【1】昼寝の重要性 |
本項では、人間の健康にとっての睡眠の重要性を踏まえ、昼寝の重要性について取り上げ、昼寝のメカニズム等について以下で簡単に解説しました。
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なぜ人は眠るのか?〜睡眠は体と心の休息〜 |
皆さんもご経験のことと思いますが、「あ〜良く眠れた」と思った時きにはすっきりと目覚めて爽快な朝を迎えられます。これは、睡眠中に体と心の疲れが完全に回復した証拠です。
そこで本節では、昼寝の効用等について触れる前に、まずは睡眠が人間にとって如何に大事な営みであるかについて解説しておきます。
※なお、睡眠の重要性については、多少重複もありますが、
「ワンポイントアドバイス 克服しよう!睡眠障害」の、特に「睡眠と健康〜どうして眠らないといけないの?〜」の項をご参照下さい。
人は脳のために眠る〜脳が働き過ぎると睡眠物質が溜まる〜 |
睡眠は身体の休息はもちろん、脳が休息するための大切な時間です。身体の疲れは横になって身体を休めるだけでもある程度回復できますが、意識や知能・記憶など知的活動を行なう大脳は、起きている限り休息することは不可能です。睡眠は脳を深く眠らせて精神的な疲労を回復する大切な営みなのです。
脳が活動している時に脳細胞は様々なホルモンを分泌しますが、働き過ぎると、今度は却ってホルモンの使い滓のような物質が溜まってゆきます。このような物質は一般に疲労物質と呼ばれ、その中にはいわゆる睡眠物質も含まれていますが、それらは脳の働き過ぎにフィードバックをかけて休息させる役割を持っています。頭を使い過ぎて眠くなるのは、実はこのためなのです。これまでに20種類以上の睡眠物質が発見されています。さらに、人間が活動するためにはエネルギーが必要ですが、睡眠は無駄な動きを抑えて新陳代謝を減らし、エネルギーを節約する働きもあるのです。睡眠は、このように人間が心身共に健康な状態を保つために欠かせないものであるわけです。
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居眠りは脳を活性化させる |
睡眠の質と言えば、約90分でワンセットになっている「レム睡眠(体の眠り)」と「ノンレム睡眠(脳の眠り)」とがあります。もっとも、そのリズムを気にする人もいますが、実際には個人の生活によって違いがあるので、余り神経質になることはないようです。従って、「ぐっすり眠れないから疲れも取れない」などと気にし過ぎるは、却って脳にプレッシャーをかけて疲労が増える原因にもなります。それよりも、脳は絶えず働いているので、居眠りで細切れの休息を与える方がよいと言われています。ちなみに、居眠りには右脳を活性化させる働きがあるというデータも一部では報告されています。
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「寝る子は育つ」は本当! |
心身ともに成長著しい子どもは大人以上に睡眠が必要です。深い睡眠の時間帯に成長ホルモンがたくさん分泌されること分かっていますが、成長ホルモンは細胞の新陳代謝を促して皮膚や筋肉・骨などを成長させたり、日中の活動で傷ついた筋肉や内臓などを効率よく修復する働きがあります。昔から「寝る子は育つ」と言いますが、このことを表わしていたのでしょう。さらに明け方近くには、副腎皮質ホルモンの血中濃度が高まりますが、このホルモンはストレスを和らげげてくれる働きと体内でエネルギーを作り出す働きがあります。
最近キレやすい子どもの増加が問題になっていますが、子どもの睡眠不足とキレやすさの間には、脳の神経のバランスを取るセロトニンという物質を介して深い関係があります。つまり、[夜更かし→朝寝坊→朝食抜き→日中の運動量の低下→セロトニン不足→攻撃性の増強→キレる]という図式です。子どもにとっても睡眠は、このように本当に大事なことなのです。
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昼寝って何だろう? |
昼寝と言うと、社会に出て働いている人には、昼寝をすることに対して多少引け目を感じたり、或はマイナスのイメージがあるかも知れません。しかし、タクシーやトラックの運転手が車を止めて昼寝をしているのをよく見かけるように、昼寝には脳をリラックスさせてくれる効果があります。その証拠に、スペインヤイタリア、南フランスといった国では、「シエスタ」と言って昼寝を当たり前にしている国々があります。彼らは、このシェスタの時間に家で昼ご飯を食べた後、2〜3時間ほど昼寝をして、その後夜遅くまで活動します。
お昼ご飯を食べてお腹がいっぱいになると、睡眠を促すセロトニンという物質を作り出されますし、また、食事の中にはたくさんの睡眠を促す成分が含まれています。ですから、午後1時頃になると脳は自然と働きが鈍くなるのです。そのため、昼寝をして脳を休ませるのは身体にとってもとても理に適ったことなのです。従って、睡眠不足の人だけでなく、ちょっと昼寝をするだけで仕事上の失敗が少なくなりますし、とにかく脳が活性化する効果があって、仕事も捗るのです。
