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今月のワンポイントアドバイス


 日本人の死因の第1位になるなど癌は今や国民病と言ってもよいほどです。しかし、かつては不治の病とも言われた癌も、最近は食生活の改善などによってかなり予防出来ることも分かってきました。それに癌の早期発見も癌予防には大切な視点です。
 今月は国立癌センターによる『癌の予防のための12か条』を詳しく紹介・解説することで、癌の予防について特集しました。併せて、参考までに癌の検査法や治療法についても最小限の情報を紹介しておきました。
癌の予防

癌とその予防
癌のメカニズムとその予防
詳細解説!『癌を防ぐための12ヵ条』
食事で癌を予防しよう!
癌の早期発見とその最新治療


癌のメカニズムとその予防

 癌という病気はなぜ起こるのでしょうか? また、癌は果たして予防出来るのでしょうか? 
 本項では、癌の予防について解説する前に、癌という疾病のメカニズムや、また癌の種類や症状などについて解説し、その上で癌の予防について総論的に解説しました。
癌は今や国民病〜癌は日本人の死因の第1位!〜



 日本で年間100万人くらいの人が死亡していると云われますが、癌による死亡はそのうちの約30%を占め、81年以来、我が国の死亡原因の第1位となっています。年間の癌罹患数は約50万人くらいですから、6割の人は癌を治すことが出来ずに亡くなっている計算になります。
総死亡率
癌はなぜ起こるの? 

 癌は遺伝子に傷がついて細胞が正常な分裂のコントロールを失うために起こると考えられています。
 癌を引き起こす発癌遺伝子は現在約200種類が発見されており、細胞増殖を抑制したり異常を感知してその異常を修復する癌抑制遺伝子は約20種類が知られています。これらの遺伝子が変異を積み重ねることによって、人間を死に至らしめる癌という病気として現われて来るのです。なお、癌細胞の増殖のスピードから逆算して、1個の癌細胞が発生してヒトを倒すまでに15〜30年の時間がかかると考えられています。

 ちなみに、遺伝子に異常を起こさせる物質(=変異原物質)をイニシエーターと呼び、癌細胞を増殖させる物質をプロモーターと呼んでいます。イニシエーターには放射線や紫外線、ウィルス、魚の焼け焦げなどがあり、プロモーターには女性ホルモンや胆汁酸、高塩分、タバコ、人工甘味料、農薬(DDT、BHC)、PCBなどが知られています。
 生活習慣や食物などを広く「環境」と捉えた場合、癌の95%は環境要因によって発生すると考えられます。そして、特に食物と喫煙で癌の2/3が発生すると推定されています。
癌細胞の特徴


■癌細胞の特徴
寿命がない=不死化
 癌の細胞はテロメラーゼで染色体の端にあるテロメアと呼ばれる部分を伸ばしてしまいます。普通テロメアは細胞分裂を繰り返す度に短くなって、ついには分裂が出来なくなってしまうもので、いわゆるローソクのようなものなのですが、癌細胞ではこれがどんどん延びるので死ななくなってしまうのです。
癌細胞
転移する
 もとの組織から離れてリンパ管や血管を伝わり、癌細胞が飛び火します。これが癌が治しにくい原因のひとつです。
周囲の組織に浸潤する
 直接周囲の組織に染み込むように癌細胞が広がってゆきます。そのため、手術の時には癌そのものだけではなく、周辺の組織も安全域を見込んで切り取ります。

癌の種類と特徴

癌の種類 上でも説明したように、発癌をしかけるイニシエーターと言われる発癌性物質とプロモーターと言われる発癌促進物質によって正常細胞が突然変異を起こして腫瘍細胞に変化することで引き起こされる組織細胞の機能障害を一般に癌と言います。すなわち、癌遺伝子はイニシエーターとプロモーターと言われる発癌性物質に刺激されて活性化し、癌細胞へと変貌してゆくのですが、しかし、癌はあらゆる細胞に発症する可能性があり、発症した部位によって、それぞれ肺癌、胃癌、肺癌、乳癌などの名前が付けられます。このように癌の成り立ちは同じでも、それぞれの癌によって症状や原因は異なります。
 本節では、様々な癌について、その症状や原因、検診法などを以下で取り上げました。また、多少データは古いですが、各々の癌の死亡率を参考までに括弧書きで記入しておきました。

 なお、癌の死亡率については、一般に男性の方が女性よりたくさん癌で死亡しています。これは主に喫煙率が男性の方が高いことによると考えられています。何れにしても、検診で診断可能なものばかりではないので、癌予防が如何に重要であるのか再認識させられます。


■各種の癌の種類と検査法、死亡率
肺癌(死亡率41.6%、男性は女性の3倍)
 原因の第一はタバコです。タバコの煙には200種類以上もの発癌性物質が含まれており、喫煙期間が長く1日の喫煙本数が多いほど肺癌に罹りやすくなります。また、車の排気ガスや大気汚染などの環境要因も見落とせません。

 早期発見が難しく転移しやすいので、健診で見つかっても半分程度しか治りません。また、診断がついて助かる見込みは20%程度です。アメリカのメイヨークリニックでは、肺癌検診は死亡率を減らさないというデータが出てアメリカでは健診を止めていますが、ヘリカルCTを使って肺癌検診をする試みが行なわれています。一般的には胸部レントゲンと喀痰細胞診を行ないます。
 初期の症状は、咳や痰が急に多くなったり風邪や肺炎のような病状が続くことで、痰は赤や茶色の血痰が出たら注意を要します。胸や背中の痛み、呼吸困難が起こることもあります。なお、肺癌は予防が一番、すなわち禁煙することです。
胃癌(死亡率40.4%、男性は女性の2倍弱)
 原因の第一はタバコです。タバコの煙には200種類以上もの発癌性物質が含まれており、喫煙期間が長く1日の喫煙本数が多いほど肺癌に罹りやすくなります。また、車の排気ガスや大気汚染などの環境要因も見落とせません。

 早期発見が難しく転移しやすいので、健診で見つかっても半分程度しか治りません。また、診断がついて助かる見込みは20%程度です。アメリカのメイヨークリニックでは、肺癌検診は死亡率を減らさないというデータが出てアメリカでは健診を止めていますが、ヘリカルCTを使って肺癌検診をする試みが行なわれています。一般的には胸部レントゲンと喀痰細胞診を行ないます。
 初期の症状は、咳や痰が急に多くなったり風邪や肺炎のような病状が続くことで、痰は赤や茶色の血痰が出たら注意を要します。胸や背中の痛み、呼吸困難が起こることもあります。なお、肺癌は予防が一番、すなわち禁煙することです。
大腸癌(死亡率28.2%)
 動物性脂肪の摂取が増えると、それを分解・吸収する胆汁酸の分泌が増えますが、この胆汁酸が大腸の中で発癌性物質に変わるのです。また、食物繊維の少ない食事は便秘の原因になり、便が大腸に長く留まっていると、便の中の有害物質が腸壁を刺激して発癌化を促進します。

 大腸癌の検診は、便潜血は30%も見逃しがあり、かなり鈍感な検査で、そのため2回検査します。血便や便通回数・性状の変化、腹満などがある時は、潜血が陰性でも精密検査を受けた方がよいでしょう。一度便潜血が陽性でも再検査したら陰性だったので大丈夫と考えるのは大間違いです。全大腸ファイバーをするか、或はS状結腸ファイバーと注腸レントゲンを組み合わせて行ないます。
 癌の出来る部位によって多少異なりますが、血便、排便異常、腹痛などの症状が現われます。
乳癌(死亡率7.1%)
 原因の第一は脂肪の摂り過ぎです。女性ホルモンは発癌因子ではありませんが、脂肪を分解する胆汁酸は女性ホルモンの分泌を活発にし、乳腺細胞を発癌化しやすくします。また、脂肪の摂り過ぎは発癌性物質である過酸化脂質の増加につながります。

