |
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新電力は安定供給や品質上の問題点〜電力自由化での問題点・懸念点である停電などは?〜 |
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電力の自由化と安全性、品質の問題は日本よりいち早く電力自由化が実施されているイギリスなど欧米諸国でも議論されてきています。品質問題では主に2つの点から議論されてきています。まず第一は、供給される電力の電圧の変化が少ないかということ、そして第二は、需要者の立場に立ってサービスや安定的供給を維持しうる商業的品質をPPSが保てるか、という点です。後者については、政府による規制緩和や安定供給を怠らずに経営を行なっているPPSを評価する指標を持つといった策が必要でしょう。
新規参入の会社(新電力)と契約したことで問題点として考えられるのは、安定的に電力が供給されるかという点です。切り替えた途端に倒産してしまったり、ノウハウが溜まっていないからこそ停電などの回数が増えてしまったりしないかと不安になられる方も多いのではないでしょうか。この点については全くないとは言いがたいですが、フォロー体制などが充実しています。そもそも電気の販売は認可制で国による審査を通過することで販売を行なえます。また、継続性や電力の供給状況について確認されているので一定の信頼をおけます。さらに、万が一電力の供給に滞りがある場合は地域の電力会社がフォローする仕組みになっているので、停電について過剰に不安になる必要はないでしょう。何れにせよ、電圧の変化が少なく安定していれば停電のリスクも低くなりますが、PPSは送電網は既存の大手電力会社のものを使うので、安定供給という観点からは問題がないと見られています。 |
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新電力の今後の市場規模や競争 |
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2016年の電力全面自由化に向けて工業や商業などの企業向けには既に一部自由化が進められ、その効果も現われてきています。
経済産業省によると電気料金が安く抑えられたことにより、市場規模5兆円の経済効果を生んだということです。この効果は一般家庭にまで自由化が進めば7.2兆円の市場規模に達する言われています。一般消費者が地域に縛られず、電力会社や新規参入のインターネットプロバイダーなどの企業など様々に選択できるようになれば価格やサービス面で更なる競争が生まれ、再生可能エネルギーを含む発電産業も活発化すれば市場規模は全体で20兆円を超えるだろうと期待されています。一般消費者に開放される電力市場だけでも携帯市場と同程度と言われているほどで、特に都心では顧客獲得の競争は激化するだろうと予測されています。 |
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サイバーテロのリスク |
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既に500社もの新電力が産声を上げています。今までは10社しかなかった電力会社が一気に50倍以上にも増えたのです。プレイヤーが増えれば必然的に個々の電力会社を狙ったサイバーテロも起こりやすくなります。セキュリティの専門家の中には、自由化によるサイバーテロリスクの高まりを指摘する人もいます。 |
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電力自由化の詐欺 |
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新電力の今後の市場規模や競争 |
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2016年の電力全面自由化に向けて工業や商業などの企業向けには既に一部自由化が進められ、その効果も現われてきています。
経済産業省によると電気料金が安く抑えられたことにより、市場規模5兆円の経済効果を生んだということです。この効果は一般家庭にまで自由化が進めば7.2兆円の市場規模に達する言われています。一般消費者が地域に縛られず、電力会社や新規参入のインターネットプロバイダーなどの企業など様々に選択できるようになれば価格やサービス面で更なる競争が生まれ、再生可能エネルギーを含む発電産業も活発化すれば市場規模は全体で20兆円を超えるだろうと期待されています。一般消費者に開放される電力市場だけでも携帯市場と同程度と言われているほどで、特に都心では顧客獲得の競争は激化するだろうと予測されています。 |
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電力自由化による詐欺 |
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まず一番に気を付けないといけないのが電力自由化による詐欺で、既に電力自由化に便乗した悪徳商売がものすごいスピードで増えてあるとされ、そういった相談が国民生活センターにすでに200件以上もあると言います。2016年4月の電力自由化を待たずにこれだけの悪徳商法が増えているのです。相談されていない案件を踏まえると500件近くの実際の被害が上がっていると想定されます。それらの中で今後特に気を付けないといけないのが悪徳な訪問販売と悪徳な電話セールスです。