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なぜ昼に意識は落ち込むのか? |
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人が眠っているか目覚めているかは、ちょっと難しいことを言うと、「ホメオスタシス性睡眠衝動」と「時刻依存性覚醒作用」という2つの反作用のどちらがどれだけ強いかで決まります。そして、これが毎日の睡眠と覚醒のサイクルを生み出しているのです。
昼間眠ろうとする衝動は、体内時計の起きていようとする作用で帳消しになるので、目を覚ましていることができます。ところが睡眠が不足すると、睡眠衝動が時刻依存性覚醒作用を抑えて、昼間でも眠くなります。たとえば午後の1時から3時頃のように決まった時間になると、時刻依存性覚醒作用の勢いが減ります。そのため、特に夜の間に充分に眠っていないと、強くなった睡眠衝動にあっさり身を任せてしまうことになりかねません。ちなみに意識が落ち込む時間帯は、主に前日眠った時刻と起きた時刻のちょうど中間の12時間後だと言われています。そのため、この時間帯に昼寝をしてしまうこと人がよくあるのではないかと思います。 |
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よい昼寝と悪い昼寝 |
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昼寝をする人でよくあるのは、2時間以上に渡る長い昼寝をしてしまい、そのため夜に眠れなくなって睡眠時間が大きく減少し、次の日に結果的に寝不足でまた昼寝をしてしまう、といったパターンです。こういう悪循環に1度陥ってしまうと中々抜け出すことが出来ません。だからといって、昼寝をしなければよいかというとそうでもなく、ある条件を満たせば昼寝は立派な休息手段となるのです。
そのためには、まずは毎日同じ時刻に決まった時間の昼寝をすることです。不規則に昼寝をしていると、起きてからスッキリしないばかりでなく、夜の眠りを台無しにしてしまうことがあります。時間的には、眠りが深くなり過ぎない15分から30分くらいの時間の昼寝が適当でしょう。また、昼寝をする時間帯は、意識が落ち込みやすい午後1時〜3時頃がよいでしょう。ちなみに、最近では昼寝を午後の仮眠として取り入れている企業も数多く存在します。昼寝をすると集中力や作業意欲が向上し、仕事の能率も上がったそうです。 |
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夜型人間の更生法 |
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昼寝やうたた寝の時間が極端に長くなってしまい、夜はずっと起きているという夜型人間が最近増えています。これも悪循環のひとつで、これが1度でも習慣化してしまうと、通常の生活パターンに中々戻れなくなってしまいます。
ここで参考までに、こういった症状の治療法を幾つか挙げておきましょう。(1)ひとつは朝になって目覚めた時に太陽の光を浴びることによってメラトニン(=睡眠を誘発する物質)の分泌を抑制し、体内時計を正常なリズムに戻すことです。この方法は時差ボケの防止にも使われます。(2)もうひとつは時間調節療法(=クロノセラピー)と言われるもので、人における本来の1日のリズムが24時間よりも25時間に近いことを利用して、その1日のリズムを26時間或は27時間にずらす、つまり、就寝時間と起床時間を毎日2〜3時間づつ遅らせることで、望ましい時間帯に睡眠-覚醒リズムが来た時にそれを固定する、という方法です。 |
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昼寝の効用とそのメカニズム |
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健常人における昼寝の効果 |
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一般的に、午後3時前の30分以内の昼寝は夜間の睡眠に影響することもなく、日中の眠気に対して効果があると言われています。また、中南米や地中海沿岸諸国では昼寝が習慣化しているそうです。そして、それらの国では冠動脈疾患による死亡率が低いことでも知られています。もっとも冠動脈疾患のある人々にとっては昼寝をする方が身体にはよくないのではないかという指摘もあります。それというのも、心臓発作などは早朝に起こることが多く、それは目覚めた時のホルモンバランスの変化などが関係しているためだろうと考えられています。昼寝をすると、同じ変化が昼寝後にも起こるため、早朝と同様の危険に身体は曝されるというのがその理由のようです。