 乳癌は自分で発見することが出来、自己健診が最も有効な手段となります。そのため、集団健診はこの自己健診を普及させるひとつの手段とさえ言われているくらいです。自分で乳房のしこりに触れたり、引きつれがあったら直ぐに詳しい検査を受けましょう。また、乳房の大きい人は触診だけでは発見しにくいので、自己健診だけに頼らず、毎年健診を受けるようにしましょう。マンモグラフィーは触診では判りにくい癌も発見出来る利点があります。
肝臓癌(死亡率27.0%、男性は女性の倍)
 特に慢性ウイルス性肝炎の人はハイリスクなので、定期的に腹部エコーをする必要があります。肝炎の人は、しっかり治療をして癌が出ないようにすることが肝要です。
膵癌(死亡率14.9%)
 早期発見が難しい癌です。腹部エコーである程度診断が可能ですが、困難です。初期の症状は、膵炎に伴って腹痛・下痢などがあります。
胆嚢胆管癌(死亡率11.9%)
 胆石の有無と発癌率は関係ありません。検診は腹部エコーや肝機能の血液検査が役に立ちます。進行が早く早期に発見することが出来ないことが屡々ですが、場所によっては黄疸などが早期に出て診断出来ることがあります。
食道癌(死亡率8.0%)
 男性の喫煙者で、お酒を飲む人によく起こります。胃レントゲンでは見落としが多く、胃カメラをする方が無難でしょう。初期の症状は、飲み込んだものがつかえたり、熱いものや冷たいものがしみて痛んだりします。
悪性リンパ腫(死亡率6.1%)
 リンパ球が悪性腫瘍になったもので、白血病の親戚です。早期発見は難しく、変なしこりが段々大きくなって来る場合は精密検査を受ける方がよいでしょう。化学療法が割と有効です。
前立腺癌(死亡率5.7%)
 PSAという血液検査が早期発見に役立つということで検診にも取り入れられています。発育は遅いので、比較的大人しい癌です。
白血病(死亡率5.3%)
 一般に「血液の癌」と言われる通り、血液検査で分かりますが、慢性白血病以外では早期診断は困難です。
子宮癌(死亡率4.0%)
 頚癌の健診は30才以上。一方、体癌は不正性器出血がある人で、(1)50才以上、(2)閉経後、(3)未妊婦で月経不規則の者の何れかに該当する人が対象です。なお、30才以下でも癌があることがあり、妊娠時に調べてもらう方がよいでしょう。
 なお、頚癌ではヒトパピローマウイルスが関係することが分かっています。また、体癌が全体の20%ぐらいまで増えて来ています。
卵巣癌(死亡率3.2%)
 卵巣に出来る癌で、 一般に腹部エコーで発見可能です。                         
舌癌及び咽頭癌(死亡率3.9%、男性は女性の倍)
 喫煙が関係し、男性は女性の倍です。治りにくい糜爛があれば耳鼻咽喉科で見てもらいましょう。
膀胱癌(死亡率3.8%、男性は女性の倍)
 膀胱に出来る癌で、化学物質(染料)が影響します。検尿や腹部エコーが有効です。        
中枢神経系の癌(死亡率1.3%)
 早期発見は困難で、小児でも起こります。                                   
喉頭癌(死亡率0.8%)
 喫煙するとリスクが20倍になります。しわがれ声が続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。     
皮膚癌(死亡率0.7%)
 紫外線が影響します。欧米人に多い癌でしたが、最近は日本人にも増えて来ています。フロンによるオゾン層の破壊が心配されています。
その他の癌
 その他、甲状腺癌や腎臓癌、多発性骨髄腫などがあります。                        

癌は予防できるの?

 私たちの身体は約60兆個もの細胞が集まって出来ています。そして、細胞の核の中には約20億個の遺伝子が入っています。癌はその細胞の核にある遺伝子に何らかの原因で幾つかの異常(=変質)が重なることが原因となって起こる疾患です。
 以前は、癌は不治の病のように言われましたが、現在は癌は早期発見によって治療が可能な病気とされています。それと同時に、癌の研究は日毎に進んでおり、毎日の食事や生活に気をつけることによって多くの癌を予防できることも分かって来ました。

 そこで、癌の発生を防ぐためには、
 (1)「細胞に遺伝子異常がおこらないようにする」こと
 (2)「遺伝子異常が生じた細胞を増やさない」こと
が重要です。
癌予防の分類〜癌の1次予防と2次予防〜

 本節では、癌の予防を取りあえず、(1)「癌の1次予防(=癌に罹らないようにする)」と、(2)「癌の2次予防(=癌の早期発見)」の2つに分けて簡単に説明します。


癌の1次予防=癌に罹らないようにする
 世界の癌発生は毎年約1千万人と言われますが、下でも詳しく見るように、このうちの約3割は食事等で予防することが可能であるとされています。たとえばビタミンCとビタミンE、カロチンは発癌物質であるイニシエーターの働きを抑え、また、ビタミンAAとカロチンは細胞膜を強くして発癌促進物質であるプロモーターの働きを弱める働きがあることが分かっています。

 なお、“それでは、具体的にはどのような食事・どのような生活を心懸ければよいのか?”についての具体的は話しは、下記の 「詳細解説! 『癌を防ぐための12ヵ条』」及び「食事で癌を予防しよう!」の各項でさらに詳しく解説いたします。

癌の2次予防=癌を早期発見する
 食生活その他にいくら気をを付けて癌を予防していても、それだけで癌を完全に防げるものではありません。そこで、図らずも細胞が発癌化してしまった場合は、手遅れになる前に出来るだけ早く癌を発見し対処する必要があります。いわゆる癌の早期発見の必要性です。

 なお、癌の早期発見とそのための検診法の詳細については、「癌の早期発見とその最新治療」項目中の「癌の早期発見と各種検診法」の箇所で詳しく紹介・解説してあります。


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詳細解説! 『癌を防ぐための12ヵ条』

 癌の原因はまだ完全に解明されていませんが、日常生活の中で日頃接する食物その他の物質が発癌性物質と密接に関わっていることが分かれば、それらを除去し、癌になりにくい、または癌を予防するための生活方法を見出し、実行してゆくことが可能です。
 本項では、『癌の予防のための12か条』(国立癌センター)について以下に詳しく紹介・解説しました。
『癌を防ぐための12ヵ条』とは? 

 現在生きている私たちが全く癌に罹らないようにすることは無理としても、ある程度はこれを防ぐことが可能です。そこで、日常の生活の中で“出来るだけ癌の原因を追放してゆこう”という趣旨から生まれたのが、国立癌センター制定の『癌を防ぐための12ヵ条』です。こ

 何れにせよ、この12ヵ条を積極的に実行すれば癌の約60%(※禁煙で30%、食生活の工夫などでさらに30%)が防げるだろうと考えられています。一見するとどの項目もみな平凡に思えるかも分かりませんが、これらは国際的な癌予防の指針にも繋がるものとして、統計や実験データを下にしっかりとした科学的根拠に基づいて作られているものです。
癌を予防しよう
早速今日から生活改善を!
 この12ヵ条は取り立てて特別なことではありません。日常生活の中で少しだけ気をつければ誰にでも出来る簡単なことです。今まで無頓着だった日頃の生活態度をこれを機会に総点検してみましょう。少しでも癌の原因になるようなことを遠ざけて、明るい健康な生活を送りたいものですね。

詳細解説!癌を防ぐための12ヵ条

 これを見ると、食生活の改善、特に植物性食品を主体とする食事が癌予防に如何に有効であることかが強調されていることが分かります。何事も生活改善が癌を含む生活習慣病の予防の要です。
 1)バランスの取れた栄養を摂る

 食物は生命の根源です。私たちの健康を守る第一の鍵が毎日の食事であることは言うまでもありません。栄養のバランスが崩れると様々な形で身体に支障が現われ、さらにはそれが病気の原因にもなります。今や日本人の死亡原因の第1位となった病気である癌もその例外ではありません。

 バランスの取れた栄養とは、タンパク質や脂肪、炭水化物、乳製品などの基本食品を毎日適量ずつ摂ることです。ある一定の食品だけを大量に食べると、その食品の持つ副作用で却って病気になってしまうこともあります。また、ビタミンのどれが欠けても病気になってしまいます。だから、偏食しないで万遍なく適量を食べることが肝要です。そうすることで、発癌性のある物質を集中的に摂ることを回避することが出来ますし、発癌抑制効果のある物質を万遍なく摂ることが出来ます。


