【1】ヘルパンギーナと夏風邪 |
夏風邪の一つ、ヘルパンギーナが流行しています。
本節では、夏風邪一般の対象法と共に、他の夏風邪とヘルパンギーナの違いについて簡単に解説しました。
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ピークを迎えた子どもの夏風邪、ヘルパンギーナ |
ヘルパンギーナは乳幼児の間で流行しやすい夏風邪の一種です。例年6〜7月頃に流行しますが、今年はゴールデンウィークを過ぎた頃から患者が増加しています。
国立感染症研究所が7月15日にまとめた感染症週報第27週(6月30〜7月6日)の「定点当たり報告数」(報告数/定点医療機関数)は2.54で、昨年の同時期(1.78)に比べて高くなっています。都道府県別では鳥取県が7.16と過去5年間で最も高く、ヘルパンギーナ警報が発令されています。次いで宮崎県(5.28)、奈良県(5.03)と続きます。ヘルパンギーナの患者数は例年6月から7月にかけてピークとなり、8月になると減少し、9月には殆ど終息すると言われています。患者はその殆どが4歳以下で、1歳代が最も多く、次いで2、3、4、0歳代の順となっています。症状としては、突然の発熱と共に、喉の奥に周囲が赤くなった1oから数o程度の小さな水疱や浅い潰瘍が見られ、また、一時的に嘔吐や頭痛の症状が現れることもあります。ヘルパンギーナはエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群が主な原因で、コクサッキーウイルスA群には様々な型があり、毎年複数の型が流行するため注意が必要です。この他、子どもが夏に罹りやすい感染症は、ヘルパンギーナと同じコクサッキーウイルスA群が原因の手足口病やアデノウイルスが原因の咽頭結膜熱(プール熱)などがあります。何れもクシャミなどの飛沫や接触によって人から人に感染します。予防のためには、まずは小まめな手洗いを心懸けることが大切です。
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夏に流行する小児の感染症 |
夏風邪とは? |
手足口病やヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)は、夏に流行する子どもの感染症で、一般に夏風邪と呼ばれ、例年、夏季に急速に感染が拡大しています。この季節に、子どもに風邪の症状が見られた時、また、ぐったりしているとか、呼びかけに対する反応が鈍い、意味不明の言動が見られるなどの症状が現われた場合は早めに受診しましょう。
■夏風邪の主な症状 |
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手足口病: |
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口の中や手のひら、足の裏などに発疹や水疱が出来ます。あまり高い熱は出ません。重症化は稀ですが、合併症として急性脳炎や心筋炎があります。 |
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ヘルパンギーナ: |
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突然の高熱で発症し、口の中の奥の方に水疱や潰瘍が出来ます。口の中や手のひら、足の裏などに発疹や水疱が出来ます。 |
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咽頭結膜熱: |
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発熱や咽頭炎(喉の腫れ)、結膜炎(目の充血)などの症状が現われます。 |
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■夏風邪の感染経路 |
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手足口病及びヘルパンギーナ |
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患者の咳やクシャミに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染、また、水疱の内容物や便の中のウイルスが手を介して口や眼などの粘膜に入ることによる経口及び接触感染によって発症します。 |
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咽頭結膜熱 |
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飛沫感染及び接触感染によって発症します。感染力が強く、プールや温泉施設などでの感染もあることから「プール熱」とも呼ばれています。 |
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■夏風邪の治療法 |
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手足口病及びヘルパンギーナ |
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辛い症状を和らげる対症療法が中心です。ワクチンや特効薬はありません。 |
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咽頭結膜熱 |
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対症療法と、眼の症状が強い場合は眼科での治療を行ないます。ワクチンや特効薬はありません。 |
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その他 |