ただし、ある論文によれば、冠動脈疾患のない人たちについて昼寝の効果が長期間に渡って検討されていて(昼寝の程度については、(1)全くしない人、(2)定期的にしている人〔週3回以上、1回30分以上〕、そして、(3)その中間の3段階に分けて検討)、その結果によると、昼寝をする人の場合、全くしない人の冠動脈疾患による死亡率を1とした場合、危険率は0.66、つまり、昼寝をすることによって冠動脈疾患の死亡率が37%減少することになります。特に働いている男性ではその傾向が強く、定期的に昼寝をする場合、全く昼寝をしない人に比べて冠動脈疾患による死亡率は0.36倍となったのでした。要するに、健康な(すなわちリスクファクターがない)働いている男性の場合、昼寝をする人ほど冠動脈疾患になりにくいという結果が示されましたわけです。しかし、既にリスクファクターを持っている人にとっては、前述したように、その昼寝においても早朝と同じホルモンバランスの変化や血圧の変動に身体が曝されることとなり、狭心症や心筋梗塞の発作が起こりやすい状況になるため、その人たちは、昼寝から目が覚めた時でも直ぐには起き上がらず、布団の中で伸びをしたりして身体を慣らしてから起きるようにすることがよいでしょう。 |
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昼寝が発想の源になった偉人たち |
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たとえば日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹博士にも、受賞対象となった中間子理論を考え付いたのはちょうど寝入り端だったという逸話があります。彼は就寝時に必ず枕元にメモ帳と鉛筆を置き、ウトウトしている時に閃いたアイデアを書き付ける習慣があったそうです。また、外国人では、シュールレアリスム(超現実主義)の画家として知られるサルバドール・ダリは、普段作品のヒントを得るために居眠りをしたと言われています。肘掛け椅子に座り、指にスプーンを挟み、すぐ下の床に錫の皿を置いて、居眠りをしてスプーンが落ちると、錫に当たって大きな音を立てまるが、その時に浮かんだインスピレーションを作品のヒントにしたらしいです。さらに、大発明家エジソンも居眠り名人説があるそうです。
何れにせよ、昼寝などちょっとした居眠りは脳の疲労を取るのに効果的であると言われています。そして、ビジネスでよく使う論理的な思考に向いた左脳よりもインスピレーションや創造力の源となる右脳の働きが活発になるため、昼寝は独創的なアイデアが浮かびやすい環境にあると言えるのではないでしょうか。 |
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文明社会が昼寝を無くした!? |
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北アメリカや北ヨーロッパ、日本などでは昼寝は長くタブーとされてきました。しかし、昼間に眠気を感じるのは自然の摂理で、たとえば餌を食べる時は外敵に身を晒すため常に警戒していなければならない野生動物は、餌を食べ終わった後はより安全なところに行って身を隠し、消化を助けてエネルギーを蓄えようとします。そのため、眠気を起こすことは、一刻も早く危険な状況を逃げよというサインなのでもあるのです。人類が進化してきた今もなおこのプログラムが身体の中に生きているのだと考えることができるでしょう。
また、生体リズムの影響が強い赤ちゃんは、1日に何回も起きたり眠ったりを繰り返しますが、これが成長して、昼間は起きて活動し、夜は眠るという社会に適応して生きてゆくためには、残念ながら1日に何回も寝ることが許されなくなります。要するに私たちが日中起きていられるのは訓練の賜物で、文明社会が要求する生活パターンに適応した結果でもあるわけです。 |
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参考1:大惨事に繋がりかねない居眠りの恐怖 |
無理に起きようとして居眠りすれば事故に繋がりかねないことを考えれば、工事現場などで昼寝が奨励されているのは理に適ったシステムと言えます。事実、居眠りが原因で大惨事に繋がった事件は過去にたくさん見ることができます。たとえばスペースシャトルのチャレンジャー号爆発事件や、スリーマイル島やチェルノブイリの原子力発電所の事故、また、アラスカ沖の巨大タンカーの座礁など幾つもの世界を揺るがす大事件ですが、これらも一説によれば作業員の寝不足によるミスが原因だと言われているのです。なお、寝不足ではなく睡眠障害による事故も後を絶ちません。特に睡眠不足でもないのに昼の眠気がひどいなど睡眠障害が疑われる場合は、医師に相談の上で適切な治療を受けることが必要になります。
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睡眠時無呼吸症候群: |
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睡眠中に気道が塞がって、ひと晩に10秒以上の呼吸停止が30回以上、または1時間に5回以上の無呼吸状態に陥る。鼾が大きくなり、寝返りの回数も増える。断続的に夜間何度も眠りを中断されているため、日中に静かで退屈な状況に置かれると、睡魔に襲われてつい眠り込んでしまったり、単純作業で何度も注意力低下が起こる場合がある。また、抑鬱気分が増すなどの性格の変化を引き起こすこともある。 |
