| 非正規雇用労働者とは? |
非正規雇用とは、期間を定めない雇用契約を結ぶ「正規雇用」の対義語で、期間を定めた短期契約で職員を雇う雇用形態を言い、日本では非正規雇用の労働者にはパートやアルバイト、契約社員、派遣社員が含まれています。
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| 世界における非正規雇用労働者 |
19世紀に起こった産業革命以降、産業の中心が工業となり、フルタイムの労働者が労働力の中核となり、この過程でいわゆる「男は仕事、女は家庭」というライフスタイルによる性的な役割モデルが確立されてゆくことになりました。しかし、20世紀前半の第2次世界大戦以降、いわゆるサービス産業が成長してゆくことでそのパターンに変化が生じました。
すなわち、サービス産業は労働需要の変化が激しく、たとえばスーパーマーケットのレジでは時間帯によって必要な労働力が変わるなど1日の中でも需要が一定しない特色を持っています。そのため、従来よりサービス産業においてはフルタイム労働者よりも非正規雇用であるパートタイム労働者の方が都合がよい面がありました。また、近年女性の社会進出が進んでゆく中で、しかしその一方で女性は家事も担っていたために、女性が男性のようにフルタイムで働くことはやはり難しく、従ってパートタイム労働は女性にとって都合がよい労働形態であったのです。こうしてパートタイム労働者は労働市場の中でその規模を拡大していったのですが、その一方で待遇格差など様々な問題も生じることになったのです。
| ■EUにおける非正規雇用 |
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| 日本における非正規雇用労働者 |
日本においては、第2次世界大戦終戦後、兵役による死傷などで働き盛りの男性が一時的に不足したことも相俟って、工業が発達するに従って労働力が足りなくなると、まず最初は農家の次男を労働力として雇い入れましたが、それでも足りなくなると、家庭の主婦をパートタイム労働者として雇うようになりました。その後、バブル経済崩壊後の平成不況においては、日本的経営のひとつの柱でもあった終身雇用制を排し、さらにコスト削減の圧力から正規雇用(フルタイム労働)である正社員の採用を抑制し、その一方で非正規雇用の非正社員を増やすことで業務に対応するようになってゆきました。
ここで労働者数の推移を見ると、80年代から雇用者に占める非正社員の比率は少しずつ増加してゆきましたが、90年代半ばからその増加傾向が著しくなり、05年には全労働者の約3割を占めるようになりました。これは主に女子学生や中年女性のパート・アルバイトが増加したことと、男女(特に女性)共に派遣・契約職員が増加したためです。そして、08年1〜3月期平均データでは、非正規雇用労働者の全労働者に占める割合は過去最高の34.0%を記録し、今や3人に1人超が非正規雇用労働者であるという事態になったのです(※なお、08年版の青少年白書では10代後半の非正規雇率は約7割と報告しています)。
| ■正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移 |
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| 世界における非正規雇用労働者の待遇改善への取り組み |
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欧州における取り組み |
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応酬においては、日本などと違ってかなり早い段階から正社員と非正社員の均等待遇(=同一労働同一賃金)の動きがありす。事実フランスは81年、ドイツは85年に差別的取り扱いを禁止しています。また、欧州連合(EU)では、97年に「パートタイム労働指令」が発令され、これによって、パートタイムを理由とした差別の禁止と時間比例の原則を適用することとなっています。なお、その背景としては、産業別の労働協約と賃金体系があり、フルタイムとパートタイムとで賃金が違うということが従来より余り無かったことが挙げられます。なおこれに関しては、企業側は賃金に対しては抵抗をせず、年金については一部抵抗しましたが、これは年金にかかるコストがパートタイムの方がかかるためです。たとえば1人のフルタイムを30年雇った場合と30人のパートタイムを1年毎に雇った場合とでは、同じ労働量に対して後者の方が事務コスト等が高くなるのです。 |
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アメリカにおける取り組み |
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アメリカにおいては、応酬と違って均等待遇という原則はありません。これは、「それぞれの雇用形態は企業と労働者の間の契約で取り決められたものだから、政府が法律で介入することはしない」という考え方によります。また、アメリカでの不平等とは、一般に人種や性・年齢といった自分で選択できないものであり、その一方で「正規・非正規といった雇用形態は自らの選択の結果である」という考え方があります。従って、アメリカにおいては人種や性別等での雇用差別への法律での対応は為されていますが、それ以外の事柄である正規・非正規での労働形態による差別に対しては法律による対応は為されていないわけです。そのため、労働者が広域な労働組合を組織し、企業や地方自治体に待遇改善を図る方向で動いています。 |
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韓国における取り組み |
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韓国においては、06年11月30日に国会を通過・成立した「非正規職保護法」があります。それは、(1)雇用期間が2年を超えた有期雇用者は無期雇用とし派遣労働者は直接雇用とすること、(2)賃金や勤務条件で正社員と不当に差別してはならないといった内容です。
