1stサービスヤマト生活情報館
ヤマト生活情報館 インデックスページに戻る
こちらもチェック 水のトラブル プロが教える自分で出来る修理法
Presented by Yamato Group
今月のワンポイントアドバイス

 フリーターやニートの増加が社会問題化しています。
 若者のこうした就業行動の変化の背景には一体どのような要因があるのでしょうか? 有効な対策を検討するためにも、まずはその原因を解明する必要があります。
 そこで今回は、フリーターとニートの問題を取り上げてみました。


住まいの防犯対策
フリーターとニートの定義
フリーター実態〜類型と特徴〜
フリーターを見る社会の目〜フリーター的存在の功罪〜
就職できない若者たち〜ニートの深層心理〜


フリーターとニートの定義

 フリーターやニートの増加が社会問題化しています。
 学校卒業時点で就職も進学もしていない学卒無業者の増加や正社員ではないアルバイトなどの非正規で働く若者の増加が近年著しいと言われます。また、不況下にも拘わらず若者の自発的離職も増加しています。こうした若者の就業行動の変化の背景には一体どのような要因があるのでしょうか? 有効な対策を検討するためにも、まずその原因を解明する必要があります。

 本項では、先ずは手始めにフリーターとニートの定義をしておきました。
フリーター――正社員でない生き方

フリーターの定義
 フリーターとは、「フリー(英語)+アルバイター(独語)」を略した和製語です。80年代後半のバブル経済の時期に「組織に縛られない就業形態」として脚光を浴び、一般に定着した言葉で、1987年にリクルートのアルバイト雑誌『フロム・エー』が使い出したのが広まったキッカケだと言われています。
 意味は「恒常的なアルバイトを主な収入源とする人」とほぼ同義で、会社や団体組織に正社員や職員をとして所属せず、 時給や日給による給与を主な収入源として生活する人のことを一般にフリーターと言います。

 なお、「ミュージシャンや作家になるという夢を持ちながら日々の生活はアルバイトでつなぐ」という若者に対して、「プータローと侮蔑するのではなく、人生を真剣に考える若者として応援したい」という意味からフリーターという言葉が生まれたと言います。


 労働経済白書におけるフリーターの定義は、年齢15歳〜34歳の学校卒業者に限定し、女性は未婚の者。アルバイトやパートで働いているか、現在無業の者は家事も通学もしておらず、「アルバイト・パートの仕事を希望する者」とされます。

 また、フリーター数については厚生労働省が「労働経済の分析(労働白書)」で公表していましたが、内閣府の平成15年国民生活白書(2003年5月末発表)がフリーター数417万人という数字を公表した点に大きな関心が集まりました。

※ここで多少詳しく内訳を見ると、最近のフリーターの人数は、厚生労働省では201万人(2005年)、内閣府では417万人(2001年)としており、約2倍の違いがあります。また何れの定義によっても、フリーターの人数は10年間で倍増しています(なお、2004〜05年は景気回復に伴ってフリーターはやや減少傾向にあります)。


 なお、内閣府定義の2001年のフリーター数では、若年人口(15〜34歳)の9人に1人(12.2%)、学生・主婦を除いた若年人口の5人に1人(21.2%)がフリーターとなっています。年齢別に見ると、1992年には20代前半で最も多かったフリーターが2001年には20代後半にピークがシフトし、30代でもフリーターが急増するなどフリーター生活の長期化が懸念されています。

 なお、当初は正社員以外の選択肢としていわば自発的にフリーターを選択する者も多かったため、「フリーターの増加は日本人の生活形態が多様化しているためであり、フリーターは自分の判断で自由気ままな人生を送っているだけだから社会問題ではない」という認識を示す人もいますが、現在は、経済情勢の悪化等による就職難で正社員になれず、やむなくフリーターとなる人が増えていると言われています。また、リストラに遭ったサラリーマンがフリーター化する場合もあります。


□ワンポイント1: フリーターの定義と人数の把握
 フリーターの捉え方については、厚生労働省の定義は「フリーターという立場を選択している人(正社員になりたくない人)」、いっぽうの内閣府の定義は「フリーターにならざるを得ない立場の人(正社員になれない人)を含む」という違いがあります。現在無職の人のうち前者はパート・アルバイトを希望する人のみカウントし、後者では正社員を希望する人を含めてカウントしている点に違いが表われていると言えます。要するに後者は「正社員になりたくない人」と「正社員になれない人」を両方含んでいるので、当然数は多くなるわけです。なお、内閣府定義のフリーターでは、就業者としてパート・アルバイトばかりでなく最近増えている派遣・契約等も含めているので、なおさら数が多くなっているのです。
 ちなみに、厚生労働省ではフリーターを最初に平成3年版労働白書で集計しており、当時は「正社員になりたくない人」という立場が着目され、そのまま定義が継続したものと考えられます。また、その後の内閣府(2003年)の定義ではフリーターの負の側面がより着目された結果、新定義となったものと考えられます。何れにせよ、パート・アルバイトで就業している若者の中には「主体的に選択している者」「消極的に選ばざるを得ない者」との両面が従来からありましたが、要するに厚生労働省の最初の定義では前者に着目したということでしょう。