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ナルコレプシー: |
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一般に「居眠り病」とも言われる。話の最中や車の運転中など通常ならば眠らない状況で急に眠ってしまう病気。遺伝病の1種で、10万人に数人の割合で発生すると言われている。現代の医学では治すことができないが、症状が現われる時間を予測したり、或は薬で眠気を抑える対処療法を施すことは可能。 |
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【2】昼寝のススメ |
前項を踏まえ、本項では昼寝の効用について解説し、併せて年齢別・時間帯別の昼寝の効用等についても取り上げ解説しました。
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なぜ昼食後に眠くなるのか? |
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昼食後に眠くなるのは何故か? |
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どんなに充分睡眠を取っていても、誰でも昼食後には身体がだるく、頭はボンヤリしてしまうものですが、その原因は、人間の身体にある睡眠と覚醒のリズムを調節する「体内時計」にあります。人の眠気のリズムは、「朝目覚めて夜眠る」といった1日周期でリズムが動いているように思えますが、実は半日周期のリズムで起きていて、1日に2回眠気の山があるのです。その大きい山は午前2〜4時で、小さい山は午後1〜4時です。このリズムと昼食が重なるために、誰でも昼食後に眠くなってしまうのです。その上、消化のために体内の血液が胃などの消化器に集中し、脳への血液が少なくなると共に、食べたものが消化されると血糖値が上がり、満腹中枢が刺激を受けるため、睡眠物質が働いてしまうこともあって、昼食後に眠くなってしまうのです。 |
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おやつの本当の役割は昼寝防止? |
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伝統的な作業・休憩計画では、8時始業、10時お茶、12時昼食、2〜3時おやつ、17時終業が基本ですが、これは実は眠気を紛らわせるために編み出された知恵でもあるのです。覚醒作用のあるカフェインが含まれるお茶を飲みながらお菓子類を食べ、人としゃべることで脳に刺激を与えれば、睡魔の襲撃を交わすことが出来る、というわけです。もっとも、工場で休憩時間を設けているところは幾つもありますが、残念ながら肉体労働以外の職場でこの休憩時間は廃れつつあるようです。それに対して、最近では積極的に昼寝をする職業も多少ながら増えてきています。たとえばちょっとした油断や不注意が大きな事故を引き起こしかねない建設業などの仕事に従事する人たちは、昼休みに食後ひと眠りすることが日常的になっています。考えてみれば、タクシーの運転手や車で移動する営業マンが路上に車を止め、昼寝をしている姿は、ひと昔前には当たり前に見られた光景でした。一見するとサボり行為に見える行動ですが、案外これが仕事上でプラスになっていたのかも知れません。 |
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参考:都心部に増える昼寝スポット |
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90年代後半、大阪市に誕生したその名も「昼寝屋」など東京・大阪などの都心部に昼寝の場所と時間を提供するサービスが登場し、話題を集めたことがあります。企業戦士らの人気を受けて成長したこのサービスは、最近さらに進化しているようです。たとえば専門のスタッフが昼寝をするうえで理想的な睡眠環境を研究し設計した所もあるようです。また、デスクで昼寝する人向けの枕、香りや炭入りのアイピローといった昼寝グッズの販売なども相俟って、最近は特に昼寝ビジネスの動きが活発になってきています。その証拠に、午後の一定の時間が来たらオフィスの電気を消し、全員が昼寝することを奨励している企業もあると聞きます。それまでは、昼寝と言えばサボりのイメージが強かったわけですが、実は仕事の効率を上げるなど効用が最近なって認められ、このように一部の企業では昼寝が活用され始めているのです。 |
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昼寝の効果〜ズバリ昼寝の効用とは?〜 |
■昼寝の効用 |
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事故の予防 |