韓国では97年の経済危機をキッカケに非正規化が一気に進み、韓国の非正規社員率が55%(2人に1人超)と、日本の過去最高である33%を遙かに超える高い状況だったこともあり、上記の法が成立したわけですが、実際には非正社員が2年勤務の法実施の直前に大量に首切りしている事例が増えています。とにかくこの法律は企業側にとっての抜け道と不備がある法案で、非正規雇用の長期化は避けられましたたが、逆に継続雇用に支障を来しているため、労働者全体の地位向上には余り効果が出ていないことが伝えられています。また、この法の適用が大企業に限られていて効果が限定的であり、労働者の固着化や外注化が進むなど、却って非正規職労働者に不利に働く、といった批判も出ているのが実情です。ちなみに、平均月収88万ウォン程度で暮らす若者を指してある社会学者が名づけた「88万ウォン世代」という語が流行語となるなど、ワーキングプアは韓国でも大きな社会問題になっています。 |
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| 日本における非正規雇用労働者の待遇改善への取り組み |
非正規雇用から正規雇用への転換については、制度自体がない企業も多く、制度がある企業でも適用例はさらに少ないのが実情です。また、多くの会社において「非正規雇用に対する差別や冷遇は当然」という認識があり、即戦力として扱えるスキルを持っていないと正社員と同様の収入になることは難しいのが実情です。
もっとも一部では02年から07年までの景気回復による人手不足から、小売・流通業のように非正規雇用から正規雇用へと転換する動きがあったのは事実です。具体的に言えば、小売・流通業においては出店等による人材不足感が高まっており、たとえばワールドは06年11月に子会社のパートなどのうち8割に当たる約5千人を本社の正社員として採用しましたし、また、ユニクロを抱えるファーストリテイリングは07年3月5日に地域限定正社員制度を導入し、2年間で5千人を非正規雇用から正規雇用に転換すると発表するなどの動きがありました。また、他の産業では、たとえばトヨタが08年度に期間工1,200人を正社員化しましたし、三井住友銀行では派遣社員約2,000人を正社員化するなどといった動きなどがあり、また、前述の小売業や外食産業で人手不足を背景としたパート待遇の改善(試用期間を経た正社員採用など)の動きについての報告もあります。
ただしその一方では、正社員の中にもいわゆる「名ばかり正社員」と言われる、非正規社員と大差ない給与で、雇用保険や厚生年金に未加入、昇給やボーナスもないといった労働者が目立つようになっており、正社員も非正規社員と同等の劣悪な労働環境に追い込まれるケースが増加しています。
なお、「労働組合は正社員のためのもの」という認識が従来は罷り通っていましたが、非正社員の増加及び正社員の組織率の低下を受けて、近年は非正社員のための労働組合(たとえば首都圏青年ユニオンなど)も誕生し、非正社員の加入を認める労働組合が増加しています。
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| 日本における非正規雇用労働者の形態 |
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パート及びアルバイト |
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期間契約労働者の一種で、厳密な定義はなく、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)」では「1週間の所定労働時間が同1の事業所に雇用される通常の労働者よりも短い労働者」と定義されています。また、総務省による労働力調査では、「勤め先での呼称がパート・アルバイトである者」となっています。なお、企業の現場では、パートとアルバイトを厳密に区別していない場合も多く見られます。また、パートは英語のPart
Timerを語源とした略称で、正式にはパートタイマーと表現します。
一般的に正社員と比べ労働時間が短く、時間当たりの賃金が安いのが特徴です。また、当然労働基準法の適用範囲内ですが、現状では多くの面において法律が適用されているとは言い難い面があり、福利厚生などの対象にもならないことも多く見受けられます。さらに、その構成は学生や主婦が多いため男性よりも女性が多く、また、年齢構成では15〜24歳といった若い世代よりも30〜40歳といった中年世代の方が多く見られます。なお、1年間の収入合計が103万円を超えた場合、所得税を納める義務が労働者側に発生するため、パート・アルバイトは賃金を103万円以下に抑えようとすることが多く見られるのもその特徴のひとつです。 |
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契約社員 |
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短期契約で雇われる形態を広く指して言います。製造現場に勤務する者は特に「臨時工」とか「期間工」などとも呼ばれます。高度な技術を有した専門職の人が1年以内の契約を結んだり、或は一度退職した職員が再雇用で嘱託社員として雇われる形態も含まれます。固定給のみならず、営業職に多く見られる完全出来高制のような形態も一部にはあります。その構成は高齢層の割合が高いですが、一方では若年層でも契約社員になる割合は近年増えています。 |
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派遣社員 |
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企業が派遣会社と契約を交わし、派遣会社が雇っている職員が企業に派遣されて業務を処理する形態を言い、指揮命令権は派遣先にあります。
長い間、職業安定法の下、極めて限定的な雇用形態として位置づけられてきており、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)」の制定により正式に法律で規定されたのは86年になってからです。当初は業種が制限されていましたが、99年と04年に同法が改正されて業種が拡大、それに伴い、契約社員ほどではないが、派遣職員は増加傾向にあります。その構成は、女性と男性とでは女性が多く見られます。 |
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| ■正規雇用労働者の内訳と推移 |