詐欺の手口は決まっており、必ず「電気が安くなりますよ」という手口で関係のない商品を売り込むという手口です。国民生活センターの報告によると電力の小売り自由化に便乗し、太陽光発電システムやプロパンガス、蓄電池、電気給湯器の勧誘が行われていると言います。たとえば「太陽光発電システムを導入すれば電気代が安くなりますよ」とか「プロパンガスを導入すれば電気代が安くなりますよ」、或は「蓄電池を導入すれば電気代が安くなりますよ」「電気電気給湯器を導入すれば電気代が安くなりますよ」と言った具合で、以上のような手口で電力の小売自由化とは直接関係のない商品を契約させるという手段です。 |
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気をつけなければならない注意点 |
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気をつけなければならない注意点は、(1)電気代が安くなるという訪問販売・電話セールスには気をつけることと、(2)電気が安くなるという電力の小売自由化とは直接関係のない商品には気をつけることの、以上の2点に気をつけ、少しでも怪しいと思ったら直ぐに国民生活センターに問合せしましょう。資源エネルギー庁が現在登録してある小売電気事業者一覧を掲載しているので、こちらに記載されていない会社から営業があった場合は契約をしないようにしましょう。 |
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電力自由化後に起こるトラブル |
電力自由化後に起こるトラブルを考えてみましょう。
電力会社の変更の仕方やその理由、キッカケは様々だと思いますが、一番気をつけないといけないことがあります。それは、一度電力会社を変更したら2年ぐらいは変更出来ない可能性があるということです。電力を変更する際に既存の大手電力会社、そして新電力会社は必ず「縛り」を設けてきます。縛りの内容は各会社様々ですが、殆どの会社が一度契約すると1〜2年は契約を変更できないようなプランを用意しています。つまり、2016年4月から電力自由化が始まり、いいなと思った新電力会社に切り替えを行なった場合、それから最低約2年間は電力会社を変えられなくなる可能性が高いということです。電力自由化はまだ始まってもいない状態ですが、始まる前から各電力会社による攻防が始まっています。そのため、後から次々とお得なプラン等が導入される可能性が非常に高くなります。従って、一番いいのは2016年の4月にいきなり電力会社を切り替えずに、少なくとも数か月様子を見ることです。まずは情報を収集し、じっくり調べることをオススメします。そして次に、電力会社の切り替えの際は必ずクーリングオフが付いているかの確認を自ら積極的にするようにしましょう。
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電力自由化とそのメリット |
電力自由化のメリット |
電力自由化には、もちろんメリットがたくさんあります。電力自由化のメリットは、(1)価格の改正と(2)電力の見える化です。
欧米では電力自由化している国が多いですが、自由化する前よりも後の方が電気料金が高くなってしまった国もあります。これは発電コストの上昇によるものだと考えられていますが、日本では現行の規制料金を残して自由化するため、価格の上昇よりは企業努力による価格の値下げが期待できます。さらにガス会社や通信会社などが多いことから、電気料金とセットで値下げなどと言ったセット割が多くなることで、光熱費や通信費などがまとめて値下げになることが予測されます。また、現行の電気料金は各家庭を回って検針することで算出されていますが、電気の自由化をすることで従来の機械式メーターではないスマートメーターが新しく設置されます。このスマートメーター方式では、デジタルで電力が管理されているので、電力の「見える化」ができるようになります。各家庭の電力消費状況を管理することが可能になるので、需要に合わせた電力の供給や節電の知らせなどがスムーズに行なえるようになります。また、米国のカリフォルニア州では電力自由化によって停電が頻発したこともありましたが、我が国ではそうした失敗を徹底的に検証した上で制度設計を行なっています。
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電力自由化で得する人 |
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電力自由化によって最も優遇されるのは電気を多く消費する世帯です。これまでの電力料金は使用量が多いほど割高になるように設定されてきました。元々安い電気料金である消費量の少ない世帯は恩恵がほぼないですが、消費量の多い世帯は年間数万円単位の違いになるかもしれません。目に見えて月額で違いが分かるのは、月当たりの平均電力消費量が450kwh以上の世帯になるものと考えられます。この程度の消費量で月1〜2千円安くなるプランもあるようです。ただし、オール電化の場合は今のところ現行以上に安くなるプランはないようです。今後に期待したいところです。 |
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電力の小売全面自由化で何が変わるのか?