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眠い時間帯は、当然ながら仕事のミスが増えやすい時間帯です。その証拠に、コンピュータなど機器操作のミスが夜中に続いて午後2〜4時に多発するというデータもあります。そして、交通事故も夜中に続いて午後が多いのです。しかし、少し眠れば頭がすっきりし、仕事の能率を上げて、仕事上のミスや事故やを減らすことも可能になります。 |
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事故の予防 |
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眠い時間帯は、当然ながら仕事のミスが増えやすい時間帯です。その証拠に、コンピュータなど機器操作のミスが夜中に続いて午後2〜4時に多発するというデータもあります。そして、交通事故も夜中に続いて午後が多いのです。しかし、少し眠れば頭がすっきりし、仕事の能率を上げて、仕事上のミスや事故やを減らすことも可能になります。 |
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ストレス発散・リフレッシュ |
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大脳は、何かに集中している時ごく一部の脳細胞が猛烈に活動している状態になります。しかし、のべつまくなしに働き続けると当然オーバーヒート状態になってしまうので、いわば自己防衛のために眠気信号を発信するのです。その証拠に、ちょっと席を立って身体を動かしたりコーヒーを淹れる程度で眠気が消えることがあるのは、こういったちょっとした行為で脳の休憩が出来たからだと見ることも可能です。また、仕事中は誰しも様々なストレスに晒されています。眠りというのはこのような様々なストレス源を一時的に完全にシャットアウトするため、短時間でも休むとリフレッシュすることが出来るわけです。 |
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参考1:年齢によって昼寝の効用は違う |
職業にもよりますが、大人は基本的に睡眠を取るのは夜で、日中は起きている人が多いわけですが、赤ちゃんは1日何回も寝るし、小学校に上がる前は幼稚園や保育園でお昼寝タイムを設けています。このように、年齢によって睡眠サイクルは違っているのです。
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赤ちゃん: |
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まだ脳が未発達の赤ちゃんは、昼も夜も関係なく短い周期で睡眠と覚醒を繰り返す生体リズムの影響を受けているため、1日中寝たり起きたりしています。1回当たりの睡眠時間は45分くらいと短い。 |
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働き盛りの大人: |
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大人は、職業にもよるが、長年の習慣で夜眠り昼起きて働くというパターンを身につけた人が多くいます。昼間は眠気を抑えてでも働かないといけないので、そのため夜に長くて深い眠りができるわけです。とは言え、日中でも眠気に襲われることはしばしばあるわけで、短時間でも眠れば、頭がすっきりし、より集中力を高めることが可能です。 |
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お年寄り: |
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年をとると脳の機能が衰えて来るため、覚醒させる力も眠らせる力も弱まって来ます。そのため、起きていても眠い、眠っていても寝つきが悪かったりして直ぐに目が覚めるなどといった具合で、メリハリのない状態になってゆくのです。なお、少し前までは昼寝は夜の安眠を妨げるという考え方が主流だったため、高齢者の昼寝もよくないとされていましたが、近年の研究では高齢者の昼寝は健康のためにはむしろ奨励すべきことが分かって来ているのです。 |
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参考2:時間別の昼寝の効用 |
■時間別の昼寝の効用 |
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ナノ昼寝(10〜20秒): |
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電車などでちょっと居眠りをした時などのこと。ただし、これがどの程度の効果を持っているのかについてはまだ余りハッキリしたことは分かっていない。 |
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マイクロ昼寝(2〜5分): |