偏食を慎みましょう
 最近、食物の偏りと発癌の関係が疫学調査や動物実験によって明らかになって来ました。分かってきたのは、私たちが日々食べている食品群の中に癌を引き起こす物質と癌を抑える物質が共に存在しているということです。たとえば乳癌や大腸癌、子宮内膜癌などは、脂肪の摂りすぎと重大な関係があると言われています。その他、余り多量に食べると発癌の心配が生じる食品も見出されつつあります。反対に発癌を抑える栄養素として、ビタミンAやビタミンC、Eなどがクローズアップされ、食物繊維にも発癌抑制の効果が知られています。ですから、食事の際は出来るだけ多くの種類の食品を摂り、食物中の発癌物質の作用を相殺してゆくことが大切です。

癌の予防はまず食事から
 最近では調理済み食品の利用が高まり、材料の種類も限られるせいか、栄養の面でかなりのアンバランスを来していることが国民栄養調査の結果に出ています。たとえば脂肪の摂取は昭和30年当時の約3倍に増える一方、食べる野菜の量は少なくなって来ています。そこで毎日の食卓には、ほうれん草のおひたしやキンピラゴボウ、カボチャの煮物などの野菜料理をどんどん加えるように下さい。何れにせよ、偏食せずに色々なものをバランスよく食べることは、栄養の面ばかりではなく発癌の危険を低下させるという点からも大切なことです。

 2)毎日変化のある食生活を

 多くの人は特定の食物に対して嗜好があるので、どうしても好きなものを繰り返し食べがちです。問題は度が過ぎることです。いくら好物だからといって、毎日同じものばかり食べていると発癌の原因になってしまいます。

 もっとも食物中の発癌性物質の濃度は大抵はそれほど高くないのですが、余り同じ食品ばかり食べ続けることは身体を常に発癌の危険に晒すことになってしまいます。たとえば牧場で大量に蕨を食べた牛に血尿が出たり膀胱癌が発生して一時問題になったことがあります。たまに少し蕨を食べるくらいなら心配はありませんが、余りにもたくさんの量の蕨を毎日食べるのは避けた方がよいでしょう。また、ハムやソーセージ、ベーコン、タラコなどは強力な発癌性物質であるニトロソアミンの増加を促す効果があるので、余り毎日は食べない方がよいと言われています。そこでこれらの食品を食べる時は、ニンジンやトマト、ほうれん草などの有色野菜に含まれるビタミンCがニトロソアミンを抑制する効果があるので、それらと一緒に食べるようにしましょう。
 何れにせよ毎日変化のある食事を摂ることは、“癌になる危険を分散する”という意味でも大切なことです。


バランスのよい栄養を摂ることを心懸けよう
 たとえばニンジンにビタミンCやカロテンがあってよいからと云って、そればかり食べるのではなく、出来るだけ多くの緑黄色野菜からカロテンを摂ることが望ましいので、何れにせよバランスよく、そしてバラエティーのある食生活を心懸けてるようにして下さい。
 なお、“同じものを繰り返し摂取しない”という注意は、当然ながらサプリメントや薬にも言えることで、医師の指示で必要とされる場合以外は余り同一の薬やサプリメントを摂り続けることは極力避けたほうが懸命でしょう。

 3)食べ過ぎを避け、脂肪は控えめに

 食事のバランスと共に大切なことは食べる量です。食べ過ぎは癌ばかりでなく、あらゆる成人病の原因にもなりますので、日頃から「腹八分目」を心懸けるようにしましょう。

 なお、食べ過ぎの中でも特に問題とされるのが脂肪の量で、脂肪の摂り過ぎは、大腸癌や乳癌、肺癌などの原因になると云われています。たとえば日本人女性の乳癌は従来、閉経前6に対して閉経後4の割合でしたが、それが近頃は5対5となり、アメリカ人女性の4対6に段々近づきつつありますが、それは、閉経期が遅くなったこともありますが、動物性脂肪の摂り過ぎが原因として考えられます。また、脂肪の摂取量は乳癌だけでなく大腸癌や前立腺癌などの発生とも関連のあることが指摘されています。ですから、食べ過ぎと脂肪の摂り過ぎにはくれぐれも充分注意するようにしましょう。
 何れにせよ、「長生きの秘訣は腹八分目にあり」とよく云われるように、日々「腹八分目」を実行するように心懸けましょう。
 4)お酒はほどほどに

 お酒が健康を害すると言えば一般に肝臓を考えますが、しかし、お酒の飲み過ぎが及ぼす悪影響は肝臓だけにはとどまりません。

 もっともアルコールはタバコに比べると癌にはなりにくいのですが、濃いアルコールをストレートで飲むと食道癌になるとも云われています。その証拠にWHO(世界保健機関)の調査では、過度の飲酒と口腔癌、喉頭癌、食道癌は関係があるという報告がなされています。たとえばフランスのノルマンディー地方の住民はアルコール濃度の高いブランディーを飲む習慣があり、昔から食道癌が多いと云われていますが、それは、強い酒で口腔や咽頭、食道などの粘膜の細胞を傷つけるのが原因だろうと考えられます。
 また、アルコールの多量摂取と肝臓癌の発生にも関係が認められています。特にタンパク質などの副食を摂らなかったりタバコを吸いながらの飲酒は大腸癌になりやすいので注意が必要です。酒好きの人はおつまみを食べずにお酒だけを飲むことが多いので、栄養のバランスが崩れて癌になりやすい身体の条件をつくる可能性も高いのです。特に飲みすぎの上に喫煙が重なると、悪い因子が相乗的に働いて癌の危険も増してしまいます。従って飲酒中のタバコは極力控えるようにして、強いお酒は薄めて飲むか水といっしょに飲むようにしましょう。

 なお、アルコールの1日の適量は、日本酒なら1日1合、ビールは1本、ウィスキーはダブルで1杯とされていますが、健康のためにも週に2日はアルコールを休む休肝日を設けた方がよいでしょう。何れにせよ、お酒はほどほどに嗜むようにしましょう。
 5)タバコは吸わないように

 タバコ特に紙巻タバコと癌(肺癌)の間には深い関係があることは皆さんもよくご存知の通りです。日本でも諸外国と同様に肺癌が年々増え、98年には胃癌を抜いて肺癌が癌死亡のトップになりました。ちなみに40歳以上の日本人男性12万人以上を長期間にわたって調査した結果、1日25本以上タバコを吸う人は、タバコを全く吸わない人に比べて、喉頭癌が90倍以上、肺癌が7倍の死亡比になることが分かっています。しかし、禁煙すれば癌になる危険はそれ以上は増えず、禁煙後5年くらいたつと殆ど吸わない人と同じくらいの状態に近づきます。

 ですから、肺癌の予防のために禁煙を心がけましょう。どうしてもというなら、出来るだけタバコの本数を減らすようにしましょう。また、タバコを吸い始める年齢が低いほど肺癌に罹りやすいということも分かっています。未成年の喫煙には周囲も気を配って絶対に止めるようにしてゆきましょう。


喫煙は周囲の人も迷惑します
 最近は、タバコを吸っている本人だけでなく、周囲の人に与えるタバコの害も問題になっています。たとえば紙巻タバコの火のついている方から出る紫色の煙は、吸い口の方から出る煙よりもある種の発癌性物質について含有量が高いことが知られています。妻が吸わなくても夫が1日20本以上タバコを吸うヘビースモーカーの場合、喫煙しない夫を持つ妻と比べて肺癌の死亡率が2倍も高いという報告もあります。くれぐれも喫煙はやめるか、控えるようにしましょう。

 6)食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多く摂る

 ビタミン類は人間の身体にとって潤滑油のようなものです。中でもビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには発癌を防ぐ働きもあることが知られています。また、野菜などに含まれる繊維質にも同じような効果があることは先に第1ヵ条でも解説した通りです。

 気管や気管支に癌が出来るという時は正常な円柱繊毛上皮が雇平上皮に変わるのですが、ビタミンAにはこの雇平上皮化を防ぐ働きがあります。ビタミンCには、体内で亜硝酸ナトリウム(防腐剤などに使われている)とアミン類(アンモニアの水素原子のひとつもしくはそれ以上が炭化水素で置換された化合物)が反応して出来るニトロソアミンの生成を抑える働きがあります。また、癌は一種の酸化現象ですが、ビタミンEには逆の還元作用があります。
 次に、繊維質を摂るとお通じがよくなることが知られていますが、繊維質をたくさん摂ることで便の腸内停留時間を短くすればするほど大腸癌の危険性は減ってゆきます。