〜料金やサービスを比較して、自分のニーズに合った電力会社やメニューを選べます〜 |
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メリット1:電気料金の値下がりやサービスメニューの多様化が期待できる |
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まず電力小売の全面自由化による新規参入によって電力会社の数が増えることで、既存の電力会社だけでなく様々な電力会社間で競争原理が働くと考えられ、これにより電気料金が下がることが期待できます。
これまでは特定の電力会社が独占的に電力を供給していたため、電気代が高くなってもその電力会社を利用し続けなければなりませんでした。しかし、電力小売の全面自由化によって、より料金の安い電力会社を選ぶことができるようになります。今までA社とご契約を結んでいたけど、電気代が高くなったのでB社に乗り換える、というようなことが今後は可能になります。また、電力小売の全面自由化は様々な事業者の家庭用電力小売事業への参入を招くことになり、各社が競争することで全体の電気代が下がることにも繋がることが期待できます。
さらに、電気代以外にも色々おトクな新サービスを利用できるようになるというメリットが挙げられます。電力会社によっては様々な料金プランを用意することが予想されます。電力小売の全面自由化により、これまでは電力供給を行なっていなかった様々な企業が電気サービスの提供を開始することを既に公表していますが、そのような新たに参入する様々な企業は、ただ電力を提供するだけでなく、それぞれの特徴を活かしたユニークなサービスを提供することが考えられるのです。たとえば電気サービス利用者にはその企業が元々提供していた商品を更にお得に提供するといったいわゆるセット割プランや、電力使用量がピークとなる時間帯は料金が高くなり、他の時間帯は安くなるというような料金プラン考えられます。こうして、自分のライフスタイルに合わせたプランを選択し、電気代の節約や節電につなげることもできるようになります。たとえば電気とガス、電気と携帯電話通信料のセット割引やポイントサービスといった料金メニューも考えられます。また、省エネ診断や家庭用セキュリティサービスなどの付帯サービスの幅も広がるでしょう。賢くプランを選べば、電気代が安くなるだけではなく、電気以外のサービスや商品をお得に利用できるようになり、組み合わせ次第で私たちの生活はますますお得かつ便利になってゆきます。 |
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メリット2:消費者が自分の考えに応じて電力会社を選ぶことができる |
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次に、再生可能エネルギーを中心とした電気を販売する電力会社など、これからは消費者が自分の考えに応じて電力会社を選んで買うことが可能になります。
私たち自身のポリシーに合った電力会社を選べるというメリットが挙げられます。一口に電力を供給すると言っても、電力小売業者によってどのように発電した電力を供給しているのかは異なります。様々ある発電方法の中から自身のポリシーに合った方法で発電した電力を供給している電力小売業者を選べるようになるのです。 たとえば「環境に配慮したいので、環境に優しいクリーンエネルギーで発電している電力会社を選ぶ」「原子力発電には賛成できないので、それ以外の方法で発電している電力会社を選ぶ」などと言った具合です。また、企業などの団体組織の場合は、どのような発電方法の電力小売業者を選ぶかによってイメージ戦略に繋げることも可能かも知れません。或は発電方法以外にも、「現在は出身地とは異なる場所に住んでいるが、出身地を応援したいのでその地域の電力小売業者から電気を買う」というようなことも可能となります。 |
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メリット3:電力の地産地消も可能に |
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新たに参入した電力会社の中には自治体が運営するものもあります。自身の住まいや事業所がある地域以外の電力会社を選ぶこともできます。 |
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電力自由化とそのデメリット |
2016年の電力自由化に伴い、新電力への乗り換えを検討している人も多いと思いますが、実は電力自由化にはデメリットの方が多いのではないかと懸念されています。
電力自由化のデメリット |
電力自由化のデメリットは、(1)電力供給安定性の不安と、(2)料金形態の複雑化です。
電力自由化に伴って政府が認可している企業は、ある程度の実績のある企業なので、唐突に電力供給がストップしてしまうといったようなトラブルは考えにくいのですが、急激な需要増加に対してどれだけ対応できるのかということに対してはやはり不安が残ります。しかし、送電線等は従来の電力会社の物を使用しますし、電力が不足した場合には地域の電力会社がサポートして電力供給をすると考えられるので、余り停電などの心配はいらないと考えられます。
