■カレー粉の種類 |
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ガーリック(Garlic・ニンニク): |
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ユリ科のセイヨウニンニク及びオオニンニクの鱗茎を乾燥したものをガーリック(ニンニク)と総称している。漢方では健胃や発汗、利尿、去痰、整腸、殺菌、駆虫の効果を期待して用いられる。また、ヨーロッパの民間では古くから急性及び慢性の伝染性胃腸炎、赤痢、腸チフス、動脈硬化、高血圧症などに広く応用されている。
⇒参考:ワンポイントアドバイス「ニンニク」 |
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ジンジャー(Zinger・生姜): |
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ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥又は蒸して乾燥したもの。漢方では生姜と乾姜があり、前者はそのまま、後者は蒸して乾燥したものだが、漢方の医方書の生姜は古根(ヒネショウガ)を用い、乾姜は普通の乾燥品を用いる。生姜は新陳代謝を促進し水毒を去る目的で、嘔吐や咳、頭痛、腸満、実証の発熱、鼻づまりなどに用い、乾姜は腹冷痛や腰痛、瀉下などに応用されている。ショウガの成分は精油及び辛味成分で、これが食欲増進や健胃、鎮嘔、鎮痛作用を示すとされている。
⇒参考:ワンポイントアドバイス「ショウガ」 |
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チリー(Chilly・唐辛子): |
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ナス科のトウガラシ及びそれらの多くの変種、品種の果実。トウガラシは世界各地で栽培され、多くの品種が作られており、中にはピーマンのように辛くない品種もあるが、その殆どは辛いもので、カレーの辛味の中心となる。また、辛味成分はカプサイシンと呼ばれるもので、興奮、局所刺激作用があり、駆風(腸内のガスを出すこと)や健胃の効果もあって、消化不良や胃炎、疝痛などに用いられる。またトウガラシチンキは、ヨーロッパや日本でリウマチや神経痛、腰痛、凍傷などに塗布する。 |
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パセリ(Parsely): |
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地中海沿岸地方原産のセリ科の若葉で、西洋料理には欠くことのできないものとなっている。アピオールという精油成分を含み、ビタミンC、A、B群が豊富で、葉や果実はヨーロッパの民間では消化促進剤として用いられる。 |
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ミント(Mint・薄荷): |
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ミントは厳密にはペパーミントのことで、ヨーロッパ原産のシソ科のセイヨウハッカで、葉をすり潰したり揉んだりして、油分を肉や魚のソースに入れたり香辛料として用いる。なお、ハッカの葉を水蒸気蒸留して得た精油からハッカ脳を除いたものをハッカ油と称し、日本薬局方にも収載されている。ハッカ油は芳香健胃や駆風薬として内服し、また、局所刺激薬として鎮嘔や抗消炎の意味でうがい水などに入れられる。日本でもハッカ葉は古くから民間的に虫に刺された傷や蛇咬傷などにもんで貼るなどの使い方がされていた。 |
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マスタード(Mastard・芥子): |
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日本薬局方で規定されている芥子は、アブラナ科のカラシナ及びその栽培品種の種子。辛味は種子に含まれる配糖体シニグリンがミロシンという酵素の作用で分解され、アリルイソチオシアネートを生ずることで生成する。そのため、カラシ粉は熱湯で溶くと酵素が働かず、辛味がなくなる。薬用としては局所刺激や発泡薬とし、または芥子を微温湯でといた芥子泥はリウマチや神経痛などの痛みを取るために貼って使われる。さらにカラシは食欲増進剤として食用嗜好品ともされており、インドネシアのジャワ島では駆梅薬としても使用される。 |
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ターメリック(Turmeric・ウコン): |
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インド・熱帯アジア原産ショウガ科のウコンの根を乾燥したもの。カレー粉の黄色はウコン中に含まれる色素成分クルクミンにによるもので、ウコン自体はスタフィロコッカス属などの菌に対し抗菌作用があり、また、同時に含まれるフェルラ酸と共に胆汁分泌促進作用があるとされている。 |
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クミン(Cumin・馬芹): |
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東地中海地方原産のセリ科クミンの果実で、他のセリ科植物の果実に比べて刺激性や芳香性が温和だと言われる。インドでは香味料の他に駆風薬とし、マレーシアでは胃腸薬や収斂薬として用いられる。 |
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ブラックペパー(Black Pepper・黒胡椒)、ホワイトペパー(White Pepper・白胡椒): |