男女別・年齢階層別フリーター数の推移
フリーター数の推移図

ニート――無職で、かつ仕事を探そうともしない人

 近年になって、フリーターよりさらに深刻な存在としてニート(NEET)が注目されています。

 ニートは従来の就業支援策からこぼれ落ちてきた存在で、失業者としてもカウントされず、これまで把握されて来ませんでした。ニートは「働くという意味での社会参加に対する意欲を喪失し、または奪われている」とされ、現在日本でも社会問題化しつつあります。


 本来これは英国における造語で、「NEET=Not in Employment,Education or Training」、直訳すると「就業・就学・職業訓練の何れもしていない人」を意味しています。1998年に英国の義務教育を終えた16〜18歳の若者のうち9%に当たる16.1万人が就業も就学もしていないことから国民にショックを与え、この言葉が生まれたと言います。


ニートの定義
英国におけるNEETの定義
 本来は「16〜18歳の、教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」と定義されています。また、場合によっては「離職中・求職中・育児または家族の世話・無給休暇中・病気や障害・ボランティア活動」までもニートの例として挙げられるほどで、日本のような「ひきこもり」とか「働く気のない若者」というイメージはありません。なお、英国ではこの語は余り一般には普及していないそうです。

※ただし、ニートという語は英国を始めとする諸外国では殆ど使用されておらず、類似した分類も普及してはいません。 むしろ近年欧米ではニートについて「日本における若年無業者問題を指す語」として認知されつつあるのが現状です。そのため、以下の説明は日本におけるニート(日本型ニート)に関する説明です。
 もちろん欧米においても、「教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」は存在するのですが、実はニート或いは類する語での分類・定義付けはされておらず、その概念も普及してはいないのが実情です。その原因のひとつは、ニートという分類が1999年当時社会問題となっていた「社会参加困難者」(被社会的排除者)の一部に過ぎないものであることが挙げられます。欧米における「社会参加困難者」は人種・宗教・言語による差別・格差問題の色が濃く、日本での若年無業者問題と同列に扱うことは困難なのです。その意味で、英国のニートの定義付けは将来的な「社会参加困難者」を予測する分析としての意義はありましたが、総合的な社会的排除対策が行なわれる中でニートという分類自体は重要視されなかったのです。
日本におけるNEETの定義
 内閣府の「青少年の就労に関する研究会」の中間報告によると、「若年無業者」を「学校に通学せず、独身で、収入を伴う仕事をしていない15〜34歳の個人」と定義しています。また、ニートとは、若年無業者のうち「非求職型及び非希望型」、つまり「就職したいが、就職活動していない者」または「就職したくない者」としており、日本でニートと言うと大抵はこの意味で用いられるのが一般的です。

※本来ニートとは労働政策における分類としての用語に過ぎませんでしたが、日本においてはニートは本来の意味から離れ、、2002年頃から社会問題として認知されていた「就労意欲を喪失した若者」や「ひきこもり」と混同されて用いられるようになり、否定的なニュアンスで使われる傾向があります。


日本におけるNEET人口
 平成16年の労働白書から初めてニートに当たる存在を「若年層無業者」と捉えるようになりました。そこでは「若年無業者」は4つの「非」で定義されています。すなわち、「非就業・非求職・非通学・非家事」の4つです(最初の2つで非労働力人口となります)。

 なお、平成16年の労働白書において「若年層無業者」(ニート)の数は2003年に52万人と集計されました。平成17年以降の労働白書では「若年無業者」として新たに家事・通学をしていない既婚者・学生も加え、2003年64万人、2004年・2005年も同じ64万人と発表しています(これは対象となった15〜34歳人口の2.0%に当たります)。また、2005年3月に内閣府が行なった若年無業者に関する調査によると、ニートは2002年に85万人という数字がはじき出されています。


