アスベストは、強度を備えた微細な繊維構造を持つため、重さに比べて非常に大きな表面積をもつという特性を活かし、石綿スレート、石綿けい酸カルシウム板、ビニールタイル等の建築資材の繊維素材として使用されてきた。
石綿はその9割以上が建材製品にしようされており、押出成型セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業用サイディング、石綿セメント円筒に加工され、建築物の壁材、屋根材、外装材、内装材等にしようされている。
建築材以外では、ジョイントシートやシール材に加工され、化学プラント等の配管や機器のガスケット、漏洩防止用のグランドパッキンに広範に使用されているほか、耐熱・電気絶縁板やエスカレーターのブレーキ等の産業用磨耗材等に使用されている。
また、自動車のブレーキ・ライニングやクラッチ・フェーシング等の摩擦材及び潤滑材の繊維素材、並びに接着材、ペイント等の補填材に使われている。
さらに、アスベストは、断熱、絶縁性に優れ、酸、アルカリにも強いため、電線の被覆材、機械、器具の断熱材、ガスケット、シーリング材、フィルター類や電解装置の中の隔膜などに利用されてきた。図3に平成8年度のわが国における石綿製品の使用状況を示す。
アスベストの利用形態は、これらを含め、3000種以上あるといわれているが、平成8年度のわが国におけるアスベストの用途別使用量は、輸入されたアスベストの約93%が建築資材の原料として、残りがその他の一般材料として使用されている。
主な仕様例
- 防音・断熱用として学校や各建築物、船舶、鉄道車両など
- 理科の実験で、ビーカーなどを火に掛ける際に使う石綿付き金網(金網の中央にある円形の白っぽい部分)
- 絶縁材料として
- 自動車や鉄道車両のブレーキパッド、クラッチ板
- 屋根瓦、屋根用波板、石膏板、天井用化粧板
- ガスケット、シーリング材、パッキング