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食事や水分が摂りにくくなり、脱水症状を起こすことがあります。水分補給に努め、柔らかく刺激の少ない食事を工夫しましょう。 |
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子どものための感染予防のポイント |
■子どものための感染予防のポイント |
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手洗いは多くの感染症に共通する重要な予防策です。そのため、小まめな手洗いを習慣づけましょう。 |
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症状が治まった後も2〜4週間、便などにウイルスが排泄されるので、普段からトイレの後やオムツ交換後の手洗いを徹底しましょう。 |
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幼稚園、保育園など集団生活ではタオルの共用を避けましょう。 |
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普段から人に向けてクシャミや咳をしないなど、子どもが理解できる範囲で咳エチケットを心懸けましょう。 |
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参考:咳エチケット |
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- 咳が続く時はマスクをつける
- 咳やクシャミの際にはティッシュなどで口や鼻を押さえる
- 咳やクシャミが他の人に直接かからないようにする
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夏風邪だからと侮るなかれ〜ヘルパンギーナも夏風邪のひとつ〜 |
ヘルパンギーナという病名はあまり聞き慣れない名前かも知れませんが、ヘルパンギーナは乳幼児や子どもを対象として発生する急性のウイルス感染症の一つで、俗に言う夏風邪の代表的疾患です。ヘルパンギーナに感染すると2〜5日間の潜伏期間を経て発症し、突然非常に高い高熱が出るケースも多くあります。また、ヘルパンギーナの主症状には、発熱と口内の水泡や水ぶくれ、口蓋弓部(のどちんこの上辺り)に炎症症状が確認されるようになり、水泡や水ぶくれが破れ、食べ物を摂取する際に激しい痛みを伴います。その大多数はエンテロウイルス属、流行性のものは特にA群コクサッキーウイルスの感染によるものです。
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発熱と激しい喉の痛みが特徴 |
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ヘルパンギーナの症状は、潜伏期間(2〜4日間)の後39℃前後の高熱が突然出て、咽頭の口蓋弓部(のどちんこの上辺り)に沿った口腔粘膜に水疱や浅い潰瘍等の症状が出てきます。咽頭の水疱は初期の状態で大きさ1〜2mm、2〜3日もすると5mm以内の黄灰白色の浅い潰瘍へと変化してゆきます。この水疱が潰れたり潰瘍が出来ると、唾液を飲み込むのも辛くなります。熱は年長児より年少児の方が高くなる傾向がありますが、2〜4日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失することが多いです。ヘルパンギーナに感染しても無熱性のものがありますので注意が必要です。また、ヘルパンギーナによる症状により熱性痙攣を伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌や拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することもありますが、滅多に重症化することは少ないです。 |
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エンテロウイルス菌が原因 |
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ヘルパンギーナの原因でもあるエンテロウイルスによる感染は多彩な病状を示す疾患であり、ヘルパンギーナの場合にも稀に無菌性髄膜炎や急性心筋炎などを合併することがあります。ヘルパンギーナによる無菌性髄膜炎の場合には、発熱以外に頭痛や嘔吐などの症状が現われます。また、ヘルパンギーナによる急性心筋炎の場合には心不全徴候の出現に十分注意することが必要です。 |
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幼児における夏風邪の原因ウイルス・細菌感染の注意点 |
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ヘルパンギーナは、乳幼児や子どもが感染しやすく、脳炎や急性心筋炎などの合併症を引き起こす可能性があります。乳児がヘルパンギーナを発症すると、不機嫌、哺乳力低下、涎、嘔吐などが症状として現われます。また幼児の症状としては、嚥下困難の他に、頭痛や背部痛(筋肉痛)を伴います。哺乳力低下や嚥下困難により脱水等の症状をを起こすこともあるので注意が必要です。また、ヘルパンギーナによる合併症として、発熱初期に熱性痙攣、ごく稀に脳炎を合併することがあるので、経過中に何回も繰り返す嘔吐や頭痛等の症状には十分注意が必要です。 |
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ヘルパンギーナと手足口病の違いは?〜同じ夏風邪でも手足口病とヘルパンギーナとはこれだけ違う〜 |
乳幼児が罹る風邪のひとつとして手足口病とヘルパンギーナとがあります。どちらも主に夏に流行するため夏風邪の一種とされています。しかし、この2つの疾患は症状が似ているため区別がつきにくいのも事実です。
それではヘルパンギーナと手足口病はどう違う病気なのでしょうか?