また、もう一つのデメリットとして考えられるのが、料金携帯の複雑化です。セット割や様々な電力プランが増えてくるに従って、料金形態が複雑化していくことが考えられます。携帯電話のプランってとても分かりにくいですが、あれは他社との比較を避けるためにわざと複雑化しているという側面もあるのです。顧客によく比較させないことによって企業間の価格競争を避け、価格が下がらないようになっているのです。今回、電力供給を始める会社には通信会社も入っているので、様々なプランやオプションを出してきて、料金携帯を複雑化することはかなり確定的です。しっかりと情報を持って内容を見極めなければ、電気代が前より高くなってしまうなんてことが起こる可能性が高いです。
さらに気をつけなければいけないのは、悪徳電力会社との契約や詐欺事件などに巻き込まれないようにしなければならないという点です。基本的に無認可の会社は電気を販売してはいけませんが、メガソーラーを建設して違法で電気を売る企業もどんどんと出てくることが考えられます。恐らく価格を他社より抑えて甘い言葉で契約を迫ってきますので、安さに目を奪われず、どんな会社なのかしっかりと調べてから契約するのをおすすめします。また、電気販売に関する詐欺も増えることが予測されるので、電気関連でそれらしい社名を名乗る人から電話があっても、話を鵜呑みにせず、ネット等で情報を得てから行動にを開始するようにしましょう。
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余り報じられないデメリット |
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電力供給が不安定になる可能性も |
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これまで家庭向けの電力は地域毎の電力会社10社のみで成り立っていました。一応民間企業という立場で利益を上げるために活動していたのですが、他に邪魔する企業は一切なく、JRと同じく、元々準公務員的な立場だったと言っても決して間違いではありません。そして、倒産する可能性がゼロに等しいからこそ惜しみない設備投資を行なうことができていたので、電力の供給に支障を来すことが少なかったという側面も否定できません。それに対して新電力の場合、東電などと比べると発電設備に関する知識や保守点検することに劣っている可能性が高く、万が一のトラブルの際に対処が疎かになってしまうリスクは避けられないでしょう。もちろん全ての事業者に同時同量(需要と供給のバランスを保つ事)が義務付けされ、想定外の災害などでは足りない電力を他から融通してもらうようになっていますが、新電力が多すぎると義務であっても供給量が足りなくなる可能性は考えられます。 |
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電気料金が上がってしまうことも |
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新電力や既存の電力会社が価格競争を行なうことで、従来より電気代が下がる可能性が高いことは言うまでもありません。しかし、諸外国でも例があるように、電力自由化で却って電気代が高くなる可能性は決して消えないのです。
これまでは発電したものを変電所に送電し、各家庭などに配電線を通って配電されていましたが、この流れは地域を管轄する電力会社が一貫して行なっていました。しかし今後は、消費者へ電気を販売する小売電気事業が自由化となり、消費者へ電力を販売するのが新電力となってゆきます。中には発電事業、小売電気事業の両方を行なうことを表明している企業もあり、全ての業務を行なっていた電力会社には大打撃となるでしょう。小売業者は自分で全ての電力を発電することは難しく、電気を仕入れられたとしても送電することができません。そこで送電線を利用することとなるわけですが、電線の管理は各地域の電力会社が全て行なっているので、小売業者たちは利用料を払わなくてはいけません。この電線利用料のことを託送料と言います。現在の電気料金は電力会社の一存で決めることはできず、国に許可をもらう必要があり、急激に料金が挙がるようなことはありませんが、これが小売業者の裁量で決められるようになると、ガソリン代などと同様、コストの高騰によっては今より高い設定にしてくる業者も出てくる可能性が否定できません。事業者それぞれの財務状況、コスト全てに違いがあり、その会社の景気に左右されやすくなります。 |
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その他のデメリット |
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安くなっても数百円 |
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開始当初は既存電力会社からの乗り換えを促すために新電力料金は安くなると思われますが、どのくらいの差が期待されているかと言うと、平均的だと言われる月400kwhを消費する家庭で、年間3〜4千円程度、月額にすると数百円の差です。基本的には電気料金そのものが安くなるというより、通信費や燃料費などとの抱き合わせによって実質低価格化しているだけだとも言われています。 |
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将来的には電気料金が高騰 |