 何れにせよ、ビタミン類と食物繊維にはこのように勝れた発癌抑制効果があるのですから、日頃の食事で適量のビタミン類と食物繊維を摂るように心懸けましょう。


 なお、ビタミンと食物繊維については、「食事で癌を予防しよう!」項目中の「癌予防のオススメ健康食材」の部分で詳しく解説してあります。

 7)塩辛いものは少なめに、余り熱いものは冷ましてから

 日本人の代表的な癌と言えば胃癌が挙げられます。その割合は少しずつ減って来ているとは言え、肺癌を僅かに下回わる状況で、大腸癌や肝臓癌、乳癌など他の癌に比べるとまだ圧倒的に胃癌が多いのが実情です。そして、この胃癌の発生に密接な関係があると指摘されているのが塩分の摂取量です。ちなみに、アメリカでも40年程前は胃癌発生率が今の倍あったそうですが、それが現在のように減って来たのは、塩蔵食品摂取の減少など食生活の改善が大きいと言われています。

 1日に摂る食塩の望ましい量は10グラム以下とされています。食塩の摂り過ぎは脳卒中や心臓病などの循環器疾患を起こしやすく、日本人も最近では一般に塩分を控える傾向にあり、胃癌の死亡率も確実に下がって来ていますが、全国平均1人1日当たりの食塩摂取量はまだ10グラム以下にはなっていません。何れの年代においても目標摂取量を超えており、男女とも50歳代が最も高くなっています。特に最近では摂取量の下がり方が鈍って来ています。また、胃がん死亡率には地域差があることが知られていますが、この差も塩分の摂取との間に密接な関係があります。塩辛など塩分の多い食品を大量に食べないことと、出来るだけ塩味を抑えた調理を心懸けましょう。
 また、熱い茶粥をよく食べる地方に食道癌が多いという報告もあり、食塩の場合と同じように熱いものは癌が発生しやすい状況をつくります。余り熱いものはなるべく冷ましてから食べることをオススメします。
 8)焦げた部分は避ける〜焦げた部分は細胞の突然変異を引き起こすので注意しましょう

 魚や肉を焼いて焦がすと、細菌などに突然変異を引き起こす発癌性物質が生じることが最近明らかになって来ました。この発癌性物質は、調理温度が高く、また調理時間が長ければ長いほど多く量が増え、特に肉や魚、野菜などを直火で焼いたりフライパンの上で熱を加えて焦がした場合に多く発生します。従って焦げ過ぎにはなるべく注意するようにしましょう。

 もっとも焦げた魚や肉の1食分で口に入る発癌性物質の量はごく僅かなのですが、焼け焦げの中に含まれる発癌性物質は数種類が確認されていますし、また、デンプンや糖などの炭水化物のお焦げにも細菌の変異を引き起こすもとになる物質が含まれています。もちろん余り神経質になりすぎる必要はありませんが、焦げた部分を余り大量に食べることは避けた方がよいでしょう。適度に焦げ目があった方が美味しいものは野菜と一緒に食べるとよいでしょう。
 9)カビの生えたものに注意

 ひと口にカビと言っても色々な種類があります。有害なのはピーナッツなどのナッツ類やトウモロコシに付くカビで、これらのカビが産生する毒素には強い発癌性が認められています。また、漬け物や醤油、米、味噌、餅などのカビにも発癌性物質を産生するものがあります。東洋人に肝臓癌が多い理由として、B型肝炎ウィルスなどの他にこのカビもが関わっているのではないかと疑う学者もいるほどです。なるべくカビの生えたものは食べないようにしましょう。

 ちなみに、外国のある地域で売られているピーナッツのほぼ50%に微量ながら発癌性のあるカビが認められたという報告もあります。日本では輸入の際に厳重にチェックされているので危険はありませんが、一応食べる前によく確かめるようにしましょう。なお、日本産のピーナッツは安全です。また、ある種のチーズのように意図的にカビを用いた食品については発癌の心配はありません。
10)日光に当たり過ぎない

 日光に当たり過ぎると皮膚癌になると言われています。それは、紫外線で焼けた肌は一種の火傷の状態にあるわけですが、炎症が続くと細胞の遺伝子が傷つけられて、そのため癌を誘発する可能性も高くなるのです。かつて海や山で太陽の陽射しを浴びて肌を褐色に焼くことが健康のシンボルであるかのように云われた時期がありましたが、最近では紫外線が皮膚に有害であることが分かって来ましたので、肌の焼き過ぎはなるべく避けた方がよいと言われるようになりました。

 ちなみに人種的にみると、紫外線に過敏に反応するのはメラニン色素の少ない白人種で、熱帯地方に住む白人には皮膚癌や悪性黒色腫が多いと言われます。それに比べると黒人はずっと紫外線に強く、日本人も黒人並みに耐性があります。そのため我が国では比較的皮膚癌や悪性黒色腫が少ないのですが、やはり真っ黒に日焼けするほど肌を焼くことはなるべくなら避け方がよいでしょう。
11)適度にスポーツをする

 ストレスと過労が発癌を促進することはよく知られています。疲労が溜まれば気分も当然憂鬱になりがちですが、さらに疲労が慢性化してストレスが続くと、身体の色々な生理機能が低下して病気に罹りやすくなります。癌になる危険も当然高くなるわけです。
 ちなみに、発癌性物質を与えた動物にフラッシュをたいたり高温にしたりしてストレスを加えると、発癌性物質だけを与えた場合よりも癌の発生率が高くなったという実験結果が出ています。また、疲労によって生じたある化学物質がネズミの腫瘍の発育を促進したという報告もあり、このことからも疲労とストレスは大敵であることが分かります。

 何れにせよ、栄養・運動・休養は健康な生活を送るための大事な条件だと言われています。ストレスや過労を解消するためには充分な睡眠と適度なスポーツが効果的です。
 また、1日中イスに座って仕事をしている人々の間に大腸癌が多いという研究結果もあります。何れにせよ、気分転換のためにも、そして健康づくりのためにも、積極的に機会をつくって適度なスポーツを楽しみたいものですね。年齢や体力に応じて1日1回よい汗を流しましょう。
12)体を清潔に

 毎日シャワーを浴びたり入浴したりして体を清潔に保つことで、皮膚癌や陰茎癌、子宮頸癌などがある程度予防することが出来ます。
 ちなみに、衛生環境の悪い国や地方では皮膚癌や性器癌が多く発生すると言われています。たとえば割礼の風習のあるユダヤ人や回教徒には陰茎癌が少なく、身体を洗う設備の不充分な地域に子宮頸癌が多いことが知られています。

 そのため、皮膚の汚れの溜まりやすい部分をいつも清潔に保つよう、日頃から手洗いやうがい、シャワーや入浴をこまめに実行するように心懸けましょう。
参考:米国の『癌の予防15か条』

 本節では、上で詳しく紹介した『癌の予防のための12か条』(国立癌センター制定)の他に、参考までに世界がん研究基金・米国癌研究協会)が97年に発表した『癌の予防15か条』を紹介します。


■参考:癌予防の15カ条
 1)食品と食事:
 野菜や果物、豆類、精製度の低いデンプン質などの主食食品が豊富な植物性食品を中心にした食事をする。
 2)体重の維持:
 BMI(体重s÷身長m×身長m)を21〜23に維持し、成人期の体重増加は5s未満になるようにする。
 ※BMI=体重s÷(身長m×身長m)で算出。BMI=22が一般的に理想的な標準体重とされる。
 3)運動の維持:
 仕事で余り体を動かさない場合は1日1時間程度の速歩を行ない、1週間に合計1時間は強度の強い運動を行なう。
 4)野菜と果物:
 1日400〜800g又は5皿以上(1皿は80g相当)の野菜類や果物類を食べる。
 5)その他の植物性食品:
 1日に600〜800g又は7皿以上の穀類、豆類、芋類、バナナなどを食べる。なるべく精製していないものがよい。
 6)アルコール飲料:
 積極的には飲酒はススメられない。飲むなら男性は1日2杯(=日本酒1合)、女性1杯(=日本酒5勺)まで。
 7)肉類:
 赤身の肉を1日80g以下に抑える(※赤身の肉とは牛肉羊肉、豚肉)。
 8)総脂肪、油脂:
 動物性脂肪を控え、植物油を使用して、総エネルギーの15〜30%の範囲に抑える。
 9)塩分:
 塩分は1日6g以下。調味に香辛料やハーブを使用し、減塩の工夫をする。(※酢の使用もよい) 
10)食品の貯蔵:
 常温で長時間放置したりカビが生えた食物は食べないようにする。
11)冷蔵庫での保存:
 腐敗しやすい食物の保存は冷蔵庫で冷凍か冷却する。
12)食品添加物と残留物:
 添加物や汚染物質その他の残留物は、適切な規制下では特に心配はいらない。
13)調理法:
 黒焦げの食物を避け、直火焼きの肉や魚、塩干薫製食品は控える。
14)栄養補助食品:
 この勧告を守れば敢えて摂る必要は無く、摂ったからと言って癌予防にも役立たない。
15)タバコ:
 タバコは吸わない。


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食事で癌を予防しよう! 