□ワンポイント2: ニートを見る社会の目〜評価と差別
 ニートを見る社会の目はフリーター以上に厳しいものがあります。ニートは一般に「働かない若者たち」と表現されますが、実際の状況を分析すると、実は「働けない若者たち」の割合が相当数含まれており、「働かない若者たち」といった一方的な表現ではニートの状況を的確に示していないとの見解もあります。しかしながら、「働かざる者食うべからず」「勤勉な労働こそ最高の美徳」とする日本の文化や、憲法で定められている「国民の義務としての労働」の硬直化した理解、また、「働かずに食べてゆこうとしているのは甘え」といった先入観、そして、これらの考えに基づく偏った報道と相俟って、「ニートは働かずにどうしようもないすねかじりだ」という偏見を生んでいます。その結果として、ニートを社会から除外し、復帰が困難な状況を形成してしまっているのではないかとの指摘もあるくらいです。さらに、「キレる若者」「引きこもる若者」といった若者に対する漠然としたネガティブなイメージを「ニート」という用語が引き継いでいる感も否めず、そのため、問題の根源である社会の問題、すなわち今日の厳しい雇用状況の改善という視点が忘れ去られているのではないかという意見もあります。ニートの多様性と画一的偏見はこの問題をさらに複雑化し、解決は長期化するであろうと考えられています。


注意点――フリーターとニートは違う
 若年無業者(日本におけるニート)は、ある意味でフリーターにほぼ該当すると捉えることも可能ですが、正確にはフリーターはニートに含まれません。
 また、就業意欲があっても求職活動していなければ日本的な意味でのニートになります。なお、家事手伝いについても統計上はニートとして扱われるのが一般的です。

※このように、ニートはしばしばフリーターと同列に語られることがありますが、これは両者が何れも労働・経済問題であるためで、本来はフリーターが臨時雇用という形で労働を行なう一方、ニートはそれを行なわないという違いがあります。また失業者とニートでは、前者が就業に向けた活動を行なっているのに対し、後者はそれを行なっていないという違いがあります。


ニートとフリーターの分布図


ニートとフリーターの分布図



[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


フリーターの実態〜類型と特徴〜

 フリーターの類型とその特徴・実態につき、以下に詳しく紹介しました。
誰が・何故フリーターになるのか?
フリーターには大きく3つ、細分化すれば7つの類型

 フリーターには、(A)「モラトリアム型」(B)「夢追求型」(C)「やむを得ず型」の3つの類型があります。
 これは、フリーターとなった契機と当初の意識とに注目した類型化で、以下でその内容を詳しく見てゆきます。


フリーターの3類型


□A モラトリアム型
※フリーターへの分岐点は随所に存在しています。卒業時に進路未定者を出さない進路指導だけでは問題は解決されません。

(A-a) 離学モラトリアム型:
 高校や専門学校・大学からの中退者、大学受験失敗=進学断念者、進路未定のままの高卒者・大卒者などが含まれる。

(A-b) 離職モラトリアム型
 高卒・短大卒・大卒後、数ヶ月から2年程度の正社員経験を経て離職し、フリーターとなった者。離職理由は労働条件や人間関係で、彼らの正社員経験の印象は余りよいものではなく、離職時に正規雇用を強く志向してはいない。


□B 夢追い型
※若者の憧れる職業には参入ルートが不確かなものが多く、これらの職業そのものがフリーターという就業形態を要求していると見ることも出来ます。

(B-a) 芸能志向型:
 バンドの練習やオーディション応募・養成機関所属など何らかの関連活動を行なっているが、夢への接近度は様々。

(B-b) 職人・フリーランス志向型
 経験を通した技能・技術の蓄積が要求される。関連するアルバイトをしたり、仕事を請け負ったり自ら作品を売り込んだりして市場への参入を図っている。


□C やむを得ず型
※本人の意欲とは別の労働市場の悪化や家庭の経済事情やトラブルなどの事情から、「学校から職業へ」の円滑な移行が中断されることがあり得ます。

 ただ、最近では就職難から正規雇用が減少しているため、正規雇用を志向することでさえ「(B)夢追い型」になってしまうケースもあり、この「やむを得ず型」は有名無実化しているという意見もあります。これは自立に関わる問題なので、本来「(C)やむを得ず型」を「(B)夢追い型」に分類するのは適当ではないものの、正規雇用を志向するだけで「(B)夢追い型」に分類される傾向も強いため、今後の議論になるものと思われます。

(C-a) 正規雇用志向型:
 公務員など特定の職業への参入機会を待っている者、離職したが正規雇用を志向している者、就職活動に失敗した者、派遣を志向した者が含まれる。なお、企業の採用活動がもっと積極的に行なわれているか、或は特定の職業に関する労働市場の需給状況がもう少し緩んでいれば、このタイプの者の殆どはフリーターとはならなかったと考えられる。

