【1】あなたを襲う睡眠障害〜その種類と対処法〜 |
日本人の5人に1人は不眠で悩んでいると言います。本節では、睡眠薬について解説する前に、不眠症を含む睡眠障害について、その種類と対処法について取り上げ解説しました。
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日本人の5人に1人は不眠で悩んでいる |
24時間型の生活習慣による生活リズムの乱れやストレスに満ちた社会を反映して、昨今不眠に悩まされる人が増えているようです。たとえば厚生労働省が行なった睡眠に関する調査によると、睡眠に関する問題で困った経験を持つ人は36.4%(女性39.3%、男性32.4%)、また現在睡眠に関する問題を抱えて困っている人は19.6%(女性20.3%、男性18.7%)と、現代人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えていることが分かっています。さらに、この中で悩みが1ヶ月以上持続している人は11.7%と、何と10人に1人が長期の不眠で悩んでいるという深刻な状況が浮かび上がっています。
また、20歳以上の3030名を対象にしたある調査においても、「睡眠で十分に休養が取れていない」という人が23.1%に達し、特に20〜40歳代の働き盛りの年代に多く見られました。その理由としては、多忙により睡眠時間が十分に取れないという社会生活上の理由が最も多く、次に多かったのが精神的ストレスでした。家庭や学校、職場、ありとあらゆる場所でさまざまなストレスにさらされている現代人にとって、いまや「不眠」は生活習慣病の一つと言えるかも知れません。
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睡眠障害&不眠症の種類とその原因 |
■睡眠障害の種類と特徴 |
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不眠症: |
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睡眠の開始と維持が障害された状態を言います。いわゆる「不眠症」の代表的な症状には、(1)入眠障害、(2)中途覚醒、(3)早朝覚醒、(4)熟眠障害が挙げられます。その他、病気の治療薬による副作用として生じる不眠や身体疾患による不眠、精神疾患による不眠、痴呆を含む脳器質性疾患による不眠などがあります。 |
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過眠症: |
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昼間に強い眠気があり、一度眠ると自然に覚醒(目を覚めること)できにくい状態を言います。特にナルコレプシーという病気に代表される睡眠障害で、症状としては、危険な作業中や食事中でも耐え難い眠気に襲われ、眠り込んでしまいます。 |
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睡眠リズムの異常(概日リズム睡眠障害): |
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睡眠と覚醒には約25時間の周期で変化するリズムがありますが、このリズムに変化が起きてしまい、夜に眠れなくなってしまう状態を言います。これは体内の活動と休息のリズムが昼夜のリズムや社会の活動リズムと一致しないために起こる睡眠障害で、一般的には「時差ぼけ」と呼ばれる症状に代表されますが、その他、交代勤務制によるものや遅寝遅起きを繰り返した結果、昼夜が逆転してしまう「睡眠相後退症候群」などもあります。 |
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睡眠中の行動による不眠: |
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夜驚や悪夢、イビキなど睡眠中の行動によって睡眠が障害される状態を言います。特に代表的なものが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。これは途切れがちに続く大きなイビキが特徴で、10秒以上の呼吸停止が一晩に数十回以上起こり、睡眠が中断されます。高血圧や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを合併するケースもあります。 |
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その他の不眠: |
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その他、足の関節や膝の間などにムズムズした感覚があるために入眠が妨げられる「むずむず足症候群」や、一般的に「寝ぼけ」と呼ばれる睡眠時遊行症(夢遊病)などの症状も睡眠障害のひとつと考えられています。 |
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■不眠症の種類と特徴 |
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入眠障害〜布団に入っても中々寝付けないタイプ〜 |
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眠ろうとしても中々眠れないという、いわゆる「寝つきが悪い」ケース。眠ろう思って布団にに入ってから実際に眠りにつくまで一般的にに30分以上を要し、それを本人が苦痛と感じていれば入眠障害の疑いがあるとされます。心配事や精神的ストレス、睡眠にこだわりを持っている人などで起こりやすくなると考えられています。何れにせよ、横になってから実際に寝つくまでの時間には個人差がありますが、寝付くまでに30分以上かかる日が何日も続くとなると、「眠らなくては」という意識が強くなり、一層眠れなくなってしまうことが多いようです。ちなみに日本睡眠学会で発表された「睡眠実態調査2002」では、「床に入ってから眠りにつくまでの時間」を30〜60分と答えた人が全体の約3割を占めていたとされます。また、日本では成人の8.1%がこうした寝つきの悪さを経験していることが示されていますが、年齢による差は特にないようです。 |
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中途覚醒〜夜中に何度も目が覚めてしまい、再び寝つくのが難しいタイプ〜 |
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夜中に何度も目が覚めてしまう症状で、飲酒や夜間の頻尿、むずむず脚症候群など睡眠を妨げる身体的な原因がある場合に起こりやすくなります。睡眠障害のタイプの中でも特に多いタイプで、日本では成人の15%が中途覚醒の不眠を経験しているとされています。特に高齢者に多く見られ、60歳以上になると20%以上の方が中途覚醒を訴えています。なお、最近では慢性的な運動不足の若い世代にも見られることが多くなりました。 |