 癌の1次予防としては、上で紹介・解説した『癌を防ぐための12ヵ条』を実践することに尽きるのですが、これを見れば癌予防に対する食生活の大事さがよく了解出来ることでしょう。
 そこで本項では、健康的な食生活を送るための参考になるよう、以下で癌予防に役立つ食材などについてなるべく詳しく紹介・解説しました。
癌は食生活の改善で充分に予防出来る!

 上でも詳しく見たように、私たちの周囲には発癌性物質がたくさん溢れていることが分かりますが、しかし、食べ物によって発癌性物質の働きを抑えることが出来ることが長年の研究によって分かってきました。そのメカニズムの詳細につていてはここでは割愛しますが、何れにせよ食生活を改善することでかなりな程度で癌を予防することが出来るのです。
 たとえば口腔咽頭癌は禁酒と野菜、果物の大量摂取で33〜50%が予防出来ることが分かっています。また、食道癌も同じ予防法で50〜75%は予防可能であるとされます。さらに肺癌は禁煙と野菜摂取で予防可能ですし、胃癌は食塩を控え、野菜や果物を充分に摂り、食物をきちんと冷蔵することで66〜75%が予防出来ます。そして、結腸&直腸癌は、野菜摂取を多くし、適度の運動と禁酒、肉類の摂取を控えると66〜75%が予防出来ると言われています。
癌の予防と食品
癌予防のオススメ健康食材

 正常細胞が癌細胞に変わり、癌として発見されるまでには長い年月がかかりますが、その間、体内の免疫力が高い状態で維持されていれば発癌化を防ぐことが出来ます。つまり、発癌化を防ぐために、“癌の原因となる発癌性物質を体内に入れない、入れてもそのつど毒消しをする”という努力が必要なわけです。食べ物で癌の35%は防げると言われていますが、癌の予防・抑制のためにも日々の食事は非常に重要な役割を果たしています。
 本節では、以下で癌を予防するオススメの健康食材を紹介します。
緑黄色野菜類

緑黄色野菜 ニンジンやほうれんそう、春菊、ブロッコリー、カボチャなどの緑黄色野菜はカロテンやビタミンA・C・E類、食物繊維、ミネラル類などを多く含んでいます。これらの栄養素は発癌性物質である活性酸素を除去し、発癌化しかかった細胞を正常細胞に戻したり身体の免疫力を高めてくれる働きがあります。
 ちなみにカロチンはβ-カロテンが有名ですが、それ意外にもγ(ガンマ)α(アルファ)などの種類のカロテンがあります。その中で緑黄色野菜に含まれるカロテンは約60種類もあり、たとえばトマトに含まれるリコピンというカロテンにも癌予防効果があることが分かっています。

 緑黄色野菜は 1日100gは摂ることが望ましいと言われています。ほうれん草や小松菜などの葉野菜、ニンジンやピーマン、カボチャなど色々な種類のものを組み合わせて摂るようにしたいものです。
食物繊維

食物繊維の摂取と快食快便 食物の繊維質は大腸の働きを活発にして便通をよくします。そのため、便が腸の中にある時間が短くなり、さらに繊維成分が腸内にある発癌性物質の濃度を薄めるので大腸癌に罹りにくくなると言われています。

 もう少しこれを詳しく説明すると、食物繊維は体内で消化されずに便の材料となって排泄されますが、その時に発癌性物質や悪いコレステロールを吸着して体外に出してくれたり、便秘を予防したりします。食物繊維の働きは、腸内にビフィズス菌などの良い菌を増やして大腸菌などの悪い菌を減らすことや、脂肪の摂り過ぎなどによって増えた胆汁酸の増加によって大腸内で変化した癌のプロモーターとなる二次胆汁酸を吸着して排泄し、腸内の環境をよくすることなどによって、特に大腸癌予防に役立っています。
 特に食物繊維の中でも、果物に多く含まれるペクチンや海藻のヌルヌルに含まれるアルギン酸、コンニャクに含まれるマンナンなどは、水に溶ける水溶性食物繊維で保水性に富み、大腸の粘膜を保護してくれる働きをします。また、穀物や野菜に多く含まれるセルロースやヘミセルロース、リグニンなどは、水に溶けない不溶性食物繊維と呼ばれ、腸内で水分を吸着しながらゆっくりと移動し、便の堅さを適度に保ちながら腸内に良い菌を増やすなどの腸内環境改善の働きをします。

 なお、食物繊維は、1日に繊維量で20g〜30g摂ることが望ましく、食物繊維の含まれる野菜や果物、芋類、豆類、海草類、キノコ類、穀類を適度に食卓に乗せてほしいものです。


食物繊維を多く含む食品
 干し柿、ヒジキ、ライ麦パン、甘栗、ファイバーパン、いんげん豆(乾)、そら豆(乾)、ポップコーン、糸引納豆、オカラ

ビタミンA、β-カロテン

 ビタミン類はどれも癌を防ぐ働きを持っていますが、その中でもA・E・Cは「癌予防のエース(AEC)」と呼ばれる優れものです。その中でもビタミンAとβ-カロチンは、健康な細胞を保ち、発癌性物質のプロモーターを寄せ付けないようにして細胞膜を守ります。
 緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテン(体内でビタミンAに変わる)やレバーなどに含まれるビタミンA、緑茶や緑黄色野菜に含まれる植物成分のポリフェノールなどは、発癌促進物質の効力を低め、癌の発生を防ぐ作用のあることが動物実験などから明らかになっています。また、カロテンやビタミンAを含む食品をたくさん食べることで、肺癌や食道癌、大腸癌、膀胱癌、喉頭癌、乳癌、子宮癌、胃癌などを予防する働きがあると言われています。ちなみに、癌患者は血液中のβ−カロテンの量が健康人に比べて少ないと言われ、また、β−カロテンが血中に少ない人は癌(特に肺ガン)になりやすいと言われます。

 ビタミンAと言うと、一般的にウナギやレバー、バター、チーズなどの動物性食品に含まれるレチノールを指しますが、これが不足すると細胞膜が弱くなり、細胞に癌を起こさせやすくします。また 細菌に対する抵抗力が弱まります。
 一方で動物性食品にしか含まれないレチノールに対して、植物性食品にはビタミンAの先駆体であるプロビタミンAのカロテノイドという色素が含まれますが、カロテンはその中の一種類です。そのカロテンの中でも最も多いのがβ−カロテンで、ニンジンやほうれん草などの野菜やスモモや柿、ビワ、杏などの果物に多く含まれます。食べ物から摂ったβ-カロテンは体内で約1/3がビタミンAに変わります。
 動物性食品から摂ったレチノールは、摂り過ぎると脂肪に溶けて体内で肝臓などに溜まり、過剰症を起こす心配がありますが、植物性食品から摂るカロテンは、摂り過ぎても、身体がビタミンAを必要としていない時はビタミンAへの変換を止め、β-カロテンのまま貯蔵されるか、体外へ排出されるので、過剰による心配がありません。また、体内でビタミンAに変換されなかった残りの2/3のβ-カロテンは独自で癌予防をすると言われています。