(C-b) 期間限定型
 進路変更による専門学校への入学時期待ち、次の入学時期までの学費稼ぎ、ワーキングホリデーのための費用稼ぎなどが含まれる。

(C-c) プライベート・トラブル型
 トラブルにより学校を離れたタイプ。当初の将来展望がはっきりしておらず、その意味では(A)モラトリアム型と共通している。


フリーターの特徴


□1 フリーターの6割は女性、年齢層は20歳代前半層までが中心
・女性が約6割を女性が占めており、フリーターには女性が多い。
・23歳までの者がおよそ3分の2を占める(平均年齢は23歳)。
・高卒までの学歴の者が半数強。何らかの教育機関からの中退者が2割を超える。

□2 元からの首都圏在住者と地方からの流入者が混在。7割強が高校時代にアルバイトを経験
・東京の高校出身者は半数弱。2割強が千葉・埼玉・神奈川で、その他の地方の高校出身者が3割弱。
・7割強が高校時代にアルバイトを経験(特に高卒以下の女性では殆どが経験)。地方高校出身者ではアルバイト経験者は比較的少ない。

□3 フリーターには大きく3つ、細分化すれば7つの類型
 フリーターには、(A)「モラトリアム型」、(B)「夢追求型」、(C)「やむを得ず型」の3つの類型があります。詳しくは上記項目をご参照下さい。

(A)モラトリアム型:(a)離学モラトリアム型 (b)離職モラトリアム型
(B)夢追求型   :(a)芸能志向型 (b)職人・フリーランス志向型
(C)やむを得ず型 :(a)正規雇用志向型 (b)期間限定型 (c)プライベート・トラブル型

□4 類型別の傾向
・最も多いのは「(A-a)離学モラトリアム型」。次いで、「(B-a)芸能志向型」、「(C-a)正規雇用志向型」及び「(C-b)期間限定型」、「(B-b)職人・フリーランス志向型」。また、男女共に「(A-a)離学モラトリアム型」が最も多いが、男性では「(C-b)期間限定型」「(B-a)芸能志向型」「(C-a)正規雇用志向型」、女性では「(B-a)芸能志向型」「(B-b)職人・フリーランス志向型」がこれに次いでいる。
・「(B-a)芸能志向」は高卒以下に多く、「(C-a)正規雇用志向型」は高卒超の男性に、「(B-b)職人・フリーランス志向型」は高卒超の女性に多い。
・4割の者が正規就業を経験。「(C-a)正規雇用志向型」では7割、正規就業経験者(契約・派遣・見習社員経験者を含む)は4割。なお、「(A-b)離職モラトリアム型」「(C-a)正規雇用志向型」以外の類型では正規就業経験者比率は2〜3割。

□5 フリーターとなった背景に家庭の経済事情や父母の離婚・家族の病気などの事情があるケースが2割弱

フリーターを考え始めた時期(フリーター志向・予定進路別)

フリーターを考え始めた時期

フリーターはどのような生活をしているのか? 


□1 フリーターの週労働日数は平均4.9日、月収は平均139,000円
・ヒアリング対象者の週当たり労働日数は5日が半数弱。平均は4.9日
・月収は10万円以上15万円未満が全体の4割弱を占める。平均月収は約139,000円

□2 3分の2が親と同居、同居者の半数以上は何らかの経済的な負担
親と同居している者は63.9%。同居者の半数以上は何らかの経済的な負担(生活費を入れる、学費の一部を負担する、年金や保険を支払う等)をしている。別居者の殆どは自活

フリーターはどのような就業意識を持っているのか? 


□1 フリーターの語るメリットは「自由」「時間の融通がきく」「休みが取りやすい」「様々な経験ができる」、デメリットは「収入が少ない」「社会に認められていない」「不安」「不安定」。正社員は「金銭面」でよく「安定」しているが、「拘束」される、という認識
・デメリットのうち「社会に認められていない」は「(A)モラトリアム型」や女性で、「不安」「不安定」は「(C)やむを得ず型」で挙げる者が多い。
・フリーターに対する世間の厳しい目は認識しているが、「気にしない」者が多い。

□2 「やりたいこと」への強いこだわり
1.「やりたいこと」があるフリーターとないフリーターを区別して評価
2.「やりたいこと」であれば、正社員でもフリーターでもこだわらない
3.「やりたいこと」を見つけようとしている「(A-a)離学モラトリアム型」、また、「やりたいこと」があってフリーターをしている「(B-a)芸能志向型」「(C-b)期間限定型」

□3 フリーター経験による主な自覚的な変化はソーシャル・スキルの向上

キャリア形成・能力開発の問題はあるのか? 