ヘルパンギーナは、発症するといきなり高い熱が出て口の中、主に喉の辺りや口の奥に水膨れが出来てしまいます。しかし、症状がこのくらいで熱も1日から4日程度経てば自然に熱は下がってしまいます。また、水膨れも口の中にしかできないのが特徴ですが、強い痛みが出るので殆どの子どもが食事をする事を嫌がります。これに対して手足口病の場合は、発症するとまず口の中が痛くなり、それから徐々に肘や膝、手のひらや指、口の中お尻と言った手と足と口を中心に発疹が出来てしまうのが特徴です。熱が出る場合もありますが、直ぐに下がってしまいますし、そこまで高くはないので心配する必要はありません。ただ、口の中に出来た出来物は食べ物を食べた時に痛みを感じることがありますし、発疹は痒みがある場合があるので、食欲が低下したり、掻かないようにしたりする必要があります。このようにヘルパンギーナは口の中だけ、手足口病は手や足、口といった所に症状が出るものなので、実際に症状が出た時はこれらのことに注目しながら区別してゆくようにしましょう。
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【2】ヘルパンギーナの症状と原因 |
ヘルパンギーナとはどんな感染症なのでしょうか?
本節では、ヘルパンギーナに特徴的な症状とその原因について解説しました。また、併せて大人のヘルパンギーナについても取り上げました。
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ヘルパンギーナとはどんな感染症か? |
ヘルパンギーナとは、毎年7月頃をピークとして、4歳以下の小児、特に1歳代に流行することが最も多いとされる夏風邪の代表疾患です。そのため、初夏の頃から幼児が突然の発熱と共に口の中を痛がる時はヘルパンギーナが疑われます。高熱と口腔内の発疹、すなわち上顎の奥に周囲が赤くなった1mmから数mmの小さな水疱が見られるのが特徴です。発熱した時に一時的に意識を失ってひきつけを起こす熱性痙攣や、一過性に嘔吐や頭痛の症状を合併することもありますが、発熱は大概2〜4日程度で治まります。また、口の中の痛みは2〜3日で引いてゆき、4〜5日もすれば自然に治まってゆきます。なお、感染しても明らかな症状が出ない不顕性感染もあります。
ヘルパンギーナの原因ウイルスは多種類ありますが、ヘルパンギーナの殆どはエンテロウイルスの中のコクサッキーウイルスA群2〜6型、8型、10型の感染によって発症します。ウイルスが人から人に感染することによって、2〜7日間の潜伏期間を経て発症します。感染ルートは2種類で、患者の唾液や鼻水が付着したオモチャなどを触った手や便に触れた手を介して口から病原体ウイルスが侵入する接触感染と、クシャミなどで飛び散った病原体ウイルスを吸い込む飛沫感染によって伝染します。患者数は例年6月から7月にかけてピークとなり、8月になると減少し、9月には殆ど終息します。
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ヘルパンギーナの症状 |
 ヘルパンギーナは高熱と喉の痛みが代表的な症状です。ヘルパンギーナは2〜4日の潜伏期間を経て、突然の発熱を発症します。突然39℃前後の高熱が出て、咽頭の口蓋弓部に沿った口腔粘膜に水疱や浅い潰瘍が出来ます。咽頭の水疱は最初1〜2mm大のものが2〜3日で5mm以内の黄灰白色の浅い潰瘍に変化します。この潰瘍になった時が1番痛みを感じます。この水疱が潰れたり、また、潰瘍が出来ると、喉が滲みて唾液を飲み込むのも辛くなります。水泡は1週間程で消滅してゆきますが、何れにせよ水泡が出来ると、赤ちゃんは当然機嫌が悪くなり、涎が普段よりも多くなります。哺乳力低下や嘔吐、幼児は嚥下困難、頭痛や背部痛(筋肉痛)を伴い、また、哺乳力低下や嚥下困難により脱水を起こすこともあります。そのため、何も食事を受け付なくなることもありますが、この場合はぐったりとしてきたら脱水症状の可能性もあります。次に体温は年長児より年少児の方が高くなる傾向があります。ただ、ヘルパンギーナの急な高熱は1日で下がることもありますが、大抵は3〜5日程度は続くパターンが多く、5日以上の高熱では細菌感染の心配も出てくるため再受診が望ましいでしょう。
もっとも、中には無熱性のものもあるので注意が必要です。なお、合併症として、発熱初期に熱性痙攣を伴うこともあります。また、ごく稀に脳炎を合併することがあるので、経過中の何回も繰り返す嘔吐や頭痛には注意が必要です。発熱については2〜4日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失すします。発熱時に熱性痙攣を伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌や拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがありますが、その殆どは予後良好です。
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ヘルパンギーナの特徴的な症状 |
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- 39度前後の発熱が2〜3日続く