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たったこの程度の睡眠でも、強い眠気を和らげる効果があることが分かっている。 |
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ミニ昼寝(5〜20分): |
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注意力の向上や、スタミナを増やしたり能率を上げる効果がある。 |
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パワー昼寝(20分〜30分): |
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マイクロとミニの両方の効果があるが、さらに筋肉を和らげてリラックスさせたり、脳に蓄積した無用な情報が消えて記憶力が向上するといった効果がある。 |
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のび太くんの昼寝(50〜90分): |
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ここまで来るとレム睡眠の波形が脳波に出て来て、脳がゆっくりリラックスし始める。認識能力などの回復、身体の疲れが癒され始める。 |
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◆参考図書案内:昼寝と快適睡眠についての参考書 |
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ブルーノ・コンビ 著/藤田 真利子 訳
(ブルーノ・コンビ:1960年フランス生。作家) |
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『仕事も勉強もはかどる 15分間昼寝術』 |
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草思社・08年2月刊、¥1,400 |
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たった15分の昼寝で集中力も判断力もアップ、仕事の効率は2割増し!最新睡眠研究の成果をもとに、脳と身体を活性化するための最も簡単な方法を伝授する書。
人はいつの頃からか眠気と闘うようになった。しかし、睡眠に関する研究が進み、驚くべき事実が明らかになった。人間は、夜の長時間と昼の短時間、1日に2回眠るように遺伝子にプログラムされていたのだ。そればかりか次々と昼寝の効用が明らかになってきた。日中15~20分の睡眠で、集中力も判断力も増し、生産性は20%アップする。ひらめきの源でもあり、発明・発見が昼寝中に行なわれたという事例も数多くある。また、ストレスが減り、夜はかえって快眠が得られるともいう。怠惰と思われていた「昼寝」の概念をくつがえし、より創造的で健康な人生を手にするための画期的な方法論。 |
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堀 忠雄・著
(1944年北海道生。広島大学総合科学部教授。精神生理学) |
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『快適睡眠のすすめ』 |
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岩波新書(新赤版)、岩波書店・00年7月刊、¥780 |
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快い眠りは健康で充実した生活の必要条件だ。しかし今日、睡眠不満を訴える人はひじょうに多い。なぜ不十分になるのか、快適睡眠のために何をすべきなのか。眠気のリズムを知り、それにうまく合わせることはもちろん、昼間の過ごし方も大切だ。リズムを乱しておこる障害や、効果抜群の昼寝とおやつ、サバイバル睡眠法も紹介。 |
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昼寝がボケを防ぐ?〜睡眠は脳を活性化させる〜 |
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寝ることで記憶の定着が起きる |
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睡眠は前日の記憶の整理をし、重要なものだけを忘れないようにしっかりした記憶に変化させることが分かって来ました。たとえば練習によって運動のプログラムが脳の中に作られるわけですが、練習をするだけではなく、間に睡眠が入ることで、その運動プログラムがよりよいものになるのです。英単語の勉強などでもそうですが、それ以外にも、たとえばゴルフのスイングが睡眠の後でよくなったりすることでもそれが分かります。これは、睡眠を取ることで最も能力が発揮できる運動プログラムだけが残され、翌日になると運動能力が上がってくるという仕組みです。つまり、睡眠中に余分な記憶を整理して大切な運動プログラムだけを残すことで能力アップが起こるのです。 |