□1 多くの者が将来のキャリア形成を意識し、探り、方向を捉えようとしているが、夢が夢のままとどまっている者、モラトリアム状況を続ける者、消極的に現状を肯定している者などキャリア形成という面では停止状況にある者も少なくない。

□2 フリーターの就業職種は限定されており、フリーターとしての就業経験が基本的なソーシャル・スキルの形成以外の職業能力形成に結びついている場合は少なく、フリーター就業が長期に及べばキャリア形成の貴重な時期を逸するおそれがある。
・フリーターとして就いてきた職種は、ファミリーレストラン、ファーストフード、カラオケボックス、漫画喫茶などの「サービス関連」、レジ、コンビニ店員などの「販売関連」、テレフォン・アポインターなどの「営業関連」、組立・加工、交通量調査などの「現場作業関連」などが中心。
・接客や社員とのコミュニケーションなどからソーシャル・スキルの向上を意識する者は少なくないが、専門的な知識・技術の習得に役立ったという例は少ない。

□3 希望職種の就業可能性、学校入学後の入職可能性、資格取得の効果などに関する認識は必ずしも十分ではない。

□4 20歳代後半にはフリーターに限界を感じ、「焦り」も(ただし、女性には職業キャリアへのこだわりのない者も見られる)。

学校から職業への移行の仕組みに問題があるのか? 


□1 大学進学・専門学校進学・就職の何れの進路を取った者でも、職業選択についての意識が不明確であったり、実際の就業の可能性について余り考えていなかった者も多い。

□2 高校時代からフリーターを志望していた者には、「夢」があったタイプと、「やりたいこと」が定まらない限り進学も就職も選択しないというタイプの2つの類型がある。しかし、何れも現実的な職業キャリア形成という意味では問題を抱えている。

□3 進学に偏らない進路指導、企業人の関与、詳しい職業情報、早期の段階からの進路指導などを求める声も。

求められる支援にはどのようなものがあるのか? 


□1 職業意識の啓発
・小中高を通じての総合学習・職場体験による職業観の育成と職業選択能力の向上
・高校生インターンシップ等の勤労体験学習の普及等

□2 職業ガイダンスの充実
・新卒者並びに既卒者を対象とした専門相談・紹介機関の増設拡充
・専門キャリアカウンセラー・業界アドバイザーの配置
・現実的具体的な職業情報の提供と生徒の適性・能力・希望進路の現実性等の評価・助言
・「フリーター就業」の具体的得失についての情報提供等


□3 進学に偏らない進路指導、企業人の関与、詳しい職業情報、早期の段階からの進路指導などを求める声も。
・教育訓練制度の活用による就職促進
・就業機会情報の積極的提供による就職促進
・採用における学歴・年齢要件の緩和等


[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


フリーターを見る社会の目〜フリーター的存在の功罪〜

 従来フリーターの存在は否定的にばかり捉えられる傾向が強くありました。
 本項では、「フリーターをめぐる社会の目の変化」という観点から、その労働市場における積極的な側面にも目を向けてこの問題を考えてみたいと思います。
フリーターの増加と需要の拡大

 フリーターに対するこれまでの社会の評価は、どちらかと言えば、「フリーターは十分な税金を納めてくれないし、老後も不安で結局政府が面倒を見ることになるから、実にけしからん存在だ」というものでした。しかし、フリーターというのは、雇う企業の側から見れば、正社員に比べて極めて安い賃金で、しかも需要に応じて雇用と解雇のできる実にオイシイ存在なのです。フリーター人口は200万人とも400万人とも言われ、今や日本経済に欠かせない存在になったと言えるでしょう。
 その意味で、私たちは一方で「フリーターはけしからん」と言いながら、実は大いにフリーターの恩恵に与っているのかも知れません。


 そもそも経済・技術・流行が驚異的な速さで移り変わるこの時代に、企業にとって流動的な労働力となるフリーターやパートタイマーの価値は極めて高いと言えます。また、個性や生き方が多様化し、一方で企業の安全神話が崩れた今、個人にとってもひとつの企業に一生を捧げることにこだわりはなくなっています。こうした時代の流れに逆らえないこと、そして、フリーターの増大は決して若者の社会的倫理だけの問題ではないことをようやく政府も認めざるを得なくなったようです。