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早朝覚醒〜朝早く目覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプ〜 |
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朝早いうちから目が覚めてしまう、起きようと思っている時刻よりもずっと早くに目が覚めてしまい、それ以降眠れなくなってしまう症状。日本では成人の7.9%が早朝覚醒の不眠を経験しています。一般に特に高齢者でよく見られる症状ですが、これはうつ病の初期にもみられる症状なので、うつ病患者が増加している現代では最近は若い世代にも見られます(※この場合はうつ病の初期症状と考えられる場合もありますので、注意が必要です)。 |
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熟眠障害〜睡眠時間の割りには、朝起きた時にぐっすり眠った感じがしないタイプ〜 |
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一定の睡眠時間は確保できているものの熟睡できたという満足感が得られず、心身の疲労も回復できない症状で、一般的に「眠りが浅い」と感じる状態を言います。これは、寝ついたにも拘わらず途中で何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」が原因となっている場合があります。ただし、尿意や夢を始めとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。また、「睡眠時無呼吸症候群」や「むずむず足症候群」などの病気が原因であることも考えられます。そのため、中途覚醒の自覚のあるなしに関わらず、「ぐっすり眠った」「熟睡した」という感覚が得られない場合は熟眠障害を疑ってみる必要があります。ちなみに健康な人の場合、よく眠ったという熟睡感は深いノンレム睡眠の量と相関するとされています。ですから、睡眠時間は確保できていてもノンレム睡眠の量が少ない、つまり脳が深く眠っている時間が少ない場合には、「ウトウトしただけで一晩中殆ど寝ていない」という感覚を覚えるのです。 |
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その他 |
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その他、女性特有の不眠もあります。女性の睡眠は女性ホルモンに左右され、生理前には黄体ホルモンの作用により日中の眠気が強くなることがあります。妊娠中にも眠気が強くなるのも同じ理由です。反対に加齢と共にホルモンバランスが乱れ、卵巣の機能の低下に伴って女性ホルモンの分泌が減少すると眠りが浅くなってしまうこともあります。さらに更年期を迎えると、中途覚醒などの睡眠障害を訴える人が増えてきます。家事や育児でのストレスに加えて働く女性も増え、仕事上でのストレスを抱えることも多くなりました。女性ホルモンと共に、こうした精神的な問題も睡眠障害には関係しています。 |
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■不眠症の原因 |
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神経症型: |
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不眠症の中で最も多いのがこれ。これは一種の不眠ノイローゼで、本当の意味での不眠ではありせん。寝つきが悪いため、お茶を飲んだり本を読んだり、しばしばトイレに行ったり、昼間には昼寝をしたりしている人も多いが、一度眠るとたっぷり眠っていることが多くあります。これは就寝と起床の時間をきちんと決めるだけでも改善が望めます。 |
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うつ病型: |
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これが本物の不眠症です。寝つきは比較的よいが、2〜3時間すると夜中に目が覚めて苦しい思いをする。憂鬱やイライラ、ぼんやりする、食欲不振、胃腸不良、急にやせる、手足の冷えや熱、自殺願望などのうつ病の症状が見られる場合は、早めに専門医に相談しましょう。とにかく原因のうつ病を改善することが先決です。 |
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睡眠・覚醒リズム障害によるもの: |
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何らかの理由によって、1日24時間で身体を整える体内時計が故障したことによる睡眠異常です。昼間猛烈に眠くなったりする場合はこの障害である可能性が高いといってよいでしょう。 |
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睡眠時無呼吸によるもの: |
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睡眠中に呼吸が抑制され、眠りが浅くなっていることから起こる不眠症です。肥満や顎の異常、扁桃腺肥大、睡眠薬・アルコールなどが原因として考えられます。 |
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循環器疾患によるもの: |
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高血圧やアレルギー・心臓疾患・泌尿器疾患・胃腸障害・肝疾患など内臓に慢性的な生活習慣病を抱えている場合、その異常を伝える信号が絶えず脳に送られ続け、脳は緊張し睡眠は浅くなることがあります。生活習慣病は、ひどくなるまで本人は中々気づかないものです。できれば健康診断などを受けてみるのもよいでしょう。 |
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脳の病気によるもの: |
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脳動脈硬化症や脳卒中後遺症、認知症も不眠を併発することが多くあります。問題は意識障害なので、その治療を進めることになります。 |
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睡眠環境によるもの: |
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寝ている間の騒音や光、身体によくない寝具などにより無意識に熟睡を妨げられていることは多くあります。一度再点検をしてみましょう。 |
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不眠症の検査と診断 |
不眠症の検査では一体どのようなことを行なうのでしょうか?