 何れにせよ、緑黄色野菜を始めとするビタミンAやβ-カロテンの含まれる食品を心掛けて摂るようにして癌を予防しましょう。


ビタミンA、カロテンを多く含む食品
 ニンジン、ほうれん草、小松菜、春菊、ニラ、レバー、ウナギ、バター、チーズ

ビタミンC

 ビタミンCと言うと普通はレモンを思い浮かべますが、それ以外にも、赤ピーマンやトマト、キャベツなどの生の野菜や、苺やキィウイフルーツなどの果物や芋類、緑茶などにビタミンCが多く含まれています。

 ビタミンCが不足すると、細胞と細胞を繋ぐコラーゲンという物質の生成が不完全となって細胞同士が離れやすくなり、血管や骨に異常を来すと言われます。しかもコラーゲンは癌の予防にも関係しており、体内に腫瘍が出来ると、腫瘍の周りに壁をつくってガン細胞の分裂を防ぎ、癌を隔離しようとします。また、ビタミンCは発癌性物質であるニトロソアミンの形成を防止して発癌性を弱める働きもしています。なお、タバコを多く吸う人はビタミンCの吸収率が低下し、体内での代謝が速まるので注意が必要です。(※ニトロソアミンは、魚や肉などの蛋白質を食べた時に出るアミンという物質と、ハムやソーセージなどの中の添加物である亜硝酸ナトリウム中の亜硝酸が胃の中で結合して出来る物質です。) 

 なお、ビタミンCの1日に必要な量は50gくらいです。ちなみに、ビタミンCは水溶性で、たくさん摂り過ぎても過剰の心配はありません。


ビタミンCを多く含む食品
 パセリ、ブロッコリー、ピーマン、たか菜、ほうれん草、苺、キウイフルーツ、柿、レモン

ビタミンE

 落花生や胚芽米などに含まれるビタミンEは、癌予防だけでなく、血管をしなやかに保つ働きがあるので、動脈硬化や高血圧の予防にも効果を示し、「老化予防のビタミン」と呼ばれています。

 体内で栄養素を燃やしてエネルギーにする時に働く酸素は大変必要なものですが、酸素の活性が異常に高くなり、酸素の最終産物の活性酸素が増えると、遺伝子や酵素を傷つける過酸化脂質がつくられます。過酸化脂質は細胞の膜の構成物質のひとつの不飽和脂肪酸と酸素が結合してできるサビのようなもので、この毒性の高い過酸化脂質を放っておくと、細胞膜を壊して癌遺伝子を目覚めさせてしまいます。
 それに対して、食品に含まれる物質同士が体内で反応し合って発癌性物質がつくられる場合があるのですが、ビタミンCとEにはこの反応を抑える働きがあります。ビタミンCとEは共に不飽和脂肪酸と酸素の結合を妨げて過酸化脂質が出来ないようにし、活性酸素を無毒化する働きをするのです。このように、ビタミンCとEは癌予防では同じような働きをしているのですが、ビタミンEは水溶性ビタミンで、ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、働く場所が異なるのではないかとも考えられています。また、ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ると効果が高まることが分かっています。そのため、体内にビタミンCとEが充分にあると、発癌性物質は遺伝子に働きかけることが出来ません。また、ビタミンCとEには上でも説明した強力な発癌性物質であるニトロソアミンの生成を抑える働きもあります。

 また、ビタミンE(トコフェロール)にはα-トコフェロールやγ-トコフェロールなどの8種類があり、それぞれ働きも異なっています。日常食品から摂取出来るのはα-トコフェロールとγ-トコフェロールです。α-トコフェロールは植物性油の中でも米糠やサフラワー油、ひまわり油に多く含まれ、γ-トコフェロールは胡麻油や大豆油、菜種油に多く含まれています。従って、植物油を摂る時はその時その時々で使い方を変えたりなどしてその両方から摂るのが望ましい摂り方です。


ビタミンEを多く含む食品
 落花生、胚芽米、大豆、ゴマ油、えんどう、鰯、ウナギ、卵

減塩

 食塩の摂り過ぎは胃癌などの原因となります。

 胃は大変強い消化液を分泌していますが、胃の壁は粘膜で保護されているので胃液によって溶かされることはありません。しかし、濃度の濃い塩分が入ると胃の粘膜は簡単に溶けてしまいます。そのため、漬け物や塩蔵物などの辛いものを余り長い期間にわたって食べ続けると、慢性胃炎を起こして潰瘍が出来、そこに発癌性物質がつけ込んで来ることになります。また、熱過ぎたり冷た過ぎたりする食べ物も胃を始めとする様々な癌の原因となりますので、くれぐれも注意しましょう。
低脂肪

 最近は欧米型の食生活への変化や外食やファーストフード産業の普及に伴って脂肪の多い食事が増えて来ています。これに伴って、大腸癌や乳癌など脂肪の摂り過ぎが原因と思われる癌の発生が増えています。

 脂肪と大腸癌との関係では、脂肪の多い食事を摂ると、脂肪を溶かすために胆嚢から胆汁酸という物質がたくさん分泌されます。そして、胆汁酸に溶かされた脂肪は小腸で吸収されやすくなりますが、分泌された胆汁酸の量が多いと、これが大腸にまで達し、腸内細菌によって二次胆汁酸という発癌性物質に変化してしまいます。これが大腸の細胞を傷つけ、癌をつくるのです。また、乳癌の発生とも脂肪は関係が深く、脂肪には乳癌を促進する女性ホルモンの活性型を増やす働きがあると考えられています。さらに脂肪の摂り過ぎは子宮体癌や卵巣癌、膵臓癌とも関わりがあると言われます。

 ただし、癌を怖がって脂肪を全く食品から摂らないのはよくありません。脂肪の摂取によってビタミンAやD・Eの蓄えがよくなり、栄養素の吸収を助けるなどのよい働きも見逃せません。従って、脂肪を適度に摂るようにし、摂り過ぎに気をつけることが望ましいでしょう。
牛乳・乳製品

 牛乳の蛋白質は胃の粘膜を保護してくれるので胃癌予防に役立ちます。また、大腸癌や食道癌などの消化器系の癌の予防にもよいということも言われています。
 従って、1日にコップ1杯〜2杯くらいは飲むことが望ましいと言えるでしょう。
DHA(ドコサヘキソエン酸)

 DHA(ドコサヘキソエン酸)は魚介類だけに含まれる脂肪酸で、マグロやブリ、鯖、秋刀魚、鰯、アジ、ウナギなどに多く含まれています。

 動脈硬化を予防するとしてよく知られているDHAですが、大腸癌の予防にも効果があることが明らかにされています。また、女性ホルモンとの関係でDHAは乳癌や子宮頸癌を予防するとも言われています。
 ただし、DHAのような不飽和脂肪酸は酸化を受けやすいので、ビタミンEと一緒に摂るのがよいでしょう。なお、DHAの多い青魚にはビタミンEも多いので、青魚を食卓に極力並べるようにすると理想的です。
その他の癌予防効果のあると言われる食品


キノコ類
 マイタケや霊芝、シイタケ、サルノコシカケ、アガリクスなどのキノコ類に含まれるβ-グルカンと呼ばれる多糖類には、ウィルスや癌細胞のように生体にとって異物となるものから身体を防御する免疫力を高める効果があると言われています。

大豆
 大豆に含まれるサポニンやビタミンEには、毒性が強く、体内で正常遺伝子を傷つけ、発癌化を促進する過酸化脂質の生成を抑えたり分解する作用があります。

 鯖にはDHAやEPA、タウリン、ビタミンB2・Dが多く含まれていますが、上でも見たように、このうちDHAやEPAが癌細胞の発生を抑えるだけでなく、癌細胞の増殖を遅らせたり転移を抑制する働きがあることが明らかになって来ています。

玉葱、ニンニク
 玉葱やニンニクに含まれる硫黄化合物が皮膚癌や大腸癌、肝臓癌、肺癌などの予防に役立つと言われています。

生姜
 生姜は健胃や解熱作用で知られますが、最近は癌の予防にも効果があることが分かって来ました。

ターメリック
 カレー粉の材料として使われます。黄色のクルクミンが皮膚癌や胃癌、大腸癌を予防すると言われています。

シソ科のスパイス
 ローズマリーやセージ、バジルなどに含まれるテルペンは、皮膚癌や肺癌、大腸癌の予防に効果があると言われています。

緑茶・抹茶
 緑茶に含まれる渋味成分のカテキン(タンニン)の主成分であるEG-CGには活性酸素自体を除去する抗酸化作用があり、細胞の発癌化を抑えてくれます。胃や十二指腸・食道癌の予防効果が期待出来ると言われています。