- 稀に高熱から熱性痙攣
- 喉に小さな水疱、涎が増える
- 喉の痛み
- 食欲不振
- 腹痛
- 嘔吐
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ヘルパンギーナの原因 |
ヘルパンギーナの原因と流行 |
ヘルパンギーナの原因はウイルスを原因とする感染症で、その原因となるウイルスはエンテロウイルスと呼ばれるウイルス群に属するウイルスです。エンテロウイルスとは、ピコルナウイルス科に属する多数のRNAウイルスの総称で、ポリオウイルスやA群コクサッキーウイルス(CA)、B群コクサッキーウイルス(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68〜71
型)など多くを含みます。エンテロウイルス属の宿主は人だけであり、感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染で、急性期に最もウイルスが排泄され感染力が強いのですが、エンテロウイルス感染としての性格上、回復後にも2〜4週間の長期に渡って便からウイルスが検出されます。さらにヘルパンギーナは、エンテロウイルス群の中でも主にコクサッキーウイルスが原因となって発症します(※ただし、発症原因となるエンテロウイルスは幾つも確認されており、コクサッキーウイルスだけとは限りません)。
ヘルパンギーナの流行は、熱帯では通年性に見られますが、温帯では夏と秋に流行が見られます。日本は毎年5月頃より増加し始め、6〜7月にかけてピーク
となり、8月に減少、9〜10月にかけて消滅をしてゆきます。また、日本国内における流行は例年西から東へと推移し、その流行規模はほぼ毎年同様の傾向があります。
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ヘルパンギーナの原因ウイルスはエンテロウイルス群 |
コクサッキーウイルスはA群とB群とに分類されますが、ヘルパンギーナや同様の夏風邪症状や手足口病などをもたらすのは主にA型コクサッキーウイルスです。ただ、このようにヘルパンギーナと言うとよくコクサッキーA群ウイルスを耳にしますが、しかし、ウイルスは何種類かあるため、複数回ヘルパンギーナに罹ることもあります。このようにヘルパンギーナはウイルスが原因のウイルス感染症なので、2次感染に対しても充分な注意が必要です。
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エンテロウイルスとは? |
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エンテロウイルスとは夏風邪のヘルパンギーナや手足口病の原因菌の総称で、コクサッキーA群ウイルスやコクサッキーB群ウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルスなどが属します。もしもエンテロウイルスに感染してしまったら、潜伏期間は3〜7日です。新生児が感染すると、時に感染が心臓や肝臓に広がって命を落とす危険も稀にあり、特にエンテロウイルスに属するエコーウイルスの中には新生児の全身出血や神経発達の遅延を起こす原因菌もあります。エンテロウイルスは感染に気が付かない時もあるものの、消化管の中で形成されて感染者の唾液や鼻水、便に存在し、物を介して周囲の人の手に触れて感染してゆきます。これは頻繁な手洗いなどで清潔を心がけると予防できます。また、エンテロウイルスの大きな特徴は解熱剤や抗生剤に強く加熱殺菌にも強いという点で、要するに手洗いやうがいで予防に最善を尽くすことが大切です。
※参考:消毒剤に対する抵抗性
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスは様々な消毒剤に対して比較的高い抵抗性を持つウイルスです。 |
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潜伏期間と感染期間はどれくらい? |
症状が現われるまでの潜伏期間 |
ヘルパンギーナの原因となるウィルスに感染してから発熱や喉の痛みなどのヘルパンギーナの症状が現われるまでの潜伏期間は、通常2〜4日程度と言われています。個人差があるので、場合によっては1週間程度の潜伏期間がある場合もあります。そのため、感染した本人や家族も気づかない間にウィルスが体の中で増殖し、症状が現われた時には既に周囲にいる人間にうつしている可能性があるので注意が必要です。
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症状が出る感染期間 |