 確かに「やりたいこともないから、取りあえずフリーターでもやるか」といったタイプのフリーターは、私たちがこれまで培ってきた社会的倫理観からは容認出来ないものかも知れません。しかし今の日本には、そんな彼らでも十分に生きていけるだけの仕事があるのです。逆に言えば、彼らに対する需要があることも私たちはよく認識しなければならないでしょう。
フリーターという「階級」

 私たちは彼らフリーターをひとくくりにして、ダメな人間もしくはオイシイ労働者として見て来ました。しかし、フリーターにも色々な種類があります。正社員という肩書きがないだけで、正社員と同じ仕事をこなし、年中働きながら低賃金に甘んじている人も実際にいるのです。企業としては「いつ辞められるか分からない」などを低賃金の理由として挙げるかも知れませんが、実際はその逆で、企業にとってフリーターは「いつでも減らせる」というメリットを持つ低賃金の労働力なのです。

 先に述べたように、フリーターを始めとする流動的な労働力は今や日本経済にとって欠かすことのできない存在です。しかし、その需要の割に彼らの雇用環境は余りに悪いと言ってよいものがあります。これは、正社員たちに高い給料を与えるために彼らの労働の成果の一部が回されているからに他なりません。現在「格差社会」の問題が取り沙汰されていますが、私たちはフリーターという便利な言葉で彼らをひとくくりにすることによって、この構造的な疑似階級社会を容認しているのかも知れません。
「固定的労働力」と「流動的労働力」

 このままフリーターが増加を続けると、税金を納めてくれる人がどんどん減っていくおそれがあります。正社員が納めた税金でフリーターが公共サービスを受けるという二極化を認めてはなりません。ならば、せめて労働に見合った税金を払えるだけの賃金をフリーターにも稼いでもらう必要があります。そのためにも、正社員とフリーターという対立的な見方を止め、「固定的労働力」と「流動的労働力」という考えに立つ必要があります。

 なお、流動的労働力にはアルバイトやパートタイム、派遣・契約社員、転職市場など様々な労働を含むことが出来ます。仕事の専門性や熟練性などの差こそあれ、彼らこそ今後のダイナミックな経済を担う大切な労働力なのではないでしょうか。
フリーターのプラス面とマイナス面

フリーターのプラス面
□1 短期間ではあるが、フリーターになることによって色々な職業に触れることが出来るようになり、雇用機会が拡大する。
□2 安価な労働力源が確保される。よって、安い価格でモノやサービスを手に入れることが出来る。
□3 雇用しやすく解雇しやすいため、企業は収益に応じて柔軟に人数の調整が出来る。
以上の2と3により、景気動向に応じて雇用を調整しやすく、それによって正社員の雇用・賃金を安定させることが出来る。

フリーターのマイナス面
□1 自由を選択していても、自由のマイナスの対価が大きいことに気づかず、本人が不利益を被ったり不安を感じたりすることが多くなる。
□2 犯罪の増加など社会不安に結びつく可能性がある。
□3 職業能力の低下:熟練を要する技術が身につかず、若年の職業能力が高まらないため、高付加価値を生み出せず、日本産業の競争力や経済全体の成長の制約となるおそれがある。
□4 収入が少ないことに伴う個人消費の縮小
□5 収入が少ないことに伴う税収入の減少:所得税・住民税等の直接税収が期待できないことから、間接税の大増税にシフトせざるを得なくなる。
□6 社会の階層化:収入格差が広がることで、現在懸念されている「格差社会」化を推進させる。
□7 少子化の加速:中長期的には未婚化・晩婚化・少子化などを一層促進させ、人口減少が進むことで、年金など社会保障制度にも影響が生じる可能性がある。(※所得が安定しにくく、仮に安定していても、年功による収入の増加が見込めず低所得に止まること、正社員に比べて育児休業が取りにくいことなどから、一般的にフリーターの結婚率は正社員の50%程度である。)


[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


就職できない若者たち〜ニートの深層心理〜

 上記で見てきたように、フリーターと違って「無職で、かつ仕事を探そうともしない人」を一般にニートと呼びますが、本項では、若者がニートに至る原因とプロセスについて、特に大学生の就職問題を中心に絞って考察しました。

※なお、今回は特に大学新卒からニートに至るケースをテーマにしましたが、大卒以外(中卒や高卒、そして、いったん社会人になってから)でもニートになるケースはあります。
日本におけるニートとその深層心理

 日本におけるニートは以下の4つのタイプに分類することが出来ます。

□1 ヤンキー型:反社会的で享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ
□2 ひきこもり型:社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ
□3 立ちすくみ型:就職を前に考え込んでしまい、行き詰ってしまうタイプ
□4 つまずき型:いったんは就職したものの早々に辞め、自信を喪失したタイプ