睡眠そのものを調べるためにはポリグラフ検査を行ないます。この検査では、色々な装置をつけて一晩眠り、睡眠時の脳波や心電図、眼球運動、顎や下肢などの筋電図に加え、必要に応じて呼吸運動や換気の様子、イビキも記録します。この検査を行なえば、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの診断も正確に行なうことができます。なお、睡眠のパターンだけでなく生体リズムを把握するために細い柔らかなチューブ状の直腸体温計を肛門に入れて、体温の変化を見ることもあります。
■睡眠状態チェックポイント |
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どんなふうに眠れないか? |
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- 寝つきが悪い
- 眠りが浅い
- よく目が覚める
- 朝早く目が覚める
- 金縛りを起こす
- 寝ようとすると、ふくらはぎや足先がむずむずする など
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寝ている時の様子 |
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- イビキをかく
- 歯ぎしりをしている
- 寝言を言う
- 寝相が悪い など
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起きている時の様子 |
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- だるくてやる気がしない
- つい居眠りしてしまう
- 不眠のことを考えてしまう
- 昼夜逆転した生活をしている
- コーヒーやお茶などをよく飲む など
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不眠症の治療法 |
不眠症の治療には、(1)睡眠薬を使わない治療と、(2)睡眠薬を使う治療(薬物治療)の2つがあります。※なお、不眠症の治療に当たっては必ず専門医(不眠症外来担当医など)にご相談下さい。
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睡眠薬を使わない治療 |
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- 生活指導:
睡眠環境を整える、食事や嗜好品についての習慣を改める、適度な運動をする、肥満を治すなど、まず生活改善を行ないます。
- リラックス療法:
よい眠りを得るためには心身のリラックスが欠かせません。そこで就寝前に自立訓練法を行なったり、リラックスした時の脳波が出るようにコントロールしたりします。
- 精神療法:
精神疾患とまでゆかなくても、様々なストレスや悩みが原因で不眠になっている場合、簡単な精神療法を取り入れると効果的です。
- 高照度光療法:
主に睡眠時間帯が社会生活にとって望ましい時間帯とズレてしまっている場合に用いられる治療法です。2500〜3000ルクスの高照度光を照射することにより睡眠や体温といった生体リズムを人為的にズラすことで効果を得る方法です。
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睡眠薬を使わない治療 |
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不眠症の治療で現在使われている睡眠薬の殆どはベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬で、感情の変化やストレスによる脳神経の興奮を抑えることで眠りを誘う(自然な眠りが起こる仕組みに近い)作用を持っている薬です。薬の量を増やさなければ薬が効かなくなることを「耐性ができる」と言いますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は医師の指示を守って服用していれば耐性ができることはまずなく、長い期間服用していても中毒症状が起こることも殆どありません。ちなみに、このベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、薬の効く時間が短いものから長いものまで4つのタイプに分けられ、症状に合わせて最も適したタイプの睡眠薬が処方されます。(※なお、最近では全国の薬局・薬店で購入できる睡眠改善薬も登場しています。これは病院で処方される睡眠薬とは異なり、抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミン等を配合し、催眠作用を発揮させるのが特徴です。) |
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【2】医者で処方される睡眠薬〜睡眠導入剤の効果とその種類〜 |
睡眠薬(睡眠導入剤)は医師の処方箋なしでは入手できません。本節では、その睡眠導入剤の特徴や種類等について解説しました。
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睡眠薬(睡眠導入剤)の効果 |