参考:アルコールとタバコ

 「酒は百薬の長」とも言われるように、適度のアルコールはストレスを無くし、癌予防にも役立ちますが、アルコールの飲み過ぎは胃の粘膜を荒らすなど癌を促進させる要因ともなります。
 また、発癌性物質を持つタバコと一緒にアルコールを摂取すると、タバコの発癌性物質をアルコールが吸収しやすくしてしまいます。タバコを吸いながらアルコールを摂取することはくれぐれも避けるようにしましょう。
参考1:発癌要因&癌抑制物質と癌の種類との関係


■発癌要因と癌の予防要因
発癌促進要因 癌の種類 癌の抑制・予防要因
飲み過ぎ
火傷するほど熱い食べ物や飲み物
低栄養
食道癌 野菜(緑黄色野菜)・果物
高栄養
牛乳・乳製品
喫煙
大気汚染
粉塵
肺癌 高栄養
緑茶
緑黄色野菜
ビタミンA・カロチン
大量の穀物
塩分の多い物
火傷するほど熱い食べ物や飲み物
不規則な食事
早食い
胃癌 新鮮な野菜(緑黄色野菜)
果物
牛乳・乳製品
高脂肪食
アルコール
食物繊維の不足
大腸癌 食物繊維
野菜
豆類
牛乳・乳製品
魚類
カビ
アルコール
肝臓癌 高栄養
高脂肪
高カロリー
乳癌 穀物
ビタミンA

参考2:癌&動脈硬化予防のアイディア料理


◆鯖とキノコのゴマ味噌煮の作り方とその効用
◆材料
鯖:1尾
シメジ:50g
エノキ茸:50g
椎茸(大):3枚
ダシ汁:1カップ半
酒:大さじ2杯
味噌:大さじ2杯
練りゴマ:大さじ2杯
三つ葉:5本
◆作り方
  1. 鯖は3枚に下ろして1口大に切る。シメジとエノキ茸は石づきを取って半分に切る。椎茸は軸を取って薄切りにする。三つ葉は3cmの長さに切る。
  2. 鍋にダシ汁を入れて熱くし、酒と鯖、キノコを入れて、煮立ったら味噌と練りゴマを入れて、落し蓋をして中火で煮る。
  3. 器(皿)に上で仕上げた食材を盛り、三つ葉を散らす。
◆効用
 大衆魚の中ではDHAとEPAの含有量が最も多いといわれる鯖ですが、特に秋鯖はDHA・EPA共 に含有量がダントツです。従って、鯖は癌の予防にはもって来いの食材だと言ってよいでしょう。一方、キノコ類に含まれる多糖類(β-グルカン)は、上でも説明したように免疫力を高め、発癌を抑える作用があると言われており、一緒に食べれば効果倍増は間違いなしです。また、キノコ類に豊富な食物繊維は大腸ガンの予防にも役立ちますし、ゴマには抗酸化作用のあるビタミンEやセサミンが含まれていますので、発癌を抑えることが期待出来ます。

何事もバランスが大事。サプリメントに頼らず、毎日の食事から栄養素を摂りましょう! 

 癌を予防するには、β-カロチンやビタミンA・C・E、タンニン、食物繊維といった栄養素をバランスよく摂ることが肝要です。さらにタバコや塩辛いもの、ひどく焦げたもの、カビの生えたものを避けて、普段から疲れを溜め過ぎないように注意して、日頃から健康的な生活を送るように心懸けてゆきましょう。

 なお、以上の各項で癌予防のための食生活について詳しく解説してきましたが、何事もバランスが大事です。上で紹介したビタミンや繊維成分などを自然の食品の中からしっかり摂るようにしましょう。特にビタミン剤などのサプリメント類に頼らずに、色々な野菜をたくさん食べるようにしましょう。

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癌の早期発見とその最新治療

 日頃いくら健康的な生活を送っていたとしても、人間は癌を含む病気に罹らないですますことは出来ません。不幸にも癌になってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか? 
 本項では、癌の2次予防としての癌の早期発見について解説し、その上で癌の最新治療等について紹介・解説しました。
癌の早期発見と各種検診法

 食生活その他でも癌が予防出来なかった場合のために、昨今癌の2次的な予防として癌の早期発見がの重要性が強調されています。
 本節では、癌の早期発見のための代表的な検診法について以下に紹介・解説しました。


胃癌検診:
 X線検査を用いた胃癌検診受診を勧奨する証拠がかなりあると言われます。ただし、検査の限界に関する充分な説明を事前に行なうべきであるともされています。

子宮頚癌検診:
 30歳以上の女性を対象とした細胞診による子宮頚癌検診の有効性を証明する充分な証拠があると言われますが、ただし、検診を行なう適切な年齢・間隔についてはまだまだ検討を続ける必要があるとされています。

子宮体癌検診:
 子宮頚癌検診に比べ、現行の子宮体癌検診の有効性は残念ながらまだ充分に証明されているとは言えず、早急に検討する必要があるとされます。

乳癌検診:
 視触診による乳癌検診は、生存率の比較による研究において無症状の場合は死亡リスク低減効果が認められますが、有効性を示す根拠は必ずしも充分ではありません。それに対してマンモグラフィによる検診は、有効性を示す確かな証拠がかなりあることから、マンモグラフィの導入に関して早急な対応が求められています。

肺癌検診:
 肺癌の生存率は一般に極めて低いものがありますが、しかし、毎年のように肺癌検診を受診することの有効性は示唆されています。ただし、現行の方法による肺癌検診は、その効果は残念ながらまだ小さいことも事実です。また現在、集団検診へのCTの導入など一層の早期発見の研究が必要であるとされています。

大腸癌検診:
 便潜血検査による大腸検診を勧奨する充分な証拠があると言われます。まずは免疫便潜血検査2日法による逐年検診の効果とその大きさを実証してゆくべきで、2日法については特異度や精検受診率を高く維持することが重要であると考えられています。また、精検は全大腸内視鏡検査かS状結腸内視鏡検査と注腸X線検査の併用で行なうのが望ましいとされています。

癌の最新治療

 早期発見出来なかった癌の治療法について、以下7項目にわたって最新の癌治療について紹介・解説してゆきます。

◆注意:  下記で紹介する治療法は必ずしも一般的治療ではありませんし、また、どこの施設でも行なっているというわけでもありません。研究段階の治療もあります。その点をよくよく了解していただきますようお願いいたします。

内視鏡的治療

 内視鏡的治療は消化管(胃や腸)の癌に対して行なわれます。
 なお、治療法には大別して、(1)癌の完治を目指す「根治的治療」と、(2)症状の軽減を目的とした「姑息的治療」とがあります。


■根治的治療
粘膜切除術(EMR)
 大きさが1〜2cmで粘膜内に留まる胃癌や粘膜内に留まる大腸癌はリンパ節への転移が殆ど無いことから、癌の部分だけを内視鏡で切除すれば完治が得られます。胃カメラや大腸ファイバーを用いた治療なので、開腹手術のような全身麻酔の必要はありませんし、傷もありません。ただし適応となる癌は限られますし、正確な診断と内視鏡の技術が必要となります。
腫瘍組織破壊法
 癌を切除するのではなく変性(=焼却)することで癌組織を消滅させる治療です。具体的にはレーザー照射法や光線力学的治療、アルゴンプラズマ凝固法、マイクロ波凝固法などがあります。

■姑息的治療
腫瘍組織破壊法
 基本的には上記の根治的治療の「腫瘍組織破壊法」と同じですが、完治が期待出来ないような病変でも、手術が出来ない場合や手術を拒否された場合に一時的な癌の縮小を期待して行ないます。
局注(=局所注入)療法
 癌の部分に抗癌剤やエタノールなどを注射して癌の縮小を期待します。                
消化管狭窄拡張術
 癌のために消化管が細くなり食事が通らなくなっているような場合に、バルー ンという風船状の物で狭くなっている部分を広げたり、広げた後にステントと言われる管状のものを挿入して拡張を維持したりします。これは癌の治療にはなりませんが、食事を食べられるようになるなど症状の軽減やQOL(=生活の質)の向上を期待することが出来ます。