ヘルパンギーナの症状は、発症後、数日間がピークになり、高熱や喉の痛み、全身の筋肉痛などの不快な症状がピークになります。2〜4日ほどでこの症状は治まり、回復期へと移行します。ただし、症状が回復した後も感染期間が2〜3週間程度続くので注意が必要です。ただし、便からエンテロウィルスが検出されるケースがあるため、症状がよくなったからと言って油断せず、子どものオムツ交換やトイレでの補助を行なう際は、手に便が付着しないように気をつけましょう。もしも手に便が付着して汚れた時はいつも以上に丁寧に手を洗うことが大切です。また、発熱などの症状が治まったからと言って油断しないで、衛生管理を徹底していれば無闇にエンテロウィルスを恐れる必要はありません。もっとも、感染力の低いまだ小さい兄弟姉妹がいる場合やイベントなどで大勢が集まる場所に行く予定がある時などは、感染期間によっては予定を見直したり、感染させないような努力が求められます。何れにせよ、潜伏期間と感染期間にウィルスを他人に感染させないように気をつけていれば、ヘルパンギーナは無闇に恐れる心配のない病気です。従って、流行しやすい夏頃になったら、特に子どもがいる家庭は注意をしておきましょう。
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流行時期と好発年齢 |
例年5月頃から増加し始め、6〜7月にピークが見られ、8月以降減少します。また、患者の殆どが4歳までの乳幼児です。
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感染経路 |
ヘルパンギーナの感染経路には飛沫感染と経口感染とがあります。
ヘルパンギーナは、急性期には喉からウイルスが排出されるため、咳やクシャミなどによって発生する飛沫によって感染する飛沫感染と、唾液や鼻水が付着したオモチャ、これらに触れた手指を介して感染する接触感染とによって感染します。また、急性期から回復期(発症後4週間頃まで)には便からウイルスが排出されるため、オムツ交換の後の手洗いや手指消毒が充分ではなかった場合に汚染された手指を介して感染が広がることがあります。
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飛沫感染 |
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クシャミなどでウイルスが空気中に飛散し、それが咽頭や呼吸器粘膜などから侵入・感染します。空気感染ではないので、咳やクシャミをした人から離れていれば感染しません。通常は1〜2m以内の至近距離で感染します。 |
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経口感染 |
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ウイルスが口から入り、消化管から体内に侵入します。ウイルスに汚染された飲食物を摂取して感染するとか、ウイルスが付いた手で口元に触れても感染します。 |
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ウイルス感染の原因になる状況&行為 |
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クシャミ及び咳 |
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マスクをしないでクシャミや咳をするとウイルスが撒き散らされます。身近にいる人はかなりの確率でウイルスに接触します。 |
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オモチャの貸し借り |
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ヘルパンギーナの好発年齢は1〜4歳です。子ども同士の遊びの中でオモチャの貸し借りをすることもあるでしょうし、また、何でも口に入れたがる年代なので、唾液が付いたオモチャからウイルスに感染する可能性もあります。 |
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食器及び飲食物 |
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箸やスプーンなど食器類を共用するとウイルスが口から侵入します。気をつけたいのが小さな子ども数人に大人が食事を与える場合です。つい自分の箸でそれぞれの子どもの口に食べ物を入れがちですが、ウイルスをみんなに回してしまうことになるので控えて下さい。 |
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集団での活動 |
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接触が多ければ多いほど、また集団の密度が高いほど感染のリスクが上がります。幼稚園や保育園、児童館などでヘルパンギーナが爆発的に広がるのはそのためです。近所の遊び友達の間にヘルパンギーナが流行り始めたら、暫く遊びに参加するのを避けた方が無難です。当然ながら自分の子どもが感染した場合は完全に回復するまで家にいるようにしましょう。 |
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ヘルパンギーナは大人も発症 |
大人でもヘルパンギーナに罹る? |