| ■正規雇用者が3分の1に! |
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| ■正規雇用労働者の内訳 |
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| 日本における非正規雇用労働者の傾向と特徴 |
| ■日本における非正規雇用労働者の傾向 |
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大企業と中小企業とでは中小企業の方が非正規雇用の割合が大きい(※平成14年の就業構造基本調査より) |
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男性と女性とでは女性の方が増加傾向にあり、特に若年層でその傾向が認められる。たとえばバブル景気前(84年)とバブル崩壊及びその後の景気回復期(06年)とを比べると、若年層に占める正規雇用の割合は男性に比べて女性の方が低下幅が大きい |
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| ■日本における非正規雇用労働者の特徴 |
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総じて時間当たりの賃金が安い |
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たとえば女性の出産に伴う就業パターン変化による生涯賃金の推計を見ても、正社員として働き続ける場合と出産退職後パートタイマーとして再び働き出した場合とでは、賃金だけで2億円近い差が生まれると言われています。 |
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| 非正規雇用のメリットとデメリット |
| ■非正規雇用のメリット |
| ■使用者側(=雇う側)のメリット |
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需要や収益の変化に対応した調整を職員の増減で行ないやすい |
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時間当たりの賃金が安く、(これは法律違反になるが、退職金や社会保険を払わないことも多いため)人件費を抑制しやすい |
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社員の教育費が削減できる |
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| ■雇用者側(=雇われる側)のメリット |
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自分の都合に合わせて仕事の時間や期間を調整できる(※一例として、たとえば「主婦などは、正社員にはならず短時間で働きたいという人もいる」という声もある) |
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多くの企業に触れて経験を積むことができる |
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| ■非正規雇用のデメリット |
| ■使用者側(=雇う側)のデメリット |
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知識・技術を社内に蓄積しづらい。特に製造業では熟練工、サービス業ではいわゆるベテランが育ちにくい |
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正社員と比べ会社に対する忠誠度・責任感が低い |
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| ■雇用者側(=雇われる側)のデメリット |
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賃金が安く、また、賞与が出る場合も殆どなく、仕事の内容が正社員と同じであっても低賃金である |
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勤続年数が増えても、また仕事の能力が上がっても、昇給は殆どない(※これは反面、使用者にしてみれば人件費を抑制できるというメリットにもなる) |
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退職金が払われないケースが多い |
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常に自分自身でスキルアップを図らねばならない |
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雇用形態が短期契約のため将来への展望が不安定 |
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| 日本における非正規雇用者の現状 |
誰しもが認めるように、非正規雇用者は極めて弱い立場にあります。
2000年代は輸出産業である製造業が好調でしたが、人手不足は外国人労働者を含む派遣社員を中心に非正規雇用で賄われたため、海外市場の減速が製造業を直撃した昨年の秋頃から、非正規雇用者の解雇・雇い止めが増加しました。その結果、職を失った多くの非正規雇用者たちが路上へ放り出されたことは皆さんもニュース等でよくご存知の通りです。また、製造業以外の職種でも非正規雇用労働者の解雇・雇い止めが進んでいるのが実情で、その傾向は今後ますます続きそうです。
| ■若年雇用者に占める非正規雇用労働者の割合(%) |
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| ■ネットカフェ難民と平均給与比較 |
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| ■下層労働者の居住・生活形態 |
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