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胡椒には黒胡椒と白胡椒があるが、それらは加工法の違いによるもので、共に原植物は南インド原産コショウ科のコショウを指す。この果実をやや未熟のうちに採って天日乾燥したものが黒胡椒で、一方、完熟させてから採取し、約1週間水に浸して外皮を去り、乾燥させたものが白胡椒となる。なお、胡椒の精油成分は殆ど外皮に含まれているので、白胡椒の方が香味が穏やかで、そのためヨーロッパでは白の方が好まれている。また、薬用としては健胃や消化促進薬として用いられ、マレーシアではハチミツと混ぜてリウマチや頭痛に刺激剤として外用されている。 |
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カルダモン(Cardamon・ショウズク): |
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南インド原産ショウガ科のカルダモンの果実で、インドにおいて古くから芳香性健胃薬として用いられている。日本では山椒の代用として苦味チンキや芳香チンキの原料とされているが、直接薬用とはしていない。使用時には果実を割って種子を用いる。 |
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クローブ(Clove・チョウジ): |
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香料諸島と言われるモルッカ諸島原産のフトモモ科植物の花蕾で、精油オイゲノールを含み、強い芳香がある。薬用としては消化機能促進や駆風薬として各種の家庭薬に配合され、その他含嗽剤などの矯臭薬としても用いられている。 |
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コリアンダー(Coriander・コズイシ): |
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地中海地方頭部原産セリ科のコエンドロの果実で、ヨーロッパでは古くから健胃・駆風薬とされ、紀元1世紀の医者ディオスコリデスは肝臓や腸、眼の病気によいと記している。 |
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ナツメグ(Nutmeg・ニクズク): |
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チョウジの原産地モルッカ諸島の近くのバンダ諸島に原産するニクズク科ニクズクの種子で、使用するときは種皮を割ってその仁を用いる。成分は精油2〜9%、脂肪、芳香成分ミリスチシンなどで、芳香性健胃、矯味矯臭薬としての需要が多くなっている。 |
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キャラウェイ(Caraway・カルム実): |
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ヨーロッパ東部〜アジア西部地域原産のセリ科ヒメウイキョウの果実で、ウイキョウ(フェンネル)の代用品として健胃・駆風薬として使われ、また、料理や製菓の香料とされている。 |
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ベイリーフ(Bay Leaf・月桂樹葉): |
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南ヨーロッパ原産のクスノキ科ゲッケイジュの葉で、精油1〜3%を含み、ヨーロッパにおいては芳香性健胃薬として内服し、リウママチや疹癬などの塗布薬としても使われる。果実も月桂実と称し苦味健胃薬として使われている。 |
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オールスパイス(All Spice・ピメント): |
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西インド諸島のジャマイカ島に産するフトモモ科ピメントの果実で、スパイス界のビッグスリー・チョウジ、ニクズク、ケイヒの香りを兼ね備えたものというのでオールスパイスの名がある。精油を含み、食料香料として多用されるが、が薬用には使われていない。 |
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フェンネル(Fennel・ショウウイキョウ): |
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ヨーロッパ原産セリ科のウイキョウの種子で、各国の薬局方に記載されている。精油3〜8%、主成分はアネトールで、その他ピネン、アニスアルデヒドなどを含み、芳香性健胃や駆風、去痰薬として粉末(1日0.5〜2g)又は浸剤(5〜15g)で用いる。 |
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タマリンド(Tamarind・チョウセンモダマ): |
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熱帯アフリカ原産マメ科タマリンドノキの果泥で、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸類を含み、かつては清涼緩下剤として用いた。なお、この樹はインドや東南アジア諸国では並木として植えられており、果実のビタミンB群含有量は非常に高く、また、種子はガム剤としても用いられ、今後大いに活用されるものと考えられる。 |
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