ヘルパンギーナは乳幼児が多く感染しますが、発症させるウイルスは数種類があるため、時には乳幼児ばかりでなく大人も発症する場合も多くあります。その場合は小児よりも症状はひどい場合が多いとされます。
ヘルパンギーナは原因はコクサッキーA群ウイルスと言われるウィルスが原因で、その症状は発熱と口の中にできる口内炎(1〜3mm程度の口内の水疱疹)です。発熱と同時か1日遅れくらいで出現し、5〜7日で症状は軽減します。高熱を発する場合が多く、発熱の期間は3〜4日程度ですが、口の中にできる口内炎が痛く、食事や水分が上手く摂れなくなります。一般的に合併症もなく、摂食障害がなければ入院や点滴が必要になる場合は少ないです。また、大人へのヘルパンギーナの感染ルートは、原因ウイルスに感染した子どもがいる家庭で子どもから親へと移されるケースが殆どで、特に子どもが多い幼稚園や保育園などでは園児同士の感染と共に大人にも感染するケースが多くなります。また、乳幼児が使用した物や施設を介して感染する場合もありますので、中々予防が難しいと言えます。子どもから家族には2〜3日の潜伏期間で感染してゆく場合が多く、それが原因で大人も発症することがあります。大人がヘルパンギーナに感染した場合、小児よりも口内痛の症状がさらに強くなります。
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大人のヘルパンギーナの特徴的な症状 |
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- 急な発熱で38度以上
- 喉の激しい痛み
- 頭痛や全身の筋肉の痛みなど風邪やインフルエンザにも似たような症状(※個人差あります)
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大人がヘルパンギーナに感染した場合は症状が重い |
大人がヘルパンギーナに罹った場合には、子どもが罹った場合に比べて重い症状が続く傾向にあるため注意が必要です。発熱に関しては、子どもの場合と同じく39℃以上の高熱が出ますが、その期間が子どもと比べて長く続くことが多いのです。また、口内炎のようなブツブツが口や喉に出来るのも子どもの場合と同じですが、大人の場合だと、その痛さが子どもの場合の比ではないほど痛むという人も多いです。喉に出来ると特に食事も大変になってしまいます。
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大人がヘルパンギーナに感染する原因 |
大人がヘルパンギーナに罹ってしまう場合の殆どは、ストレスや疲労が原因で免疫力が落ちてしまっている場合です。そのため、家庭の中で子どもがヘルパンギーナに感染した場合には、看病してあげる必要はありますが、無理はせずに、自分自身の体調を整えながら看病する必要があります。ヘルパンギーナのウイルスは咳やクシャミの飛沫の中にも存在するので、子どもが感染した場合には、マスクをさせるなどの対策をとれば両親、特に子どもと接する時間が長くなるであろう母親が感染する可能性を下げることが出来ます。また、ヘルパンギーナの回復期にはウイルスが便の中に潜んでいるので、特に赤ちゃんが感染した場合には、オムツ替えの際などに手袋をするなどの対策が必要です。
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大人のヘルパンギーナ予防法 |
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体力・抵抗力を養う |
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感染しても発症しないよう日頃から体調管理を心懸けましょう。睡眠不足や食生活の乱れは体調を不安定にします。また、ヘルパンギーナの子どもを看病するうちに疲れが溜って抵抗力が落ちることもあるので、子どもが寝ている間は自分も寝るなど小まめに体を休めるようにしましょう。 |
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子どもの世話をした時は手洗いを徹底する |
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大人のヘルパンギーナは、ヘルパンギーナの子どもを看病した際に感染するケースが大部分を占めます。子どもの世話をしたら、小まめに手を洗いましょう。オムツ交換やオモチャの片付け、鼻水や涎を拭く、吐瀉物の始末などの後は念入りに手を洗いましょう。 |
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唾液による感染を防ぐ |
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クシャミなどによる飛沫感染が多いので、子どもがヘルパンギーナの時はマスクをしましょう。小さな子どもでマスクを出来ないなら、大人がしっかりマスクをします。箸やスプーンを介して感染するので、大人の箸で食事を食べさせるのも厳禁です。飲み物を分け合う、キスなども避けた方が無難です。 |
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