睡眠薬(睡眠導入剤)の効果として、寝つきがよくなるとかよく眠れるといったものが一般的に知られていますが、他にも睡眠薬の効果として、(1)精神的な不安や緊張が和らいだり解消されたりする、(2)筋肉がほぐれて身体全体をリラックスさせるといった効果が挙げられます。これらの効果は、実はベンゾジアゼピン系睡眠薬(睡眠導入財)を服用した時点から、その成分が血液中に吸収され始め、時間経過と共に血中濃度が上昇する過程で起こる効果です。そして、血中濃度がより上昇してくると睡眠作用が起こり、その結果眠気を催します。また、(1)の効果のみを目的として一定の血中濃度に留まるように製造される抗不安薬などもあります。このように不眠の症状によって睡眠薬を使い分けることも可能です。なお、ベンゾジアゼピン系睡眠薬には種類によって「抗不安作用」「鎮静作用」「抗てんかん作用」と強さによる効果が異なり時間(睡眠薬を飲んだ時から作用するまでの時間)で、これを分類すると以下のようになります。
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超短時間作用型: |
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旅行中などの一時的な不眠や寝付きは悪いが、一度寝入ってしまえば朝までよく眠れる人 |
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睡眠薬の中でも半減期の特に短い睡眠薬は超短時間作用型の睡眠薬で、睡眠導入剤として寝つきをよくする効果があります。睡眠薬を飲んだ時から1時間くらいで血中濃度が最高値になり、作用時間が2〜4時間と短い。
睡眠薬を服用後に血中濃度が最大値になるまでの時間が1時間程度と非常に短く、また、作用時間が2〜4時間ほどの睡眠薬で、寝つきが悪い人(入眠障害)や旅行などによる一過性の不眠に適した睡眠薬です。作用時間が短いことから翌朝まで眠気やふらつきなどの薬が残る持ち越し効果が殆どありません。ただし、連用した後で急に服用を中止すると強い不眠が現われる反跳生不眠を起こしやすいので、中止する時には、一気に止めるのではなく、徐々に薬の量を減らしてゆく必要があります。また、日中に不安が現われることもあります。 |
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短時間作用型: |
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睡眠中に目が覚める中途覚醒や早く目が覚めてしまう早朝覚醒の人で症状の軽い人 |
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睡眠薬の効果が現れるまでの時間が短く、作用時間が5〜10時間程度の睡眠薬で、一度眠りについても直ぐに目が覚める不眠に効果があります。入眠障害のある方及び一度は眠ったものの途中で目が覚めてしまう中途覚醒の症状がある方に用いられます。超短時間型睡眠薬に比べると切れ味は劣りますが、日中の不安が超短時間型のものより起こりにくいと言われています。そして、比較的持ち越し効果の少ない薬です。 |
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中時間作用型: |
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睡眠中に目が覚める中途覚醒や早く目が覚めてしまう早朝覚醒の人で症状の重い人 |
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作用時間が約20時間ある睡眠薬で、入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒など幅広く用いられます。なお、日中も気持ちを落ち着ける作用が継続するため不安感の強い人に使われます。ただし、比較的長時間作用のため、眠気やふらつくなどの症状が起こる場合があり、いわゆる持ち越し効果が現われることがあるので注意が必要です。 |
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長時間作用型: |
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日中に不安がある睡眠障害や作用時間が24時間以上も続く薬は日中も眠気が強く残りスッキリせず、通常特別な場合以外には使用されない |
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長時間作用型の睡眠薬は作用時間30時間ぐらいで、鬱病などの精神疾患による不眠に対して効果があります。
中時間作用型より更に長時間作用する薬で、抗不安薬として日中に強く作用するため、昼間に起きている間も抗不安剤薬として利用されます。要するに1種類で早朝覚醒の改善と日中の抗不安の両方の目的で使用される薬です。なお、抗不安の目的で使用するの場合の病例として鬱病や統合失調症(旧名:精神分裂病)などがあります。また、作用時間が長いことから持ち越し効果が現われやすいので注意が必要になります。 |
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睡眠導入剤の種類 |