 また、若者がニート(もしくはフリーター)になる原因として次の2つの深層心理を指摘することが出来ます。そして、この2つの心理がニート(やフリーター)の若者たちの内面で相互に矛盾を起こして共存しているのです。

□1 「どうせ自分なんて」という意識
「自分なんか選ばれるわけが無い」という極度の自信の無さ・自己評価の低さ。
□2 「特別な自分」という意識:
「不特定多数を対象とした求人など自分には関係ない」といった、「特別な自分」にしか出来ない仕事を待ち続ける根拠のない特権意識

就職活動からの離脱〜若者はいつニートになるのか?〜

 大学生の就職活動を中心に、若者が何故ニートになるのか、以下で多少詳しく考察してみました。
働く自分に対する自信の欠如

 就職を目指す大学生が何故ニートになってしまうのでしょうか? 

 それは、現在多くの若者が就職活動で悩んでいる最大の問題、すなわち「やりたいことが見つからない」という問題ではありません。実はこの問題は、上で見たフリーターの多くが抱える問題で、本来はニートが抱える問題ではないのです。
 ニートが抱える本当の問題は、その根源に当たるより深刻な問題、すなわち「人づきあいなどの社会生活をうまくやっていける自信がない」という問題です。つまり、ニートの人たちにとっては「働く自分に対する自信の欠如」が職活動を停止させているのです。これは、上で指摘したニートの深層心理のうち一番目のものです。

※なお、ここが英国などと違って日本におけるニートが「ひきこもり」と混同されて用いられる所以であり、ニートという語が否定的なニュアンスで使われる傾向が強い理由と言ってよいでしょう。


 さて、「働く自信」が何故欠如するのでしょう? 

 もちろん大学生は正社員として働いたことがないのだから、就職に関して不安に感じるのは当たり前ですが、それでも少なくともアルバイト経験はあるはずです。では、何故アルバイト経験があるのに「働く自信」が持てないのでしょうか? 


 それに関して、大学生がいつ・どのような段階で就職活動をやめるのか、以下にまとめてみました。

□1 第1段階:就職活動以前
 大学入学自体が動機が曖昧で不登校になる。大学生活に馴染めず、大学自体から遠ざかる。
□2 第2段階:就職活動スタート時
 いきなり「何がやりたいの?」と聞かれて戸惑う。立派に答えられる学生を見て、「自分には無理」「自分はあの人と違う」と思い、その結果、就職活動から離脱する。
□3 第3段階:就職活動途中
 第一志望群の会社を2〜3社受けて落ち、諦め、「妥協までして就職したくない」と開き直る。
□4 第4段階:就職活動終盤
 大学3年生の冬、そして年明けまで頑張るが、内定が出ない。取り残された感情からキャリアセンターに顔を出さなくなり、離脱する。友人さえも卒業後の進路は分からない。

この角度から考えると、アルバイト経験自体が「働く自信」に繋がらないことが分かります。なぜならアルバイト経験自体を自信に繋げるには、そのアルバイトを自らの糧にする意識が必要だからです。特にアルバイト経験によって働く上で最も必要なコミュニケーション力を獲得出来たなら、上記の4つの離脱ケースは容易に避けられたでしょう。


 それでは、アルバイトすら自分の糧に出来ない学生が次々と就職活動を離脱するパターンを以下で段階別に詳しく見てゆきましょう。
就職活動からの離脱の第1段階〜就職活動以前

 第一段階での就職活動の離脱は、そもそも大学に入学した時点で何も前に進んでいない状態です。


 一昔前までは、「大学に進む」イコール「企業へ就職する、もしくは進学する」ことが明確でした。でも、今はご存知の通りの少子化で、大学のランクや種類にこだわらなければほぼ「全入時代」に突入しています。このように、経済的な問題を除き、大学進学は「何となく行ける」時代になっていることは確かです。

 しかし、実はこの「何となく」が厄介なのです。「何となく」では、仕事や就職を意識するきっかけはもちろん、それに対する努力など期待は出来ないからです。当然、働く自信など芽生えることはあり得ません。


□アドバイス1: ニートの就職に対する処方箋1
 ニートは「働かない」のでも「働きたくない」のでもなく、「働くために動き出すことができない」でいるだけだ、そのため、動き出すためには「未知の誰かからの早い時点でのきっかけ」を必要としているのだと言われています。
 さて、それでは「未知の誰かからの早い時点でのきっかけ」とは一体何でしょうか? 大学のカリキュラムでは間に合わない、もっと以前の段階、たとえば中学生あたりから仕事に触れる、就職を意識するカリキュラムを導入することが最善策と言えるのではないでしょうか。