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睡眠が脳を活性化させる |
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睡眠中は脳へゆく血液が増えるので、脳が活性化して来ます。実際に神経成長因子が睡眠中に増えて、神経細胞同士のネットワークが出来やすくなるのです。これを言うならば、日中に得た情報を整理して脳のバージョンアップを図っているようなものです。従って、不眠が続くと次第に頭がボンヤリして来て、充分に能力を発揮することが出来なくなってしまうのです。要するに、眠ることで脳を休ませるのではなく、却って脳を元気にしているのです。 |
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昼寝が認知症予防になる |
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ある調査によって、昼寝をする人に認知症が少ないことが分かって来ました。医学的な理由は必ずしもハッキリしていませんが、1時間以内の昼寝を取っている人の方が認知症の発症が少ないことが分かっています(※ただし、1時間以上昼寝をすると、却って認知症になりやすくなるので、その辺はくれぐれも注意が必要です)。会社では昼寝は中々難しいかも知れませんが、30分くらいのちょっとした昼寝を取ることを是非試してみては如何でしょうか? |
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不眠を気にし過ぎない |
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加齢につれて次第に深い睡眠を取ることが出来なくなります。また、早朝に覚醒したり深夜に目が覚めてしまうことも多くなります。一般的には6〜7時間の長さの睡眠が理想的なのですが、歳を取ると次第に睡眠時間が短くなって来るのです。しかし、それは年齢的な変化でもあり、病気ではありません。夜9時に寝て午前3時に目が覚めても、それは大して問題はありません。むしろ問題なのは、たくさん寝た方が身体によいと思ってしまいがちなことです。これは仕方のないことですが、実は10時間以上の睡眠は寿命が短くなることが分かっているのです。
なお、睡眠薬を使うと脳がダメになると思っている人も一部にはいるようですが、そんなデータはどこにもありません。不眠で悩み過ぎるのは問題ですが、不眠であれば、むしろ睡眠薬を使ってでもぐっすりと眠た方がよいと思います。 |
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参考:高齢者における短い昼寝の効果 |
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ある実験によると、65歳以上の高齢者に30分の昼寝を取ってもらったところ、午後の眠気が改善し、覚醒度や作業成績も上昇したと言います。また、毎日30分の昼寝をすると、夜間睡眠も良好になるとも言われています。その一方で昼寝の最中には血圧が低下するので、中高年が昼寝をすれば高血圧や虚血性心疾患の予防に役立つという報告もあります。しかしその反面、睡眠から起床する際には交感神経系の活動が急激に亢進するので、午前中に多発する脳梗塞や心筋梗塞が昼寝から目覚めた時にも発生する可能性があることも一部では指摘されています。実際、高齢者における昼寝の習慣と死亡危険率との関係をみた報告によると、昼寝の習慣を持たない高齢者と比較した場合、1時間以上の昼寝を習慣的に取っている高齢者では、死亡の危険率は3倍、2時間以上の昼寝を取っている場合ではこれが何と14倍にも達しているのです。また、昼寝の時間とアルツハイマー型痴呆発生の危険率を調べた報告によると、昼寝の習慣のない高齢者と比較して1時間以上の昼寝を習慣的に取っている高齢者では、アルツハイマー型痴呆発生の危険率が何と2倍以上にも増加したそうです。
そうは言っても、たとえ昼寝の習慣があった場合でも、その昼寝が1時間以内の高齢者の場合には、死亡危険率は昼寝を取らない高齢者と差はなく、さらに昼寝の時間が30分以内であれば、アルツハイマー型痴呆発生の危険率もなんと5分の1まで低下することが分かっています。このように30分間以内の短い昼寝であれば、午後の眠気予防と夜間睡眠の改善に役立つだけでなく、種々の疾患の予防効果を持つ可能性があるわけです。(※ただし女性高齢者の死亡危険率は、昼寝を取らない場合と比較して1時間以内の昼寝でも死亡率は5倍になるとする報告もあります。このように、昼寝の時間が30分間以内であれば死亡危険率は低下するのか、或は短い昼寝の効果に性差が存在するのかは、残念ながら今のところ |
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