縮小手術

 比較的早期の癌に対して、体への負担が少なく、かつ癌の根治に充分な手術が検討されています。ただし、適応となる癌の選択や標準術式の確立にはもう少し時間が必要のようです。


狭窄拡張術
 癌のために消化管が細くなり食事が通らなくなっているような場合に、バルー ンという風船状の物で狭くなっている部分を広げたり、広げた後にステントと言われる管状のものを挿入して拡張を維持したりします。これは癌の治療にはなりませんが、食事を食べられるようになるなど症状の軽減やQOL(=生活の質)の向上を期待することが出来ます。

機能温存手術
 従来はリンパ節切除などのために切除されていた臓器や神経を温存して術後の障害を少なくしようとする方法です。胃癌における幽門保存胃切除や迷走神経温存胃切除などがこれに当たります。

センチネルノード・ナビゲーション・サージェリー(SNNS)
 癌が最初に転移するリンパ節をセンチネルノードと言いますが、このリンパ節を色素や放射性元素を用いて手術中に探し出して切除する方法を言います。従来は周辺のリンパ節を全て切除していましたが、センチネルノードが分かれば不要なリンパ節切除はしなくてよいと言われています。ただし、これを100%診断することは難しく、現在はまだ研究段階です。

化学療法(=抗癌剤治療)

 癌の化学療法とはいわゆる抗癌剤治療のことを意味します。その副作用のために一般の方々からは敬遠される傾向にありますが、抗癌作用を持つ薬剤としてはこれ以上のものは現在のところありません。理想的な抗癌効果を持つ薬剤は副作用が全くなく100%の効果を持つものと言えるでしょうが、現在の抗癌剤は副作用もあり、また効果も30〜40%しかありません。従って理想とは程遠い状態だと言えますが、研究は日々進歩し、理想に近づこうとしています。


抗癌剤感受性試験
 これは、切除した癌細胞を使って種々の抗癌剤に対する感受性を調べ、感受性の高い抗癌剤を使用することで抗癌剤の効果を期待する方法ですが、延命効果に対する客観的・科学的根拠に乏しいため、一般に広く行なわれるまでには残念ながら到っていません。

バイオケミカル・モデュレーション理論
 5-FUという代表的抗癌剤の効果を高める作用を持つ他の抗癌剤を併用することで抗癌効果の増強を期待する方法です。消化器癌では現在最も多く用いられている方法です。

新薬
 イリノテカンやタキサン系抗癌剤、S1、ジェムザール、イレッサ、ゼローダなどの新薬が最近登場し、従来のものより有効性が報告されておりますが、残念ながら単独で癌を治癒させることは難しいのが現状です。


将来の展望
 人の遺伝子解析が進み、新しい抗癌剤の開発が期待されておりますが、現状ではまだ研究段階です。

放射線治療

 以前はコバルトと呼ばれた治療です。現在でもある種の癌では有効であることが実証されていますが、全ての癌を根治させることは出来ません。


3次元原体照射
 CTなどで得られた3次元画像を利用して、3次元の方向から放射線を照射することで正常組織への照射線量を減らし、癌組織へより多くの線量を照射することが出来ます。転移性脳腫瘍に用いられるガンマ・ナイフがこれに当たります。

粒子線治療
 通常の放射線治療はγ線などを使いますが、これとは異なる粒子線を用います。これにより体の深部の癌に多くの線量を照射することが出来、表面の正常組織は殆ど被爆しません。ただし粒子線の発生装置は非常に高価で、残念ながら一般の病院に普及するには到っていません。

放射性同位元素
 これは、放射線を発生する元素を体内に注射して癌の組織に集積させ、癌の部分に特異的に放射線を照射する方法で、従来は甲状腺癌で行なわれて来ました。今後はその他の癌でも同様の治療が行なえないか現在研究中です。

免疫療法

 体内の異物を排除しようとする働きである免疫を利用して癌細胞を異物と認識させることで癌細胞を攻撃する治療法です。ただし、これだけで癌細胞を消滅させることは難しいのが現状です。


非特異的免疫賦活剤
 ピシバニール、クレスチン、レンチナンなどがありますが、これらは癌に特異的に作用するわけではなく、全身の免疫系を活性化することで結果として癌に対する免疫効果を期待するものです。非特異的免疫賦活剤で根治可能な腫瘍量は癌組織の重量にして1g前後と言われています。従って、肉眼的に癌を完全切除出来たと思われる場合の再発や転移予防に抗癌剤と共に使用します。残念ながら単独で癌を根治する可能性は極めて低いと言えます。

サイトカイン療法
 免疫応答を増強する作用を持つ物質をサイトカインと言い、これを投与することで抗腫瘍免疫の増強を期待します。インターロイキンー2、インターフェロンなどがこれに当たります。

養子免疫療法
 患者さんの血液から免疫細胞を抽出してサイトカインと共に培養すると活性化キラー細胞を誘導出来ることを用いて、これを再び患者さんの体内に戻し、癌に対する免疫反応を期待する方法です。一部の癌や癌性胸腹膜炎には有効との報告もありましたが、残念ながら必ずしも充分な治療効果は得られなかったのが現状です。

モノクローナル抗体を用いた免疫療法
 これは癌細胞に反応して産生される抗体を利用して癌細胞を死滅させるものですが、残念ながら副作用などの問題で現在のところまだ普及していません。

遺伝子治療

 癌は遺伝子の異常から発生することが明らかになって来たため、この異常を修復することで癌を治療しようとするものですが、癌の遺伝子には不明な点が多いことや遺伝子異常が複数あること、また、癌は転移を伴う全身病であるが、現在は全身への遺伝子治療は不可能であること、遺伝子を修復しても症状の改善に繋がらない場合があることなどの理由で、残念ながら臨床応用はまだまだこれからの段階です。


p53遺伝子治療
 p53とは癌抑制遺伝子のひとつで、多くの癌でこの遺伝子の異常が確かめられています。よって、正常なp53遺伝子をウィルスを用いて癌に導入することで癌の縮小を期待するものです。しかし、現実には全ての癌細胞に遺伝子を組み込むことは不可能で、また、転移した部位には遺伝子を導入出来ないため、残念ながら癌の治癒には到底及ばないというのが現実です。

免疫遺伝子治療
 ワクチン抗原として免疫刺激性サイトカイン遺伝子を導入した腫瘍細胞を用いるものが多くなされていますが、これによって癌に特異的な免疫反応を起こすサイトカインを発現させることが出来ます。また、樹状細胞を用いて癌関連抗原に対する特異的免疫反応を期待する方法も現在研究されています。

ワクチン療法

 癌治療のワクチン療法というと通常は有名な丸山ワクチンや蓮見ワクチンなどを連想しますが、ここでは樹状細胞を用いたワクチン療法のみを紹介します。


樹状細胞を用いたワクチン療法
 これは、癌抗原を提示させた樹状細胞を注入することでリンパ球を活性化し、癌に特異的な免疫反応を起こさせるものです。現在、研究・試験段階です。

参考ニュース:地域中核病院の施設名示した「癌5年生存率」を厚労省が公表!

癌治療はこの病院にお任せ 最近、地域の癌治療の中核的な施設30医療機関からなる「全国がん(成人病)センター協議会」(事務局・国立がんセンター)が加盟医療機関の癌患者の5年生存率などの成績をホームページ上で公表したことがニュースにも取り上げられました。
 公表されたのは、代表的な癌である胃癌・肺癌・乳癌・大腸癌の4つの癌の治療成績で、症例数が100例以上などの一定の条件を満たし、数字の公表に同意した15医療機関のもので、99年に初回の入院治療を受けた癌患者の治療成績について施設別に癌の進行度に応じた症例数や生存率をまとめたものです。これは厚生労働省の研究班が治療成績を判定する基準を示して分析したもので、施設名を含めて公表したのは初めての試みです。

 詳しい内容は以下のリンク先で見ることが出来ます。参考にして下さい。


■地域中核病院の癌5年生存率公表の詳細リンク
全がん協加盟施設の生存率協同調査
http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/
NIKKEI NET いきいき健康--がん治療の実力病院 全国調査
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