■睡眠導入剤の分類 |
睡眠導入剤は不眠(不眠症)や睡眠障害などの治療に用いられるもので、科学的構造の違いにより大きく以下の5種類に分類できます。 |
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ベンゾジアゼピン系: |
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代表的な睡眠導入剤としてハルシオン(一般名:トリアジラム)があります。この睡眠導入剤は脳や中枢神経に働きかけることで不安を抑制する効果があります(※毒性が低いので、比較的安全性が高い睡眠導入剤として不眠治療に広く用いられています)。 |
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チエノジアゼピン系: |
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代表的な睡眠導入剤としてグッドミン(一般名:ブロチゾラム)があります。この睡眠導入剤もハルシオンと同じく比較的安全性の高いものです。 |
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シクロピロロン系: |
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代表的な睡眠導入剤としてアモバン(一般名:ゾピクロン)があります。この睡眠導入剤は超短時間で効果が現われる睡眠薬です。 |
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抗ヒスタミン剤: |
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これはアレルギーを抑える薬として知られるものですが、睡眠改善薬としても効果があります。 |
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バルビツール酸系: |
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中枢神経抑制作用のある睡眠導入剤で大量投与することで麻酔作用があります。ラボナなどの催眠鎮静薬はこのバルビツール酸系の分類に属し、一時的な鎮静を目的として投与されます(※症状が重い不眠やベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤が効かない場合に投与されます)。 |
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■睡眠導入剤の種類 |
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ハルシオン |
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商品名(一般名):ハルシオン(トリアゾラム錠)
- 薬価:17.4円/0.25mg、1錠
- 特徴:超短期作用型・ベンゾジアゼピン系で古くから使われている睡眠薬。最高血中濃度に到達する時間は1.2時間,半減期は22.9時間、作用時間は7時間とされています.ですから、寝る直前に飲んで就寝する習慣をつけましょう。
- 副作用:安全性の高い薬だとされていますが、眩暈やふらつきが起きることがあるので、原則として就寝前に服用するよう処方されます。服用後の活動は事故の原因となるので避けましょう。また、起床時にぼーっとすることがあるので、起きてから直ぐ活動しないようにしましょう。
- コメント:ハルシオンは昔大量に使用した人のニュースが出て以来、何かとニュースになり、悪いイメージを持っている人も多いようですが、しかし、安全性は比較的高い薬です。また最近では、ハルシオンよりも作用時間が短く、起床時の思考抑制などが少ないと言われるマイスリーがあります。
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マイスリー |
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商品名(一般名):マイスリー(酒石酸ゾルピデム錠)
- 薬価:52.2円/5mg、1錠
- 特徴:超短期作用型・非ベンゾジアゼピン系で、日本では2000年に認可されたまだ新しい睡眠薬です。持ち越し効果(朝ボーっとする)が弱く、翌朝の眠気や不快感が少ないとされます。薬に対する慣れ(耐薬性)や中止時の不眠(反跳性不眠)も少ないと言われます。
- 副作用:比較的安全性の高い薬です。正しく服用する限り、重い副作用はまずありません。ただ人によっては、翌朝に眠気やふらつき、倦怠感、脱力感などが残ることがあります。また、前方健忘(薬を飲んだ後の行動をすっかり忘れる)などの症状が出る人もいるようです。また、高齢の人は転倒にも注意が必要です。
- コメント:ハルシオンに代わる新しい睡眠薬です。でも、今はまだ価格が非常に高いです。作用時間はハルシオンよりも短く、起床時の思考抑制などが少ないと言われるマイスリーですが、その代わり比較的作用が弱い薬でもあります。マイスリーに限ることではありませんが、前方健忘など副作用が強く起こる場合、肝臓の機能が低下している恐れがあります。なので、血液検査など定期的に体調管理をしてゆくことがぜひとも必要になります。