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電力自由化による価格競争で電気料金は安くなると言われていますが、欧州諸国の例では電力自由化後殆どの国の電気料金が高騰する結果となっていると言われます。今回の電力小売自由化開始時には、家庭に電気を送るための手段として既存電力会社の送電線が使用されますが、これには新電力参入企業に対し既存電力会社から使用料(託送料金)が発生します。この託送料金は、最も低い家庭用の200V送電に圧倒的な偏りがあるとされ、6,600Vの高圧託送料金が全国平均値で4円/kwh、22,000特別高圧が2円/kwhなのに比べて家庭用低圧は9円/kwhと異様な高値となっているのです。なお、新電力に乗り換える人の中には原発反対派の方も多いと思われますが、この託送料金には原子力発電所維持費も含まれており、新電力を選択したところで結局原発維持費用を支払う羽目になると言われています。ちなみにドイツの例では、電力自由化によって新規参入した企業の殆どが高額すぎる託送料金によって撤退したということなので、日本も同じ経路を辿る懸念も否定できません。諸外国の教訓を活かして適正に管理してほしいものです。 |
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海外での電力自由化結果 |
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欧州諸国の電力自由化後、殆どの国で電気料金高騰の一途を辿っています。ドイツやイギリスなど燃料費の上昇を除いてもなお5割以上の上昇率となっている国もあります。日本の送電網も2020年には分離されると言われていますが、実際将来どのように送電網が管理されるのかの詳細については明らかにされておりません。電力自由化の基盤は明らかに不十分であると言えるでしょう。なお、アメリカでは電力自由化後の管理体制の不十分さによりカリフォルニア大停電が発生しました。一部業者による無理な電力価格の引き上げなどもあり、電気料金の高騰という事態も招くことになったと言われます。不安は募る一方です。 |
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新電力乗り換えで損する人 |
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使用電力が少ない世帯 |
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まず消費電力量が少ない世帯の場合は元々の電気料金が安いため、それ以上に安くなることは期待できません。通信料やガス代、ガソリン代とのセット割引などでどこまで安くなるかによりますが、基本的には余り期待はできないと考えてよいでしょう。 |
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オール電化の世帯 |
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オール電化の場合、新電力参入企業のほとんどに現行のような「深夜電力10円台」というプランがないため、乗り換えることで損になってしまうと予測されています。自由化後にオール電化プランが設けられる可能性もあるため、オール電化の世帯は乗り換えを待つ方が賢明でしょう。 |
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電力自由化で損をしないためのポイント |
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新電力は抱き合わせにより価格を低く設定していることが殆どです。大抵の場合は乗り換え後数年限りの割引や有効期限のあるポイント、解約違約金の発生と現在の携帯キャリアのような縛りが発生すると懸念されています。暫くして電気料金が万一上昇し他社に乗り換えたくても乗り換えられないことも考えられます。もっとも大手企業であれば契約者も多いと見られますので、簡単に価格が高騰するとも思えませんが、国内では前例のないことなので予測は不可能です。きちんと過去の電力使用量などからシミュレーションして、トータルで得になるプランがあれば検討するというように、契約先は慎重に考えましょう。 |
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電力自由化とオール電化 |
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- 新電力はオール電化には損?
新電力はオール電化世帯にとっては優遇される材料が乏しいと考えられています。オール電化世帯は検討する余地がないと言っても過言ではありません。ただ、新電力参入企業のチラシなどには一応相談するように書かれているものもあるので、生活スタイルや電力使用量によっては検討の余地もあるかも知れません。
- 落ち着くまで様子を見よう
ゼロエネルギー住宅が推進されている昨今、太陽光発電システム導入率も高いためオール電化住宅が増えているのは事実であると思われます。そうなれば、新電力においてもオール電化プランは必須であると言えるでしょう。とりあえずオール電化世帯は落ち着くまで現状のまま様子を見ているのが賢明ではないかと思われます。
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