就職活動からの離脱の第2段階〜就職活動スタート時

 さて次は、就職活動を初めていきなり離脱してしまうパターンを考えてみましょう。

 この時期に大学主催の就職ガイダンスや、取りあえずリクナビにエントリーしようと思った時まずぶち当たる壁が「何がやりたいの?」です。いきなりこう聞かれてスラスラ答えられる学生は少なく、きっと戸惑う若者が多いことでしょう。リクナビでのエントリーでも「何がやりたいの?」をベースに書かなくてはいけない欄があります。やりたいことが分からないのに書けるわけがありません。
 また、一方で立派に答えられる学生を見て、「自分には無理」「自分はあの人と違う」と思って落ち込み、そこから立ち直るために「開き直る」人もいるかも知れません。そして、就職活動から離脱してしまうのです。


□アドバイス2: ニートの就職に対する処方箋2
 この問題を解決する方法はただひとつ、「機会創造」です。自己分析するにも、ネタがないと分析のしようがありません。よって、「機会創造」でネタ(興味や関心へのキッカケ・手掛かり、心が躍る経験、目標となる人との出会いなど)を仕入れなくてはならないのです。
 もちろん「やりたいことが分らないのに、どうやってネタを仕入れるのか?」と疑問に思う人もいるかも分りません。でも、分らないからやって見るのです。
 当然やってみて失敗するかも知れません。でも、「失敗は成功の母」という言葉もある通り、たとえ失敗したとしても、それが新たな情報となり、経験を積むことが出来るのです。

 就職活動で失敗する最も多いケースがこの段階で躓くことです。情報がなければ根拠ある選択肢も浮かばず、短絡的に有名企業を受けるだけになるのは当然だからです。有名企業は当然ライバルも多く、惨敗する結果のなる可能性が高いのです。そして、諦めてしまうのです。
 だからこそ、「機会創造」を存分にしてネタを蓄えておけば、就職活動が始まっても何も臆することはありません。きっと会社探しも楽しいでしょうし、自己分析だって楽しいでしょう。

就職活動からの離脱の第3段階〜就職活動途中


 さて次は、就職活動途中に「特別な自分」にこだわって離脱するパターンを考えてみましょう。

 途中で辞めるということは次なる代案を考えることを放棄したということです。すなわち、第一志望群の会社を2〜3社受けて落ち、就職活動を休止してしまう。つまり、「妥協までして就職したくない」という「プライド」が就職活動からリタイアさせてしまうのです。


※先にニートの深層心理として2つを挙げましたが、若者がこの段階で就職活動からリタイアしてしまう原因としては、特に後者の「特別な自分という意識」という心理を挙げることが出来るでしょう。そして、これはフリーター(特に夢追い型)の多くも抱える意識で、「特別な自分」にしか出来ない仕事を待ち続ける根拠の無い「特権意識」と言ってよいでしょう。

就職活動からの離脱の第4段階〜就職活動終盤

 それでは、最後に4つ目の「就職活動をずっと続けてきたのに、最後の最後、就職活動から離脱してしまうパターン」を考えてみましょう。


 この離脱は大学4年生の秋、そして冬あたりに起こります。この時期、1年下の後輩とキャリアセンターでどんどん顔を合わせることになります。取り残された感情からキャリアセンターに顔を出さなくなり、離脱してしまう人が多いのです。

 ちなみに、2003年卒の大卒求人倍率は1.30倍であり決して1倍を割っていませんでした。さらに2006年度は景気が若干上向きで、リストラなど人件費削減もあらかた終わり、大卒の新卒採用は増える傾向にあります。つまり、勤務地や知名度や職種などへのこだわりを捨てれば、取りあえず正社員として採用されることはそんなに難しくないと言えるでしょう。

 それなのに、何故この最終段階で離脱をするのでしょうか? 

 それは、フリーターについて触れた項目でも取り上げたように、「不本意な新卒正社員」以外にも今は道があるからです。(※この問題はフリーターが抱える問題でもあるので、ここでは取り上げません。「フリーターの類型とその特徴」の項目をご参照下さい。) 

[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


YAMATO GROUP
112-6 Kashiwa-cho Asahi-ku Yokohama-city
1STサービスヤマト管理(有)・(有)ヤマト興業
(有)アメニティー・ワイ・(株)ヤマトプランニング


Copyright (C) 2000 02 01.Yamato Gr.
Dezin By JCM inc.,

お気付きの点、ご意見等がございましたら下記までお寄せください。

yamato@yamato-gr.co.jp