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レンドルミンとレンデム |
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 商品名(一般名):レンドルミンとレンデム(ブロチゾラム錠)
- 薬価:32.8円/0.25mg、1錠(レンド);13.7円/0.25mg、1錠(レンデ)
- 特徴:短期作用型・ベンゾジアゼピン系で、88年から販売されている睡眠薬です。最高血中濃度に到達する時間は1.5時間,半減期は7時間とされます。ハルシオン同様短時間に効き目が現れますが、作用の強さはハルシオンより随分弱いです。
- 副作用:比較的安全性の高い薬です。正しく服用する限り、重い副作用はまずありません。ただ、人によっては翌朝に眠気やふらつき、倦怠感、脱力感などが残ることがあります。また、高齢の人は転倒にも注意が必要です。
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ベンザリン |
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商品名(一般名):ベンザリン(ニトラゼパム錠)
- 薬価:12.7円/55mg、1錠
- 特徴:中時間作用型・ベンゾジアゼピン系で、古くから使われている睡眠薬です。抗不安薬、麻酔前投薬、自律神経発作などにも効果があります。
- 副作用:比較的安全性の高い薬です。正しく服用する限り、重い副作用はまずありません。ただ人によっては、翌朝に眠気やふらつき、倦怠感、脱力感などが残ることがあります。また、高齢の人は転倒にも注意が必要です。
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ドラール |
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商品名(一般名)::ドラール(グアゼパム錠)
- 薬価:132.5円/15mg、1錠
- 特徴:中〜長期作用型・ベンゾジアゼピン系で、日本では99年に認可された新しい睡眠薬です。覚醒時の気分に優れ、日中の身体の状態も良好とされます。また、服薬中断時の反跳・不眠が少ないことが認められています。
- 副作用:常用量の服用では翌朝まで作用が残ることはありませんが、仕事に支障を来さない程度の強い眠気やふらつき、倦怠感のある時もあります。時に強い精神症状や意識障害、興奮を呈することがあります。高齢者や心臓、肺の悪い人には注意を要します。また、妊娠中や授乳中の婦人、高齢者には副作用が起こりやすいので注意が必要です。ちなみに、妊娠3カ月以内では同様の薬で奇形児の出産の可能性が飲まない人と比べ高いことが報告されています。
- コメント:ドラールはハルシオン等に比べ中〜長時間作用する睡眠薬です。また、新薬ということで高価格ですが、安全性もあり、効き目がよいと定評があります。なお、就寝前の空腹時に服用し、服用後は夜食など摂らないようにしましょう(※胃に食物があると作用が強まる場合があります)。鬱病だけでなく、極度な睡眠障害や統合失調症などでも、睡眠薬として使されています。ちなみにその場合の例として、たとえばハルシオンやデパス(抗不安薬)と組み合わせる処方があります。これは、まずハルシオンで一気に寝付かせ、デパスでさらに睡眠中の不安を取り除くことで、中盤からドラールの血中濃度が高くなり、朝までぐっすり眠れるというわけです。
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参考1:薬局で買えるのは睡眠改善薬 |
睡眠改善薬は一般の薬局で購入可能で、一時的な不眠対策(睡眠効果)が期待できる薬です。一時的な不眠対策とは、たとえば生活環境の変化や海外に出かけ時差や環境変化、枕が替わった、気にかかることがあるなどで眠れない、眠りが浅いなどで長期的な不眠対策でない場合を言います。睡眠導入剤が医師の処方がなければ入手できないのに対して、睡眠改善薬は薬局で購入できるというように、睡眠改善薬と睡眠導入剤には、その入手方法はもちろん不眠対策の目的が異なります。また、主成分もそれぞれで異なります。
睡眠改善薬の主成分は、 抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンです。抗ヒスタミン剤は鼻水や風邪によるクシャミ、花粉症などに効果があるものとして知られています。元々ヒスタミン剤には脳を目覚めさせる働きがあり、これを抗ヒスタミン剤で抑制し睡眠効果を得るという形になります。なお、数社から発売されている睡眠改善薬に含まれる成分(塩酸ジフェンヒドラミン)量は同量(50mg)なので、効果的にはどの睡眠改善薬でもよいということとになります。なお、睡眠改善薬は1人1回につき1個までの購入が可能ですが、特に使用上の注意点としては、不眠治療を既に受けている人は使用できませんし、他の治療で通院中の人は事前に医師との相談が必要になります。要するに医師の処方が必要でないからこそ服用の量や回数などの自己管理を徹底した使用が大切になります。
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